Utakata
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まるや
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日常短歌と創作三国志短歌
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きみたちは罪に問われない あたらしい星座のひとつを死と名づけても
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背伸びしておいしいふりした レジ前で「同じものを」としか言えなくて
6
来週の土曜までは晴れ 初夏のひかりが焦れるふたりを急かして
5
あたらしい家が建ちますぼくたちが埋めた金魚をかみさまにして
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いますぐにまわってメリーゴーランド沈黙を破る歌をください
8
言ったほうだけが引き摺る あのときと同じ窓際の席を選ぶきみ
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二年前きみがこぼした墨汁は未完成のまま また夏がくる
5
無いことに慣れていくように心臓は凪いだままだわ すこしだけ歩く
6
持ち物は持ち主に似る誰にでもいい顔をして拐われる傘
15
ゆっくりと決壊はじめる心から押し出されてゆく白鳥の群れ
8
劇伴にステップを踏むゆびさきがきみの膝までオクターブ跳ねる
6
休憩に立つ父が残す暗闇に浮かんだ<PAUSE>がこわかった頃
6
きみからのすべての言葉をかなしみという背表紙のファイルに綴じて
6
劇場の夜が明けていく静寂を裂いてまたひとり産声を上げる
9
わたしたちうまくやれるわ そこらじゅうクリームまみれになったキッチン
8
一度でも夢で逢えたらほんとうの気持ちをおしえて 腕の中のきみ
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アマプラが教えてくれる昔きみと千円で観た映画の結末
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年月は欠けたグラスを治癒しないセロハンで継ぐ母の手を真似て
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月なんか見上げなかった あなたさえきれいだねってつぶやかなければ
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忘れたいこと忘れたくないことの合い挽きをつなぐ粉々の感情
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昨日まで背景だったきみがいまぼくを見つめて 駆け込んでくる!
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糖尿の赤松さんが差し入れる手作りのチョコブラウニーおいしい
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金曜日十七時五十九分の駆け込み患者よ健やかであれ
7
蛇行する救急カートでこぼこな熱型表に足を取られて
4
待っていて次の三日月が焼けるころいぬといっしょに戻ってくるから
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この国のルールによれば理論上ゆるされているぼくらの結婚
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きみと暮らす 窮屈になった靴箱に考えあぐねて寝かせたヒール
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高くなる初夏のひかりは窓際のきみたちだけを選んで照らす
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引き潮を見送るきみの背に向けて明滅はじめる懐中電灯
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玄関の扉を閉じれば小指から澱んだ空気に溶け出すわたし
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