葬列の 家族の空に 百舌鳥もずは鳴く 血鎖滅び 高鳴く谺
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幸薄き 老婆死して 俄雨 シャイロックどもの 長き葬列に
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流れ去る 終電のひと 見送りて 置き去りにされし こころ畳む夜
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濡れていた 私鉄の街角 別れし日 あの夏の小雨に 声もなくわれは
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とんがらし色した夕陽落ちる秋若かりし日の驕りにも似て
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やがてまた 曇り空暗く 降りかけて 秋雨の舌に 今朝も冷たく
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この朝に 降るほそき雨 濡れながら 冷気胸に吸い 生き直せしあした
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足早な 思い思いの 夕暮れの 人の列にかかる 秋雨の寂しき
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銀杏舞い 舗道の子らは 落ち葉蹴る 襟立つ冬の背 追風のなかに
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越えていく 雲も見えざる 万葉の 風に雪崩なだれる 紅葉もみぢの峠
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一陣の 旋風つむじ舞いく 駅伝の 野菊揺らして 秋走るひと
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病床で歌う「ふるさと」ゆるやかに かのやまの忘却わすれゆく人
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道端の無人の店にて「三袋で三百円」と銭箱へ入る
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『八十五歳の訪問診療医』なる鴎一郎氏は森鴎外の孫なり、励まされたり
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綺羅星きらぼしの空に耀くはずもなし。「綺羅、星の如く」と切りて読むべし
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和蘭語の「オテンバール」の当て字とふ『御転婆』なれど媼にあらず
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をさなごの〈絶対語感〉をつちかへとふ外山滋比古の説にむべな
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秋深し隣地に基礎工事はじまりて突貫工事は暮れまでの由
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それとなくナッジ理論をひそませて健診のあとで養生訓を垂る
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小菊咲く立冬の庭にサルビアは種散らしつつ咲き続けをり
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立冬の東の空に浮かびたる眉月の下に明けの明星
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来し方を客観視して我が身さへセルフナッジで現在いまを励ます
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寒冷が 空を冷やして 雲高く あお澄むほどに 秋は深まり
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十一月十一日の初雪とは今年も津軽は大雪なるか
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氷雨ふる薄暗き庭をながめつつ温き書斎で読書三昧
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初雪に甘さの増ししプチトマト、ひび割れせしもランチの皿に
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『100分de名著』にちなみ実践す吾が健生塾では『スマホdeナッジ』を
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小春日にベランダカフェの椅子あらひ小屋に収めて雪にそなへむ
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「言葉による演技」とふ渡部氏の説にならひ三十一文字にて演じてみせむ
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序詞や枕詞にみちびかるる和歌の仕掛けに演技さへみゆ
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