晴れた夜 夜風になびく 黒髪は 月光に照り 白絹しろきぬのよう
3
手の中で君の名前をつぶやくと 返事みたいにいいねがついた
7
どうしても、この場から離れられない たった一つのつながりのため
5
もう陸は遠い 人魚の私には奪うことしかできない ごめん
5
伝えたい想いばかりで 今日もまた 送れないLINE たまる下書き
6
異世界に 転生したいと 語る君 ここが異世界だと なぜ思わぬのか
6
君が詠む 歌で気付くは 昨日見た 月の齢は 十三夜と
5
粘膜で触れ合っている世界一近いはずなのに分かり合えないね
6
お盆過ぎ夜風涼しくなっていた。網戸ごしから風を尋ねる
8
夜風吹く 秋のかおりを 運んでは 芋栗スイーツ 恋しい季節
7
希望なら手に入るけど絶望を歌うためには足りぬ文字数
5
夜風吹く 秋のかおりに ほお寄せて 思いは恋か 秋の夕餉か
6
いたずらにボディーシャンプー泡立てて投げつけたよな秋空の雲
16
傾きし 椿井市場つばいいちばの 中程に 異世界のごとき 珈琲屋あり
11
街中に反芻されたあの時の 言葉が僕と同化してゆく
4
エチオピア 見たこともない故郷の 匂いを嗅いで 少し落ち着く
11
この涼しさを覚えていたい次の夏まで 私だけが忘れてるのかも
5
来ぬバスを 待ち侘びて鳴く 雨夜鳥 跳ねる雫の リズムに乗せて
9
日常に 少しの噓を 散りばめて 繋ぐ言の葉 紡ぐこの歌
6
振り出づる鈴虫の声弱るなり夜風や寒くなりまさるらむ
6
マヨコーンピザのコーンが転がってどこかへ消えた金曜の夜
7
死んだツバメよ 明日を飛べない冷たい羽根よ 何を残して空に還るか
8
音楽になりたい 何もしなくても美しいまま存在できる
10
ふんわりと 金木犀の 風香り 本でも読んで みようかと思う
9
眠たげな 二人の隙間を吹き抜ける 青い夜風は行くあても無し
5
帰り道 秘密の友達 ビルの陰 ツナ缶片手に 「んな」と一声
10
紡がれた言葉を するめの如く噛み 広がる味は 純文学の
6
枯れていく花と目が合う 今週は一緒に年をとっていたんだ
13
頂きの ポーラスターに 灯をともす 宇宙誕生の 再現のよに
14
トントンと私の部屋を訪れる夜風に揺れるパラソルハンガー
12