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感覚・空想・生活

mammalの烙印として疎ましく二つの丘を抱えて生きる
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mammalの象徴として誇らしく二つの丘を抱いてねむる
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あのひとは来ない器の片方で静かにロゼの酸化は進む
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聖域のない改革が訪れて街から声がいくつか消えた
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両肩に載せた速度と重さからひとつの解を繰り出してゆけ
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溶媒のあわいを定め舳先からともはひとつの匕首あいくちとなる
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別れ際約束をしたこの道をもう一度ゆきを迎える
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陸塊はつめたいふすま 天球をベッドメリーに詩人はねむる
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軍役を退いて世界のすみずみで見落としのない掃除夫をする
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来春に扶養控除の欄からはひとりふたりと家計が巣立つ
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生活に除算をかさねきみだけに心を砕くためのフレーム
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夏のきみに花火の色を知らされていまはベテルギウスの赤色
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去年から無人のホームこの場所を出るためにあと二年は通う
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ため息の数だけ逃げた倖せもどこかに吹き溜まっていてくれ
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いろいろと思い描いていた中でいちばんすごい世界の終わり
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自己愛を育んできたどうせモノ、モノだって眼に見守られつつ
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何人にも求めはしない充分にわたし自身をねぎらえている
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4卓に呼ばれるたびにお寺からもらった水を空席に置く
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手元にはいつも合わない鍵ばかりきみのこころを開けずにいる
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完成にかけた時間の大半は消えたピースの捜索の日々
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目的の違うハサミをおとうとは同じかみなんだからとかざす
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ことさらに矯正された記憶もなく持ち手を向けて手渡していた
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同列にされてばかりで天才のように研ぎあげられた鋏も
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うたごえを幾つも投げて蝙蝠のように詩性を定位している
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唯一のご主人様を持たぬまま仕えることに仕えるわたし
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泣きながら聞いた浜辺の波音に楽器のような螺旋をこぼす
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ほんとうにドアがつめたい昨日から誰もここには帰らないので
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あのガムの絵柄を馘になってから雪原よりも白い経歴
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教室のパースはいつも静謐にジュブナイルを舞台装置に
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火花もなく滴り落ちることもなくいま燃えつきたきみを忘れじ
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