たましいをふたつ守りつづけた乳房ふたつ揺らしてその人が走る 回る 笑う
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タクシーで 帰る我が家 三十分 早く着けと 目を瞑る我
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冬深し 茜に燃える 富士の背に 雲海に埋み 薄墨染まる 春隣
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空冴ゆる 白煙上がる  雪富士の  岩落つ滑り 山の背なだれ 静けしや
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ゆきどけに水面はあり冬舗道ひかりを受けていずこにも空
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ゆび先の 当たるつよさは 不安定 だけど気持ちは ショパンかリスト
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球体の破壊あるいはたんぽぽの綿毛をとばす 遠くへ あるいは
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簡単な人でありたい薄い雲ばかり行き交う夏空のもと
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この町の駅舎えきのライトに照らされてひとりにひとつずつ影はある
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逆光のなかにある街 清水の舞台の傾斜たしかめながら
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みみうしろ やわらか猫毛 もふもふし 思い出すのは 子猫の時代
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新緑のどよめく道をゆきながら小さく礼をしてすれ違う
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ささやかな色をのこして紫陽花の花 夏の陽に乾きゆくころ
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昼前に刈り払い機の音響く外を見やると一瞬の夏
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コンタクトも化粧も落とさず背中越しに ポツリと「わたしいましあわせなの」
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あしひきの 山から眺む 在りし日を 悪しき日もあり 愛しき日もあり
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道端で 白いマスクが 日向ぼっこ 青いお空と そら、睨めっこ
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冬過ぎて 卯月につくし 土つつき 春の足取り 描く澪標みおつくし
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補聴器で 互いの波長を 感じ取り 歩調を合わし 行く散歩道
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平静を 装う君に 詮索はよそう 代わりにご飯 大盛り粧う
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布団から 顔だけ出して 窓を見る まどろみの中 ふと浮かぶ顔
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井戸の中 蛙移動せず 相変わらず 既に足るを知る 心無意識イドの中
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空を指し 「あ、オリオン座」と 君がいう どこで覚えたの?うちのおりこうさん
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花びらが 焼けた肌みたく 剥がれてく 白く輝く 初夏が覗く
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追い追われ 想い想われ 手を取って このまま共に老い終われたら
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子の目方 三千グラムに 胸膨らむ 期待と乳に 膨れをるらむ
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公園の便所の床を這い回る雀蜂を見て僕だと思う
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生きていて"ごめんなさい"と"よかった"を反復横跳びしてる僕たち
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ただ会って話して食べてまた話す また会う日まで生きるとしよう
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ニンジンの 新芽の横でニンゲンも 朝日を浴びて水を飲む今日
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