春雨を吸ひて つぼみの膨らみぬ隣家の藤は 初夏への準備
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廃屋の荒れにし庭に水仙の栄華の名残り一隅を照らす
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6人でグループLINE作ったよ 四六時中が着信祭り
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ストーブを点けて観ている Tシャツの誰かの春と同じ国とは
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歩道橋から見渡せるパノラマの街に桜の敷き詰められたり
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アイデアを まとめる為に 夜散歩 カレーの香り パワーが溢れ
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花筏かたち変えつつ揺れゆれて たれか棹さし運ぶ泡沫の夢
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一戸建て 庭付き無しが 趨勢すうせいも 庭の有る家 少し豊かに
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物音に動じず 熟睡す愛猫 よほど疲れてゐたのだらうか
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ふうわりときみのうなじをくすぐった春風にさえ嫉妬している
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春の上飛行機雲と電線があやとりをなし蒼空ほぐす
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ブロッコリーに おかかを混ぜて つゆをかけ 春の味する 朝の食卓
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黒き羽ゴミを見張って塀の上 話しかければ春の友達
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春風になれたとしてもこの声は あたしのこの手はあなたの元へは
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ハムエッグ久々に食うハムエッグ気持ちいいほどうっすいハムだ
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またひとつ着ている服を薄くする桜青空六月の陽気
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真夜中に イタズラ叱った 次の朝 より念入りに ねこを撫でよう
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保育園の担任妻はピタリ当て足掛け五年つかんだ人事
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死ぬ事に不服は無しと豪語せし 我の服薬手のひら一杯
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「さくら味バウムクーヘン」食べてみたなるほどこれは桜餅味
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ははそはの母の湯湯婆ゆたんぽしまはれて一万日の日はめくらるる
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気を張って電車の中で踏ん張ってみんなロボットテリブルトーキョー
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夜半よわにふと 伸ばした手の先君が居る そっと背を撫で また夢の中
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コローの絵の 如き森なり 金色こんじきに  かすみて暮るる この夕雲も
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「今日は四月六日ですね 今年も一年よろしくお願いします」/三十一音届く
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今日だけは逢いたかったし今日だけは声が聞きたいキミから着信/ありがと
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名物のおみやげお菓子個包装 明日あすの君への口実を買う
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誰よりも 優しききみの 未来には わたしと違う 姿ありけり
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さよならと 世界に別れを 告げしとき またどこかで 世界始まる
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多種国語まとめて作る 新種語 の淘汰 抗え桜の我ら
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