まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

初キスも花火もパフェもあの夜も忘れたかったあなたみたいに
5
満開の桜遠目に見やれどもわが誇らしきたんぽぽ畑
9
存在感皆無のおれらも夢見てるあの子が握る赤い風船
7
きみからの返信を待ちのぞき込む放課後のぼくはポストの番人
11
ここよりもずっと北から運ばれる筆跡だけが象るあなた
4
飴玉をちゃん付けで呼ぶきみが好きやさしい甘さで私も呼んで
12
グラウンドを駆けるきみが撒くひかり プールサイドのわたしも見てた
10
曇りの朝が好き 裁きのひかりが昨夜の罪を暴けないから
8
熱心に壁際を見るいぬの目がゆっくり動きわたしと重なる
7
きょう未明ぼくの心が殺されて犯人探しの朝が始まる
8
ぼくの些細な言葉に笑うきみの声 扉の外でぼくが聞いてる
5
一晩中つないでた手はからっぽで窓辺のきみが朝に解けてく
6
まだ朝に見つかっていないベランダで「いっしょにいこう」きみがささやく
5
今夜だろう 予感にカルテを遡る無情なリズムに急き立てられて
6
カーテンの隙間を抜けた朝焼けが部屋の隅へと夜を追い遣る
13
未来から逆算の果てに描き出す最強のいま now loading
7
夜色の風に揺れてるカーテンをコートに仕立てて月を迎える
10
この札はのろいのそうび愛社精神を強制付与する効果
4
きみは舞う崩れ始めたステージのさいごの幕が燃え落ちるまで
11
もうきみはひとりきりでも進めるね 誇らしい顔のつがいの補助輪
10
風に舞う綿毛 未来を暗示するきみのことばを信じたいのに
6
前をゆく赤いコートが遠ざかる人混みのなか手を繋げずに
11
帰りたい帰りたくないふたりとも自転車の鍵をなくしたふりで
11
きみのそば漂うぼくに気付かずにフィルターをかけたクラゲに夢中
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さよならの和音で満ちる教室に飛び込む蝶の青い鱗粉
12
袋詰めのため息たちがベランダの避難戸を塞ぐ 飛ぶしかない
7
きみが泣く 質量保存の法則がその涙をぼくに飲ませる
8
大荷物かかえたきみが乗り込んだぼくには読めない名を冠すバス
10
スポットライトがマチネの終わり告げ街に驟雨の幕が降りてく
7
血に塗れた彼のふるえる指先が沈む陽を纏う彼女に伸びて
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