振り返る 君の残像 抱きしめて 戻れぬ夜の 長さを数える
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贈りましょう 黄色の薔薇の花言葉 二度と会わない愛しい君に
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炭酸泉 泡の効能如何ばかり 布袋のやうなる腹擦る人
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遠い日のシーツに埋まる寝顔みたい白きクリーム頬張る兄や(結婚式)
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母の年齢とし 越して今なら分かること 親の心と子とのギャップと
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柱時計 壊れて知った我が町に 修理する時計店みせ減っている事
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かすれつつ経路を上書きするSuica  なんか恋愛みたいでいやだね
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年の瀬の行人の顔見るたびに 己が孤独の現実を知る
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弁当の 青菜はゴマか 塩コブか 聞くため出待ち 朝の雪隠
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雨だれが 海の景色を 呼んできて 奇跡のように はじまる呼吸
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吾子の住む 街に積雪 予報でて あのコは靴を 選べるだろうか…
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搭乗口「8」をさがして 右往左往 乗り遅れる わけにはいかない
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路地脇の緑葉の中青柿が顔のぞかせて夏の陽を浴び
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来客にすました高い声を出す米寿の母の現役感よ
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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風のにひとの声聴き肩越しの白詰草に春告げる陽は
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サックスの深い音色は時をかけ心に届け夢みるごとし
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携帯も 本も見ずただ 穏やかな 景色を眺む 各駅停車
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ベランダのチューリップ今朝咲きそろい 孫は晴ればれ卒園式へ
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春の雨つぼみを濡らし花濡らし 風を誘いて花吹雪へと
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命日は春爛漫の花の頃笑顔の似合う君が決めた日
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この世には限りがあると諭されて今満開で咲き誇る
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君だけに纏いて包むあたたかな春の微風よジェラシーも消せ
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雨降る日 ラジオ体操 休みなり ほっとするやら 物足りぬやら
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レンギョウの黄はまぶしき光となりうつのこころにまっすぐ刺さりぬ
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立ち止まり迷う私のかたはらに 黙して笑う春の陽の夫
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ただひとり抱き締めたくて君のこと たぶん恋ってこんな感じだ
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遠くから愛でるだけもう散っちゃった桜にきみに触れたかったな
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すぐそばに桜の名所ありながら毎年スルーものぐさゆえに
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欲しいもの挙げ連ねたら切りがなし 人の欲とはおそろしきかな
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