英靈碑肩欠けて零る菊の蘂 かくごとくひと殺むるは雄
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ぶちぶちとちぎれた心にバターを塗ってこんがり焼いた後に捨てる
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「うごいたね!」一歳にっこりママを見る キミももうすぐ兄ちゃんになる
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故郷の冬は寒くて冷たくて夜は暗くて星が綺麗で
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人知れず春の種蒔く人のよに雨はそぼ降る日の出の前に
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祈るよにいだきよせるよ言葉にはならぬ気持ちに突き動かされ
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手を繋ぎ病院を出る老夫婦 病めるは妻らし 我が身が重なる
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やっぱりね夫の存在恋しいわ 今日は五日いつか目 一人の朝食 
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僕達のことばは炎 揺らめいて熱を残して消えていくもの
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靴下を、二枚重ねてもよいのだと気付かないままで越した冬
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咲いたから急いで君を呼んだけど来ずじまいだね死んだミニバラ
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今日も待つ昭和レトロの喫茶店指切りをした仲でも他人
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上辺だけ彼の機嫌を取り恋になるとは甘いまず愛すこと
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完成の手前でも引き返そうと早まらずにのビールが美味い
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明治より戦の続くこの国に八十年近き静謐せいひつの日々
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人類の誓いは繰り返さぬと慰霊碑除幕反省糧に
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通学路照らすおひさま燦々と頬撫でる風春の合図
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欠伸から疲れていると知ったのに若いのでまた古希を忘れて
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嚥下障害子らにも旬の味わいを「あったらいいな」形は春に
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耐えて勝ち運を逃さずドラフラのいいね決勝進出ビール
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多分もう会えない人だ 読み終えた童話の中でほほえむように
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スマホには操られぬとリテラシー半信半疑考えが似て
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達成はハットトリック活躍へ期待に応え愛されただけ
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カド番のもう古希あっけなく2敗はや過活動膀胱にイヤ
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真夜中に「タクシーで来て」ラインして既読待つだけ「おはよう」もなし
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簡単に覚えたいなの記憶力あっ期限切れサービス券よ
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ツツピー と 求愛の声 高らかに ヒトも素直に 好きと言えたら
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もう父に 届かぬ歌を 詠む夜道 去年の桜は今年もそこに
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海外で ツ と シ は笑顔の記号だと 知ってから見る ツツジ にっこり
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余裕無き日に安らぎをもたらすは色の効果か見頃の桜
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