まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

まだ朝に見つかっていないベランダで「いっしょにいこう」きみがささやく
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今夜だろう 予感にカルテを遡る無情なリズムに急き立てられて
6
カーテンの隙間を抜けた朝焼けが部屋の隅へと夜を追い遣る
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未来から逆算の果てに描き出す最強のいま now loading
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夜色の風に揺れてるカーテンをコートに仕立てて月を迎える
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この札はのろいのそうび愛社精神を強制付与する効果
4
きみは舞う崩れ始めたステージのさいごの幕が燃え落ちるまで
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もうきみはひとりきりでも進めるね 誇らしい顔のつがいの補助輪
10
風に舞う綿毛 未来を暗示するきみのことばを信じたいのに
6
前をゆく赤いコートが遠ざかる人混みのなか手を繋げずに
11
帰りたい帰りたくないふたりとも自転車の鍵をなくしたふりで
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きみのそば漂うぼくに気付かずにフィルターをかけたクラゲに夢中
5
さよならの和音で満ちる教室に飛び込む蝶の青い鱗粉
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袋詰めのため息たちがベランダの避難戸を塞ぐ 飛ぶしかない
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きみが泣く 質量保存の法則がその涙をぼくに飲ませる
8
大荷物かかえたきみが乗り込んだぼくには読めない名を冠すバス
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スポットライトがマチネの終わり告げ街に驟雨の幕が降りてく
7
血に塗れた彼のふるえる指先が沈む陽を纏う彼女に伸びて
5
ただわたし確かめるすべが欲しかったあなたがここにいてくれること
7
「好きなのに」夕日を背にしたきみの目に揺らぐみどりの炎がきれい
8
横柄に振る舞う彼らの幼体をつぶさに記す卒業アルバム
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冬の陽を浴びぽかぽかに仕上がったいぬの手触りまだ覚えてる
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尾を引いて堕ちゆくきみが脱ぎ捨てた冠や衣がまた星になる
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ずれてゆく予感につよく手を握るふたり並んで揺らすブランコ
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銃声と怒号をすり抜け往く先にきみと見紛う鳥が鳴くゆめ
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たぶん夢とか希望とか詰めたはず 缶切りはきのう捨てたんだけど
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月のない闇に消え入る細い声きみは南の窓にて磔刑
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便りなきけわしい顔の旧友が「うらぎりもの」とわれを指す夢
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木漏れ日のスポットライト 庭先にぺったり伏せて眠たげないぬ
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曖昧に笑う私を通過して皆は駆け去るゆめのなかでも
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