Utakata
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感覚・空想・生活
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二十九万二千二百五十六年後、元日朝九時前に逢おうよ
(
UNIX時間の果ての果ての果て、すべてのうたのおわりがそこに?
)
30
往来の絶えた通りをからっぽの郵便箱が否認している
11
散りぎわの枝をめぐりて熊蜂は春のなごりをあらためてゆく
15
ゆふぐれの波打ち際にくづれゆくちいさな城のひとかけのゆめ
9
煮ゆるジャムことに誰もが焦げ付いてあまりに昏いフィルターバブル
7
いっぴきのlinterとして本だったものを閲する如月の夜半
8
ねえルンバ、おしえてくれよカンプチアの野原を拓く英雄のこと
6
めし碗のわずかな欠けにくちびるが刺さればそこが日々の聖域
9
涸れ果てた向日葵たちの亡骸を弔うように
嫋
(
そよ
)
ぐ秋風
23
ほんとうを
十重
(
とえ
)
に
二十重
(
はたえ
)
に押し匿すまあるい嘘の博覧会で
11
幾億の時間をへだて星辰はきみの
眼
(
まなこ
)
に叙事詩をしるす
9
条約に隔てられてもなほ海は絶へず微分可能な球面
11
語り得ぬものに
見
(
まみ
)
えるその朝に到れるまでの距離を知るため
6
ちょっとした地雷原だね其処此処に戻れはしない入り口がある
8
潜性の因子ばかりが吹き溜まる第八連鎖群の短腕
5
日輪が地平のしたに落ちてから這い出た夜は焼け跡のよう
10
いくつもの
〓
(
ゲタ
)
がならんだ三世代ほど未来から来たラブレター
4
潮騒は陸地の意味を問い続けぬるい
汀
(
みぎわ
)
はまだ薫らない
9
1/6の重さで駆け抜けて東の海に兎を探す
8
音声
(
おんじょう
)
と
文字
(
もんじ
)
を深くかきわけてまだここにないことばを捜す
11
悪性の
痼
(
しこり
)
を胸に焼き棄てて少し明るい海に漕ぎ出す
7
変わらない悲しみだけをたずさえて二重のまちをわたる西風
13
終わらない闇夜は宝庫そのなかで紡ぐことばにわたしが生きる
10
なんどでも間違えていいそのたびにきみが時間にきざまれてゆく
13
暗がりを抜ける
径
(
こみち
)
にきざまれた階段を降りあの日へ帰る
11
年明けてはじめの朝に交わされたもうひととせを生きる約束
17
一身に春野の風をまとわせて駆けゆく夢を抱く冬ごもり
11
透明なしじまの夜の焦点をそのふくろうは射すくめている
11
この場所にすべての歌を置き去りにしてさよならの向こう側へと
10
風待ちの朝に均しく張りつめた予感のさきに続く航路は
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