絹の雨 しなやかに降り 朝霞  濡れて色濃き 野辺に咲く花 香こぼれて 乙女ときめく
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早春の 花こぼれ散る 枝垂れ梅 春風騒ぎ 匂い漂い   おぼろ月夜に 夜の影朧 月に舞い消ゆ
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湖岸凍てつき 水碧く透き 雪の崩れる 音なき音の 雪冠り富士 雪煙立つや 冬の陽射して 一歩ひとりの 影法師
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隊旗持つ鬼の信頼裏切れぬ命を懸けて守り抜く所存
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嫌な人 消えてなくなれ たちまちに いなくなるとは 末恐ろしき
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争いを 避けて通れば ぼこぼこに されても今や 笑っています
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少年に ひどく叱られ 苦笑い 舐められすぎて どこまでゆくの
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人の名を 忘れてしまい がっかりと 言われてヒント おねだりします
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殴る蹴る 人を人とも 思わぬか やられっぱなし ひどい仕事よ
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そしてそしてそして名前のない色があったのでしょう 目の下に隠した夢は
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ディスプレイのダーク設定にて短歌うた打てば白抜き文字があやしげにならぶ
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春だから 桜桜桜はなはなはなと 人は云う 気候たがえて 何を花とす
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校庭に 明るいきみどり色の筆   樹々を描いて 飛ぶ野良インコ
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人生の 単位足りずに 留年し 神様からの 居残り授業
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春風に揺れるカーテン眠る犬私は静かにオカリナを吹く
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父母優生学に分別すはなはだしくおそろしき医師ある
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さばさばさばこきくれなゐのはねごろもたててふるなむしらかみのゆき
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ころされたいのちをかへせいまのいまもころされてゆくいのちをかへせ
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来し方の出逢い全てが星となり瞬いている真冬の銀河
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人知れず春の種蒔く人のよに雨はそぼ降る日の出の前に
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あいどるの靴のなかを調べたら五寸釘のひとつやふたつ
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メイクして着飾るよりも起きたての君の顔こそ魅力じゃないの?
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突然の雨に二人は目を合わせ 同時にひらく傘がぶつかる
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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来週は秋のお彼岸らしいけど積乱雲は山盛りのまま
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伝説がはじまりそうな顔の子が駅のホームにつま先で立つ
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シャーペンで引いたみたいに細く降る雨の日だけは詩人になれる
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ひきだしの奥のフリースひっつかみ季節は急ぎ3マス進む
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虚空から何を招いているのやら 逢魔ヶ刻に揺れるススキは
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じゃがビーとジントニックがあったらな 月のほかには何も見えない
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