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絵を描くのが好きです。短歌は始めたばかりですが、とても楽しいです。

タスクバーが示し続ける現在の天気は京都(ここは東京) 

始まりか終わりなのかは分からないチャイムが聞こえる高校の前 

水張田のような静けさ床下の基礎に打たれた生コンクリート 

ものもらい治りかけてる左目のまぶたに口づけしないでほしい 

朝食にメロンパン一つ買ってある それだけで明日も出勤できる 

街路樹が歩道に落とす影ばかり目で追っている五月の真夏日 

逆向きに取り付けられたトイレットペーパーを引くと時間が戻る 

シンク下を覗くといつも同じ量残して並ぶみりんと料理酒 

地下鉄の窓に映った美しい人を見るため体をねじる 

書店街通りかかって手荷物に一冊分の重さが加わる 

カレンダー捲ると夜景だったので一ヶ月間この部屋は夜 

天空の剣を振るうパーティーに一名追加 路地裏の春 

落とされた頭に残る胸ビレでどこかに飛んでいきそうな鯵 

毒蛇に咬まれた傷を吸うようにバナナの黒いところを齧る 

脊椎も激情もゆるく包み込むスウェット生地の背中はまろやか 

お守りとして一枚のスプリングコートという名の空気を纏う 

なで肩に羽織るジャケット少しずつ脱がされながら行く向かい風 

カッコよく決めた前髪覗いてるパーテーションの向こうに主任 

一斉に咲く花々の勢いに付いていけずにセーターを着る 

春の庭ピンクばかりを咲かせてる 娘二人が嫁いだ後も 

電源を落として未だ温かいノートパソコン抱えて帰る 

お湯の底柚子を沈める手のひらに感じる浮力生きているのか 

二、三日湯船に入れたままだった柚子思い出す帰り道の月 

解体をされてる家の居間だった場所に立ち入る近所の三毛猫 

神妙な顔で去年の映像を有り難がっていた初日の出 

祈るように固く両手を組んでいる十一月を急ぐ人々 

知らぬ間に剪定されていた細道やっぱり少し屈んで通る 

夏過ぎてストッキングを脱ぎ捨てた脚甘やかす黒タイツはく 

寝る前にブレックファーストブレンドの紅茶をいれる程度の悪女 

雨の日に細い階段すれ違う 旅人算を使う間もなく