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感覚・空想・生活

ゆっくりと香(か)を聴くようにあなたから生じる歌を身体にとおす
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窓枠の外でゆらいだ新緑に埋もれた夢に零すほほえみ
7
この空がつながる場所で報われるべきひとがまだ息をしている
4
頭蓋(とうがい)がひとつのまんであるならばわたしは餡のすきまで暮らす
3
星を喰いだんだんなんか簡単になったんだから触らないでよ
4
いくつもの黒い予感が過ぎてゆき視界の端をちらりと蛇が
3
枕頭に置いた歌集よわずかでもミューズの影を引き寄せてくれ
7
君も僕もこの世に出でた日の初夜を繰り返してはこの閨(ねや)の裡(うち)
5
情も景も三十一文字に積み込んでとどいた先の奇跡をねがう
4
月面の永久影に住み着いたきょうだいたちは元気でいるか
3
駆けだしてゆくこどもたち公園にたわわに実る可能性たち
9
西にゆくことしか知らぬ隊列にいつしか僕の日々があること
7
流星の軌跡が告げるこの空にきみが遺した路のあること
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本宮を終へてしづかにさとびとが褻(ケ)にかへるころ冬がはじまる
4
薄羽を透(とほ)る陽射しに刻まれるひかりの振れをめじるしにして
7
不可思議をかなえてくれた日々を経ていまはあなたのかみさまになる
4
つばくらめ飛び交ふ軒にわづかずつ光と熱がしみとほりゆく
3
もろびとは産み落とされたその日から引き延ばされた臨終にある
5
たへまなくなゐふるほしでみづどりにいのるうきよにながらへばやと
6
不可算の地層のようにかさなったことばを絶えずめくるゆびさき
8
満月のうらがわにいるきみだけが届く星座で描くものがたり
7
とじてゆくひとつの路(みち)をあきらめてふたたび空に前途を託す
5
生きのびた先の見慣れた青空にいつでも朝がやってくること
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人はパンのみにて生きる肉叢(ししむら)はかくも炭水化物を喰らう
3
連休の青空に干すTシャツに味見をさせる今年の風を
7
いくつかのことばの糸の絡まりを抱き留めたまま頁(ページ)をひらく
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「たうかいね?」「うん、たうたう」と交わされたことばにすこし「たう」ようになる
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埋まらない一語にいつも焦らされてうたのこころは熱(あつ)かひなやむ
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手に取った本の重さで綴じられたことばの海の深さをさぐる
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ゆれている大気をあびる新緑がやがて灼かれるまえの輝き
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