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感覚・空想・生活

木星にたどりつく日の人類はひしめく渦にはしけをおろす
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網膜をパレットにしてカンバスは光、空気をわたしにえがく
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二値的デジタルに進む季節がもてあそぶ適応域のせまい人間
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星辰にうずもれているきみの名は可視光外の色でかがやく
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せめぎあう大気が描く前線は焼き上げられた陸地をなぞる
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磐座いはくらもさざれにほどく伏水の出で来る世にはささのあるらむ
6
ひと漕ぎを重ねるたびに遠ざかる無可有むかうの郷のほそい桟橋
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ふかぶかと泥炭層が吸いこんだアイラの風が喉奥に吹く
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運ばれていればいつしかたどり着く浜辺の色を夢む椰子の実
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はじまりの朝にいだいた熱量のいくらかは散り速度になった
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まんまんちゃんあんをしてから食べなはれワイは浪速のアンパンマンや
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悩むのはわたしばかりで遠浅の渚のさきで笑うあなたは
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重力にあらがうぼくがあらがわぬきみに満たしたかりそめの海
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公転をやめてボイドに踏み出したちいさな星はもう惑わない
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客電が点かないままに僕らごとエンドロールに巻き取ってくれ
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捨てられないかばんの底で錆びついたもう帰れないあの部屋の鍵
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夕闇は加速をつづけひたすらに熱を南に追いやっている
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細やかにわかれた道とその外に歩んでいったともがらはいま
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蝉すらも焼き殺されて沈黙と炎熱だけがのこされた秋
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譬喩のない痛みのなかで生き物はただまっすぐに赦しに縋る
5
ひと夏の堕落のあとに咲く花はまだ誰からも赦されてない
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「竹笹も花実は咲いてから死んだ」めざめるたびに何度でもいう
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ゆびさきをにぎるあえかなもみぢ葉の温度にぼくが分かたれている
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パーティーが終わればひとりまたひとりしずかな影の一片になる
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引き潮が戻らぬままに荒磯の蟹は遠くの汀をおもう
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心臓が刻むリズムに棲みついた魔にゆるされたうただけがうた?
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降りたいものから降りて、登りたいものに登り、東へ
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もうみんな沈んでいったぼくだけがつめたい海の浮標になった
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汚れてもいい服装で来たのならあとはおとなをぬぎ捨てるだけ
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趣の一字にぜんぶ託せたら三十一文字も苦しんでない
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