渡 弘道
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晩秋や落ち歯入れ歯になりにけり居れば皆ホームレス苦寿園
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往年の恋より便り庭の枯れ葉を掻き集め宵の灯火
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バイカル湖青い北風白い水下向くナターシャ上向く私
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過ぎ去った夏から返信小さな秋の小さな恋のメロディー
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荒れた裏庭によそよそしい十六才単身赴任の帰宅
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緩衝材プチプチでストレス消す宅配ご苦労さん楽天
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金曜日十一時半ワインが不味くなる頃横に空いた席
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ティファニーの窓覗くパートの帰り大根買い鍵っ子のもとへ
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あたら夜もみじ酔い少し未練少し襟を立てずに石山寺
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あの情熱も君の思いも北風に流される夏の残り火
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返事貰えずその足でジャズ喫茶寂しい夜の温い水割り
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名月や寂しい光浴びながらまだ見ぬ君へ杯上げる
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ハイカイケイワコチラデヨロシイデショウカセブンイレブンイイキブン
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カーテンが少し靡いて秋日和洗濯終えていちご大福
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君への思い飲み切れず蝉の声寝なきゃならぬ日曜日
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夢諦めて落ち葉の禅宗様七年待たした君のもとへ
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告別終えて私のかぐや姫暗闇の池に浮かぶ満月
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コンビニでおにぎりとワンカップ大関七円足らずホームレス
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告白や駄目と知りつつ六時半屋台の親父周りの掃除
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黄昏や杉玉染めて一人旅百合の面影静かに抱いて
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天高く小康の空仮退院冷蔵庫にスーパードライ
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三十八でツインテール五十で婚活日本まだまだいける
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水曜日時計の針傾く頃皆床の中雨しとしとと
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求婚や七つの月数えながら七つ言い訳考えながら
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歳時記読めぬ漢字に喰えぬ蜜柑眼鏡失くして眼鏡探せず
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再会も残酷に目覚まし時計君は遠くに二十光年
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石投げず波紋の見える素晴らしさ婚姻挙げる君の命日
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肩貸して唇貸さぬ星月夜十七才遠い遠い夏
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白壁に果てし無く呼吸器の音配偶者に神父の十字架
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帝国ホテルダージリン口に君を待つポケットに小さな箱
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