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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
52
い
(
1
)
い
(
1
)
夫
(
2
)
婦
(
2
)
… 溜め息つきて 足袋を履く 遺影の妻へ「行って来るょ!」と…
35
最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
10
彼
(
か
)
の
岸
(
きし
)
のふたおやの声おもはする こはるひよりのやはらかな朝
22
オリーブの
深緑色
(
ふかみどりいろ
)
空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
44
清らかな空気に包まれ癒される 小春日和の出雲大社で
38
偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
25
檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
39
犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
28
亡き父へのダイレクトメールまだ届きとりあえず生きていることにする
23
石垣に枝垂れて生りし柿の実に薄雲染めて夕陽差し来る
34
芳香
(
ほうこう
)
が 我の頭を
温
(
ぬく
)
とめる 妻が
遺
(
のこ
)
した 毛糸の帽子
30
重き物 心にありて 歌にせば
東雲
(
しののめ
)
の
朱
(
あけ
)
に
枷
(
かせ
)
は外れり
21
ひと様の花壇眺めて昼散歩陽に照らされし赤きマンリョウ
34
「胸貸すよ」「助けてあげられなくてごめん」届くLINEに救われて/会議のあと
21
見上げれば朝の光は柔らかに飛ぶ鳥の羽黄色の落ち葉
18
生きるのはしんどいことだしかしまだ飯が旨いと白寿の祖母が
28
もう過ぎた十一月に降る雪は私のようにきえてゆくもの
10
ついさっき嬉しい知らせ届いたの思わずちょっと小躍りしちゃう
19
これからが寒さ本番膝痛よそんなに暴れないでおくれ、と
26
死にし後 人は
何処
(
いずこ
)
へ 皆行かむ 薔薇色の雲に 問えば消えゆく
21
飽きもせず年毎に編む冬仕事動画介して何度も何度も
27
細胞を ちぎられ検査に 回されて 吾も細胞の 塊と知る
23
寒き夜 湯気は昇りて ぬるき湯を 追い焚き使い 冬は長き湯
18
寒空
(
さむぞら
)
に 風に叩かれ 舞ふ
紅葉
(
もみじ
)
我も叩かれ あかぎれ痛し
31
落葉に侘しさ感ず歳になり残り少ない葉をおもひいる
16
再来年のチケットが来たミュージカルどんな私が観に行くのやら
30
群青と 黒き稜線 月あかり 今年最後の 明日は満月
28
初雪や誰の上にも平等に細き枝にも縁取るごとく
27
目覚めれば 庭一面の銀世界 厳しき冬に覚悟を決める
30
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