生かされた、貴方の所為で。その癖に! 落ちる水滴 生気を奪う
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さわやかでハンバーグ通ぶるそんなオマエは今夜ボロネーゼ行き
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ずるいひと わたしを泣かせたひどいひと まだ好きなのよ、この人誑し!
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私たち大口を叩いてようね青年という生き物だから
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吾が友の踏みつけられている人の自由訴う筆頼もしき
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真夏には木陰をくれた くぬぎの葉  お疲れさま と ほうきでなでて
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光さす まくらの 温もりいただきて  しばしやすらぐ師走の窓辺
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揺れ動く自分の覚悟とアイデンティティやめてほしいよ決意したのに
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おじいちゃん 私の髪の毛優しく乾かす もう一度その手のひらで乾かしてほしいよ
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恋焦がれ君の姿を追いかけて かなわないと分かっているのに
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思い出すあなたの優しさ思い出と共に これが愛だと気がついたんだ
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道玄坂 葱まみれの蕎麦すすり浮かれた夜を正常化する
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ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
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あの頃に思い描いた大人とは程遠いけどホームへ向かう
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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三十一の文字は牢獄ならずと舎にいへ蒸し焼かる牝鶏
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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後輩にもらった絵だけ持ってきた 知らない土地で星を探した
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覚めやらぬ 夢の疲れに ぽつぽつと 鹿の子絞りに 鳥は群れ飛ぶ
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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見るだけで満足だったあの影を 今は見るのがとても苦しい
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ピークなる疲労の夜に浮かぶ星やさしいオリオン私を照らす
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ケアをすること業にする人たちをケアできたならと密かに思い
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「家じまい無事に済んだよ父さん」と墓に供える白い秋桜
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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火をくべて ほくそ笑む軍需産業 この手にあるは 水か油か
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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
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