野球子の夢を育む母たちは落ち葉を寄せて想いを焚きぬ
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動かない 互いに顔見て 苦笑い 押されてなかった 階数ボタン
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「親友」の言葉を舌でころがしてとけないことを確かめている
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年末のスタンプ選び始めれば浮かび来る顔貴方にはこれ
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友達に冬休みの予定を聞いて「クリスマス以外なら」って
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テストです これは投稿の テストです 初めてだから 不安なもんで
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この僕が生きてたというその事実石板に彫るかさもなくば
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街角の喧騒の中立ち止まり「許してあげる」過去の自分を
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聖夜待つ 笑顔の都会まちは 楽しかろ 田舎淋しく 哀楽格差
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ふたつめの持病完治を目指す手術オペ 二月と決まり安堵と不安と /夫
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夫好きな小豆たっぷりかぼちゃ煮を供えゆるりと吾は柚子風呂へ
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迫り来る月に与えた笑撃は しゃべくり一本の装備のみ
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湯の中で 柚子をクルクル 転がして 楽しみながら 厄除けする夜
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『だし昆布多いと美味しい』こんぶ茶は予防食だと知ってて褒める
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冬至来て 熱き柚子湯に身を委ね 肩まで浸かりて一年ひととせ思ふ 
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反省し スマホのアイコン 削除した チックトックも ようつべも
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達郎と まりや流れて クリスマス ケンタッキーが 脳裏に浮かび
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今晩の玉子のおかずは何とでも店で迷うはやはり明日あすのイブ
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友人がばあばとなりぬ嬉しそなLINEを見れば妬ましくって
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午後六時 教会の鐘 鳴り響く 聖夜を前に 子らははしゃいで
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ドアを開け夜気を吸ひ込み地下鉄は 百足のやうに節をくねらす
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遠い町見知らぬ街に吾を置き 地下鉄はただ走り去りゆく
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暗闇に吾を連れ去れ地下鉄よ もう帰れないほどの遠くへ
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クリスマス 予報は生憎あいにくの雨天 翌夜は居間で 聖夜を祝ふ
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プリンター年末だけは忙しなく八十五円に込める「おめでとう」
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公園の枯芝に降る朝霜の静けき白で始まる一日ひとひ
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手遊びでまだまだ遊べる私なら幼心と別れないでしょう
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火葬場の 骨の白さに 雪まじり されど地球は まわるまわるよ
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すれ違う誰の背中にも宿命の隠せぬ痛みが滲む夕暮れ
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すりきれたままの命とすりきれた弁当袋で季節をこえる
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