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富士山を習ひて高き山型に ざる菊昇る秋の蒼空
34
山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
53
重き物 心にありて 歌にせば
東雲
(
しののめ
)
の
朱
(
あけ
)
に
枷
(
かせ
)
は外れり
23
寒い夜は 身体温め 君想い 心温め 静かに眠る
14
半日で解けきる雪のふがいなさ 役員会の堂々巡り
26
降圧剤飲まぬと決めて一年半 死神よぎり医師に泣きつく
21
軒先に柿を吊るして冬を待つ 食べ頃の実は祖母のみが知る
16
朝日さす障子にそよぐ姫沙羅の影絵の
季節
(
とき
)
はひらり舞ひゆく
30
待ちわびた今年最後の満月は 分厚い雲の御簾の裏側
24
ゆっくりと 満月とオリオンの
間
(
ま
)
を通過す 夜間飛行の光
25
住み慣れし 街に明かりが 灯る時 過ぎゆく時の 早さ身に染む
31
三十年住み慣れた家を後にする また新婚ね 小さなアパート
48
ほろ酔えば いつものきつさが 苦しくて 心のベルトを ニ穴
緩
(
ゆる
)
める
26
三十年ここで寝たんだ このベッド
主
(
あるじ
)
無き部屋 淋しさつのる \ ようやく独立!
44
「井戸水の方が温かかったのよ」ごぼうを洗う祖母が呟く
18
芽生えたる 夢を忘れる その前に。 命短し 挑めよ我ら
29
「全員と仲良くなれば良いのでは?」 ナカムラは墓地の近くに住んだ
6
夢を見た 笑い合ってたわたしたち なんにもなかったみたいな顔で
13
強い
女
(
ひと
)
嫌うあなたが好いていた わたしの弱さ 早く捨てたい
12
記憶 反芻 丸くなり沈む 湖どこまでも 立ち上がれば 雫 風 草原
6
のたりのたりタライ 平原の向こう あれはミナミカンムリワシ
8
ゆるしてと 思っているから 優しいの? 日常が惜しくなっただけなの?
8
核兵器も物価も知らぬ猫はおおきく手を振り歩く園児に威嚇したり
9
同じ地平線を見る 前へ前へ車 午後の熱帯 記憶の網目を解き合って
8
真っ白なまが玉のような形して茶の花咲けり初霜の朝
32
原曲が 映画になると 聞きつけて 名曲楓 歌詞を噛みしめ
27
ありがとう あなたはたった半年で、全部愛する理由をくれて/ちょっとだけエスパー 文太
6
モミノキの 仰々しさは やさぐれた心残りへの 最後の希望
9
吐く息の
凍
(
し
)
むほど 夏が 恋しくて 雪より白い
彼夏
(
かなつ
)
の雲が
10
頬あたる冷たい夜風 片手には肉まんひとつ 頼もしい帰路
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