巷では人事異動に泣き笑ひ。そをみて我は悠々閑々
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父だった 人のケロリに もて余す 名もなき感情 炭酸で割る
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ここに今 わたしがいると知っている わたしのために篝火かがりびを焚く
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いつからかドアがきしんで声を出す度に知らせる家族の帰りを
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額買って子どもの描いた絵を飾る 夏が始まる今日を祝って立夏
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老犬キミはもう聞こえてないのね雷が 逃げ回ってたあの頃懐かし
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追伸に 今でも好きと 本音書く 長い手紙は そのためのもの
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追いかけてくれる優しさ期待してゆっくり歩く駅までの道
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砂の城 潮が満ちれば 崩れると 気づいた吾子が 水際で泣く
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ふんわりとおさまの匂いにくるまれる 布団を干して今日は幸せ
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夕空はグラデーションに変化して波打つように星を迎える
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さり気なく身支度何度も確認し 改札口で君を待つ夜
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ドアの鍵 内から閉まる音響き 見送る愛のないことを知る
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熱々の肉まんひとつ君と分け ぶらぶら歩く紅葉の街
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ジャムの香のかすかに残る空き瓶にコスモス挿して秋を愉しむ
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旅に出て過去のこだわり遠ざかる 車窓を流れる景色のように
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耳澄まし森の鼓動に触れてみる木漏れ日の中ゆっくり一人で
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夕焼けの冴えわたる空赤いほど切なさ募り家路を急ぐ
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巧妙な手口はしかの感染はコロナインフルよりも強力
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せわしさにコーンフレークを掻き込んで春居丈高いたけだかに来たりと思う
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杖をつき 前行く老人 カートには 花束一つ ゆっくり揺れる
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大の字に寝っ転がって昼寝する 風鈴チリーン 涼風運ぶ
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永久戰犯數長らへる政権の中枢一家に災禍はあら ず
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朝イチの美しき声はキミだった! ひょいと現る小さなコオロギ
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すくわれて向こうに行けと流される小魚になり途方に暮れる
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シャリシャリと月の形の梨を喰む夜暗がりに小さく泣いて
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の岸も の岸もなし 海原を 白銀に染める 羽田の朝陽
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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笑いつつ 手を取り走れば 粉雪が なれが睫毛に 我の睫毛に
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先人の 運んだ 丸太と岩の道 踏みしめてゆく 三輪山登拝
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