Utakata
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増長すこの若者らみづからを皇帝と呼ぶすめろぎ擱きて
4
歴史喪失そののち四月朔へと雪 長靴の裡入るけがれ
5
翰筆は機関銃より強きとか 誓約書へ白黒き撥字止めて
6
聖マティアス銀行口座開設ゆ種入麺麭殖えゆきて弾けり
3
渋沢栄一銀行券煌々しく詐欺す 殖民に朝鮮國ありしをしらず
4
兌換紙幣ひらひらと燃ゆ戦前の国家ゆのがれゆくはムーシェ
5
0は1へ球体は立体となりぬ人体迷宮幾何学の大理石
9
黄金比律に六弁花百合の落雁はかわきをり 誰そこぬも
7
人体機関へ昏き淵あり鐡芯の骨組みきウェヌスは婦人
7
老犬
(
キミ
)
はもう聞こえてないのね雷が 逃げ回ってたあの頃懐かし
27
一歳が初めて言った
「パッパッパー」
(
アンパンマン
)
お熱の今日もしゃべり続ける
26
早々
(
はやばや
)
と鳥は見つけた秋の味 庭に散らばる柿の食べかす
25
夕立に涼む身を突く蝉の声 わずかばかりと雲追う心
9
すわ陽炎 冷え込む耳朶にサイレン音 野分祭りか窓辺の午睡
8
虫の音が 誘う枝葉のさざめきに 薫る季節の色を想う
10
颯爽と走る若者つい見とれ 背中を見送る私と老犬
25
画面には笑顔溢れる
娘
(
こ
)
と孫が 心によぎる会えない寂しさ
23
かき氷味を覚えた一歳は 大きなあーんで兄の後追う
27
賑やかなさえずり声に見上げれば 豊作の柿でヒヨドリ宴会
32
翔平の 刻むベースは晴れやかに 押して迎える秋の朝
6
秋探す 夕の陽のジョグ 息急いて 脚止め迷う夜道かな
8
満月に ウサギを描く心持ち 子犬の毛にも ススキを愛でる
13
「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
23
やっぱりね楽しさ倍増アンサンブル フルートの醍醐味仲間と味わう
22
二十年ここで寝たんだこのベッド 嫁ぐ日近し涙あふれる\思い出
21
「受かったよ!」弾んだ声が忘られぬ 電話口に見た息子の笑顔\思い出
21
帰り際こっそり小遣いくれた
義母
(
はは
)
微笑む写真を今日も眺める
33
お彼岸が近づいて来て
曼珠沙華
(
ヒガンバナ
)
今年も変わらず頭を出した
30
Utakataの一首一首に心寄せ 想像巡らし読むのは楽し
41
人と街 遠き近きで 移ろいで 風に尋ねる 秋の訪れ
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