ぱらぱらと雫は頬に傘以外のものならぜんぶ持っているのに
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締切と 雑務に追われ ひと月が 過ぎて気づけば 花香る春
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お互いに 云いたいことをぶつけ合い 吐き出してもう赤の他人さ。
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空覆う 雨雲に似て 気分まで もやる 溺れる 水たまりの奥
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桜映ゆ 水面に憩ふ 鴨たちも ふと花見とや はしゃぎゐるらむ
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どんななメロディだろか春風に揺れるネモフィラ奏でる音は
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私はソメイヨシノと声上げる高速道路の雑木ぞうきの中で
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「ただいま!」と母に抱きつく一年生 登校三日目 桜満開
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とりあえず番犬だけど 人間はみな善良と信じてる
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山吹の枝垂れる様の美しさ丸く刈り込むいもいまいまし
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着飾って 見え方気にする よりずっと 素直なほうが 可愛げあるじゃん?
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新緑に皐月の花の咲きめて青空仰ぐ紅ぞあざやか
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オメラスを 去りて彷徨う道半ば 自由という字の 檻に似ており
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信号が青と気付けど膝痛でダッシュ出来ない吾は老人おいびと
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耳元で振り シャンシャンと 幼時おさなどき 友と鳴らして遊んだなずな
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新聞の人生相談読みながら飲むコーヒーがひときわ苦い
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雨音に 耳を傾け 筆を執る 疲れた日には 雨は優しく
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慣れるまで三年かかりし尾張弁 今では我もその一員に
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逃げ逃げて此処まで来たり桜樹のもと 涙拭いし桜花はなの褥に
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封鎖する?レインボーブリッジであるまいし海の血管ホルムズ海峡
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せせらぎを 泳ぐ花びら 追ひかけて 躊躇ひ覗く 春の望月
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てってってっ チリチリチリンと 音がする ねこが起こしにくる音がする
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疾風にさらはれ 人の行き交ひぬ歩道へ舞ひ込む 店の貼り紙
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両膝に炎症が起き水たまる 痛みの根拠あるのが嬉し /線維筋痛症ゆえに
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巣作りの 燕は強く 逞しく 排気ガスをも 物ともせずに
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朝の陽へ撒きし餌へ舞う群れ鳩と触れ合う爺の影は伸びやか
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花散りて 桜の枝先若葉萌ゆ 季節ときは巡りて新緑の風 
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父が刺すボタン外れしワイシャツも窓打つ雨もみずいろの濃し
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「帰ったら『だれかきた』って言われた」と昭和の父の乾いた笑い
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生足のミニスカ娘に気を取られ 狸寝入りは薄目を開けて
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