やりとりがあったあかしの既読とはきっとまぼろしだったのだろう
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むさぼった ハッピーエンドの 動画たち ずいぶん手軽な 快楽ですこと
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風となり卯月の君へ捧ぐのは散り急く白き菫の香こそ
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つり銭を人が手渡す一瞬に触れる手と手の微弱な電気
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若葉より癒しを得られ一服の珈琲は青い瓶の魔法
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若きより 人の視線の 減りてゆく 装ひてなほ 装ひて生きむ
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新緑に皐月の花の咲きめて青空仰ぐ紅ぞあざやか
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隠蔽を見て見ぬふりの日本人 陰口コソコソ報告しようよ
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盲目の世界に一人彷徨いし病と別れ愛猫は逝く
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ハナミズキ送迎会の道光り白き花びら空へ羽ばたく
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庭先にそびえるモミジ陽を浴びて 若葉きらめき生命いのちみなぎる
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不在の 自由奔放 ヘデラのツル 我がもの顔で隣家のフェンスへ
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チビ猫の 首輪もどっか 見当たらない 買い替えどきを 知らせているか
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せいくらべ 孫はつまより 十センチ 高くなりけり アスパラの如く
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泣きながら パンを齧った そのひとに 月明かりみて 影を重ねる
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無邪気にはしゃぐ幼きまごが今 時折目を伏せ もの想うようになり
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蒲公英たんぽぽや庭に届きしわたひとつ植ゑてブタナと知りぬ粗毛あらげ
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どこからか宅配された髪の毛の束の根元に血がべっとりと
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「仲いいな」長袖Tシャツ洗ったら絡みすぎだろ腕と腕とが
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夜桜が映える灯りも消えた街灯りを点けた会社も消えた
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八十歳 大国の長トランプさんの 反抗期 拳振り上げ 銭むしり取る
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桃色の 絨毯踏むを 忍びなく 風に頼みて 道をつくらむ
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神からの怒号は聞かず辿り行け小さな幸に笑う日も来る
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石鹸の匂いに君を抱きしめる私の行方を花は知らない
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合歓の木の失せた川辺を見渡せば黄花コスモス空に向かいて
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高架橋リフレインする貨物列車 ガタン、ゴトン 私は消えて
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「暑いですね」 卯月と思えぬ挨拶交わし 額の汗拭き庭の草刈る
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死の層になお降り積もるかげろうに 絡め取られて堕ちてく地獄
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僕のことあなたはきっと忘れてる虚ろな瞳透明な空
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AIが 決して言わない一言は 「またその話!」 だから好きだな
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