赤月 宙    フォロー 0 フォロワー 24 投稿数 1072

夏空に雲が流れて 好きだったタルトの名前が思い出せない 

「海を見に行きたい」 と言ったその声が まぶたの裏にまだ残っている 

両の手であなたがくれた さよなら が 僕に光と勇気をくれた 

本棚の文庫を五冊抜いておく (ここらは右心室に相当) 

目も耳もふさいでおいて と言うならば 君の両手でふさいでくれよ 

君が生きていてくれること それだけが ただそれだけが、僕の幸福 

生きようとしてしまうよな どうしても どんなにひどく絶望しても 

満たされたわけではないよ あきらめただけだ神社の枯れた朝顔 

君のことを案じて買った海色の切手シールも減らないままで 

「消えたい」 という気持ちだけがうず高く地層のように 固く積もって 

存在が形に残ってしまうのがこわいと泣いた 透明人間 

ただ生きていくことだけでつらいのに 君を愛するだなんて、とても 

心根の美しいのがわかるから 君のブログがずいぶん怖い 

チョコレート色した君の前髪が夏の陽射しに溶けてゆく午後 

君の背の翼の骨がなおったら 行きたい場所が山程あるよ 

「ああすげえ気持ちわかる~」 つぶやいた 君の視線の先には『GODZILLA』 

風の音はたやすく花も刈り取って (君を愛することすらできない) 

もし僕が明日命を落としても この絵葉書は君にあげたい 

あの日から君に歌って欲しい歌が 僕のなかから消えてしまった 

溺死してたむけられてる花になるくらいだったら泥になりたい 

きみはうつくしいひとです、どこまでも ただどこまでも きれいなひとです 

大好きなひとに名前をつけられて解かれたようにお前は笑う 

感情に名を付けられてうっとりと 少女のようにほほえむお前 

君の手を引いてゆくのは僕じゃないってことだけは確かな、波間 

春風に転がってゆく紙くずが 最も尊い意思を持ってる 

きみたちが たくさん〝おはなし〞できるよう ぼくはとおくで 祈ってるっピ 

花は散る 風も焼かれていくけれど どうか貴方のその声だけは 

この歌で君を切り取ったとしても永遠などには程遠くって 

山際を白く染めゆくあの花を 僕は確かに知っていました 

さよならを告げる誰かがいないのは 僕のひとつの幸運だった