Utakata
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感覚・空想・生活
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コーパスを気圧す筆致に耐えかねて拡充される短歌空間
6
確率をずらす量子とわたくしの六方最密充填の恋
4
あのドアがたまたま閉じなかったのでただ今ここで息をしている
8
くちびるを覆う刹那に駆け抜ける甘さはグラブジャムンを超える
6
甘いらしいその爆薬を敷き詰めてお菓子の家を灰燼に帰す
5
くらい眼で洋菓子を売るコンビニのサンタとおれを救ってほしい
3
みてごらん冴えた聖夜に祝福のない弾道が飛び交っている
7
ひとりにも慣れすぎていて翌朝の安いチキンを待ちわびている
5
東
(
ひんがし
)
へ干潟をすすむ引き潮と光の海をひらきつづけて
5
にょっきりと如来は立てり
繞堂
(
にょうどう
)
に
如法暗夜
(
にょほうあんや
)
の女僧はすすむ
3
みてごらんlとrの舌先の居場所を告げる矢状断面
6
君だけのことばを統べよ冠はその指先にもう触れている
6
実像はいずれかひとつ偶然を王手をかけて収束させる
2
永遠をふたりで誓う時すらもこっち見ないでRTA
3
蝋燭を虚数本だけ吹き消して現れいでたディラックの怪
6
効いてくるたびに心も物質にすぎないことを突き付けられて
6
PTPシートの数が増えていき危うさだけが静かにつのる
4
二人称がずっと「オタク」の翻訳が読みづらすぎて入れぬ世界
3
えっマジで?アタシもかなりオタクだよ?家にオシロも三台あるし
4
この胸に誇りをもって掲げるはかつて蔑称だった三文字
3
東京のくらい廊下で置き去りの小箱をひろう虚無い夕暮れ
3
運命の輪をなんどめかくぐるときもう戻らないあなたのことを
6
有名な歌人になれよその声を地獄の底で待っているから
4
電線を楽譜のようにしたいからムクドリたちは耐えているだけ
8
赤道から舌先までが舶来のモノカルチャーの結晶の旅
2
半世紀前あなたの置いたベラボーは都市の基準となってぼくらを
3
年末を追い立てているライオンのような画面と向かいあう夜
2
摂動にゆらぐふたりをひそやかに見守っているラグランジュ点
3
青空を突き刺していくあるじなき天守をかこむ木々の彩り
4
いのる手がつくるひとつの平面がわかつふたりの仮定のわたし
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