見渡せば木立の中の木漏れ日に白きシャツ着た在りし日の夫キミ
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ネモヒラは地平の果てまで淡く咲き蒼き海へと溶けて重なる
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お経より ボレロがいい と言っていた 父の墓前で 15分間
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徒桜あださくら 一まい一まい 降りてくる 絶望と 希望にゆれる メトロノーム
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しがらみと恨みつらみのぐるりなり波打つ義理を情と見まごう
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薫風にいだかれながら 葉に一つ 月下美人の小さなつぼみ
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水彩のの如き雲浮かびおり青空 新緑 季節は進む
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今さらに知った私も気象病? 昨日の不調はスッと消えて
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キッチンに香り漂う初夏の午後リンゴといちごコトコト煮込む
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土をこね時計の針は重なりて終わりを知らぬ造形思考
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本能がくすぐられるか三匹の愛猫窓辺で蝶を目で追う
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庭隅に黄のガザニアの広がりて 初夏の陽と風 吾も受けて佇つ
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おーい雲白いスニーカーを履いたのよ眩しく輝くお日さま見せて
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緑なす五月の風の中に立つ白きシャツ着た君が手を振る
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すれちがう バスの運転手さんたちの 挨拶 見たくて いつもこの席
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曇天の長き晩春 雲の緞帳どんちょうの向こうに 出番待つ星
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ガザの子・イスラエルの子ともに汚さざる手に平和を祈る日を望む
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自由 鋼鐡天井ゆ開放されし青空へかなしみの謳歌ひびけり
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鐡条網傷めて架臺運びゆく銃創の少年達へ兆す憎惡 止れ
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湯を誘う 言葉の継ぎ目 さがしてる ふたりの宿に 月が寄り添う
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あまたあるやまいのどれにかかるかで左右されるよ生涯格差
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ウォーキングに疲れる時もあるわけで よわい重ねて 夕暮れの街
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昭和の子 巨人大鵬卵焼き 夫ももれなくその中におり
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やまいにて失いし時間とき大きくて若さに必死にしがみつく今
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坂道を登れば白きアナベルの咲く庭のあり水無月の風
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寝ぼけ見る 鏡の中に せがれいて 驚く吾を 妻が頷く
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ヘルパーが帰ったあとにほんのりと部屋に漂うフローラル系
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脳みそを隔てた先にある現実リアル 夢ですら私、幸せになれない
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午後5時を告げるチャイムに腹が鳴り配食を待つパブロフの人
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額縁の中で見つけた蒼きケシ孤高に咲くやヒマラヤの地で
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