まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

待っていて次の三日月が焼けるころいぬといっしょに戻ってくるから
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この国のルールによれば理論上ゆるされているぼくらの結婚
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きみと暮らす 窮屈になった靴箱に考えあぐねて寝かせたヒール
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高くなる初夏のひかりは窓際のきみたちだけを選んで照らす
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引き潮を見送るきみの背に向けて明滅はじめる懐中電灯
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玄関の扉を閉じれば小指から澱んだ空気に溶け出すわたし
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休もうかドアチェーンが切られるまでは死んでいられる おふろに入ろう
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きみがくれたことばを綴じた花束が窓辺にならぶ 色褪せていく
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その様子じゃ知らなかったんだねぼくがきみのAlexaと呼ばれてること
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泣いたあとわたしは少しだけさかな目尻からのびる鱗を剥がす
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つらくて、つらくて、つらくて、駆け込んだ知らない路線の座席の緑
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あと半周 揺れるふたりの密室を切り落とすようにきみへの着信
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方法はいくらでもあるただきみにネコと和解する覚悟があれば
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手を繋ぐ 連れて帰ってほしかった打ち捨てられる壊れたビニ傘
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こんにちは地域のみなさんわれわれは今夜のおかずにサンマを焼きます
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永遠を定義するなり起動したきみを求める循環参照
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いまはただ来るか来ないかにかかわらず食べたがってたケーキを焼いてる
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この傘が赤くてよかった覗き込むきみへの気持ちを隠し通せる
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どうして?あなたはずっと笑ってた 寄せる波の音ばかりうるさい
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呼吸するたびに増えてく後悔をかさねて築く逆バベルの塔
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ホームドア 馴染み始めた制服の前を開ければ汗を拭う風
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いぬだから大切なものを奪われたきみに寄り添うだけでいられた
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秒針が息を吹き返す明け方に生まれたきみを孤独と名付ける
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晴れの日も嵐の夜も地獄でもきみに寄り添う係数として
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泣かないできっとだよって声がして点滅はじめる夜中の信号
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嘘つき なじる言葉も取り込んで知識の海はまた嘘を生む
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バイパスの潰れた軍手たちが見るROUND1での決闘の夢
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友人の墓地を荒らしたMichelleから犯行声明 エッチなDM
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あの夜にきみが指してた方角を知らない 右耳に揺れる巻貝
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レジェロ きみの楽譜に残されたさいごの願いまで軽やかで
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