葉も枝も切られてしまって丸坊主 桜の樹々は寒そうに立つ
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ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
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半身不随のあには車椅子へくくりぬ両脚に雛罌粟の一輪 かれき
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獣園に感傷姉妹うちなげくも錘鉛の槍かまへをりし闘牛士
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喫水柩に降る雪柳をとめは蹄鉄を履かせをり 馬に
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生活の刹那そのまま切り取って湯気が立つよな歌詠いたい
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油絵のような大雲黄金色 夏の夕暮れただ息を呑む
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復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
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どんなにか素敵だろうかあの人に〝ありがとう〟って伝えられたら
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降る雨の雫の中に秋がある 清めの如くわだちを染めて
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茹でたての枝豆を噛む喜びよ 夏という名のご馳走がある
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通勤の改札出れば天気雨 夏の終わりの香りが満ちて
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子を産んで2年育てた家を越す 壁のシールを剥がすも愛し
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人生は神様が書いた物語 俺はページを日々めくるだけ
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いつだってぼくらはきっと若すぎる 上手くできないことばっかりで
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純白の彼岸花咲く 夏の陽に秋の風吹く団地の端に
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波音に耳を澄ませば満ちてくる 人は何処かにみなもとを持つ
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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病床の猫にチョッキを編んだ日は独りぼっちの今日を知らない
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悪くない風が吹いてる小春日は会えない人に会いに出かける
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袴田さんに謝罪をしたら済むことか長過ぎる日々あまりに長い
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粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
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また明日遊ぼうねって今日の日の終わりを惜しみ吾子とつなぐ手
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ハッとする店の鏡に映る我 何時からだろう見て見ぬふりは
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寡黙な息子居間でくつろぐ大晦日 久しぶりの家族のひととき
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故郷の冬は寒くて冷たくて夜は暗くて星が綺麗で
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祈るよにいだきよせるよ言葉にはならぬ気持ちに突き動かされ
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吾に声 掛けし笑顔の 看護師は 「十五の春」の 面影残せり
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お野菜は三食取りなと言った日から 確かに歳を取った気がする
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もふもふの愛犬いぬの形の空洞を抱えて生きる ささ身を供える
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