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感覚・空想・生活

空が手に触れるころにはもう塔を建てる理由も忘れ去られた
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泣くだけで済んでいるのは感情の洪水吐が機能するから
6
幻日のうえを飛ぶ蝙蝠傘とミシンが出会う夜に乾杯
7
双方どちらにもにんげんが居てほんとうの言葉をかわす朝を待ってる
5
そのやうにde-odorantを経たこへになどてかてふの寄らむと花は
4
往来の絶へた通りに立ちすくむ此処で幽鬼になるのだらうか
6
定型は檻ではなくてゆいいつの言葉に出会うためのコンパス
6
おとしものが目じるし春の軒先にいつもつばめを待ちわびている
9
まなこから涙をこぼす猿だけが生き延びられた訳を知りたい
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ごめんねが言えなくなったいつからかふたりのバランスがとれなくて
4
01ゼロイチが織りなす網の端末にかよわい窓を灯すぼくらは
6
アクリルを隔てた空に浮かぶ眼がなかったころの遠い水面
6
指さきを絡めたときの熱だけがひとりの床をあたためている
7
6DoFろくどふの諸手におはす観音が千の世界に伸ばすてのひら
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その先が地獄であると知りながらあの人が待つとびらの向こう
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もういちどひかりを胸にともすからあなたと夜をわかちあいたい
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ゆっくりとを聴くようにあなたから生じる歌を身体にとおす
6
窓枠の外でゆらいだ新緑に埋もれた夢に零すほほえみ
8
この空がつながる場所で報われるべきひとがまだ息をしている
4
頭蓋とうがいがひとつのまんであるならばわたしは餡のすきまで暮らす
4
星を喰いだんだんなんか簡単になったんだから触らないでよ
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いくつもの黒い予感が過ぎてゆき視界の端をちらりと蛇が
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枕頭に置いた歌集よわずかでもミューズの影を引き寄せてくれ
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君も僕もこの世に出でた日の初夜を繰り返してはこのねやうち
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情も景も三十一文字に積み込んでとどいた先の奇跡をねがう
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月面の永久影に住み着いたきょうだいたちは元気でいるか
4
駆けだしてゆくこどもたち公園にたわわに実る可能性たち
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西にゆくことしか知らぬ隊列にいつしか僕の日々があること
8
流星の軌跡が告げるこの空にきみが遺した路のあること
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本宮を終へてしづかにさとびとがにかへるころ冬がはじまる
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