Utakata
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感覚・空想・生活
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ししむらの境目を知るおさなごは柔い温度のただ中で夢
5
墨一滴垂らしたように溶媒に淡い悪意が加えられ、霧
7
黒点を追い駆けつづけ明後日の太陽風に帆を立てる舟
7
距離をとることを許さずいまここにおれを縫い止めるほそい結晶
6
抽送はリズムと熱を隙間なく満たしぼくらは音楽になる
4
#FFFFFF
(
純白
)
の画面をみつめ思い出す刻みわすれた
Ctrl+S
(
コントロール・エス
)
5
観客を失う劇に満たされた無音、あるいはホワイトノイズ
4
役牌はぬるりとこないその
🀆
(
白
)
は実のところはほんとうに予備
4
段ボールだらけの部屋と未分化のふたりを屋根が見守っている
6
とめどなく心に当てる板金をレジリエンスと呼んでいること
4
殴られた痕は消さない王国をその形状を記憶している
6
聖も邪もすべてを歪め貪婪に凹面鏡は世界を喰らう
5
個体として全うされよ透明なイクラを熱い米つぶに載せ
7
あかがねの月ひと粒を嘗めながら
花郎人形
(
ファランドール
)
は高らかに舞う
7
ジングルを一節聴けば甦る午前三時のハガキ職人
6
鐘楼は街に根ざして毎日のくらしと時を共振させて
6
夜通しで魔王を斃し翌朝の眼の奥を指す日差しをにらむ
7
掃除機でリセットされた世界には半日ほどのほんとがあった
9
青春は「スマブラ」じゃなく「だいらん」で「エフエフ」じゃなく「ファイファン」だった
4
五年ほど外にでていた海はひろい、何の成果もなかったけれど
5
万人のおすすめばかり流れ来るここはマスプロダクションの果て
4
資本主義世界のもとで高らかに買い物ブギをかき鳴らす指
4
君と暮らすただそのためにショッピング枠を
30
万円増やし
6
コンビニできみの世界につながったA4二枚を携えて、空
4
こんなにも、こんなにもわかりやすく見せつけた愛、見落として君
4
幾星霜隔てた地から新年をライスケーキを重ねてねがう
3
ひとつぶの遺骨を噛んで遂に知るおまえがおれのケーキだったと
3
ひとかけのケーキのように簡単にこの感情を飲み下したい
6
蝦夷鹿も熊もすべてを骨に帰す菌床は知る大地のちから
5
その部屋に置かれた林檎その色はまだ獰猛な名前を背負い
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