Utakata
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感覚・空想・生活
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毎日を暮らす推力は得たが、あこがれのない大人になった
4
遠ざかる寝床でおなじ夢をみるふたりを繋ぐほそい音信
5
うに「うに」でピカチュウ「ピッピカチュウ!」ならば、おれはなんと叫べばいい
3
まっすぐな思いを込めて込めるほど理想からよれていく図柄
7
吹き込んだニトロを喰らいマフラーから雄叫びをあげ死地へと
疾
(
はし
)
る
3
自分だけ愛すればいい?そのうたに小さな翅があるということ
3
鍋肌におとす一滴立ち上る香りに少し浮ついた腰
3
大鍋をかこむ旅団の尖兵はふつふつと煮ゆ具材をにらむ
2
戦争とヒーローとあの災厄とあらゆる像を巨龍は背負う
2
鎌田からその災害は丸の内に屹立せらる巨像に至る
2
あらそいは溶岩のよう怪獣と明神礁のむこうに消えて
2
「人道に配慮しながら戦争をする」というおぞましい矛盾
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かなしみは迷路をすすむ毎日は解かれぬままに訪れる冬
5
多島海に抱かれ泣いた瞬間に胸いっぱいのかなしみは塵
4
悲しみは地層となりて石塔は怒りをはらみまっすぐに
天
(
そら
)
5
人肌を知らぬけものであるままに二十一度を下回る部屋
6
端末を手に持っていた時代には視界に浮かぶアイコンはない
3
ちいさい秋すらもないまま汗ばんだ落葉を踏むつぎの日は雪
10
靴流通センターに来てつま先を流通させるひとを眺める
2
外界を遮絶するこの殻ごしに寒い世間をやりすごしたい
5
列状に産みつけられた鈍色の粒……春を待つ三点リーダ
4
各々の出自を抱き小魚はすくすくと知る潮だまりの世界
6
存在をやっているという感覚 やらされているという感覚に
4
無害だと承知しているけど食えぬ培養液で生まれたユッケ
4
肉欲は満たされぬまま鶴橋のとびらは閉まり桃谷へ去る
3
ししむらの境目を知るおさなごは柔い温度のただ中で夢
5
墨一滴垂らしたように溶媒に淡い悪意が加えられ、霧
7
黒点を追い駆けつづけ明後日の太陽風に帆を立てる舟
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距離をとることを許さずいまここにおれを縫い止めるほそい結晶
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抽送はリズムと熱を隙間なく満たしぼくらは音楽になる
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