宝石を 探すのでなく 原石を 磨くのにこそ 時間を賭けよう
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庭の端 茗荷がたんととれました 酢漬けにしよか 味噌で漬けよか
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「美味しいね」クリームよりも甘い君 今は一人で酸味がきつい
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車窓から嬉しそに手を振る人の 先にも手があり それを見ていた
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好きだった人から届いたお手紙で作った紙飛行機 飛ばせず悲し
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遥かなる夢路は迷路 ゴールまで行ける造りじゃないんだ、どうせ
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夕闇の波間漂う灯ろうの仄かな灯り我が想い乗せ
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仄朱い灯り水面にゆらめいてスターマインに夜空きらめく
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果肉入り飲むヨーグルト ヨーグルト過ぎる世界にかすかに果肉
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賑やかに盆行事終え静かなる朝のコーヒー香りよ届け
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雨後の径花びら散らす百日紅雲間の陽射し青き実照らす
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髪型を鳥のトサカに見立てると見える世界が少し優しい
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エアコンに役目奪われ風鈴はうなだれ見入る涼し朝顔
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病院の前にペチュニアうす桃の思いにゆれる秋風の朝
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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
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我がつまの作りしカレーは絶品で娘を誘う口実にもなり
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舌鼓満ち足り杖と炎天へ駆け入る童ドアあけどうぞ
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今日もまた暑くなるのか 涼風と虫の音いたる朝の平和よ
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ねこたちに休みはないから日曜も同じ時間にご飯をねだる
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午後7時 「暗くなった」と呟いた 鬱で休んで 無駄にした夏
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涼求めくすのきの下見上げれば繁る木の間にまほろばの蒼
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いつもなら野球をみてる時間だが虫の音ばかり響く食卓
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わたくしの気持ち次第で蝉の声 憂いにも悦びにも聞こえ
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公園の木陰のベンチに赤き葉のふたつを伴に秋を思ひぬ
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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月光夜どうしようもなく秋の風あしたは桃を買ってきましょう
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サヨナラの代わりに一筋光るのち、海の向こうへ夕陽が還る
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飛び立ちて鳴き声止みし時の間にヒヨドリ襲う蝉の逝く空
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ふとつけた テレビに映るウルトラマン 哀しきヒーローゼットンに散る
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炎天に萎るる鉢のひまわりを樹下に移せば百日紅の空
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