はれやかに高校生は卒業し混むはずのない道は混みゆく
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大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
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コイン精米の明かりを恃みつつ消えたいくらいただ帰り途
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集まり後いまだ一人の反省会 損だと思ふこんな性格
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噴水が落ちる間際に映し出す街は眩しく崩れていたり
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習い事ともに学びし青年の病いに伏せつつ心痛しんつうきわむ
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雪にさす 朝陽あさひの色は 生成り色 忘却の彼方かなた 竹を編む人
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ひよどりは声高高と飛び上がり凍れる空に朝の月見ゆ
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AIが 瞬時に提示 夕飯の レシピを頼り ピンチをしのぐ
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カサついた くちびるから出る 言の葉よ 日が変わるまで 止まないように
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奥さんと 冷戦中の 日曜に 空から雪の 仲介者
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真夜中に 月と密会 したことは 家族に内緒の 銀の耳打ち
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一年の辛苦に耐えし老い梅の蕾つけしがヒヨドリの
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山茶花の花びら積もる坂道をのぼりつつ聞く鳥の囀り
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紙パック 交換される日 待ちわびて 今日とてルンバ壁に佇む
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新しいケリケリ猫に渡したら猫喜んで蹴りに蹴りけり
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口紅も 着けない君の 佇まい どこかに忘れた 裸のココロ
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やはらかな小春日和のぬくもりに 眠る氷河は空を夢見る
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プランタを 花咲か婆ちゃんから もらい 花より野菜のタネ 選ぶ 孫
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はちみつの瓶を透かして見る未来濁りも苦味も僕の隠し味
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忙しき夫の背中に手を合わす 湯気立つ飯を 絶やさぬ祈り
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コーヒーに「昨日」を溶かしてはちみつの厚い光で今日をはじめる
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人生が汚れ裂かれて台無しで子供の私に声をかけたい
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歌詠まぬ日々を重ねて帰りつく「ただいま」という一番の歌
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手放して出来た隙間を覗いたら見え隠れする大切なもの
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「楽しかった」と 昨日に告げる ばいばいは 未来を走る コースの合図
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浅瀬ゆく小石の光り掬わむと水に透くる手幼き紅葉
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「安全」と「必要」と有った震災まえ古き広告よぎる朝かな/柏崎原発試験的発電開始に
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浮き雲に寝ている心地 ごめんねと言えてすべてが軽くなりけり
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酒片手にネイルケアーのリール見て時を弄する幸せが在る
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