川野三郎
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歌人であるよりも、三十一文字の詩人でありたい。風に羽ばたく鳥にあこがれて。私は、雀。

炎天に風は吹かぬかこころにははやなつかしき花の朝露
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絵葉書に描かれている雲と海またどこからかひびく潮騒
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ノックする音がひびいてきましたがそこにいるのは誰だかこわい
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おもひきやいはほのごとくありし日の歴史は砂となってながれて
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最終の列車はすでにかなたにてどうしよもなく一人だ僕は
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見てみたいあなたがそっと隠してるかばんのなかのなかの気持ちを
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また馬鹿な夢をみてましたと言ってあなたの影にごめんなさいを
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何かしら目くじらのたつポストゆゑ引用されてあふれる雑言
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鼻の毛のひとつやふたつ気になるのどうせすっぽんぽんになるのに
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思想家はうちおとされる星なればいまは冥府に大杉栄
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川崎のさきまでゆけばそのさきに海があるとは知っているだけ
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はなみづきまたあぢさゐの色どった街をおほって空の散水
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思ひでがいつもこころをささへてるわたしの髪にまじりゆく白
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どこまでも跳ねてゆくのか野原にて世界に干渉するうしろあし
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ぎりぎりのところで歌にすくはれてけふもうき世にぶくぶくあぶく
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近代的自我などといふ虚構にも傘のごとくに天皇制は
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殺される待ったするまもないのかようそうそかわいそうだよわたし
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どこかしらいたいけないね土足にて踏みつけられた名刺の僕は
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海原のかなたカリフォルニアの空まばゆく星のふるとラジオは
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ごめんなさい。フォローしたのは僕のミス君は一生出会はないひと
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ダンボールひらいてみたらおどろいたそこは君らのダンスホールで
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読みさしの本をめくってゆくものは風ばかりですもういない僕
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初夏の日ざしてりつく木だちたち君のまばゆい陰でありたい
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同性にひらかれている銭湯のなじみはおまえ体重計さ
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バス停で雨にうたれていた傘はあなたのものでこぼれてく愛
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おろかなる人類ですが最期には偉大な辞書よひとつあれかし
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ただいまが変転してく日に月に年にくるりといつまでもいま
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インク壷ひっくりかへしてしまったらもう戻らない僕は詩人だ
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なめくぢのなぞっていった視界にはどこか屈折してる光も
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セックスの話をしてる人たちとまひるまコインランドリーにて
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