丁寧に終わりを描きだす絵筆 いつか滲んでも美しいままで
8
矛盾にも居場所と愛があるように 分かり合えないあなたと生きたい
13
エスケイプ 言葉が刺さる俗世から ちいさい秋の灯火ともをさがして
10
空中に ふわりと浮かび 揺れもせで 時とどめたる コスモスの花
26
死にはしない 生きているから辛いのに 的外れだと言えずに飲み込む
10
哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
30
花が落ち 土の中で実が生まれるように 潜んでいたいの旬がくるまで
12
愛おしい寝顔を見つめて宵っぱり 夢を見るのも惜しいほどの時間とき
14
君の寝顔はこの世の哀も知らぬよう このまま目覚めぬほうが幸せ?
9
愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
59
紅葉こうようは 赤き金魚の形して 碧空あおぞらの池で 泳ぎ舞い散る
34
淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
24
哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
49
右脳うのうには 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物つく
32
朝ごはん 富士山望むリビングに ちょっと優雅な気分に浸りて
49
黒豆の うるしの如き つやを見て 口にせずとも うまいとわかる
25
値札だけ静かに替はり昨日とは重さの違ふ買ひ物籠や
14
『抱っこして』 十年経てば 言わぬのに  してやらぬわれ 今日はしようか  
20
部屋干しで みるみる上昇 湿度計 洗濯日和に お日様ゴメン \ 関東はカラカラです
46
AIが 瞬時に提示 夕飯の レシピを頼り ピンチをしのぐ
21
幸福はすべて手の中にあるけれど 求めていては気づかないもの
10
風が吹く 冷えた身体で喜んで あなたに飛び込む明日の花嫁
8
君のいる 朝まで少し バスを待つ ただ君想ふ 頬に春風
14
婚前に 君にもらった ミントチョコ 潤むまなこで 遺影に供へ
40
もう一度 始めよう それが別れの 春であっても
12
幾春いくはるを 越えれど 未だ芽吹かざる 蕾の秘める恋よ 何色
16
それぞれの背負ふ荷物の重たさを触れずに終わる今日の女子会
72
羊羹の栗大き方きみに遣りふと手の触れし春炬燵かな
26
「母さんがちゃんと手作りしてたから」 料理男子息子のお褒めの言葉
35
背伸びして したこともない 失恋を 感情込めて 歌ってみた日
32