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俺だって誘惑したいわけじゃないヒトが勝手に押し付けるんだ
4
無条件自分への褒め難しい なんの根拠も信用もない
3
我が未来剥ぎ取るように飲むクスリ残り数えつ今朝も九つ
9
よるふけて下宿にかえる苦学生 おばさんの 味おにぎりのまつ
12
生きてれば 些細なことも 一苦労 楽ではないよ 貧乏暮らし
3
白球を追いかけている人たちを横目に独り下校する夏
13
隙間から導き出した結論を消しゴムで消してまた最初から
11
口角に残っただけの笑み残しどうせなら恥 楽しめよ俺
17
おお涼し!ふるさとの朝 天然のクーラーの中で深呼吸する
24
真夏日も桜の木陰で癒された 照りつける
陽
(
ひ
)
にキミが恋しい
18
大空にピンクの大輪 芙蓉咲く 色鮮やかに「夏だ!夏だ!」と
22
どしゃ降りが上がって一気に蝉時雨 この声もやがては懐かしくなる
21
頑なに夏は綿と思ってた 確かに涼し エアリズム着る
30
「暑くても食べらさるしょ」の祖父の字と富良野メロンのあたたかき涼
30
読みきれぬほどにメールはくるけれど一番ほしい君からこない
18
「てへぺろ」の絵文字で終ったラインみてちょっと笑ってえんぴつを折る
14
英靈碑肩欠けて零る菊の蘂 かくごとくひと殺むるは雄
5
わが祖父は英靈か 虐殺ののち肩口に消ぬる緋の初霜が
6
ぼく達の歴史にわたしはいないからヤグルマギクの花言葉って ?
6
「正しい教育と歴史認識のもとにわれわれパリ市民は生まれた」
6
シオニズム 角砂糖水へと溶けて水薔薇国家の仔羊の頸
6
わたしヒトラー。わたしロベスピエール。もしもし。ユダヤ人を――
4
温かいココアを飲めばとろとろと身体の中に灯火ともる
32
いつもより数分早く出た朝は空も街もなんかパステル
29
明星の方に向かって漕いでいく今日もなんとか稼いだ帰り
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冬晴れの団地の中の公園は遺跡のようで空は静かで
56
鳶色という言葉知るあの人を思い出してるその眼差しを
34
靴下を、二枚重ねてもよいのだと気付かないままで越した冬
21
悪条件の損な仕事を押し付けて定年の花束はなかった
15
白鷺よ 優雅に川を 練り歩く
早春
(
はる
)
の川辺は ランウェイなり
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