ef ⍨
148
113
投稿数
1330

感覚・空想・生活

コーパスを気圧す筆致に耐えかねて拡充される短歌空間
6
確率をずらす量子とわたくしの六方最密充填の恋
4
あのドアがたまたま閉じなかったのでただ今ここで息をしている
8
くちびるを覆う刹那に駆け抜ける甘さはグラブジャムンを超える
6
甘いらしいその爆薬を敷き詰めてお菓子の家を灰燼に帰す
5
くらい眼で洋菓子を売るコンビニのサンタとおれを救ってほしい
3
みてごらん冴えた聖夜に祝福のない弾道が飛び交っている
7
ひとりにも慣れすぎていて翌朝の安いチキンを待ちわびている
5
ひんがしへ干潟をすすむ引き潮と光の海をひらきつづけて
5
にょっきりと如来は立てり繞堂にょうどう如法暗夜にょほうあんやの女僧はすすむ
3
みてごらんlとrの舌先の居場所を告げる矢状断面
6
君だけのことばを統べよ冠はその指先にもう触れている
6
実像はいずれかひとつ偶然を王手をかけて収束させる
2
永遠をふたりで誓う時すらもこっち見ないでRTA
3
蝋燭を虚数本だけ吹き消して現れいでたディラックの怪
6
効いてくるたびに心も物質にすぎないことを突き付けられて
6
PTPシートの数が増えていき危うさだけが静かにつのる
4
二人称がずっと「オタク」の翻訳が読みづらすぎて入れぬ世界
3
えっマジで?アタシもかなりオタクだよ?家にオシロも三台あるし
4
この胸に誇りをもって掲げるはかつて蔑称だった三文字
3
東京のくらい廊下で置き去りの小箱をひろう虚無い夕暮れ
3
運命の輪をなんどめかくぐるときもう戻らないあなたのことを
6
有名な歌人になれよその声を地獄の底で待っているから
4
電線を楽譜のようにしたいからムクドリたちは耐えているだけ
8
赤道から舌先までが舶来のモノカルチャーの結晶の旅
2
半世紀前あなたの置いたベラボーは都市の基準となってぼくらを
3
年末を追い立てているライオンのような画面と向かいあう夜
2
摂動にゆらぐふたりをひそやかに見守っているラグランジュ点
3
青空を突き刺していくあるじなき天守をかこむ木々の彩り
4
いのる手がつくるひとつの平面がわかつふたりの仮定のわたし
4