都会から運ばれたごみ山奥で燃やされこっそり埋められて
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傘立てに残された傘色褪せて帰る場所なら既に忘れた
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愛情をじっくりことこと煮ていたら 転寝で焦がし 喧嘩、仲直り 
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人類で 薄めてあおる なさけなさ 主語自分 では 濃くて飲めない
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ニンジンの 新芽の横でニンゲンも 朝日を浴びて水を飲む今日
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眠たくて 首もげそうなこの人に 右肩を貸す 次の駅まで
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此岸から 御祖(みおや)を送る 稚児橋の 灯りの糸は 絶えることなく
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年表の どこかに線を 引くならば コロナの前か コロナの後か
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見つめてた ソースの着いた うすい唇 今ではなぜか 思い出せない
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桃の香が ページをめくる 7月の 僕の歳時記 夏が来たなと
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夏休み 強者どもが 夢のあと ソファの下に トリケラトプス
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乳歯抜け 前歯にガーゼ 当てた君 時を戻して ハグしたかった
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ひげと毛と 小瓶に入れた 小さな骨 そのうちいくよ 会えたら会おう
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誰からも あてにされない この感じ 自分がまいた 種なんですね
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秋が来て 金木犀が 香っても 削除できない 偽名のファイル
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君がふと あふれるように 笑うから 一滴こぼさず 受け止めに行く
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電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
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通行人Aにも帰る場所がある 皆足速みな あしばやな初冬のビル街
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我のため雑草くさを摘んでは土産とす 認知症やまいの祖母の不変の愛情
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「納豆を高速回転させるとき 苛々してるの覚えて置いて」
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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『目には目を、歯には歯を』とか 言うのなら わたしの手には きみの手添えたい
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落葉らくようのごとく言の葉降ってこい 短歌うたの種なき 硬き頭に
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雨の日の黄シグナルは寂しかろう心の岐路にひっそりと立つ
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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火をくべて ほくそ笑む軍需産業 この手にあるは 水か油か
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焼け石に 水でもいいと しぼりだす 言葉 3滴 ジュッと蒸発
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病棟の枝分かれしてく夜たちを引き止めようと非常灯淡く
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なんちゃってケーキだけれど 「母さんのケーキ」と呼ばれ今も昔も
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父さんのお母さんおばあちゃんから僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
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