まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

あなたには見せたくなかった一面がねじれてあふれ戻れなくなる
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踊り場に落ちる夕陽を翼とし下級生の階へ降臨せしきみ
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明け方に結論が出てファミレスを出ればふたりはひとりとひとり
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きみほどはうつくしく終われないだろう 劣等感がぼくを生かした
4
もうすこし話したい夜はあったかいココアで今日のきみを引き留める
7
恋人は抽選販売 トレンドを埋めつくす#譲渡#交換#定価
4
後悔の器に盛った愛しさを取り分けて笑うふたりの新居
4
ぼくの傷 犯人探しの教室でぼくときみだけが知っていること
3
本能の遺灰 ああこれできみのこと愛してもきみは汚れずにすむ
4
叩かれるだけじゃなかった 母の手はときに日陰をつくってくれた
9
天井を見上げる視界を遮ったきみのまぶたの星々、くちづけ
5
念入りに洗い流した指先がまだ忘れないあなたの温度
3
両親は硬い顔してぼくの絵が悪魔かパイかで議論している
10
夕立に濡れたからだで鍵を閉めふたりの夏が動詞に変わる
9
立て掛けた素描のきみの輪郭を指でなぞって付け足した影
7
ゆっくりときみのソワレの幕が下り終演を告ぐ老医師の声
6
この春に散った桜の花びらがつぎの春まで色をあずかる
9
死にたくない ぼくのねがいを聞きとどけかみさまの指が長針を折る
7
ぼくが棲む地下のラボへのスイッチはきみが好きだったシリーズの二巻
4
先週の土曜は昨日のことじゃない?あなたの部屋は月曜始まり
5
きみからの返信が途絶え二週間スマホを捨ててみる 拾ってくる
5
伝えたいことばが互いに押し合って出口が塞がる きみは去りゆく
7
きみにだけ教えてあげるねドーナツの穴をつくってる工場の場所
8
だれよりもはしゃぐあの人は一滴も呑んではいないただ聡いだけ
8
玉子とじした人魚の肉あなたにも食べさせたいな 食べさせなければ
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週末の誘いを蹴って立て籠もるきみとふたりの六畳一間
6
午前二時 町にひかりの雨が降りきみと逃げ込む唯一のコンビニ
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だれよりも清く正しいひとだった 白い絵の具は最初になくなる
11
嬉しかった はじめて触れたきみの手がおんなじくらいかさついていて
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ひかりあれただ一滴の目薬で未来はあかるい眼底検査
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