川野三郎
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495

歌人であるよりも、三十一文字の詩人でありたい。風に羽ばたく鳥にあこがれて。

同性にひらかれている銭湯のなじみはおまえ体重計さ
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バス停で雨にうたれていた傘はあなたのものでこぼれてく愛
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おろかなる人類ですが最期には偉大な辞書よひとつあれかし
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ただいまが変転してく日に月に年にくるりといつまでもいま
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インク壷ひっくりかへしてしまったらもう戻らない僕は詩人だ
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なめくぢのなぞっていった視界にはどこか屈折してる光も
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セックスの話をしてる人たちとまひるまコインランドリーにて
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悲しみはしたたるみづとなりましてどうせ誰かが死なねばならぬ
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いつの日か君はたのみの若だんないまはママンにおんぶされてる
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運命をながめています天使たち駅のホームに並ぶひとたち
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あの人のくれた鉛筆それだけが記憶のよすがとしてある手に
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ながれでたものにまじったさびしさはなんだかやるせないねおしっこ
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酩酊よまだ世のなかをながめてる私はここにジョッキはからに
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税金はとりたてられて視界にはたしかめられた都市のまぼろし
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信仰は身におりてきた光かな見そなはすらむ雲まに人を
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この街をわたしの嫁とおもったらなにもさびしくありませんから
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くんづけで呼ぶしたしさはあなただけあとはみなさんさんさんおひさん
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笑はれてなさけないのは僕でしたあなたに恋をしてたかもめも
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両肩にのっかっているお疲れさんもう若くない僕におもたい
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松ぼっくり待ってあなたのほほ笑みを思ひえがいてまたころがって
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未来とはどこにあったか朽ちる身は風になれずにとざされし窓
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督促をむかへうたんかなけなしの涙の日本銀行券で
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額縁のうちにひとつの世界あり河のむこうに山とまた雲
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わたしとは堤防であるゆくかはのきらめきばかり見おくりながら
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ひとしづくおちた涙は何のためいまぞ生いたつこの芽のために
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なげやりにタスクをあたへすぎたかなフリーズしてるあなたを待つよ
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天をつくばかりの心意気により呼びさまさんかあすの神鳴り
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カーテンの揺れるはやさで恋をして風をつかまへ雲とならまし
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まぶしさにゆくても知れずありし日にのぞかれている過去のひとみに
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初夏の日ざしは恋の予感にてはるかに見ゆる人妻のひと
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