一年の あの日の朝も 晴れていた 何度も呼んだ 愛犬あのこの名前
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蝋梅の 黄色が映える 寒き日に 満開に咲き 心温もる
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石畳いしだたみの あの道のカフェが 恋しくて 窓際に座り あなたを探す
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雪だるまの周りの足跡から聞ゆにぎやかな声楽しい時よ
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目を見張る艶髪であれど床の上落ちてしまえばぞっとしかせず
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風呂も無く小さきアパート冬の夜 父さん、母さん家建てたよ
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きみだから一秒すらも愛おしい 春夏秋冬の恋 ああもう七時
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繋ぐ手を 失い探す闇のなか 立ち尽くしては 無可思に逝きる 
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青黛の空に煌めく冬星座二人歩きし夜道忘れじ
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ひとりだと 墓も建てれぬと 聞かされ 母の遺骨をいだき 戸惑とまど
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真冬日に降る粉雪の冷たさは誰もが知りて人影もなく
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風が吹く  いつかあなたに届いてね  花びらはもう使いきったわ
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職求め茅野の駅頭降り立ちて 歩荷ぼっか薪わり 赤岳を仰ぐ
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目の前の うずくまる人に 我慢 説く 立派な理屈が 私を冷やす
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仕事場の 窓から聴こえる 清志郎 あわせて鼻歌 うたう休憩
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カチコチのこころの可動域狭し 広げにゆこう短歌の森へ
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冬ざれの野道を行かば一斉に鳥飛び立ちて梢に集く
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重ねても 吐き出す穴があったとて 愛してくれぬ ただの女形にんぎょう
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かつて来し 森の温室 夜は冷えて 君の名付けし 星灯草せいびそう 咲く
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ウェールズ王子Prince of Walesなる名の紅茶淹れ今日を始める勇気を少し
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親ほどの老人たちの散歩道「よいお天気で」と交わす寂しさ
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競走馬スパート掛ける可動域グイッとひと伸び勝利を掴み
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青い春 頬杖ついた 君を見て  シャツのぼたんに なりたいと思う 
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冬枯れの 木にも命が 脈々と 枝を払いて 春を待ち侘び
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ラブソングみたいな空だ冬風に星瞬いて輝く空は
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数人で 会話するとき 全員に 等しく目合わす そんな人、好き
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悪かった、悪かったって終電でくまを抱えたひとが寝言を
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しぐるるや 落花の情に 応えけり 冬椿らの 涙踏み行く
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プラマイがゼロになるよう神様が 与えてくれた私の余生
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冬越せぬ 花のむくろを 土に埋め 来春にまた 逢はむと願う
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