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感覚・空想・生活

群来くきに沸くみなとかもめに問うまでもなく網打ちはずしりと豊か
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たまらない残高もはや日経はおれの家計と連動しない
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パレットに色彩を置きシェフは立つアルチンボルドのような姿で
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横溢にゆれるリズムを取り戻す予感に満ちた燃える朝焼け
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はじめてのことばはなんだったろうか世界にあいさつをしただろうか
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その板は世界をうつす見られたいあるいはあなたが見たいほんとう
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寝床にてはじめて知った無意識で啄木鳥になるあなたのことを
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その先に続くことばはみとめない最後のさようならにはしない
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あしたからゆうべにかけてひたすらに三十一文字を塗り込めて、はし
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中枢を持たないがため永遠をたゆたう君はさびしくないね
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ひとくちを我慢したからひとつだけ未来に淡い信頼を得る
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パターンのなさにこなれてくることも一つのパターンだった早春
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何らかの麻痺毒として観てしまう海のむこうの選手の知らせ
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ギッチャリの意味がみんなに通るほど治安の悪い街に棲んでた
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喫茶去の実践としてカフェモカをニルギリにしたまだ遠い朝
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「文庫」という行き先がある東京はすこし文化だなあとつぶやく
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前向性健忘になり毎日が一目惚れから育たぬ恋に
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「その位置で切れるん?」隣の白ギャルが唯一食いついてきた思い出
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1%のtaxonなどは頬寄せる母子の情を前にして誤差
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宣伝を届けるために昼前の五分を校正時間に充てる
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食感が忘れられずに新品を家族会議があるたびに噛む
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鈍行も停まらないその停車場にたたずんでいる赤い靴には
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臆測の結果10円足りなくてわたしに還る重いラブレター
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感触をひらくことばになぞられて暗いほのおに灯る輪郭
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「産み増える」ことの最適化のせいでいまこの場所で絶叫をする
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部屋にいても無視されるのでおまえらの娘をせなに密林をゆく
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ひんがしのみやこのとなりうららかに花さきたまのしらせをたのむ
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「エレジーがある」といわれてしばらくはやや不審げに眺めた卵
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そこにいる、いないは理由ではなくてここで祈れることがほんとう
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「ちいかわはどこ?」ときかないおさなごを平たく睨む旧きものども
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