消えたとて  浮かんで在わす  あいの果て  袂に花を  君がいるなら
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扉閉じ  密かにもゆる  夜の折  火照る体感  肌に伝わる
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街灯が  仄かに灯る  寒夜時  顕に出でる  幽玄の相
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情け無い  貴方がそこに  いる事に  目を背けるは  恥じらい隠す
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枯枝に風の浮かべる月の舟響き冷たき銀色の笛
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鮮やかな靴下を履く うつむいてしまった時の励ましとして
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有明の月の白さを手に受けて雑木林の梢に落とす
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遠くからきみを見ている 届かない星に名前をつけるみたいに
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東向きの窓たちみんな輝いて朝を迎える瞳となりぬ
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また来よう 話した日から 五年たち また来れたねと 飛行機に乗る
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高い空飛行機ゆっくり交差して西と南に見えなくなった
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一月の日射し明るき林間を母と歩けば冴ゆる阿夫利嶺あふりね
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コタツ点け 足先触れた 柔らかさ 我の牙城と 鎮座する猫 
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背比べ いつの間にやら 追いつかれ 父の威厳はもう無きものよ
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繰返す  韋編三絶  道を征く  挑み結ぶは  或る日の想い
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暗闇の中で煌めくシャンデリア五色をうそぶく悪魔の手招き
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咲いたから急いで君を呼んだけど来ずじまいだね死んだミニバラ
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小さな子コンクリートの道を蹴る巻いた尻尾は自信の証
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立春の朝の日差しは透明で隣の家の屋根の雪落つ
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ファミレスで2時間位もてばいいこれが笑顔のタイムリミット
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陽の光、水もご飯も足りてない 私ってお花だったのかもね
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なかなかに取れないのです服のシミ 会議の前につくと思わず 
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澄み切った空気が醸す冬銀河 あまねく星たち 幻想の夜
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ホームランなんて狙えぬ性分で 人生いつも送りバントよ
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年を経し杉の根元は影差して朝日に映える梢の緑
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バス停に並び見上げる冬の星まばたく度に広がる宇宙
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すっきりと伸びていってるもみの木と折れ肌むき出すもみの木痛し
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午後の日の陽だまりの部屋コーヒーと電子書籍と静けさの中
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ごみ捨てを君がする前名前なき家事をしている私を知ってる?
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フリクションの音で高鳴る年度末知らないことに飛び込む春に
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