断捨離で カセット見つけ 時戻り 四十年ぶり 元カノへ返す
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ふらいぱん 可愛い店で 君が待つ オムライスの黃 幸せな色
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打ち水にきらめく芽なり紫陽花の挿し木を包む秋風の色
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丁寧な暮らしをしてる気になった 湯気立ちのぼる鯖の塩焼き
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霧雨の空に架かれる虹の弧を回せば弾む大縄とびに
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同窓会散り際またねと手を振ればふと吹き抜ける放課後の風
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証拠なく鹿蹴る人を異人とし騒ぎをあおる要人の言
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霧のふる夜明けのまちに浮き上がる赤信号のけぶる道なり
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夜半の秋 窓から伸ばす 手のひらに 月の光が 燦々と差す
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伝説がはじまりそうな顔の子が駅のホームにつま先で立つ
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真ん丸だ!きみが指さす西の空 並んで見つめた早朝の風景
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アトラスの良き理解者は袋詰めされたミカンだ一番下の
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「無用の用」我が心にも響き来る鈍き動作も心明るく
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温泉に 入浴剤で 早変わり 今日のお風呂は 登別の湯
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秋の夜に哀しみ撫でる白き手を払えば闇に雨ののふる
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朗読会 奇跡を集め 音楽と 宮沢賢治に 酔いしれる秋
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いつもなら つがいの雉鳩 ぽつねんと 今日は素直に ごめんて言うよ
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シャーペンで引いたみたいに細く降る雨の日だけは詩人になれる
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紫の朝顔ひとつ残り咲く黄の葉をゆらす秋の夕風
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灼かれると知っているのか?夕暮れの蛍光灯に飛び込む虫よ
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日の暮れの西側座席の眩しさが不意に懐かし午後の踏み切り
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君は会社不適合者ではあるが社会不適合者ではないぞ
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上司って存在自体人間を差別するハラスメントですよ
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車窓から見えるススキの穂は白い 今年はじめて長袖を着る
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アルバムを開けば心過去へ飛ぶ秋の夜長は寂しさつのる
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ひきだしの奥のフリースひっつかみ季節は急ぎ3マス進む
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会うたびに玄米食べろと勧めてくれてたやつがこの世を去った
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落ち込んで動けない俺に慰めの言葉をくれマウントも取る
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これ以上危ない橋は渡れねぇわ俺はもう降りさせてもらうぜ
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秋の夜に震える僕の鳥肌をさすってくれた君の手のひら
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