ふじの色見えぬ澄空結露越し センチメンタルだけの残月
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助けう 人 助けても 裏切られ くやし涙す この世 悲しき
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茜空彫るは富士のみねの黒 じきに消えようあおに交じりて
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軒の下明けてくれるな松の内 友の年賀はたった四枚
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ひび割れのモルタル寂し公団前 人は変われど街も変われど
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来し方の出逢い全てが星となり瞬いている真冬の銀河
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親という 一番近い歴史見て 繰り返さぬと誓ったんだが
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モノクロの雑踏掻き分け上野口 デッキの雪さえ心ぬく
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実家から見上げた空が天国に一番近いと知った夕暮れ
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作詞家を夢見た結果レコードにならない無駄が句を歌を詠む
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なかなかに取れないのです服のシミ 会議の前につくと思わず 
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澄み切った空気が醸す冬銀河 あまねく星たち 幻想の夜
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ホームランなんて狙えぬ性分で 人生いつも送りバントよ
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五年もの月日があれから経ちました 先生、私まだ下の句下手かな
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人参と枝を残して雪だるま 「さよなら」も言わず空へと還る
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やる事が 終わらぬうちに また別の 優先順位が 割り込んで来る
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歌友うたともの 歌を通じて お互いの顔知らずとも 内面を知り
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春を待ち 葉も花もない 裸木はだかぎの 美しき枝振りに見惚みとれて
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転寝うたたねのふくらはぎから沁みてくる猫がいてくれることの幸せ
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云う人も 云われる人も「ありがとう」人に優しさ包む言の葉
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「撫でさせてやってもいいぞ」と横たわり撫でるまで猫はそこに居る。ずっと
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つくづくに北国生まれの遺伝子か雪降る日には何故か落ち着く
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待ち切れぬ信号の紅向う岸 君の背中はもう第三者
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コトコトと江ノ電に乗りやってきた昔仲間の営むお店
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梅の花咲き春らしい鵠沼に昨日は雪が舞ったと聞いた
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店内に流れる曲を聴きながら昔語りに幸せ感ず
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次々と時計が壊れ安物を買い情け無い老後はじまるか
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今の私だからこそ出逢えた君とのこれからをどこまで期待していいものか
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澄み切った空の季節よさようならオリオン西にかしいで淡く
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やぶ椿 ぽとりと落ちて地でも咲く 生きた証を残すかのように
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