ともりゆめ
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憧れながら一歩が踏み出せませんでした
毎日の機微を花びら集めるように綴ってみたくて始めます
よろしくお願いします  令和七年五月二十五日

外へ出て雨が降ったこと知る吾は水族館の魚のごとし
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こんなにも蝉の鳴き声うれしいと思った夏は生まれてはじめて
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人けない深い山道ヤマユリは我が為に咲く威風堂々
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風強しうねる青稲猛る音 散歩の犬もはためいている
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昼休みLINEに集う三姉妹 親とも友とも違うオアシス
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突然の別れ相棒コンロとの二十年ふたとせ労い撫で拭きあげる
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うっかりと落としてしまったシュークリームみたいにとける夏の猫たち
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「大丈夫、雲の上に星があるから」わたしの彦星がいいました/七夕
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待ちわびた息子に会うための旅支度会ってしまえば泡沫うたかたのごと
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押し出したうすもも色のロキソニン薬の殻の軽きさみしさ
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花の名も知らないきみが水をやる滲みあふれる夏の夕暮れ
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暮れなずむ空と夫と歩く道半夏生はんげしょうの白が揺れてる
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さき黄の蝶はフェイント楽しげにアカツメクサの野原舞いゆく
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ああ夏だ茗荷と大葉刻む時香りも色も涼やかなり
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担当の季節のしつらえ褒められて七夕飾りがくるりと回る
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じんわりと沁みるぬくもり仄暗き日曜の朝寄り添う猫の
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お裾分けタッパー戻りし娘よりカロリーオフのチョコが添えられ
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退勤の空は一面ラテの泡 西の隙間に光るハチミツ
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校庭の水たまりに注がれる 職員室の明かりの色よ
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日長しと夫と歩く田んぼ道 大合唱の時期は終わりぬ
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起きぬ吾起こしたい猫攻防戦はじめチョンチョンしまいはガリガリ
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追いかけて筋肉痛はやってきて改めて知る若くないこと
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無人駅ツバメの親子巣におりぬきみだけの待つ家に帰らむ/帰省
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幼き日カニ取り遊びし沢へゆけばさみどり色の飛び交う蛍/帰省
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五十路なる姉妹布団を並べ寝ぬ話尽きない実家の短夜/帰省
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梅雨晴れや一人だける無人駅18の我 焼きつくホームに/帰省
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蛍光のベストで子らを護る人 頭さがるホタルブクロと
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紫陽花は外の方から染められて色の調合できるまで待つ
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100円と書いてあるのに100円は一列しかない うだる自販機
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諦めぬことを教えてくれそうな校庭脇のマリーゴールド
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