川野三郎
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495

歌人であるよりも、三十一文字の詩人でありたい。風に羽ばたく鳥にあこがれて。

曇天の空のかくしたお月見の宵にさけばむおーい……革命!
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物事にとぢめはあるとしりながらなんて悲しいあなたの首は
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喧騒の予兆を街ははらみつつ囃子太鼓とあそぶ音のこ
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鳩っこよ宵はどちらでおすごしか都市も君らの自然なのだね
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そんな気はしないか君は生きてきたことそれ自体夢のようだと
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この街のどこかに君のいることをしってか道をぬらしてく雨
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信憑はいまここにあるまぼろしとしてもこぼれてゆく砂となれ
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泥じあひ疑心暗鬼になりましたありありありが歩いています
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界隈は瓦解しましたしかすがにきれるわけでもなく人のなか
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腹痛のおちてくを待つときのまにおもふ革命、その可塑性を
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はたらけるうちははたらくそのあとで原にはらばふ亡骸となれ
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なぜそれをいいねしたのかわからずに私はここにいますあなたを……
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あとかたもなくなりましたそれでよい夢も記憶も更地となって
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属性で人をわかった気になって僕はおろかなソクラテスです
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そんな気もないのに君に恋をしてきみどり色のシャツがおにあひ
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そのさきのことはしらんよどうとでも砂塵まきあげ風のふくふく
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この恋はかたちをかへた自己愛とおもへばさむるこころかしらん
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戦後てふときにくくられつづくいまいつまでなのかいまだしらずも
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けふまでの命ではなししかすがにいつかしらない絶壁にたて
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なにをやってもだめなのだとたしかめて旅の終はりにそれならそれで
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三たび伏す夏の盛りにをれもせでををしくぞある石ばの草は
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動乱の血にかざられる予感をばはらんで咲きしこの百日紅サルスベリ
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炎天に孤独の影はくっきりと詩人のすてた句のひとつある
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こほらせたペットボトルも汗をかくそれを結露と呼ぶ合理主義
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君もまた未来の日本人ならばともに喰らはん世界のカレー
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鳥海山われを待つらんゆく夏の旅路のさきにわれを待つらん
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現代はおつむまで戦場らしく霧のかくさふ五里の銃口
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ゆこうかなどこかここではないどこかあすの予報は雨のち晴れだ
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資本主義的空間にまどろんでみた革命は夢か黙示か
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おもいでの夏にふたりは交差してふとしたときにコップがおもい
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