左手に電話を持って謝罪をし右手はペンでお花書く癖
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白い傘張り付いた花びら見つけ「いつからいたの」愛し美し
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干し鰈ふわふわの身を食むときに海の気配が二、三分なり
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轟音のいつものくしゃみに遮られ 歌にならない母よ 元気で
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効くよって一匙くれたマヌカハニーときめきだけがさらりと溶ける
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延々と推しの見切れる画面観て梅雨明けの報せの濃浅葱
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ばあばン いっつもあると思ってる ゼリーを作る わんぱく来るぞ
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暑い夏あの日も今も去って行く 私は今も待っているのに
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思い出すあなたの優しさ思い出と共に これが愛だと気がついたんだ
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いつだって通知も瞳も見続ける ずっとずっと待っているから
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思い出喰い 夢と思い出 再生産 全てを美化して 苦しいままで
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移りゆく 車窓の景色を 眺めつつ そこで暮らして居る民思ふ
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寝ちゃったし トイレに行くの めんどくさい 誰か代わりに 行ってきてほしい
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抱きしめた夢をこぼして五十路なる甘き桃の香包まれ眠る
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室生寺にて緑濁の池に数匹の金魚よ眼に鮮やかな朱
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猫を見て 「かわいい!!」などと さけぶよ、 実はおまえが 一番かわいい
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君がふと 「可愛いね」なんて 言った日にゃ 腹筋だって しちゃうんだからっ!!!
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反戦と平和に みんなが飽きるのを リニューアルした 戦前が待つ
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鳥の名を読めぬし知らぬ吾がいて調べて夏の研究のごと
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本、食器、洋服、夏の大掃除 休みの成果に満足の夜
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夏雲の濃い影は行くゆっくりと山から山へ涼しさ配る
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懐かしさ覚えるものは多々あれど皺の数だけ幸福もある
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世に逃げる 十五,十七 ひとときを おめめにパンダ 頭に山葵わさび
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そういえば空を見上げていなかった 塞ぐ気持ちよ明るくな〜れ
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「髪の毛を洗わなくてもいいからね😊」(別れ際) さすが我が親友とも 深い言葉だ
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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気遣いを しようと意識 しなければ 出来ぬさがだから 頑張ってみる
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朱が夜に 染まる境は ビル群の狭間 ちょうど僕の真上に
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日々を詠む うたの しずくの 集まりて  渇く心に 慈雨のじんわり
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夢にみし母は吾の手離さじと 握るちからぞ胸貫ける
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