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絵を描くのが好きです。短歌は始めたばかりですが、とても楽しいです。

去年から吊るされていた一月にようやく時が追いついた 今
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カーディガン羽織って隠す半袖の形に焼けた二の腕と夏
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トイレットペーパーの巻き等倍に戻せば軽く回りだす春
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引越しをするたび連れてきた婚礼タンスも家族であったと思う
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立葵天から伸びる指先に真っ直ぐつまみ上げられていく
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友の名の由来が花の名であると気がついて初夏になる教室
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お別れをしたくないから切り分ける角度鋭くなるパンケーキ
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顔を寄せ小さいフォントで咲いている花にピントを合わせる石段
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水温を確かめるように爪先を差し入れてみるスニーカー 春
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真っ直ぐに駅まで向かう人波の後ろにいつもより光る星
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もうこれで終わりだろうと一週間くらいチューブを絞り出してる
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剪定を終えた木槿の切り口から光が漏れている冬の庭
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冬の木が落とした影の一枝となって静まる黒い手袋
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定年を迎える朝に選ばれたワイシャツの色はミントグリーン
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ひとしきり部屋中の壁を打ち消えた去年の蝿か 壁を打つ音
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いつまでも手首を冷やす袖口の輪に沿ってしみ込んでいる水
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咲き終えてなお真っ直ぐである菊の茎ビニールを貫いている
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正月の蛇口にこびりついている片栗粉 蛸の唐揚げだろうか
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年明けてまず手懐けている活きのいいカレンダー逆さに巻いて
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温かいものに触れたくて三十九°C のお湯でカップを洗う
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空に手を伸ばして秋の日を浴びた靴下一足もぎたてを履く
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豆乳の賞味期限は来年の4月で春は巡るんだろう
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満員の地下鉄を降り満員の信号待ちの日陰に入る
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白日傘軽く畳んで夏の日を終えた木槿の花横たわる
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足元に立ち見下ろせば真っ直ぐに伸びている影のような寝姿
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検診を終えた体は掬われていつもの日々に放されていく
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シャツの背に滑らせていくアイロンの後に広がっている湖
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旅先で着なかった服ひと払いしてから袖を通して出勤
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空に向け小さく息を吐く時の形で咲いていく白木槿
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立葵刈られて露わになっている長方形の東京の土
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