川野三郎
35
34
投稿数
375

歌人であるよりも、三十一文字の詩人でありたい。
かつて朔太郎曰く「詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめ」と……

蜘蛛の子をちらす予感をはらみつつ青嵐の吹きすさぶ騒擾
10
たくさんの人のかたはらゆきすぎて透明となる私はどこだ
13
やさしさはあなたの肌をなぞりつつときにたしかめられる絆は
8
知をわけるそれは毒かもしれないが君のうちなる酵素をたのめ
7
つまらないことも誰かのなぐさめとおもへばやさし濡れる電飾
13
空間と時間のうちに生まれおちあこがれている鳥や樹や陽に
12
郊外をいまバスがゆく畠あり団地があってすべてが春だ
11
やはらかに地をなめながら飛翔するここちもうはの空にメロディ
7
再武装していた僕のひとみにはどこまでいっても果てしない青
8
鳥たちがわたしに歌をくれたのであなたにとどけようとはる声
12
SNS紀元前史にこんこんと伝言ノートや交換日記
11
百日の仕事を遂げた顔をして煙草くゆらす君のあかつき
12
いやつぎに再生される映像にのざらしのままあなたの土管
7
詩歌とはたとへば原野に吹きつくる風かこころの奥つところの
10
神様は孤独にたへずくしゃみしたそんな因果で生まれた宇宙
10
大君の御言かしこみうれひつついざ事あらば血は剣大刀
5
着飾りてひそやかに夜にまぎれこむかなたに甘美なる裸体もゆ
7
時代てふ神の見いだすこともなくしづみてゆくか水底に砂
8
波の音にまぎれてとりし君の手に言ひわけとして海が深くて
8
わが胸にそびゆる矛と盾がありあい打ちながらたえぬ旋回
8
おもひなし耳もとちかくささやいて悪魔と呼ばれていたのは読者
7
存在は神の造作かあらざるかあたかもプログラムされた虫
10
人のよをあらはむ波の予感からあまりのことは言はずねもせむ
9
ひよどりの叫喚都市をおほふときまぼろしに見ゆここは廃墟だ
8
あなたとは私ではないあなただと身にしみたなら満天の星
11
半ドアじゃないよね*風が誘っている*妻をこころに乗せてドライブ
10
ささやかなセクハラまでもあなたならゆるしてあげる首をかしげて
8
未発表原稿をひとつたづさへて青年がひとりとけてゆく壁
8
待つことは慣れてますからバス停に小一時間はありし故郷
17
同棲の夢のひろがる空間にまどろんでいるパスタと僕も
9