幼気な春の魔女たちたんぽぽの杖を回して笑顔振りまく
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いつだって手を伸ばしたら触れられる 夢の中でも温かい君
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春だから訪問看護師入れ替わり前任者の今ずっと気になる
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絹の雨 菩薩の如に優しけれ 花の命を慈しむかに
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ひい孫が零れ桜の通学路嬉々として行くのどかなる朝
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満天の星になれずに真っ黒な池の水面に浮かぶ花びら
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ちま猫ちゃん しょっきだなにも のれるのよ 「シニア」だけども げんきげんきよ
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ランドセルがスキップしてる、筆箱をドッちゃんガっちゃんさわがせながら
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鳥の歌いつしかやみて花寒に空の涙の音のみぞする
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雷雨去り纏わる湿気の重たさに春の先なる季節がぎる 
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花のふる風情を犬も知るやらん木の下に伏し花を浴びをり
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私はソメイヨシノと声上げる高速道路の雑木ぞうきの中で
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書くことも 読むことすらも 遠ざかり 私の文字は 未だ汚い
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春鬱はるうつ頓服くすりねむりにちてゆくそれでも まねばみずかとむら
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いつの間に肝っ玉母さんになったよ 三児の母は我が目にまぶしく
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夫の笑み思いつ供ふ桜餅 春茜見つお下がりを食む
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あしひきの山切れるところ古屋連なり 日入る海に雪崩れん如し
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パンツルック 流行はやりて街に 活気あり そむきて揺らげ スカートの花
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やりとりがあったあかしの既読とはきっとまぼろしだったのだろう
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むさぼった ハッピーエンドの 動画たち ずいぶん手軽な 快楽ですこと
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風となり卯月の君へ捧ぐのは散り急く白き菫の香こそ
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レコードにフィルムカメラに拘りのオジンはスマホ音痴やっぱり
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日曜の 公園にぎわう 家族連れ 弾む声聞き  平和よ永遠とわにと
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つり銭を人が手渡す一瞬に触れる手と手の微弱な電気
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若きより 人の視線の 減りてゆく 装ひてなほ 装ひて生きむ
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階段を下りる膝の痩せ ひと足ごとく息にせめて短歌うたを乗せんと
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新緑に皐月の花の咲きめて青空仰ぐ紅ぞあざやか
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春の陽にひときわ映えし花蘇芳はなずおう日々楽しめというが如くに
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隠蔽を見て見ぬふりの日本人 陰口コソコソ報告しようよ
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盲目の世界に一人彷徨いし病と別れ愛猫は逝く
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