黄昏の光を窓から眺めるよ。外は夕焼け、僕は孤独。
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水たまり逆さの君が揺れている真実はいつも言えないままで
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ぴちゃぴちゃと水漏る音の何処かと見上げる先の毛づくろう猫
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雲だけが夏みたいだね君が言う指を触って春を待つ僕
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心ってギザギザしてるものだから時々いたくまれに優しい
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百均は愛してますなとこだけどあの娘の力奪ってるとこ
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日本髪がゆれるゆれる平成に既にあったかティックトック
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目の隅のそいつは事実そこにいてたまさか睨むぴちゃぴちゃ責める
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黄昏の赤紅の光景に 我が身を尋ねて 夕陽が落ちる
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梅の花 散りて落ちゆく 水溜り 名残りも浮かぶ 門松の跡  
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宝石の構造式をかたわらで説く彼はいいひと
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拭い去れ過去の境遇保護犬は尾をワイパーの如く振り来る
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一つでも母の身になれ介護食小さな匙に託した願い
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不登校吾子の未来が見えぬ今「信じて待てよ」と亡き母は告ぐ
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「割れもせにゃ器屋うつわやさんが儲からん」責める事なく 片す祖母の背
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光の加減で見えない水溜りぽちゃって音して今日はおしまい
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サンダルを素足に履いて子どもらのシャボン玉吹く夏は来にけり
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反省の色は何色 全体に霞みがかつた夕空の青
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ここが足ここが頭と助産師の触診の手のあたたかく撫づ
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うながされ子らは帰りぬ夕暮れの砂場にのこるトンネルひとつ
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燃えつきて灰になるまで見まもりぬわかれし人の文を焼きつつ
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スマートフォンかざしててらすぬばたまの闇の奥処にひかる猫の眼
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野の百合の咲く花野こそ浄土なれ働きもせずつむぎもせずに
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水たまり、映る白雲、鮮やかで、 道端にできた、うたかた画廊
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水たまりに映る空がきれいだと言ったあなたのせいで夕立
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ほたる見にゆきませうよとさそひ来る洗ひ髪よりしづく垂りつつ
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来む世には雌雄同株の野の百合のすがたにてこそ生まれかはらめ
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半身をぬらしてきみの差し掛くる傘にはいれば世界はふたり
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3時には りんごのケーキを切ろうかと わずかな日常 宝石の如く
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めずらしく 湿疹できてる 疲れたね シッカロールで 我慢しておくれ>お肌
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