心臓の 匂いの煙 辿ったら 終点はいつも そこしかなくて
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朝目覚めいつもの姿家を出る 吹く風冷える秋の訪れ
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駆け足で乗った電車の車窓から付き合う前のように見た君
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ポケットに 忘れろ草を 詰め込んで あなたの胸に 飛び込んだ夜
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おおらかに生きたいと言う 執拗に秋刀魚の小骨除けつつ君は
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古き友と歩く迷路の渋谷 思い出の場所さがし右往左往
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ハチ公像と撮る観光の大行列 忠犬どこか恥ずかしげ
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どこででも買える冷凍食品を送料かけて吾子へと送る
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新しい靴でお出かけ秋らしい秋は今では貴重な季節
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今年こそ! 故国の期待背にパリの芝ひた走る馬 みな健気
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曼珠沙華咲くのは肌か地の上か乱れ髪さえ整えきれぬ
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日記にも綴れぬ想いためらって窓濡らす雨そっと眺める
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マップラバーだけでは描けぬ この世界 私はライフを 手放すものか
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どんぐりの 屋根に落つ音 心地よく 秋を愛でたき ハイイロチョッキリ
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緑色つい前までの山の木々五色の色に染まりし秋は
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散り散りになる子供らを追いかける保母さん達の歓呼の声か
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南へのタカのワタリを子に重ね 明日もと願う晴天の空
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改札の前で別れを惜しむ君、バイバイの後寂しくなる僕
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十六夜の明き月の傍らを星粒の如飛行機の行く
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枕もとラジオが騒ぐ秋の午後政治の動きも子守唄にて
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病気だと風の噂で聞きました。 会いに行きたい、たとえ夢でも
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柿の木は折れやすいから登るなと 聞いて無いのか? 山のクマさん
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人様の短歌うたで見かけた「スリコ」なる 言葉調べてひとり手を打つ
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冗談のように言った好きは今 微妙な色を持って沈んでく
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鉄の板 頭の後ろに くっつけますよ あなたが私を 射透かぬように
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晩秋の佇まいする曇天に北の北から白鳥が来る
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また一つ増えてしまった不安ごと 息子の健診結果を盗み見
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新しい上司と食べるラーメンの脂っこさに ついてゆけない
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散り咲いて香る風来る金木犀スニーカー底花踏みしめる
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健やかに新しい朝与えられ 一期一会の命を生きる
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