姿勢よくかたく変わらずそこにいる家族とは鉄だ柱だ
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こっそりと隙間に開く蒲公英よお前いったいどこから来たの
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知らぬ間に辺り一切桃色に霞み崩れるはずだ愉快だ
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みしみしと成長痛の音がする若き桜の伸びていく様
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春雨に負ける桜は見たくない試合は始まったばかりだろ
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雪道に張り付く紅葉ぱらぱらと秋のパズルが外れるように
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巻きつくも枯れてゆくのも意のままにきっとならずに生きたアサガオ
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息をして一万八千日生きた誰にも言わぬ寂しさにいる
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わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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テレビつけカボチャの種を煎っている冬の時間は夏より長い
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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埋葬費をりしもてなぐさみに染む罌粟防火壁のもとに額づけ
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放蕩の返済が果追はれつつ葡萄に裸婦は序する福音、鳩卵
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約翰よはねまぎらはしくも謄本へ添ゆる洗礼名さへみわけがたかり
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娼婦私生児しかれども父祖にてはなやかなる頬 じつを衒ひて
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スーパーは隣町まで行ってます会ってもどうせ目をそらすんで
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久々に目覚まし鳴るまで寝た時はなんだかふわふわ調子が悪い
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夏茜、戻れずともまた逢いにきていいですかと君きいてくるから
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山深き斎岩群ゆついはむら丹躑躅につつじ迦具土かぐつちの血のたばしれるかも
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意地悪な電話とぎこちない手紙 貴方の利き手すら愛おしい
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この街に雪は降らねど 積もったと君が囁く電話越し 冬
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これまでの自分をいくら赦しても今日の自分が罪を重ねる
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透明な花瓶は傷も透明で 割れる前なら触っていいよ
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聞こえないふりして前を行く君の真似して空も黙り込んでる
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「ちょっと海さわってくる」ときみは言い半年前の夏へかけだす
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こんな詩すぐに忘れていいよでも忘れるまでは僕を愛して
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肝向かふこころに色ぞなき 今日の涙に色の絶へてなければ
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朝月夜 並々入れた珈琲にうつるまだ眠そうな猫の目
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脳死まで動き続ける心臓と心停止まで思考する脳
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不発弾多き脳内 爆発と成れぬ芸術たちの墓原
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