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感覚・空想・生活

あらそいは溶岩のよう怪獣と明神礁のむこうに消えて
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「人道に配慮しながら戦争をする」というおぞましい矛盾
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かなしみは迷路をすすむ毎日は解かれぬままに訪れる冬
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多島海に抱かれ泣いた瞬間に胸いっぱいのかなしみは塵
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悲しみは地層となりて石塔は怒りをはらみまっすぐにそら
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人肌を知らぬけものであるままに二十一度を下回る部屋
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端末を手に持っていた時代には視界に浮かぶアイコンはない
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ちいさい秋すらもないまま汗ばんだ落葉を踏むつぎの日は雪
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靴流通センターに来てつま先を流通させるひとを眺める
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外界を遮絶するこの殻ごしに寒い世間をやりすごしたい
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列状に産みつけられた鈍色の粒……春を待つ三点リーダ
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各々の出自を抱き小魚はすくすくと知る潮だまりの世界
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存在をやっているという感覚 やらされているという感覚に
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肉欲は満たされぬまま鶴橋のとびらは閉まり桃谷へ去る
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無害だと承知しているけど食えぬ培養液で生まれたユッケ
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ししむらの境目を知るおさなごは柔い温度のただ中で夢
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墨一滴垂らしたように溶媒に淡い悪意が加えられ、霧
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黒点を追い駆けつづけ明後日の太陽風に帆を立てる舟
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距離をとることを許さずいまここにおれを縫い止めるほそい結晶
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抽送はリズムと熱を隙間なく満たしぼくらは音楽になる
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#FFFFFF純白の画面をみつめ思い出す刻みわすれたCtrl+Sコントロール・エス
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観客を失う劇に満たされた無音、あるいはホワイトノイズ
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役牌はぬるりとこないその🀆は実のところはほんとうに予備
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段ボールだらけの部屋と未分化のふたりを屋根が見守っている
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とめどなく心に当てる板金をレジリエンスと呼んでいること
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殴られた痕は消さない王国をその形状を記憶している
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聖も邪もすべてを歪め貪婪に凹面鏡は世界を喰らう
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個体として全うされよ透明なイクラを熱い米つぶに載せ
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あかがねの月ひと粒を嘗めながら花郎人形ファランドールは高らかに舞う
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ジングルを一節聴けば甦る午前三時のハガキ職人
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