いしざき
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僕たちがかつて自由であったころ詩は四次元に綴られていた
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昨日まで普通に暮らしていたはずの三十七度五分の怪物
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あたらしい眼鏡が青を遮断して降り積む雪は黄、黃、黄、ひたすらに黃
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今冬こんとうはスノードームに入れたから秋を終えれば暖かくなる
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寝てる間に首にギロチン落ちてきて気付かぬうちに二つになりたい
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ベランダの小鉢に煙を吹きかけて枯れる日がくることを祈るが
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墓碑銘を書かれるような人生を送ってなくてもそれは書かれる
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リモコンを探して家を出てからの五年は長く俺も老けたよ
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日本から三ヶ月間遅れてる地域にいるので今は夏です
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人生の分岐点には猿がいてバナナを投げて道を教える「まだ君は猿に会ってないんだね」老紳士から手紙が届く
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その地域では霜焼けが流行ってて子どもはみんな氷を撫でる
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燭台を持ってトイレに行くような家に住んでた犬の老衰
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冬にだす足の寒さはお布団の存在意義を認めてくれる
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結婚は集団管理のシステムで、なのに幸せで最悪。
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この本は読むと狂ってしまうけどこの国の人みんな読んでる
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きみが寝るときだけ宇宙は消えておりそらのあるべきところにはくう
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6日後に遺言状を書くひとが光風に目を細めてあゆむ
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もう二度と「いいね」されないほど奥に埋まってしまった短歌の墓場
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「七文字を超える言葉はありません」歌人が拒絶したものの例:ルンペルシュティルツヒェン現象
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人間の終端速度(ut)はひとえには定まらないのでひとマス進む
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深夜四時迷惑メールに返事して投げたスマホが枕に埋まる
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幸福のいただきを見る能力があるなら人は絶滅してる
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「駄作、駄作、名作、駄作」陰鬱にトングを鳴らすゴミ収集師
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「刺す」きみはか細い声で包丁を握ったけれど何もできない
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何気なくきみが「いいね」をしてくれて僕の命はまだ続いてる
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「耳かきをさせてくれないひとはだめ、わたしをもっと信用してよ」
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夜空には星ひとつなく何もなく宇宙の広さだけが伝わる
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人類が滅びた夜のツイッター botの定型文が流れる
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TLティーエルにbotだけいる真夜中につぶやく言葉は静寂しじまに溶けて
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ライターが栄えて久しいうつし世でマッチを使うあなたが好きです
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