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絵を描くのが好きです。短歌は始めたばかりですが、とても楽しいです。

まだ夏になってはいないわたくしが黒いタイツを履いてるうちは
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枯れている紫陽花の色をパレットに薄く溶いてた中三の夏
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銀杏の木取り払われたその跡に墓標のような丸い止め石
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チョコレート色したニットの靴下をたくし上げては幹となる脚
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紐付けをされたくなくて現金で支払いをする3時のおやつ
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ぶり返す寒さに揺さぶられていて固まっている蜂蜜だって
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つまを待つ夜の欠片を縫い合わせパッチワークの星空となる
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スーパーにたどり着けずにコンビニで弁当買って帰る花冷え
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ちり紙を丸めたように咲いているようにしか見えない春もある
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この部屋でポトスの葉にも私にも等しく降り積もっていく埃
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洗濯機に履いてた靴下放り込み冷え始めてる春の指先
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た行その他のプレートの棚にいて輝いている最推しバンド
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一輪のユリの重さで落ちている腕明け方の床から拾う
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真昼間の住宅街を縦笛の音だけが行く『喜びの歌』
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つけすぎた鈴ガラガラと玄関で鍵を出すたび祓われている
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逃げまわる赤子のようだ掴めないお湯につやつや浮かぶ丸餅
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電柱に寄せられた雪 ゴミの日が過ぎたのにまだ残されたまま
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カーテンを大きく開けて雪を待つ 警報なにそれ聞いてないから
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ひとつだけシンクに残っているグラス 透明だから気づかなかった
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スチームで何でも解決できそうな気持ちになれる通販番組
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酎ハイの空缶潰して縫い合わせ鎧にしようか資源ごみの日
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二枚ほど使って後は湿気ている退職願を書いた便箋
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椿ならいいのに路地の生け垣の緑に冬の深まりを待つ
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午後2時のコンビニに並ぶサラリーマン達が手に持つ甘い菓子パン
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今までに住んだ街の名記憶するクリーニングのカラフルなタグ
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鉄パイプと一緒に立て掛けられている店先でよく洗われた竹
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ブランケット深めに羽織り震えてるプールサイドのようだオフィスは
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引き出物は漆の菓子器これでまたひとつ揃った茶の間の設備
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目の前に立つ人のウールジャケットにたくさんついてるたぶん猫の毛
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リクルートスーツにチェックのスリッポン合わせて風を切る学生街
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