羽広げ 一点見つめ 飛び立ちぬ 朝の白鷺 雲間に消える
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春の野は思い出たどる宝箱れんげ畑で日がな一日
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内定も卒論もただの紙だけど 僕は震える肉体ひととしている
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主人あるじ無き空き家の庭に春告げむと咲くムスカリの青さ切なく
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物乞いの 子らいる国に みっちゃんは ただ愛おし慈悲と 日本を乞うて
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ハイハイで 一目散に 孫三女 ママをスルーし たこ焼き見つめ
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宇宙人のガイドブックの片隅に「美しいけど残念な星」
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墓参終え伊勢を巡りて帰り来む杖つきつつも春の陽を浴び
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心臓よ、 高鳴らないで 今だけは 鼓動が彼に 聞こえちゃうでしょ
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岸壁の風に傾く舟宿のすすけし看板生業なりわいの後
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花ながれ枝たゆたえば古の栄華ぞ散りぬ楼門の風
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『徒歩圏内』 なんと魅力的 これからの 優先順位 これかもしれぬ
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施設より帰宅の道を探すよに「どやってきたの」と何度も義姉あね
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小糠雨 休憩室の窓外そうがいに 子らの声なき広場の桜
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桜桜さくらさくら 花をいだきて 舞う月夜 永遠とわに散るなと 願いでつつ
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一歩ずつ踏み出す足にいのち載せ幼な子笑むや 春のきざはし
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その手すり まだ要らぬと 言いし夫 いまや一番の サポーターとなり
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冬ごもり春日を待たずにけるを惜しと云はぬが華の枯人かれびと
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富士の嶺にかかる浮雲かくせしを払わざらなむわれならなくに
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ユキヤナギ ぽつぽつ残る 帰り道 風は柔らか 桜咲き初む
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君が去り空白ばかりのひと日には花の下にてひとりで歌おう
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誘われて 春の匂いの する方へ 花々ひらき いのちあふるる
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命日は春爛漫の花の頃笑顔の似合う君が決めた日
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剣岳の天井空へゆうらりと我よ飛び立て味わう煙草 
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空近き 稜線へ立つ童子を照らす小鉢の碧い竜胆 「りんどう」
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ささやかな夢に酔ひたし輝々ききの春あてなき浮世に花を愛でつつ
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春風はるかぜに  揺れてうつつの  水仙すいせんの  陽光ひかりを浴びて  夢を見にけり
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暴君は 屍の数を 気にもせず 骸の行方 知ることもなし
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ひさびさに ちま猫ちゃんの「おきてニャーン」 起きるよ食べるよ チーズ蒸しケーキ/アップルパイ売り切れ
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子らよ子らその温かき先生ひとの手に引かれ桜咲く道を進めよ進め
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