あの日から 許せないことも減ってきて。生きてるだけで すごいじゃないか。 2
やわらかい 真綿のようなその声で 僕はたやすく 狂いそうです 2
「この恋を 黙らせたい」 と 少女は言う 容易なことさ、愛してごらん 2
みずからの 立ってる場所すら 覚束ず 天も地獄も見分けがつかない 3
つらいか、と 訊くだけ訊いて どうせ君は 手を差し伸べて くれないくせに 3
過ぎてゆく ただ過ぎてゆく 毎日が 積み重なってくことすら痛い 4
お姫様のようなレースのブラウスが この世を生きてく勇気をくれる 3
今すぐに きれいな空気の粒になり 君の近くに 飛んで行けたら 4
君からの 手紙が来たと ポストが言う それを見にゆく勇気が出ない 4
ワインとか パンもいらない、君の歌だけを口にし 生きていけたら 2
『ポロメリア』 夕立ち色の前奏が 世界で一番 綺麗な音だ 4
ギターさえ 背負えないのに 僕なんか 君のなにかを 背負えるはずない 3
本当は 「わたしなんか」 とかじゃなく 「わたしだって」 と思っていたい 2
どうせなら 僕の命を代替に 差し出したとて釣り合わないけど 1
〝叶うなら 海が見たい〞と言った子の あまりにも優しすぎる真意 3
かなわない ケースのほうが多くてね 願いも恋も、敵にも君にも 2
陽だまりに 脚を投げ出し微睡んで 人に寄り添う なだらかな肩 1
あのひとは 神様なんかじゃないんだよ スミレの栞を 大切に持つ 2
四方から 僕を呼ぶのが聞こえるので しばらく前から本屋が怖い 2
ポイントを 期限までには使い切ろう 追い立てられる、義務でもないのに 1
あふれでる 言葉の泉に沈められ 溺死しておくべきだったんだ 2
夕空の 〝綺麗〞にいちいち傷付かない 〝普通のひと〞に 生まれたかった 7
「ちりつも」 と やさしいひとは言うけれど 積もったところで、塵は塵だよ 4