月着陸はやらせだったという映画 一緒に見たね十一の冬
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初めての恋と覚えし君のこと いつか消えてしまうのだろうか
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苦しみが 来る日来る日も 続くなら 今夜限りの 命どもかな
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風耐えど 枯れて散りゆく ものならば 若葉のままに 散りてしまわん
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見慣れない 寝癖つけ走りくる吾子の 涙の跡を見ぬふりし抱く
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二人きり向かうちっちやな宴なり喜寿を迎えし夫の白髪
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初詣 君との永遠を 願いてし 大学入試 七日前かな
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それぞれに持ち主の子の夢色に染め上げられているランドセル
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花を掬うみたいにわらうあなたが夜 隠した孤独が愛おしかった
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神様がうっかり空を引っ掻いてできた傷から漏れる夕焼け
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哀しみも今の私の一部なり 焼きたてのパン切り分ける朝
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明日こそ 七時に起きる そう告げて 翌朝十時 発狂す
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大福をひと食みしては茶をすする 老夫婦ふたりの春の可も不可もなし
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rm -rf /*をぼくにうちこむ
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踏みしめる薄氷まるでチョコレートさながら私お菓子の兵隊
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悲しさとは 笑顔があるから あるのです 世界が途方に 暮れてしまっても
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帰り道 友と古着屋 来てみれば 安値だけが 目につく私
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聳え立つ 頂上出づる 日の出背に 鷹の麓に ナスの煮浸し
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背後母 兄弟たちで ゲームする 皆こんなに 大きくなったよ
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記念日に 親孝行にと 花束を くれたいろいろ 少しは返せた?  
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縁側で三つ編み結ひし母の手の熱を帯びゆく幾春ののち
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母よりも祖母の厳しき朝げ前玄関掃除いつもさせられ
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とりどりの布で作りしお手玉や 祖母の手さばき鮮やかなりし
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闇にいる あなたの気持ちわかります、いつまで経てど終わらぬ吐き気
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風に乗り空より落つる風花を飽きずに掴む子は小さき手で
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賑やかな孫らの歓声来てみれば指さす先の部分入れ歯よ
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同世代訃報の多き昨今を馬耳東風に、生きてみている
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憂きことはあれど仕舞いてデイケアで体動かし心弾ませ
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深い夜 すべての時間が 押し寄せる たたかう力が 僕にはまだない
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搜すあて会うつてなども閉ざされて屋根からの雪ドドドっと落ちる
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