弱者かつ女ひとりの生活は堀埋められた城も同然
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毒親の歪んだ愛に育つ子は一生愛に不自由するんだ
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整頓の手を止め 近場にて花見 よどみぬ心をほぐす桜
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5分間休憩中にコーラ飲む自転車旅の唯一の甘え
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満開の桜の宵は仄冷えて桜の珈琲おとすひとあり
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花曇りの散歩は夫婦ふたりのんびりと色とりどりの野花愛でつつ
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花前線 桜前線 恋前線 開花の時は 待つ恋に似て
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すっかりと花壇の雪の消えたこと夫と話して夕餉の支度
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在りし日の 君が遺せし 言の葉に 生きるよすがを 見出で安らぐ
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轟々と 白煙吐いて田起こしの 西山見れば雪うさぎ出づ 
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一隅を照らす灯りかボランティア独り居訪ね溶けぬ闇あり
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春物のピンクのコートを羽織りたや おじさんなのでそれは無理でしょ
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春風を切り走行す 気持ち良さげな自転車と すれ違ふ道
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見てくれし 人の歌見る 礼節は 板東真理子の 『女性の品格』
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妬み書くメモを捨て去り夢追いの光りし風を胸へ抱こう
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水温み 保湿ケアもやうやう終はり 使ひ余りぬ ハンドクリーム
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どうもって先行く我に「はい」と言う譲りし人の響く心音「こころね」
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階段を上れば明かる桜木の塀に隠るる集いのありて
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ネットでの投句勧めてみたけれど祖父は杖つきポストに向かう
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人混みで 圧死の恐怖を 思いけり 改札口の 人波の中
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川風に花はふるえて七分咲き あぎとを上げて酒を呑む五時
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想ひの葉ピタリ嵌れと追敲ついこうす想ひ鎮めよ短歌の神よ
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飛梅とびうめの さくに結びし 『吉』神籤みくじ  『大』がつくまで 引いてみようか
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数だけを追うは愚かな仕事なり仕事の魅力が人なり作り
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よろこびもかなしみさえも自分からいちばん遠いところに置いて
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機微の春さえずり心震わせて土蒸す野花は夢に目覚めて
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花ふぶき セーラー服の襟を立てる 地元の駅の自転車置き場
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西日背負うあなた驚く 手に残るねぎの匂いを嗅がせあったり
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去る君の 車内に残した体温と 匂いも抱く 短夜の夢
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夜桜の果てに佇む二人連れ桜なんだねこの二本の木
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