塩対応 キミの気まぐれ慣れっこさ 拗ねたフリして微笑み待つから
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体裁を整えた解 用意する 母の欲しがる良い子になって
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ぬいぐるみ 幾つも並べて何とする 川の字 真ん中 母陣地狭し
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ぶらんこに揺らされたまま恋心 もうちょっといてと言えないせいで
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窓叩く 暴力的な梅の雨 洗濯物と途方に暮れる
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数学も理科も社会も役立たず 憎いあの子を振り向かすには
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いいな君 これから彼に会うのでしょう? 花柄の服で しあはせさうに
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天ぷらを 揚げて後悔さき立たず 誰がこの床拭いてくれるの
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君と食う パキンと割った氷菓子 病床だとは思えぬ明るさ
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甚平をちょいと着こなし七歳児 少し前まで指吸ってたのに
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言い訳を100個飲み干す夏の夜 ストロングゼロ きりりと染み入る
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幸せにできると信じていた夏の あのうだる暑さ 今は底冷え
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クレームの嵐に耐えて炭と化し 夏の蚊取りに親愛の情
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片耳にマスクをかけて池の面をながれる風に呼応している
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「甘いの食べたい」と言った私の前でプリンと待っている笑顔
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冬日和 すりガラス越しにのれんの影を追い蕎麦を待つ午後二時
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紙芝居 ぼんたん飴と 散歩道 あの日から来た 今日のやさしさ
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行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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大雨の中すずめが飛んでいく電車は朝から止まってるけど
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訃報に喪服がないと焦る夢見た 服なんか最後でいいのに
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クーラーがきいた部屋から飛び出た瞬間みたいだな9月の五時
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一期だけ見たアニメの完結みたいだ 元彼の「結婚した」は
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春の日に子供は地面を見つめて舌から下に水を落とした
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半袖に死んだ猛暑が縋りつき「また来年」と約束をした
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よるふけて下宿にかえる苦学生 おばさんの 味おにぎりのまつ
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すこやかに個性を競ふ老若に男女にみな同じかほのうたかた
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水たまり 輝く粒は、ランウェイで私を照らすライトの代わり
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白球を追いかけている人たちを横目に独り下校する夏
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隙間から導き出した結論を消しゴムで消してまた最初から
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先生の手作り温泉大にぎわい お泊まり保育「ああ、いい湯だなー」
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