代行は空に頼んでおくからね  体が消えた後の涙の
10
君はなぜ 過去変えたいと 悔やむのだ 明日なら今でも 変えられるのに/友人の言葉
26
ドライヤー 髪巻き込まれ 焼け焦げた 臭いが我の 火葬の香かも、と
22
山影に沈んでいった二日月 MeltyKissがとける速さで
13
愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
60
同じとき重ねし友に会いにゆかんうすく紅ひき古希同窓会へ
26
少しづつ アルツ近づく 妻見つめ つまづく箸の つましき夕餉
21
風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
49
満ちた月君の街では見えてるの? 空を見上げて問いかける夜
39
ギチギチと百舌の声する夜明け前 くもりぐらいでちょうどいいのに
15
わがいほは木の葉散り敷き道もなしいづくを分きて冬のきぬらむ
14
厳密に選別されるジャガイモの気持ちがわかる人間ドック
19
「だから何」 深い意味などないけれど 新芽をつまむ 老いたる鋏
16
風切りの音が路上をさらってく夜の始まり冬の始まり
43
想い出す時間が徐々に減っていく 気づかないふり今日も明日も
41
薔薇のトゲプチッと取ってツバつけて 鼻の頭に可愛いピノキオ
31
ハミガキ粉 ミントの名前が多すぎる 僕もいくつか考えたい
10
茹で上げた落花生食む夕餉時秋の夜長に会話弾みて(再々考)
18
物故者に黙祷ささげ始まりし同窓会に集う古希たち
24
寒いのね 吾が立ち上がり 温もりが 残る座椅子を きみが横取り
21
陽が昇り食べては寝るの繰り返し俺の人生とてもシンプル
14
千日の回峰行に憧れた心を共に街路を巡る
16
公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
37
今日の月綺麗ですかと話しかけ 答えなくても信じていたい
31
もみじ葉の散り敷く朝の公園を歩けば露のキラリと光る
36
週一のデイ送迎の車窓より深まる秋の町並みを見る
41
心だけ眺めるだけの毎日に危機感もなく蜜を上塗る
13
日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
39
金色の銀杏背にして君を待つ遠い秋の日十七歳じゅうしちの吾
22
いまはむかし『松茸』とかいう山里の秋のにほいを味わいし日々
18