ふさがった耳軽くなるすごかった豪雨小雨へやだ息が合う
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蒲公英タンポポの綿毛を手にし風を待つ三歳みとせの孫の眼には青空
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青空に 映える羽持つ アゲハ蝶 一生懸命 生きているねと
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帰省の 夕餉ゆうげの前の つかる風呂 そろり 網戸を這う守宮やもりかな
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二人して十一連休過ごし居れば口癖となる「今日何曜日?」
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何事もなくて始まる連休にいつもと同じ静かなひと日
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わるいひとではないのよと飼い猫に言い聞かせるとくびをかしげる
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孫娘女子大生の休日は床に腹這い亀におはよう
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喜びや 悲しみだとか 実相は わたしがつくる 雨の桜に
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虹色の トカゲ集まる社岩 酒呑童子に鬼願す縁
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あの時に 遠くに見えた 亡き父の 背中を捉え 今、友として歩く
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風薫る 躑躅つつじ微笑む 八部公園 散歩の犬も 足を緩めて
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ねえ花よ、名前は何て言うのかな?「自分でググれ」と素っ気ないきみ
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消えそうな 灯火ともしび 囲み 手を握る「爺ちゃん頑張れ!」寄り添う孫 等まごら
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帰省して 息子は炬燵で夢の国 二十年前の寝顔そのまま
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気が付けば風呂キャンセル界隈となり足だけ洗い良しとしている
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NHK ラジオと一緒に ひやうぃごう 40余年の やり残していた 宿題をする
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手仕事は時間泥棒気付いたら知らない内にワープしている
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砂山が 崩れてもまた 積み上げる 生きてゆくのも 案外似てる
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リハジムで四股踏む爺は闘志湧く鳥獣戯画の蛙のごとし
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ああ神よ、仏の道よ精霊よ 救いになるならなんだって良い /「宗教」
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作り方なんて一度も聞かないで実家の味になる筑前煮
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君の短歌うた心のメモにそっと書き読み返せばほら笑顔になれる
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今更に昔の想い聞かれてももう戻れない人生の岐路
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息子の子我に似てると告げられてちょっと嬉しい我に気がつく
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枝々にさき若葉の芽吹きめ 鉢の生命いのちも夏立つを知る
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寂しくて 彼女きみのコーヒー淹れてみる 飲んでみたとて部屋にはひとり
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そのへんのチラシで兜を折り折りて すやすや眠るねこに そっと乗せ
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一言も発しないまま二日間ベッドでスマホいじくるだけの
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土いじり庭隅の土を裏返す昼寝のミミズに謝りながら
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