いしざき
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睡蓮を水蓮と書く陽気さは結婚したら消えちまったよ
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世の中でいちばん好きな短歌だが自分のなので「いいね」押せない
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ごらんあれ短歌のために作られたピンどめされたいびつな言葉
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さようなら、鳥が飛び交う地平線。ぼくらは街に向かって歩いた。
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『地上波で流しちゃダメな愛なので』常識的な愛だけがある
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飼いイヌが行方不明になったけどご飯食べてる 涙はでない
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ひととして喜怒哀楽で表せぬ感情だけを抱えて生きる
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宝石のかたわらにある石ころが価値を帯びたらかなしい
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お手紙を山羊が読まずに食べるのはそれが恋文であるときだけ
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一昨日の蜥蜴の尻尾が瓶の中ぴちりぴちりと跳ね回っている
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電撃に打たれた犬の肉片がコンクリートに転写されてる
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雪だけが冷たいのだと無邪気に信じていたが氷も冷たい
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月が溶けバターのように地を覆い夜空は月がないだけだけど
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猫のない世界線でも平然とひとは暮らして猫だけがない
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生命の種を手にいれ水をいれすぐに孵化したステゴサウルス
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ひとのない東京駅が倒壊し百年が経ち瓦礫から花
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「あれは虎、あれは狼」世界から未知が消えゆく幼子おさなごが泣く
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ギリシアの哲学者だけハブられた世界会議に俺はいない
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銀河から忘れ去られた銀でない星の行方は南アフリカ
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洪水が来たりて太陽燦々と メントスコーラで吹きあがる蟻
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ゆっくりと煙草の箱にキスをしてそれきり姿を見せなくなった
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寝そべった姿勢のままで手をあげろ腕の重さがお前の寿命だ
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枕を叩きつけ忘れた日が蒼穹のように喉に絡まっている
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親友を検索しても〈ありません〉 犯罪歴があればいいのに
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暗闇は暗闇のまま受けいれて 光で希釈するひとはいや
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親鳥を亡くした雛が巣立つときメリーゴーランドが静かに止まる
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イニシャルがI・Eの人だれか来て 入川いりかわ江威子えいこあなた以外が
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天才と呼ばれたいのに秀才と呼ばれるだけの気だるい曜日
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本棚は夏にみっちり詰まるから 本の命を感じる季節
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太陽が沈む匂いは屋根裏の隅の画集の埃の匂い
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