いつもなら隠さず物言う賢人の言わぬ本音に優しさを見る
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白き鬼 心に飼いたる 哀しみに 豆つぶて打つ 明日あすは立春
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やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
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最期まで ごはんを炊いて 味噌汁を つくって食べる 老いさらばえても / 立春の朝
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立春の 光りにダルマ 解けおちて 幻と知る かたちあるゆえ
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「ほんとはね」きみの気持ちを知った夜やさしい言葉がわたしを包む
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弱き支配到る處に晒されて候補の顏がよごれて立てり
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われの政治に沈みゆく午後の選挙車へ冷たき瞥を送る
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面並べる演説臺のたれかは嫉み読みて辿りぬわが闘争を
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ひよどりは声高高と飛び上がり凍れる空に朝の月見ゆ
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甘やかな愛情も義理も飛び越えたビターな惰性にリボンをかけて
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雪壁に 小さき氷柱つらら群れ集い 崩されては清明に響く
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笑ってるだけで幸せ感じてる きみに会えた日心はぬくい
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デイケアに見知らぬ人の集い来て会話弾みぬ学びの場かな
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ただいまと 帰ればきみが お出迎え 一緒にうたた寝 優しい時間
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玄関に立てば「おかえり」亡母の声 幾年経れど忘れえぬ声
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孤高なるお花畑の駒草に寄せる思いのまつりごとあれ
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こんな時季とき「しやっこい水ではかわいそう」日向で温め鉢に移す妣
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ナチス廣報戰略大臣ヨゼフ・ゲッベルスの群柏の拍手
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動員へ傾る水晶前夜ナツィストへ語る未來に虐殺の譽
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なぜだろう幸せになる四葉がなみつける奴は幸せなのか
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この世とば幸せものはうらめしいつまらないとな思う我が身が
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暖かく 陽だまりのごとき 母の部屋 うつらうたた寝 亡き母の夢
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過ぎ去った己れの過去は棚に上げ子の反抗期心ポキッと
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誰もが皆 心優しい 世界なら 大声もも 張らずにいれる
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ほろ苦い 砂糖の雪に 指を置く 穴の向こうで 今日が手を振る/
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「お疲れさん」雪も嫉妬も溶けだして猫の眠りが夜を正すよ
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風止みて零下の夜はしんしんと白さ静けき雪灯りの街
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耳たぶの冷たさをなで身をすくむ 君乗るバスを待つ停留所
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「普通」という二文字をのみ込み雪を掻く僕の未来よ、滑走路なれ
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