Utakata
登録
Login
サイトのご案内
まるや
フォロー
0
フォロワー
11
投稿数
345
日常短歌と創作三国志短歌
« 最初
‹ 前
…
4
5
6
7
8
9
10
11
12
次 ›
最後 »
駆け下りた堕落の坂に陽が沈むここにきたからきみに会えたの
6
逃がさないつめたい嵐の中心でわたしの熱がきみを融かして
7
堅牢な知識の塔を築き上げ彼はてっぺんで薔薇を育てる
9
翼なき鉄の棒が語る神話 ここにはかつて人間がいた
7
ブラウスの下で彼女の背を撫でて鋭角を均す細い肩紐
5
ひかえめに微笑みかしげる白い首あの子の舌は三枚あるとか
5
むきだしの窓からそそぐ陽のひかり置き去りにしたしあわせの残滓
4
入念な毎夜のケアで速度下げ飛び出し注意シミ吹出物
12
泣いたあといびつに笑うその声がぼくを飛び越え空に架かった
7
走るきみを追いかけた十歳 摺り足のきみを待つ二十二歳
5
おそろいのカップが嬉しかったけどきみのはもっと苦かったんだね
7
散るせつな走るフィルムのその最後きみのことばが嘘でよかった
6
ふたりで焼いたきみ宛てのラブレター落ち葉の下であたため孵す
6
「きみが好き」そっとひとみは逸らされたちいさな嘘をつくときの癖
9
入念におめかしキメてスタンバイ踏み出す合図はきみの返信
12
はじめてのおとなサイズの浴衣着てぼんぼりが照らすおそとのお風呂
10
恋をするあの子のうつくしいひとみ絶望を知る海溝の黒
5
磨いては零して汚しまた磨くいたちごっこが生きてるあかし
4
不器用なきみはわたしのてのひらに頭を押しつけ甘える合図
9
気温とは裏腹にさむい宵の口かすむ視界にもういないいぬ
6
くらやみにきみが残したひかりの尾わたしをみちびくかすかな背中
8
光線にきみのまつ毛がまたたいて世界を駆ける虹色の風
5
膝のうえ冬の陽気にまどろんだおひげ弾けばむあと鳴くいぬ
13
わたしさえ気づいていないわたしたち重なりあってわたしのかたち
8
ひと冬の思い出残し去るきみを溶かせなかったわたしの温度
12
キッチンにきみの薫りの置きみやげ庭に撒いては鳩を待ってる
11
午前5時地下にならんだ在庫からきみが運んでくる夜明け色
11
背伸びしたよそゆきヒール高らかにまだ泣かないで左の小指
13
夜は逝くすべての嘘を引き連れてきみのシリウス撃ち落としても
11
ふさがらぬ風穴を空けたあなたの灰が咲かせたアネモネの花
7
« 最初
‹ 前
…
4
5
6
7
8
9
10
11
12
次 ›
最後 »