高校をサボって一人喫茶店 誕生日なのを免罪符にして
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生家には大音量でテレビ見る童女のような叔母ひとりいぬ
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夫との会話は今朝はうわの空 心は旅する息子にありて
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時の瀬に 流されて今 初恋は 夏を求めて ただ君を待つ
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眠るの耳元にそっと「さんぽだよ」ささやく夫に優しさを見る
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後追いの一歳児連れてフラダンス ママの背中はゆりかごになり
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プレゼント箱を開けるとまた箱が 最後の箱には指輪がひとつ\思い出①
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丁寧に紙とテープで修理する 夫と半生歩んだ聖書
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あの時が 最後だったと思い出す 未来が見えて だきしめる今
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君望む ひととなれたのか? 今はもう 知る由もなし 頬たたく風
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半袖にオーバーオールのお出かけも夕暮れ風は肌に冷たい
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五月吹く 若葉の風を追うように ランナー駆け往く川縁かわべりの道
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切り株のくぼみに誰が植えたのか可憐な姿の初雪カズラ
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質問をしただけなのに涙顔 管理職とはそういうものか
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今君の 肩を抱くのは 誰だろう 誰でもいいか 僕じゃないなら
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百均で選んで欲しいと投げかける誘惑の中決めかねている
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お隣の八百屋小さな店構え整然と待つレジ前の客
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「先生」と不意に呼ばれて振り向けばかつての少女母になりけり
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カーペット汚したことで口喧嘩それが幸せだと現在いま気づく
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金平糖あじさいの葉をあしらって 粋なセンスの亡き友想う
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今日からはママと離れて保育園君の世界が拡がっていく
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あの当時背負ってるもの見もせずにきつく叱った我を赦せよ
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近所の子だんだん敬語を使い出し 成長見るも淋しさ覚える
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真似したい食べたい見たい触りたい「たい」につきあうママ休みたい
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珈琲の湯気ゆらゆらと 夜に溶け 遠くに灯りのともる日を待つ
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さよならに聞こえてしまうありがとう 言えずに今日も またね で帰る
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うたた寝の夢で良い歌詠んでいて書き留める前すーと消えゆく
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憂鬱が我を制したおとといに何があったと言うわけじゃない
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ガザの民攻撃のがれ逃避行荷のてっぺんに乳母車見ゆ
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記憶など捨ててしまえと言う君の若葉のように柔らかな脳
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