ああ犬よ毛玉散らしていた柴よ 瞳曇っても愛しかったきみ
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とん、とん、と幼きわれの背をたたく母の指にも似たる雨音
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ガチャピンよおまえはどこを目指すのか己が極地の地平線行く
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人生を達観したかのそんなふうまるであなたはみつをのようだ
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高い空飛行機ゆっくり交差して西と南に見えなくなった
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独りでに望まぬ道を行く思考 自分も自分の敵なのだと知る
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自我のかじ 乗っ取り企む復讐鬼 憎しみ消せる消しゴムが欲しい
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柚子の木に柚子の実のなる庭ありて売却物件なるぞわびしき
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一月の日射し明るき林間を母と歩けば冴ゆる阿夫利嶺あふりね
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ファミレスで2時間位もてばいいこれが笑顔のタイムリミット
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自転車を漕ぐ間に昇る朝の陽の熱に溶けゆく真白き吐息
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年を経し杉の根元は影差して朝日に映える梢の緑
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手挽きミルゆっくり回す日曜日眠る我が子を起こさぬ様に
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冬七に春三分程日の光 少し切なくなる白い色
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満月に誘われるよに南から一等競い春風は吹く
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ぼたもちを 自分で作って 棚にのせ 偶然じゃない けれど幸せ
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諦めが悪いくせしてすぐ逃げる 自分も夢を遠ざける者
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風の吹く夜更けにバスを待ち居れば影絵の森に怯える月夜
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図書館の 棚で偶然 目があった 私を見ていたような 背表紙
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戦争の 反対は 趣味  儲からぬ それでも豊か 歌も平和も
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因縁の対決は大盛り上がりだったカメラじゃなくみなスマホ
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もう父に 届かぬ歌を 詠む夜道 去年の桜は今年もそこに
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寒き日も 言葉の灯り あたたかく 明日を潤す 桜雨かな
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「北風と太陽」のよな弥生の日 ぬくい日差しでコート脱ぐ午後
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「オシャレとは我慢!」と昔聞いたよな ちと寒いけどタイトスカートタイトで出勤
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そこここに開花す桜美しく それで十分お花見気分
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浮かれてた 1年後に来る どしゃ降りの 淋しさの雨 打たれるなんて
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お茶したい刺し子もしたい親友とも宛の手紙も書きたし明日の休日
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娘の誕生木ハナミズキが咲き誇る 遠くから見ても分かるキミん
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よく見るとツツジの蕾並んでる 順番待ちを楽しむように
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