あと少し 答え掴めぬ小テスト 蝉のせいよと ひとりごちする
3
ソーダ水潜らせボクの恋心ほんの少しでも弾けてくれたら
2
石膏像 見つめる先に いわし雲 校舎で独り 哲学をする
3
出たはずの息子が慌てて戸を開ける マスク忘れた! 嗚呼そういえば
3
あと少し君の指まで3センチ 触れてしまえば終わるのだけど
2
ざばざばと雨水垂らす憎き空 部活がしたいの引退目前
2
お疲れさん 去りゆく君のテールランプ おんなじ家に帰れりゃいいのに
2
じゃあまたね 遺品整理し祖母の家 気をつけてな の言葉もう無し
3
好きですと 言わずも漏れた恋心 それなのになぜ 聞き流せるの
2
塩対応 キミの気まぐれ慣れっこさ 拗ねたフリして微笑み待つから
1
体裁を整えた解 用意する 母の欲しがる良い子になって
3
ぬいぐるみ 幾つも並べて何とする 川の字 真ん中 母陣地狭し
3
ぶらんこに揺らされたまま恋心 もうちょっといてと言えないせいで
2
窓叩く 暴力的な梅の雨 洗濯物と途方に暮れる
1
数学も理科も社会も役立たず 憎いあの子を振り向かすには
2
いいな君 これから彼に会うのでしょう? 花柄の服で しあはせさうに
2
天ぷらを 揚げて後悔さき立たず 誰がこの床拭いてくれるの
2
君と食う パキンと割った氷菓子 病床だとは思えぬ明るさ
1
言い訳を100個飲み干す夏の夜 ストロングゼロ きりりと染み入る
1
幸せにできると信じていた夏の あのうだる暑さ 今は底冷え
1
クレームの嵐に耐えて炭と化し 夏の蚊取りに親愛の情
2
押してみて 引いてみたりと 忙しい 些細なことも 大きなことに
1
「甘いの食べたい」と言った私の前でプリンと待っている笑顔
4
冬日和 すりガラス越しにのれんの影を追い蕎麦を待つ午後二時
3
季節では冬が好きだと君は言う 足が腫れても些細なことと
2
言の刃で 刺しかけてやめ 絵はがきとペンを選んで 刃を葉に変える
15
人類で 薄めてあおる なさけなさ 主語自分 では 濃くて飲めない
14
紙芝居 ぼんたん飴と 散歩道 あの日から来た 今日のやさしさ
11
行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
12
台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
10