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感覚・空想・生活

やどかりはいつも背中にささやかな宮殿を負い浦々を
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アトリエの塑像に影を落とすのはもうはじめから完璧な月
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見つめ合うふたりを分かつ狭間にはふたりを結ぶいっさいがある
5
胸底のつめたく重い炉はすでになにかを燃やすすべを忘れた
5
救われていたいこころと同数の墓標が落とす平行な影
8
リビングのない新居にも慣れてきたけれど毎日「ただいま」という
12
いっさいは無常だなんて説くきみとわたしはなにも変われないまま
7
炎天の夕焼けを負ふ入道はつめたい風を平野におろす
12
あのときは好きだったよと言われても思い出せない色のない春
5
助けられなかったひとの笑みばかり繰り返される当直の夜
8
テクストとタグの溢れた浩瀚こうかんの海に隠れた怪物を喚ぶ
7
いくたびも夢と現を違えたら知らない星座ばかりが空に
6
白骨しらほねの眼窩にこぼつ涙からあしたにあげた呱呱ここの隔たり
9
対称がやぶれてからはもう誰もじふんのツパを思い出せない
2
耂覇へと歩めばひとはすこしずつ頭足類のきもちがわかる
5
愛欲が血潮をめぐり咲く花はこの一瞬を永遠にする
3
ほんとうのさいわいを追う旅路にはいつもあなたがほほえんでいた
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いまはただなにはのうみにみをつくしうきよをかこつきみのよすがに
6
あともどり出来ない日々が絡まってふたりをまもる繭になるから
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あまりにも違うふたりがゆいいつの模様になってきみが生まれた
5
つがいてふかたちを未だ知らぬまま睦むふたりは泉のほとり
4
鏡にはうつらないけどその眼にはあなたを見てるわたしがうつる
5
言の葉をむすんだ枝をそよがせる風をふたたび待ちわびて朝
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ほんとうにわかったやつはみんな往き、わかったふりのやつばかり生き
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わたつみの彼方にしずむ三日月にこの悲しみを託してねむる
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馥郁とひらける薔薇にうずもれてひねもす愛の夢をみている
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この時をあなたは過ごしあなたという位置をあまたの時が横切る
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水底に売るほどあった孤独すらあのローソンが引き取っていき
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水面にナルキッソスのくびは落ち終にひとつのすがたになった
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方眼のマス目を埋めた周期表、水兵リーベはきみの手書きで
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