行き来する寒波に 翻弄される我らをよそに 春季の花は咲く
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待望の1号4番候補なら期待は大に「あっ目が覚めた」
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教室を出たらもうサヨナラだから第二ボタンをグッと握る
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嘆かせし藤の枝垂しだれに涙落ち紅雨こううの空は我が心似て
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ビデオには 幼きわれと 亡き祖父と 粗い映像の古き思ひ出
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さき手を するりと抜けて 風船は 春風にさらわれ 空を舞い
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椀 三つ 久々煮込む 「つみっこ」を 一つ供えて 息子と夕飯 /つみっこ(方言?) = すいとん
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迎へるは 黄色い拍手 風に揺る 左 水仙 右にレンギョウ
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桃色の こぶしの花を 愛でた妻 天仰ぐ我 頬打つ氷雨
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草は伸び ともしびもなく 寂しげに あるじの帰りを待つ 古い家
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月遅れ 桃の節句に 飾る雛 君と嫁ぎし 高砂人形
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咲ききればられる定め古桜ふるざくら何も言わずにただ咲き誇り
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ほころんで 寒さに止まる 桜たち ダルマさんが 転んだ状態
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桜木の並木に降るる花吹雪古い団地を淡く抱いて
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パン、トマト、チーズ並べて新しい4月の朝は異国の如く
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ころもかりぎぬくづる花争へ流鏑の音 正鵠を逸す 
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海外で ツ と シ は笑顔の記号だと 知ってから見る ツツジ にっこり
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気の早い初夏の風吹く通学路夏服のよなミズキの白よ
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ハリウツド・キネマ・パラダイス。亜麻色の髪の靑少年ゆ離れきて
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「執行猶予零年異議なし」「なし」口揃へ謳ふ――死刑
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みどり萌え長き病と決別しメロンを食し君は旅立つ
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気がつけばあたりは若葉の頃となり桜を探し過ぎにし日々へ
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行きしなは我振り返り帰りには妻振り返るふたり来た道
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のんびりと愛犬いぬの寝顔を見て過ごす 穏やかな午後まだ生きる意味
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蒲公英タンポポの綿毛を手にし風を待つ三歳みとせの孫の眼には青空
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見渡せば木立の中の木漏れ日に白きシャツ着た在りし日の夫キミ
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ネモヒラは地平の果てまで淡く咲き蒼き海へと溶けて重なる
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お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
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徒桜あださくら 一まい一まい 降りてくる 絶望と 希望にゆれる メトロノーム
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しがらみと恨みつらみのぐるりなり波打つ義理を情と見まごう
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