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月見えぬ夜は大きな犬連れて 少し離れたコンビニ行こう
12
淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
20
がんばって幸せなんだと感じた。新しい病名の書類と。
8
まどろみの夜ほころびゆく午前四時そっと犬と歩みゆくかな
31
沸騰を知らせるメロディー「愛の讃歌」古い
厨
(
くりや
)
にピアフの調べ
32
時雨去り一気に注ぐ陽の光 青き椿の葉を艶めかせ
29
待っててと たった4文字 伝えてよ 君はいつでも ひと言足りない
45
檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
38
ショーケースの中の白き熊の
瞳
(
め
)
と、
瞳
(
め
)
が合う刹那黒熊偲ぶ。
11
入口の 小さな白い 喫茶店 バナナジュースは 初恋の味
22
波多き 人生なれど 刻まれし 愛と記憶は
彩
(
いろどり
)
となる
16
旅戻り早速干しいも作業する無事に感謝し日常始むる
39
小春日の温もりは母を 木枯しの厳しさは父を想ふ初冬
23
初デート ママに内緒でいくからね ブタ公園で君を待つ僕
14
同僚
(
とも
)
からの 旅の土産に 温もりぬ 忙しくとも 足痛くとも
24
断捨離の荷をのせる時軽トラにとまった蜻蛉 秋の終わりの
26
指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
30
晩秋に木の葉時雨は降り止まず園児のポケット落ち葉の入れ物
44
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
25
聞き慣れた朝のアナウンサーの声 今朝は鼻声 流行りをる風邪
33
批判することは簡単トゲトゲをもて余してはスマホをさわる
23
野薔薇
(
のいばら
)
は寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
29
麗らかな陽射し翳れば瞬く間 冷える足先 冬を告げをり
29
暗闇のオフィスに光るパソコンでご褒美ポチって今日を終えるの
14
グラコロはコロコロコロっと転がって、冬が来たぞと知らせてくれる。
9
『私はね健康診断だと思う』認知症だと告げられる前は
21
雨はげしい今日は合羽を使おうか買い物するにも事欠く生保
25
道なりにお進み下さい目的地まだ見えません人生なので
32
丑三つに やるせなさ持ち 乗るバイク 風が凍てつく 妙に鋭く
18
砂浜へ電車ごっこの子ら来れば
白千鳥
(
しろちどり
)
そばをトコトコと行く
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