まるや
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日常短歌と創作三国志短歌

ベルの音に彗星低くひらめいてやさしい声のベテラン事務さん
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分かたれしあかき魂こぼれ落ち交じること無きひとりとひとり
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視界焦げ掴んだ腕も燃え落ちて抱き合うだけで世界は滅びる
4
前かごにちょんもり座る老いたいぬ立てた両耳北風に揺れ
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餞別の花束部屋中さまよってようやく見つけた麦茶のポット
6
夕暮れの小さくなった公園にまだ捕まらないわたしたちの影
7
モニターにぶら下げた視線逸らさずに背中で浴びるささやきの波
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八十年ぶりよ並んで眠るのはほほえむ姉妹のレンタル寝間着
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飲み込んだ長いしっぽの先端で目が合う私の知らない私
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たわむれに閉じた世界を切り裂いてひかり賜わす白銀の鋏
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リビングの隅に取り残された夏ものぐさな我に首振りもせず
9
初日こそ前職経験光るとき配属部署の勢力分析
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あそこにも見覚えのあるシルエット知り合い増えてくぼやけた眼鏡
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直列のいぬそれぞれにリード持つ空いた手繋げばビビッとくるかな
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高らかな祈りのように宣言す「折り曲げ厳禁」「水濡れ注意」
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抱かれども心通わぬ冬の夜ぬくもりだけ在る電気毛布
9
真実を追加料金で塗り潰しがあかしを立てる証明写真
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寒すぎて暖を求めて重ねる手コピーしたてのA4用紙
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紺インク乾かぬうちに手帳閉じ慌ただしく去る師走の足跡
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厨房はにわかに笑う壁隔てひとりかき込む給食の春雨
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くらやみに慣れた視界で捕まえてやさしく灯るほんとうの光
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通知欄見るのに飽きたらこっち来て通知しないけど待っているから
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あなたには遺すものなど何もない大丈夫ちゃんと連れて逝くから
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ほうぼうで広げたアンテナぶつけ合い傍受の応酬暮れの事務室
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ぞくぞくとぞめきに乗せて勢ぞろいこれぞふるさと阿波の踊りぞ
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過ぎし冬いぬの背走った静電気びりりとするたび駆ける思い出
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ベルの音は上の句の如く絶え間なし風切り伸びるブラウスの腕
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あなたへの最初で最後の恋文にあなたの名はない地獄で待つね
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われひとり身を刺す北風止められぬただ共に在る違わぬ約束
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重厚な頁の奥でまるめる背やさしいことばでこころくるんで
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