Utakata
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感覚・空想・生活
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別れ際約束をしたこの道をもう一度ゆき
☍
(
衝
)
を迎える
4
陸塊はつめたい
衾
(
ふすま
)
天球をベッドメリーに詩人はねむる
3
軍役を退いて世界のすみずみで見落としのない掃除夫をする
3
来春に扶養控除の欄からはひとりふたりと家計が巣立つ
12
生活に除算をかさねきみだけに心を砕くためのフレーム
4
夏のきみに花火の色を知らされていまはベテルギウスの赤色
5
去年から無人のホームこの場所を出るためにあと二年は通う
6
ため息の数だけ逃げた倖せもどこかに吹き溜まっていてくれ
10
いろいろと思い描いていた中でいちばんすごい世界の終わり
4
自己愛を育んできたどうせモノ、モノだって眼に見守られつつ
3
何人にも求めはしない充分にわたし自身をねぎらえている
7
4卓に呼ばれるたびにお寺からもらった水を空席に置く
6
手元にはいつも合わない鍵ばかりきみのこころを開けずにいる
8
完成にかけた時間の大半は消えたピースの捜索の日々
9
目的の違うハサミをおとうとは同じかみなんだからとかざす
5
ことさらに矯正された記憶もなく持ち手を向けて手渡していた
4
同列にされてばかりで天才のように研ぎあげられた鋏も
4
うたごえを幾つも投げて蝙蝠のように詩性を定位している
5
唯一のご主人様を持たぬまま仕えることに仕えるわたし
6
泣きながら聞いた浜辺の波音に楽器のような螺旋をこぼす
7
ほんとうにドアがつめたい昨日から誰もここには帰らないので
9
あのガムの絵柄を馘になってから雪原よりも白い経歴
4
教室のパースはいつも静謐にジュブナイルを舞台装置に
5
火花もなく滴り落ちることもなくいま燃えつきたきみを忘れじ
6
唇の産まれる前に蛭は居て斯様に肌を吸っただろうか
3
斐伊川は
鉄穴
(
かんな
)
を洗いくろぐろと
木次
(
きすき
)
の里の雪にあらがう
6
北方の荒野に鋤を差し込んだ
兵
(
つわもの
)
たちのほそい踏み跡
5
お前というしもべのことをついさっき「人間」ということを知ったが
3
胎内に動力を得た白鳥もその湖面には縛られたまま
5
天辺で燃ゆるカペラに豊穣を託して葡萄園は密やか
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