美美庵
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最近、ある方の影響で、三十数年ぶりに、
詠みはじめてみました。
拙く、荒削りなものばかりですが、
一日一首を目標に頑張ってみます。
よろしくお願いいたします。

絶海の無人島にて一人きりあなたはやはり歌詠みますか
16
つんのめり下りる坂道ただ独り破棄したファミリースナップショット
11
万雷の拍手のなかで軽く手を上げたあなたと眼と眼が合った
17
ゆっくりと君を想える電車今出たばっかりのプラットホーム
14
意味がない生を生き抜く最後までそのことだけに意味があるから
17
何となく微笑み合える知られずに同じキャンディ口にしてたら
17
沢山の真顔をくれてありがとうそちらにいなきゃダメですからね
13
パンプスの先に茶色にひからびた落ち葉がついて冬は間近し
22
来し方の愛と呼べない形骸の余白せいぜい愛しんでいる
17
いやいやと眉に唾つけ聞きますよ人間万事塞翁が馬
15
十五歳あの三叉路を渡ってた高校デビューしくじっちゃって
13
片の付く死を数えては事務処理し冷たい街の冷たい心
10
笑うこと教えてくれたあの人の背中はいつも哀しげだった
20
哀しみを表情だけで振り向けて幾多の少女ひとが往き過ぎ去った
13
巨大なる駅ターミナル冷える陽に老若男女分断される
17
死がいつもどうぞといって待っている無様な生を醒めた目で見て
16
明日あす世界滅ぶとしてもカゴのものレジ袋へと詰め込んでいけ
16
君は何?あなたは誰?と生涯は真白きままに下降してゆく
12
おしゃべりが次第次第に苦しみになる年ごろに差し掛かかってる
11
娘でも妻でもなしにうら若き夫婦と幼児眺めおるとき
11
右の手をギブスで固定し左手でシャボン吹き上げ少女空へと
14
想い人いないしじまの灯下にて死を落ち着いて想念してる
9
人知れぬ裏街道の細道で醸成される愛を隠して
13
冬の夜の彼方に見えるタワマンの最上階も灯りがつきて
17
次兄住む養子先にて仮寓して戦火のなかに消えた伯父あり
8
月明かり目と目が合って無感情窓はぴしゃりと閉めますからね
7
何ゆえか父が私にくれたのはヘミングウェイの老人と海
12
世に処せぬ負傷兵みなここに来て心楽にし安心なさい
9
何事か寒風だけが囁いて私の住居誰も知らない
8
つゆほどのためらいもなく光浴びあなたの指を折らせてみたい
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