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感覚・空想・生活

取られるとわかっていても家からの駒でやりたかった初手王手
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野ざらしに斃れてもまだその腕とまなこは空に挑みつづける
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北からの目線をよそに足早に都は白のかんぬきをする
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おまえほどおれは忠実には待てずこうしてひとり雑踏をゆく
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百円を入れてしまって最後まで話しきろうと話題をつなぐ
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ほんとうにひとが出るので履歴書は手書きでいちまいだけを書きたい
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嘘のない3d6に明日からの遠征先を委ねてみたい
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節分に空挺団は降下するその隊号はGlycineグリシン maxマックス
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亡者らをひさぎ御堂筋線は二つに裂いた地獄への道
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そういえば角があるのは草食できみらも藁を食むのか鬼よ
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盗まれるつもりで置いたその傘で浴びた不幸がたくさんあった
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この場所に戻って来れて結ばれたえにしが告げるアナザースカイ
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そういえば封筒入りの現ナマはあのアルバイトでしか見てない
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足取りに摩擦はなくて道行きは無限遠まで等速のまま
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戦場でその呼びかけに答えればきっとわたしは死ぬが、それでも
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どこまでもしじまの満ちた斎場に早く鳴らしてくれよテッテレー
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幾段をかぞえることは諦めてこの一段をなんどでも踏む
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もう深くあきらめており「もう二度と」言った数だけ積み上げている
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熱帯を破れ地軸を振り回せ北回帰線を振戦させろ
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鮫だったことはないけどおたがいが肌交わすたびやすられている
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もういやだ憂い・怒りと絶叫があまりに反響し合う空洞
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あかぐろくぬめ銃把じゅうはを握らせて「もういやだ」って?おれもそうだよ
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シンプルな力学をまた受け容れてもういやだすら言えないでいる
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しらんけどそこの隠喩の標的はもっと狭めてええんちゃうかな
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あのうたのおかげでいつもあの場所は午前二時には人垣が立つ
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冷え切った星の終わりの質量を告げる幾星霜の明滅
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あたたかい光にうすく延ばされた冬のとばりのむこうを思う
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すんなりと結ばぬ像を追いかけてこのトレイルを信じていいか
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レッテルで形状を得たいまここのきみの痛みは痛みでしょうか
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うずもれた記憶の先の教室で誰も知らない下人の行方
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