期待値のノルマに届かぬこの僕を 桜のせいにできればいいのに
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死なないでいるための火を君の髪 ゆれる一瞬ごとに受け取る
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残り咲く桜の腕を掴んでは放して揺らす名残りの夜に
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遠巻きの我をいざなふ桜かな寄れば触れれば歌に酔ひしれ
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月の灯に白さ消ゆれど仄蒼く道を示せし雪柳かな
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塩だけの握りが美味い噛むほどに田を持つ人の愛も広がる
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父遺す大工道具で1階を車庫にする日々感謝ひとしお 「父さん有難う」
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歳を取りお互いほんと笑えないそんな話で笑いましたね
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輪郭を白砂にぼかし俯瞰する写真の街はおもちゃに見えて
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荘厳な直下の滝の天上を目指す稚魚らは砂金なる朝
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昔日の夜 家族で団らん囲みし時間とき 何気ないしあわせ 今無きしあわせ
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最終便  繋ぐ右手の温もりと左手刺さる入場券と
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やさしさを求めるだけの人だからずっと本音は言えないままだ
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東屋あずまやでひと時いこう花見行き先客の花びらが鎮座す
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散るを待ち契りを結ぶ 澄心と忠義の桜 千々に乱れ咲く
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ねこおみず ヤマザキボウルが だいにんき かわるがわるに ゴクゴクとのむ
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反戦と宣戦布告は同じもの 般若心経 よくぞ唱えり
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朝の日の障子に透けるしずけさは黄金こがねのうすい柔らかな夢
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新調のスーツ姿入学式 やがて氷河期来るとも知らず
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水槽の一メートル外水跳ねり 金魚や金魚 春は爛漫
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酒好きで免許返上しちまって遊びに行けない雨の休日
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「デスノートあったら誰の名前書く?」「あんたにだけは教えられない」
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お砂場に幼稚園児が殺到し「お砂お砂」の大騒ぎなり
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入口を背にして坐るデスクにて猫が見てをり我の背中を
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老乱視裸眼で見ればあちこちで焚火と紛う水仙の群
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リンリンと鳴るベルの音自転車の下る坂道春の風吹く
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築五年八畳一間のワンルーム私の人生対策本部
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ひさかたの光散らしむ 忘れないよりも忘れるほうが優しく
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コンプレトリウムにハラバリタヤと哭きブリスケットを醤油で喰らう
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インテリが マイクを持って愛だとか 恋だとか言うの ズルくないすか?
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