Utakata
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渡 弘道
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ナイルに偽りの桜百億流し江戸を制さん女帝かな
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子供部屋おじさんに箪笥の肥しこの国もまだまだ捨てたもんじゃないっすね
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昔の恋より便り染井吉野派遣先の名無き労働者
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ワイパーが時刻む重い沈黙一人娘父の介護へと
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スミマセンノミホウダイワドコデスカ七尺男六尺女
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ささくれや昨日の悪口か今日の嫉妬か人差し指つくづくと
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五つの孫に貯金崩して七段飾り宵越しの銭持たず
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雪解け静かに窓辺の小川隣の布団捲れて月の夜
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残雪や空巣に落ちる日影かな三十九の娘嫁がせて
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バツイチ自宅付き前科無し再春を待つ晩秋の鬼これに
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ママの名刺は内ポケットにお客さん着きましたよお客さん
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胸に鳴り響く発車のベル貴方との七年も春のそよ風
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風邪床や天井の染み壁の傷奥から漏れる妻の内心
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浅生工務店錆びて旅立つ波止場かなロシアへと愛を込めて
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雪道や転んで仰ぐ星の数スナック臭う白息吐いて
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君が好きだった苺を添えて草を一つ一つ二十の別れ
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百恵ちゃん北風に誘われ旅に切符を捨てて奥の細道
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別れ文かなの掠れに染みの跡嫁ぐ貴女に幸を願わん
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恋に敗れて吹雪の夜行列車冷たい車窓に頬預けて
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窓の雪母静かにどなた様ですか白い壁にコールボタン
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冬銀河灯りの絶えて東急百貨店流れ星また一つ
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新年や居間にどっしり古女房令和ゴジラ最新版
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歌を忘れたカナリヤ届け出す還暦を前に空いてる二階
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炊き出しや湯気の向こうはお正月無言の列に二百三十八円
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年の暮れ二十二歳を連れてスワロフスキーこれで終りにしようね
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枕元娘にそっとクリスマス薄紅の頬静かに撫でる
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カーネルおじさん今年も有難うバケツ一杯鳥の誘惑
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旧道や蔦に埋もれる待合所旗振る見送りそして通知
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雪降って別居先からライン来る復縁と思いきや教育費
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幼馴染敬語で綴る年賀状淡い想い夜の白雪
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