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昨年の暮れより引きずる動揺は急なる旅にて一時忘れて
26
ひなたにて読む新聞のインクの
香
(
か
)
邯鄲
(
かんたん
)
の
夢
(
ゆめ
)
遠き正月
22
神様がどこかにおりて松の内 星の光も一際清く
45
御佛
(
みほとけ
)
と 笑いあう夢 この年は 何があっても 乗り越えられる
29
覗かれるリンパの流れも心臓も 夫にも亡父母にもヒ・ミ・ツを持ちし
24
子どもらが それぞれ車で帰省する 送迎の手間も 一つ無くなり
21
風を受け
飛砂
(
ひさ
)
積もる道ペダル漕ぎ 稀有なる千鳥に頬温まり
16
声弾む友の電話はすぐそこにいる気がしてる距離も時間も
29
「ご飯だよ」呼ぶ声さえもさえずりに聞こえる朝は奇跡と思う
28
言えますよ春の七草すらすらと秋の七草 はてススキとか
24
はからずも連れて帰った参道の 玉砂利たちは靴底におり /「初詣」
25
靴底の溝に嵌まって出てこない どれほど我をおもうか
こいし
(
小石/恋し
)
22
咲くことの 無きクリスマスローズに 言葉かけ
三年
(
みとせ
)
を経れば 今日
蕾
(
つぼみ
)
持つ
23
深夜2時 子の胸の上下確かめる 母は強しと 聞いていたのに
9
三冊の図書を借り出しお年玉ちいさき包みを両手に受ける
30
間違えてばかりの地図をひらいてる私に「赦し」の雨が降る夜
26
雪の紋 貼りつけ走る 車窓から
大雪山
(
だいせつざん
)
の 気高き稜線
39
誕生を今か今かと待たれる児生まれる前に既に幸有り
17
母さんが土砂降りを君に降らせては晴れた後から虹が痛くて
25
読み違え一太歯ぎしり足元で小川ながれるせせら笑って
11
奇妙でもこの言葉たち紡がせて 伝わらなくてもいいからどうか
10
明けた空キラリ
微笑
(
ほほえ
)
む月がいて 微笑み返す今日は記念日
37
積読の中に埋もれたあの頃のアイデンティティと出会い沈黙
33
あの人に一票入れて一年ですこうなるだろうと思ってましたか?
19
膝で寝て 口チュパチュパしニヤリ笑う 夢でも君の 母ちゃんでいたい
9
白い空をじいっと眺めている猫のうしろ頭をにんまり眺め
20
年始から 残業続く 吾の身にも 福は来たりと 半月の言ふ
31
口開けて良かつた歌を思ひだしこそぎ落され歯垢とともに
12
暖房の部屋の窓際ピキピキと氷の城のような冷気よ
33
丁寧に愛情込めて育てても伸びぬ実らぬ咲かぬ子もある
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