いしざき
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投稿数
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誰かの犬にフリスビーを投げる 今日をその子の特別にする
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ひつぎには彼岸花ひがんばなめてくれ目覚めざめたらそれをむから
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紫陽花に似た痣をもつ恋人がふと夜に課したロールシャッハテスト
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木洩れ日を集めてきみを灰にする ひかりはたまに暴力になる
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平面じゃ相合傘の棒は壁 だから僕らは放課後に逢う
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きみが歌ならばあたしは恋になる あたしに二音割いてください
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「三年後、キスして。できないなら別れて」
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このうたを詠んだからにはかなしいのだろうなぼくは、かなしくなくちゃ
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割る前のたまごをふっと持つような手つきで触れて、それで壊して
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ぜんぶんなったけど嫌じゃなくて厭選んだこだわりがあたし
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蝶々ってムカつくくらいきれいだな ホチキスで翅を綴じる
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ここが北極ならば花束できみの頭蓋を砕けるのにな
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廃校の百葉箱の内側に謎にきれいな十円玉。
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『永遠』の字を負わされた半紙らが窓から逃げて雷を待つ
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ロキソニンはんぶんこしよ、早く帰った吾子にささやく
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「三重はパフェ、茨城はシャム猫」きみの指が踊った地図が恋しい
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先端が鋭い思いはすべて愛 だってハートは矢尻に似てる
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どうせなら美味しいパフェとか食べたいし今夜は愛とか気にしないでよ
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砂をみな桜に替えた花時計 風とおんなじ速さで落ちて
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こいびとと養老院を抜け出して車輪が雪を踏む音を聞く
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カッターのは曲線を嫌うからHELPはHELLより書きづらいんだ
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浮かぶため速度をあげる飛行機はきみの手首の線を頼りに
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前の子が繭のまんまで死んだのでセックスすれば繭を身籠る
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布団からはみ出た指は寂しくていつもわずかに丸まっている
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オアシスは孤独なのかもしれないね 乾いた海が砂漠だとして
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樹海しんりんの入り口にある死者たちの恋人を知る公衆電話
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Yシャツのポッケに眼鏡をぶら下げた君が読んでる岩波文庫
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海水を両手で掬い離された海の一部の孤独を思う
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太陽があまねく地球を照らそうとどうにもならない孤独がぼくだ
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夜の空きわ立たせるためシャー芯をコンセントへと 冷たい火花
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