ははそはの母の湯湯婆ゆたんぽしまはれて一万日の日はめくらるる
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新しい 命継ぐべく 旅にづ 降り立つ土地は 風に任せて
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はなのときわずかに過ぎてく人は木陰を選ぶ四月上旬
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萌ゆる野のほのかな髪を撫でる日は風かろやかに吹きながれていく
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春の雪が思い出させた君の香を桜の色の中に見つける
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石段を先ゆく君の背に春の終わりを告ぐる蒼き雷鳴
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スーパーは隣町まで行ってます会ってもどうせ目をそらすんで
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ハイハイの孫に不要のベビーチェア老犬介護に大活躍
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もう父に 届かぬ歌を 詠む夜道 去年の桜は今年もそこに
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静寂な 田舎の夜は 淋しくて 雨東風あまこちと 秒針の音
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愛してる つぶやいてみても 叫んでも 抱きしめるほうが あったかかったよ
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いなり寿司けんちん汁に串揚げを作り孫待つ猫とじゃれつつ
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親といる限られた日は短くて元気なことはありがたいこと
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気にせずに いられた時の 懐かしく 祭りの陰で 武器売る準備
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辛口のジンジャーエールと焼きたてのピザで乾杯春の始まり
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目を閉じる願いはひとつお互いが 幸せな日々送れますよう
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よもぎ摘み 指に残った かおりから  春に邂逅かいこう 今日はい日だ
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全てくう 般若心経 その中に 心理哲学 通ずることらし
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保育園 六年間も 行ったのか  い立つせがれ 少し遠くに
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今日もまた足を踏まれることだけが世間とぽくのコミュニケーション
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病窓に朝を告げ来る鳥の声見上げる空に朝焼けの雲
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卒業を見守る親の列長く親の歩みも一段落か
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「うたかた」の色取り取りの生活を眺めておれば今日も安穏
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約束の印をなぞる 日曜も赤き手帳に文字は踊らず
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無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
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五分咲きの 桜の下の ベンチにて 缶コーヒーで 心をリセット
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心臓よ、 高鳴らないで 今だけは 鼓動が彼に 聞こえちゃうでしょ
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天仰ぎ咲く木蓮の清しきや木立の奥にうぐいすの声
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ほほつたひ 涙を隠す 春雨は 在りし日思ふ 弥生のしらべ
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木瓜の花 塀の陰から顔出して「おは」とささやく青空の朝
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