一隅を照らす灯りかボランティア独り居訪ね溶けぬ闇あり
34
春物のピンクのコートを羽織りたや おじさんなのでそれは無理でしょ
21
春風を切り走行す 気持ち良さげな自転車と すれ違ふ道
33
見てくれし 人の歌見る 礼節は 板東真理子の 『女性の品格』
11
妬み書くメモを捨て去り夢追いの光りし風を胸へ抱こう
24
どうもって先行く我に「はい」と言う譲りし人の響く心音「こころね」
22
人混みで 圧死の恐怖を 思いけり 改札口の 人波の中
29
川風に花はふるえて七分咲き あぎとを上げて酒を呑む五時
24
コクも香も苦も酸も無き即カフェに失くした恋の記憶を願う
19
飛梅とびうめの さくに結びし 『吉』神籤みくじ  『大』がつくまで 引いてみようか
18
鶯が声高らかにファンファーレ 鎮守の杜も春爛漫なり
30
ガスグリル魚はダメよパン専用こんがり焼けるわ恋も未来も
17
しとしとと 恵みの雨が降りしきり 梅の香ただよふ菜種梅雨かな 
26
宵風や 腑と足むる 夜桜と 雲間の月と重ね 眺むる
30
勝手にも 吾の家あのいえ含む ここらへん 縄張りとする ダミ声猫
12
春雨や いつもの電車 窓越しの 景色は緑濃く沁みわたる
14
けふもまた殊更などに非ずして過ぎゆくものをただ見送るや
17
やがて来る 覚めぬ眠りを 思いおり 眠れぬ夜の 毛布を被り
14
今生に関わる人は三人か亡き両親と今ある妻と
17
藪椿水仙榊水芭蕉群るるが常の地を這へ一匹
14
うしろ髪 しなやかに揺れ 艶めきて  後ろ影去るや 香漂う
10
あの頃の俺は深夜に生きていた灯のない部屋に流れるラジオ
11
頂戴と吾子のてのひらぷっくりとビスコひとつをまたひとつ乗せ
19
春の嵐桜散らないよう願うわれ雨の日バスに乗りぬ
9
思い出す 何でもない日 空の下 下校途中の タンポポ踏んで
9
次の期の受注はウフフ見えてきた 歳の甲です悪しからず悪しからず(山口学さんへ返歌)
9
夜明け前見送る背中はいつだってあかくてあつくて泣きそうになる
9
笑顔での別れでよかった そう思う 濡れてもいいと思える雨に
9
雨の日は 天気が悪いと 決めた人 あなたのことは なんと呼ぼうか
3
ふたりなのに ずっとひとりでいるみたい 分からないかな 言葉の意味も
3