跳ね上がる枝を見入りたり初紅葉水晶体も瑞々しく燃ゆ
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月は満ち桜も満ちて思い満ち悲しい結末つゆほどもなし
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窓側の席がほんとに寒すぎて セーター忘れたあたしが憎い
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家庭科の調理実習生卵持参で悲惨な光景多発
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この部屋に東京タワーがあったならあのまちを独り占めできたのに
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あぁ、君は金木犀になったのか たった四文字だけを残して
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勝ち負けのない帰宅部も上り坂止まらずに漕ぎささやかに勝つ
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「今日会えて嬉しかった!」「じゃあ、またね」 <嘘つきは泥棒の始まり>
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股関節硬いわたしはサーカスの中のヒトにはなれそうもない
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あの店が無くなっているあの町はもうあの頃の面影なくて
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勉強をしないとバカになるからと大学出たがロマンス詐欺に
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ひとり旅1年ぶりに故郷ふるさとへ 今宵のうたげは父の手料理
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コーヒーは今や貴族の飲み物となったようです麦茶が沁みる
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最初のころ嫌ってごめんねミャクミャクに愛が着くってこういうことだね
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もう今さら等身大になれないと君を見ていた一輪の花
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適量がどうもあなたと違うのか食えたものではないこのレシピ
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もう一度あなたの素顔が見たいから 二度目はないと知っていたから
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次ぼくが逆上がりした時にもういなかったら どうしよう 浅葱
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何ものも虚しく思うこの夜は 仏教辞典を抱きしめて寝る
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自転車で 車道走ると 嫌がられ 歩道走ると 違法になる は?
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職質は一度もされたことないが補導はされただいぶ大人で
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遠ざけて いたパーカーを ギュッとハグ 今は私を 守るアイテム
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雲流る切れ間に覗く星空よ 紺の深さは海溝のよう
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冬の香を 感じるけれど 感じない! も少し秋を 楽しませてよ
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あの店のこのパン一個で表せる小さく大きな今日のしあわせ
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もし神が いるとするなら 嫌いだね 俺を作って 楽しかったか
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悪なんて 端から居ない いつだって 正義の逆は 別の正義さ
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近頃の 秋は玉響たまゆら なればこそ  鱗雲うろこぐもさえ はかなく見える
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手習えばなんでも匠かの人に追ひつけぬまま秋のかたすみ
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甘いのと辛いのとどちらが好き?卵焼きって奥深いよね
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