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八丈に
台風
(
あらし
)
襲いし 神無月 盛秋の気は 十日ずれたる
9
色なき風
金木犀
(
キンモクセイ
)
の
香
(
か
)
を乗せて
吾
(
わ
)
が
鼻腔
(
びくう
)
から 秋が始まる
17
異常気象と 言えど
暦
(
こよみ
)
に
逆
(
さか
)
らわず 君との
間
(
あいだ
)
に 秋風が吹く
14
朝風が 冷たくなりし 神無月 半ば過ぎれば 寝間着も厚く
17
文豪の用紙のマス目踏み越えて万年筆は縦につらつら
18
秋桜
(
コスモス
)
鮮やかに咲く 優雅なり 前を行く君 嫋やかに咲く
11
雪虫のふわふわと舞う秋日和近くの山から冠雪便り
32
独身の息子の部屋はラディカルで ゴキブリも棲みコウモリも棲む
26
健やかに新しい朝与えられ 一期一会の命を生きる
13
あの道の グラジオラスより 白きシャツ 君の視線の ただ 眩しくて
16
秋麗ら 母の写真と 話す日の 多くなりけり 彼岸花萌ゆ
23
霧雨を坊主頭が感知して 冷えた空気の訪れを知る
23
ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
46
生きている姿のままで動かない 蟹の
骸
(
むくろ
)
に靴先で触れ
22
朝晩の 寒さ厳しく 身に沁みる 装いの秋は さらに深まる
14
暮なずむ 茜の街は 人を皆 切なくさせる 家に帰ろう
15
日の暮れの西側座席の眩しさが不意に懐かし午後の踏み切り
49
ほろ酔いは 心地よきかな 締め付けし 帯の解けたる 思いこそする
14
気にするな って言わない人のやさしさに 育ててもらった 歌詠む 気持ち
55
手のひらを天に向けてほうけ顔秋の雨雲確認するひと
16
息を吐くように嘘をつきさらに嘘をつくそれはもう過呼吸だ
17
絶対にフリーキックを蹴らないし何もしないが横に立つ俺
17
炒飯
(
チャーハン
)
は 細く刻んだ かまぼこの
薄紅色
(
うすべにいろ
)
が 味を
左右
(
さゆう
)
す
15
霜降の 前に気温が 下りたり キャメルの上着 駅で多々見る
13
十一°C 今月端は 半袖も 下がる気温に ダウン出したり
14
連帯で責任とらされるときにだけ仲間だと言われる俺か
16
イヤホンをしていないのに独りボソボソしゃべる人薄気味悪い
12
露地ものの今年最後の枝豆の 両端を切り丁寧に茹で
24
趨勢の末枯れ死にき世の浅茅刈る積車に安らかなれど
18
盛秋や 自販機の茶 ホットなり 冬の近づき 少し感ずる
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