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感覚・空想・生活

「たうかいね?」「うん、たうたう」と交わされたことばにすこし「たう」ようになる
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埋まらない一語にいつも焦らされてうたのこころはあつかひなやむ
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手に取った本の重さで綴じられたことばの海の深さをさぐる
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ゆれている大気をあびる新緑がやがて灼かれるまえの輝き
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逆だったかもしれないねこの朝を見つめるぼくと目覚めないきみ
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最大の創造のためかけがえのないものすべて壊してしまう
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海底の傷に海鼠なまこは息づいてふうわりと降る雪を蒐める
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千万の狂騒を背に西方の空へと還るつばさを借りる
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新宿の血脈をゆくものたちをその眼はけさも品定めする
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縦横に行き交うひとも観客も射すくめている燃える骸骨
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雲頂の波間を越えて蒼天をまどろみながら運ばれてゆく
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いくつかのゴールテープを切りながら今見えている場所とその先
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やどかりにとって浜辺は限りない事故物件が並び立つ街
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なにひとつ法に触れずに縦横に理非曲直を弁えぬひと
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目を閉じて夜雨の奥にかくされた顧みられぬ悲鳴をさがす
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銀輪は草原を過ぐ前かごにきみに見せたい花束を載せ
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大縄に入れぬままに立ち尽くすこどものような就活をした
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このうたがスワンソングになる前に急いでつぎの文字をつがえる
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その像の瞳は既に喪はれ豊かな森に背を向けてゐる
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百億の花粉を載せて春風は鼻腔の奥に受精を目指す
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草花の舞台としてのうつわには咲かない花が落ち着いている
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幾千の衝突を経て肉体は神へ捧げる一瞬を知る
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ビデオにも戦争がありいくつかの戦後をくぐるこの部屋がある
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懇情のこごった杯に浮き上がるはかない花をゆっくりと吹く
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そのせなにちいさな羽のあることを知らない君はあの町を出ない
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耳塚のように建てるか記念碑を恋人らから奪った釦
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ぼってりとした膨らみを幾年か育てているがまだ生まれない
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畳まれたまま開かれぬ手紙には始まりのない物語たち
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米の死体+魚の死体 結ばれたふたりは幾度世界をめぐる
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猛烈に長いワンライナーを書く途中入社の強気な彼女
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