美月てんみ
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初心者です。
短歌に出逢い、言葉を紡ぐことがとても楽しく美しいことだと知りました。

二時の列 「クジラ」に君の「ラーメン」は決着つきて煮干しも薫る
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深夜二時肩を落として灯を求む 冷蔵庫より小さき「おかえり」
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春冷えに白く膨らむ花たちを束ねて行かむ清き風待ち
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氷雨ゆき軒の下こそ暖めつ 虹の青いろ冴へ冴へと見ゆ
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羊羹の栗大き方きみに遣りふと手の触れし春炬燵かな
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放課後も解けぬ問題 青ペンは数式よりも君の名なぞる
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浅瀬ゆく小石の光り掬わむと水に透くる手幼き紅葉
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振る袖を羽根とぞ広ぐ青き君 舞ひ立つ時を今と知るらむ
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鼻の粉さえ厭わずに口つぐみ羽根こそ狐と君の焼き上げ
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切りたての君がショートの襟足よ 春空仰ぎ吾頬赤め
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肩触れつ 春待ちバスは宙を駆け無限の星をひとつずつ巡る
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宵闇を兵おび緩め歩の進む 金魚片手に繋ぐ父の手
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春想ふ 砂の丘へと伸びる影 そっと繋ぐ手熱を帯びゆく
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握る手は嘘なきものよ 終電に 息の白さと「またね」の蒼と 
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花ひとつ新芽に咲けるサボテンの 人の痛みに寄り添わむとか
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オレンジに背を染められし 縁側で編む手を止めて微睡む午後よ
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父の歳追ひこす春の来むとする 遺せる文字の飛龍のごとき
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カップへと琥珀の滴る音さへも 君待つ時を満たしてゆかむ
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満ちる月 炬燵に入りて 羊かんを 栗の寄りしぞ君へと分けむ
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「オレンジのスノームーンよ」出窓から夏目漱石的に伝えむ 
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若草の泉に寄り添ひ陽に向かひ 雲雀と歌ひ風とそよげる
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内なるや鬼にも五分の魂よ 熱を知るほど生きむとせむか
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碧色のコップの欠片よ 夜を更かし 血に染まる指じっと眺むる
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ブラックの苦味覚へし冬の来る 片方だけの揃ひのカップと
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痛みさへ消えゆかむかな 微かなる 蜜の香りか君の刺しあと
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遠ざかる特急見送るポケットで入場券はチクリと刺さる
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母の背を追ひ越し時ぞ誓ひけり 嵐の日こそ傘をさすらめ
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濯ぎてむ 雪に埋もる言霊を 夜明け前こそ君に捧げむ
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天の泣く そのひと粒を堕天使の 指震わせて掬わむとする
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水曜の美術館前 横顔よ 佇む君の頬にひとひら
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