はらはらと さき扇子を振る如く舞ふ 鴨脚樹イチョウの葉 霜月の風
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晩秋や ひむがしの空 オリオンは 大凧の如 昇りゆく夜半よわ
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AIの疑似人格に話しかけ 独りで生きる練習をする
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秋晴れは 心地良きかな 陽を浴びて 力蓄え 光合成す
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デパートの物産展で初めて食べたおやきの味が忘れられない
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駅ビルで買ったふたつのおやき食べ今日一日が肯定されてく
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独りでも 生きよと諭す 声に似て そよ吹く風に 母の恋しき
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程々の緩さを秘めて仕事する真面目なあの娘に伝えられたら
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山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
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重き物 心にありて 歌にせば 東雲しののめあけに かせは外れり
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寒い夜は 身体温め 君想い 心温め 静かに眠る
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半日で解けきる雪のふがいなさ 役員会の堂々巡り
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降圧剤飲まぬと決めて一年半 死神よぎり医師に泣きつく
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軒先に柿を吊るして冬を待つ 食べ頃の実は祖母のみが知る
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待ちわびた今年最後の満月は 分厚い雲の御簾の裏側
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ゆっくりと 満月とオリオンのを通過す 夜間飛行の光
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紙やすりで 研がれるような 寂しさに みぞれざらざら 降り注ぐ音
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住み慣れし 街に明かりが 灯る時 過ぎゆく時の 早さ身に染む
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安らわむ 硝子の月に 息をかけ 貝の小舟で 眠りの海へ
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三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
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ほろ酔えば いつものきつさが 苦しくて 心のベルトを ニ穴ゆるめる
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三十年ここで寝たんだ このベッド あるじ無き部屋 淋しさつのる \ ようやく独立!
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「井戸水の方が温かかったのよ」ごぼうを洗う祖母が呟く
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芽生えたる 夢を忘れる その前に。 命短し 挑めよ我ら
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夢を見た 笑い合ってたわたしたち なんにもなかったみたいな顔で
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強いひと 嫌うあなたが好いていた わたしの弱さ 早く捨てたい
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記憶 反芻 丸くなり沈む 湖どこまでも 立ち上がれば 雫 風 草原
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のたりのたりタライ 平原の向こう あれはミナミカンムリワシ
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ゆるしてと 思っているから 優しいの? 日常が惜しくなっただけなの?
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核兵器も物価も知らぬ猫はおおきく手を振り歩く園児に威嚇したり
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