Utakata
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絵を描くのが好きです。短歌は始めたばかりですが、とても楽しいです。
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ひとしきり部屋中の壁を打ち消えた去年の蝿か 壁を打つ音
1
いつまでも手首を冷やす袖口の輪に沿ってしみ込んでいる水
4
咲き終えてなお真っ直ぐである菊の茎ビニールを貫いている
2
正月の蛇口にこびりついている片栗粉 蛸の唐揚げだろうか
1
年明けてまず手懐けている活きのいいカレンダー逆さに巻いて
2
温かいものに触れたくて三十九
°C
のお湯でカップを洗う
4
空に手を伸ばして秋の日を浴びた靴下一足もぎたてを履く
5
豆乳の賞味期限は来年の
4
月で春は巡るんだろう
6
満員の地下鉄を降り満員の信号待ちの日陰に入る
1
白日傘軽く畳んで夏の日を終えた木槿の花横たわる
5
足元に立ち見下ろせば真っ直ぐに伸びている影のような寝姿
1
検診を終えた体は掬われていつもの日々に放されていく
1
シャツの背に滑らせていくアイロンの後に広がっている湖
5
旅先で着なかった服ひと払いしてから袖を通して出勤
0
空に向け小さく息を吐く時の形で咲いていく白木槿
3
立葵刈られて露わになっている長方形の東京の土
2
カラメルは苦手なままだと言う母の隣でいただく濃厚プリン
1
平台の表紙を眺めているだけで広がっていく気がする世界
1
泡立ってカバンの脇からあふれ出て日傘は夏を隠しきれない
5
全開に蛇口をひねる今日からは汗をかいてもよいものとする
7
ウエストを回り続けるファスナーの位置が正午をお知らせします
3
できるだけ会社の椅子を低くして潜水をする 私はいません
7
梅雨入りに備えて今日はとびきりの水玉模様のスカートを買う
2
門だけになった木造アパートに供えられてるコーヒーの缶
3
北向きの窓から入ってくる青い光で洗う染付の皿
0
春の雨ニットベストをひとひらの分銅を足すように重ねる
3
まだ夏になってはいない
私
(
わたくし
)
が黒いタイツを履いてるうちは
8
枯れている紫陽花の色をパレットに薄く溶いてた中三の夏
4
銀杏の木取り払われたその跡に墓標のような丸い止め石
1
チョコレート色したニットの靴下をたくし上げては幹となる脚
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