後輩にもらった絵だけ持ってきた 知らない土地で星を探した
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今少し 眺めたきかな 遠き日の 夕雲に似て 山のに沈む
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覚めやらぬ 夢の疲れに ぽつぽつと 鹿の子絞りに 鳥は群れ飛ぶ
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無人駅 氷雨で濡れる単語帳 私は私を好きになれない
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北国の寒波の報を聞くたびに この島国の広さに気づく
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寒月のうら寂しげのそのままに今年はいかに凍てつく冬か
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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見るだけで満足だったあの影を 今は見るのがとても苦しい
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ピークなる疲労の夜に浮かぶ星やさしいオリオン私を照らす
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頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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ケアをすること業にする人たちをケアできたならと密かに思い
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「家じまい無事に済んだよ父さん」と墓に供える白い秋桜
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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火をくべて ほくそ笑む軍需産業 この手にあるは 水か油か
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父さんのお母さんおばあちゃんから僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
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年末の 夕方の家事 一人聴く 大貫妙子 身体に染み込む
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初雪に錯覚ごとき起こりつつ木々に花々咲かせおるなり
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人知れず故郷離れた私にも 年賀の便りが一枚届く
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神様がどこかにおりて松の内 星の光も一際清く
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そんな夜はひっくりかえったスリッパとお話するのさ。おもて向くまで
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明日から 冬将軍の到来とか 小春日和に 歩きに出てみる
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捨てましょう 賞味期限が七年前 缶詰握り また考える/中身乾パン
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「あなたには無理」の呪文を噛み砕く 塩味強め母のおにぎり
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静かなる炎を抱きて闘いし タイ緩むるを背中で感ず
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削れゆく鉛筆走る音さえも染みゆかむかな 雪の白さに
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タイムマシーンあればあの日の僕の背を 叩いてやりたい「傲慢だよ」と
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風禿かぜかむろけふは雪夜を触れけど まろきたもとに匂ふ梅の
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ふんはりと卵を覆へばスパイスの印の国めきスプーン踊るも
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水疱は逢瀬のごとに透きとおりあと残らぬよう君を忘れむ
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不登校のぼくの心に軟膏が浸みてくような祖父の雑談
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