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漆月海遊館につづき辺獄牢をさす白蜉蝣帷子より躑躅
5
たましひの酢たまひ楯てる磔像の柱 世にはひとをあふれたまはしむ
5
白木蓮あはあはと滲みいづこより来しものぞ燕尾垂れをり
8
霊柩の冬雷に冴ゆ喪家葬式の花だしおらばたづねびとあり
7
春暁落雪図庇はばつらぬきとほるまで槍穂を著けと聖霊ふたつ
5
右廊・三菱油彩鉛筆風景画展 左廊・村上隆ファンアート展、の地獄
6
もう少しお昼寝しよう 午前見た桜の丘の夢でも見よう
42
八重桜 共に過ごした年月が 古き団地に静かに咲いて
58
保存水賞味期限が近づいて感謝して飲む事なき五年に
16
日焼け顔麦わら帽子がよく似合う亡き父想う命日の春
17
川の辺でトランペットを吹く学生 澄んだ音色が空に溶け込む
16
朝八時だあれもいない公園をひとりじめする小さな兄弟
14
亡き友が焼いた茶碗 温もりに 包まれて飲む 朝の一杯
20
このところ会わないご夫婦元気かな 知らず知らずに目が行くベランダ
14
長旅はいかばかりか 「ただいま」のひと言残して眠りこける
息子
(
こ
)
16
夏が来る 日課の散歩は老犬よ あなたと私の体力勝負
16
長旅の土産は特大洗濯物 連休最後のベランダ飾る
21
芝生には立ち入り禁止のロープあり 輝く初夏の聖域のよに
40
葉も枝も切られてしまって丸坊主 桜の樹々は寒そうに立つ
14
この国に欠けているもの教育ね 年々増えゆく朝拾うゴミ
15
ああ今日も桜が一本伐られゆく 痛い痛いと泣いてるようで
21
ひそやかに小さな本棚組み立てる 幼子眠る土曜日の午後
46
一粒の塩を落とした水を飲む 我なる海に夏を伝える
61
七月ののっそり沈む夕陽から種火盗んで夜通し語る
54
音も無く
陽炎
(
かげろう
)
ゆれる濃い桃の
百日紅
(
さるすべり
)
咲く 誰も居ぬ午後
52
平和論者の唇うすき遅夏もくれなむ重機工場の夕
11
「正しい教育と歴史認識のもとにわれわれパリ市民は生まれた」
9
純白の彼岸花咲く 夏の陽に秋の風吹く団地の端に
37
丁寧な暮らし生き方憧れる せめて歌はと丁寧に詠む
58
無花果
(
いちじく
)
のほのかに甘い風香る 無花果の木の小さな木陰
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