「中華はね 熱い・冷たい・辛いのね 三つ巴でしょ」とか言う自分
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バスに揺られ眠る君の手にこっそりと添えた自分の手さえ愛しく
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細々とした感情を書き留めて 歌にするのはとても楽しい
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逸らしてる。備えあれば憂いなし  備えることこそ憂いだと
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何気なく頭に置かれた掌の温度が足先まで伝わって
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茜さす 雲間に浮かぶ 赤とんぼ 水面を揺らす さざ波の影
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「死にたいな」 一年前にも言ってたな。 なんであのころ死にたかった?
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丁寧に、悩みの種は、すくすくと。 水をやれるのに薔薇は枯れてる
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心臓を撃たれたようだが痛みはない それが優しさなんだと思う
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さよならとあなたの背中見送れば優しい風が明日をつれて
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客来店 変換したら 客ラテン お堅い職場に 南風みなみかぜ欲しい
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ビアホール出たら下弦の月ありし避けることなく雪虫が舞う
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君のに映る数十秒間は 私は誰より幸せ者だ。
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振り上げた拳は行方を失って無限のもやを彷徨っている
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思うよう動ける身体と働ける場所のあるのを喜んでみる
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国道の 何時いつも見ている 道しるべ 「前に進め!」と 照らす絹路きぬみち
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キョロキョロと 置いてきぼりに気づいたか  白鷺しらさぎ 一羽 仲間の後追う
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母出ていく その日が近づく 小三の 胸中思えば 胸も潰れる
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猛烈に八分音符で満ちる熱元の形を誰も知らない
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確かめるような素振りを見せながら一輪挿しにダリアを選ぶ
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昨晩の きみのくちづけ思い出す 抗鬱剤の糖衣の甘さ
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うつしよが夢というならこの雨も紗幕に映る影かと思う
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日が沈み 玄関出でて 着信音 いよいよ秋だと 虫たち発信
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走らせる風になったあの人は今私の隣に留まりはしない
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オリーブの小雨の中の剪定は 大胆に伐る息子に任す
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我が居場所 ないのではなく決めぬだけ いつでも自由どこまでも自由
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坂の上の空き家の庭をいっぱいにコスモス咲けり 荒れにけるかも
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はっきりと「もう大嫌い」言ってすぐ抱いてくれたの君だけでした
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雨上がり 朝日に輝く 稜線に 二重ふたえに架かるは 虹の橋かな
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美しく夜明けの街は幕を開け閉演見えぬ朝が始まる
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