冬の木の指先飾る紅い花ひとり佇み春を告げつつ
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オクテット則その過不足を考えて昼過ぎのカフェ •レストラン
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MDの消えた世界で僕は今子供のお下がりを着て眠る
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月一度四季にて色変ふ山走り村里に湧く清水汲み来し
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カッタタタ大樹を叩くコゲラ来て静寂の底に立春の音
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恵方巻き 残業帰り 売り切れで ままならぬ世に 月は綺麗で
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若草の泉に寄り添ひ陽に向かひ 雲雀と歌ひ風とそよげる
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満月とともにやってくる 月のもの 呼んでないけど まだやってくる
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2年ぶり玄関ベランダ「鬼は外」誰も居ないを幸いにして
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我が膝に飛びつきぬ 人馴れし犬 肉球跡の 土のスタンプ
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初詣豆まき恵方もスルーして福を避けてるわけではないが
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春風と遊ぶわたあめつれもどす道中ぼくはきみに出会った
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掃除機の回転ブラシ巻き付けちゃ自虐いそしむ紐自縛趣味/いい加減しなさい
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お互いに 古き階段 上り下り すれ違うだけ 春のひととき
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明日もまた 会うのだろうに 石段で 話しこけてる 学生いいな
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髪しばり「早くいくよ」といふ母に「ママ、かわいい」をぶち込む次男
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ふと浮かぶ歌をスマホに入力し思い出しては自分添削
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間違いを もっともらしく伝えくる AIはもう信用できぬ
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夕焼けが夜にとけてく時間には帰れぬ日々が空に浮かぶよ
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同じ国、同じ言語のはずなのに三人寄ればわたし除け者
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苺大福だいふくをキメなきゃやってられないよ 試験と就活 中指を立て
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「怠惰」という病のツケが三年の時を経ていまボディブロー
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雪国の暮らしの方が長くなり雪ない実家の母は老いたり/帰省
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今更だ、うずくまっても立ってみる 横で猫、全お腹の無罪
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幾重いくえにも、巻きて開かぬ うちの花 春立つ今朝は 意地を捨て解かむ
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立春に寒さ束の間緩みおり 雨水、啓蟄心は逸る
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公園の南天の実はおおかたに喰い尽くされて立春迎ふ
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自販機のペットボトルが水筒に名前を変える午後の仕事場
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煮込み鍋湯気がゆっくりわたくしを人へと戻すボディバッテリー5
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春立つ日きまりのような陽射し受けごみ収集車は給油を受ける
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