あの頃はヒロシマだった広島の戦後八十年も戦前
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木立打つ雨音枕辺に迫り 澱みたる悔いの念立ち現れたり
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寄り添いて不味き牡丹餅分かち合う 笑う夫の手の節愛し
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春宵に 月がきれいねと 伝えたい あの月にいる うさぎと君
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通り道桜の有るたび確かめる開花宣言聞いた次の日
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ちょっとした狂いで春は涙だけ流れ出胸で受ける術なし
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杖を見て手を貸す人の住む街に小さな春の温もりの宵
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内定も卒論もただの紙だけど 僕は震える肉体ひととしている
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傷が付き触れると落ちる背のうろこ一つ一つを拾いてあるく
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ブラックに良いね押しちゃう私です真っ黒な意地をジョークで落とす
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柵に干さるる さき白き上履き 二足ふたそく並び 春光浴びぬ
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窓辺なる光にまぎれ名無き虫 命を震ふ春の訪れ
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入浴をすれば色々捗るとわかっていても出来ぬ風呂キャン
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墓前には無常を諭す親はなく必滅語る生家の更地
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待ちまちて春が来たなら何しよう花見・野歩き・友のお見舞い
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ぶら下がる父を見上げて震えても何も出来ない夫だった人
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何年も 無限の愛を くれた母 このままずっと 笑顔でいてね
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池の島松ヶ枝に立つ白鷺に 射竦まされて暫し動けず
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西の窓 沈みゆく陽をでた夕刻 今家々の屋根が遮る佳景
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残された夫の動画ひとつ 何度もスクロールし 声聴きに行く
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猫を撫で コーヒー淹れて ウタカタを あとは天気が 上がるのを待つ
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給食は残さず食べるべきなんだああそれなのにキノコが見てる
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病院の待合室みな健康に前向きなひと治そうとしてるひと
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駆け回る 子を先生が 追いかける その歓声よ 未来に続け
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週一に 来る孫からの ハグ受けて たちまち我は 充電満タン
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晩年の母 慣れぬ手つきで嬰児ひまご抱き ひろがる笑顔最後の写真
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花や木々 空の蒼さや風さえも 短歌うた詠みめし日々変わりゆき
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新たなる試練やまいに心ざわめいて 春風かぜはこんなに暖かいのに /夫
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夕暮れの薄青き空ひんやりと三日月浮かべさよならを言う
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永遠といふにはあまりに透きとほる陰を重ねてなほも翳らず
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