美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

永遠の輪廻往き来の並木道稀有の孤狼の何者と言う
15
空白の手帳見ながらまだ私生きてるつもり笑止と言って
16
夕刻の忙しき人の往来をただ眺めいて父よ母よと
14
炎天下剪定の音聴こえきて私の業も刈り整えて
12
片手撫でこの指先で数え得る残余の生を思う濡れ葉に
15
神でさえ術なき宵の蕭条の暮れゆき人の散り散りと消ゆ
13
遥かへと伸びゆく木々の遊歩道死を思い居て申し分なし
10
白樫しらかし高木こうぼくもと慎ましく役割り終える皐月さつきの子たち
12
窓外を眺む私を瞬殺で撮りしあなたの想い出湧きて
15
散り落ちて忘れ去られるそれ故にみやびな高貴宿す桜よ
14
虚実あり幻と見る営みに今日分かれゆく死者と生者に
9
傷心も気丈に受けて可憐なる杵築のさいのきみ遥かなり
14
機械音不気味に響きつながれた看護師さんの手慈母の安心
16
一匙ひとさじのココアクリームすくい上げ死と同じほど生は空無だ
13
灰色の景色はすべて後方へ記憶ばかりが心かすめて
15
開かれた夢に背を向け頑是なくそうした道を歩き続けた
12
厳粛な空をひとたびまみえれば波動下げても明日あすに額づく
12
麗しき黄金の光すすき揺れそこにいたはずきみとぼくとは
9
小雨降るなかをはじめて撮りにいく難恥多きMRI
8
風色の妖精ならば迷わずに私をどうぞ連れて行ってね
13
高齢というには早くかといって若くはないと微妙年代
12
本当にあなたがいたら期待せず歩道に座り雲を見上げる
8
面影はあの子の勇姿浮かび来て死者と生者を分ける不思議を
13
もうあまり時間がないねそうだよね川面見つめる天使と妖精
13
鍵型に指を掲げて花びらを愛でる少女の姿麗し
13
容れられぬ生もまた良し容れられぬ生を静かに生きおるきみに
12
人生の不参加組と肩揃えぼくときみとが歩き出す夢
11
天使無き翼無き身で忍苦するきみは無事にて過ごしてますか
17
春の日の陽光浴びて歩廊ゆくあたかも大事あるが如くに
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常夜灯ともして休む就寝時今日の私を捨てておやすみ
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