空中に ふわりと浮かび 揺れもせで 時とどめたる コスモスの花
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死にはしない 生きているから辛いのに 的外れだと言えずに飲み込む
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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花が落ち 土の中で実が生まれるように 潜んでいたいの旬がくるまで
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愛おしい寝顔を見つめて宵っぱり 夢を見るのも惜しいほどの時間とき
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君の寝顔はこの世の哀も知らぬよう このまま目覚めぬほうが幸せ?
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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紅葉こうようは 赤き金魚の形して 碧空あおぞらの池で 泳ぎ舞い散る
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淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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右脳うのうには 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物つく
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朝ごはん 富士山望むリビングに ちょっと優雅な気分に浸りて
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黒豆の うるしの如き つやを見て 口にせずとも うまいとわかる
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『抱っこして』 十年経てば 言わぬのに  してやらぬわれ 今日はしようか  
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ほんとうの 中に冗談をひとつまみ 実はわたしも、うそつきなんだ
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部屋干しで みるみる上昇 湿度計 洗濯日和に お日様ゴメン \ 関東はカラカラです
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AIが 瞬時に提示 夕飯の レシピを頼り ピンチをしのぐ
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幸福はすべて手の中にあるけれど 求めていては気づかないもの
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風が吹く 冷えた身体で喜んで あなたに飛び込む明日の花嫁
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美しく 優雅にうたう その姿 あなたはずっと 私のかみさま
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君のいる 朝まで少し バスを待つ ただ君想ふ 頬に春風
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婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
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もう一度 始めよう それが別れの 春であっても
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幾春いくはるを 越えれど 未だ芽吹かざる 蕾の秘める恋よ 何色
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それぞれの背負ふ荷物の重たさを触れずに終わる今日の女子会
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羊羹の栗大き方きみに遣りふと手の触れし春炬燵かな
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「母さんがちゃんと手作りしてたから」 料理男子息子のお褒めの言葉
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背伸びして したこともない 失恋を 感情込めて 歌ってみた日
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いつの間にわれを気遣う年になり孫は手をふり家を出てゆく
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針を止め欠伸のひとつ伸びをして夜の明けたるにひとりと思ふ
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