Utakata
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石崎セキ
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弓の字は月の欠片が
謂
(
いい
)
なれば天から落つる如く矢は地へ
3
チョークを握る指先の白、迷路を辿る指先の黒
7
人間が燃えて彼岸へゆくように棺は燃えて方舟となる
12
疲れ果てはたと眠りにつく君の
駆馬
(
かけうま
)
の
如
(
ごと
)
脚の7の字
8
月光が刃物になって降り注ぎ地球最後の墓石となる
5
ぴかぴかに磨けば鏡になりますか? 月は地球を映しますか?
9
みんなして優しい冬の帰り道
宙
(
そら
)
にはふたつ満月がある
5
この部屋は夜よりずっと暗いです 月のひかりを洩らす鍵穴
11
十二月二十五日の翌日に庭には二羽の鶏がいる
3
前略
驢馬
(
ロバ
)
座はきみの嘘ですね? また夏に会いましょう。 草々
4
屋上に落ちてた靴は軽やかでゴムの臭いが新しかった
9
書類裁断機は紙の屠殺場 ゴミ袋いっぱいの挽肉
7
あの夏はきれいな空がありました わんこの雲が浮いていました
15
十五時に君でない死を悼むため時間通りに君は焼かれる
5
羽ばたいたきみを天使よ捕まえて屋上にまで戻してくれよ
8
香典は愛ではないと知っている マクドナルドのくしゃくしゃの札
3
約束を交わした小指は細すぎてきみの体を支えられない
4
きみとキスした制服で飛び降りたきみの葬式会場へゆく
4
きみを産む三年前にここへ来てきみと同じ海を見ていた
10
ロケットが棺桶に似た静けさでどこかの星にうずもれている
7
前世では月とわたしは友だちで宇宙の終わりを祈ったりした
9
To-Doをすべて投げだし髪切って千年前の虹になりたい
7
部屋の鍵を海に投げた いつか鯨が噴き出すといい
6
駄菓子屋をダガシャーと呼ぶ子らのチャリ 「駄」の字を知らず風は吹いてる
13
サボテンは卒塔婆に似ており名前なき恐竜たちが朽ち切っている
7
『あーなんかみっちゃん死んだらしいわぁ、よう笑う子やったなぁ、手首にほくろあってなぁ、
4
きみがいたブランコで口笛を吹く 蛇に会いたい夜もあるから
7
たぶん寂しいんだと思う、サボテンの棘にほっぺをくっつけてみる
13
天国の御花畑に
蒲公英
(
たんぽゝ
)
はあるのでせうか綿毛はふうわり飛ぶのでせうか
8
首筋の濡れた桜の花びらの真下の痣の青の深さ
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