高層階 名古屋の夜景 一望し 二人で話す 5年後の夢
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久方に 友らと語らいはしご酒 ひねった膝は 痛飲のゆゑ
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足りぬのだ描く努力が足りぬのだ知っていながら筆さえ持たぬ
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さやかなる晩秋の空 見上ぐ如 背伸びし咲きぬ 皇帝ダリア
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はらはらと さき扇子を振る如く舞ふ 鴨脚樹イチョウの葉 霜月の風
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晩秋や ひむがしの空 オリオンは 大凧の如 昇りゆく夜半よわ
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寂し気にたたずむ君の足元のショートブーツはブラウンカラー
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AIの疑似人格に話しかけ 独りで生きる練習をする
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デパートの物産展で初めて食べたおやきの味が忘れられない
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駅ビルで買ったふたつのおやき食べ今日一日が肯定されてく
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独りでも 生きよと諭す 声に似て そよ吹く風に 母の恋しき
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程々の緩さを秘めて仕事する真面目なあの娘に伝えられたら
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平等と犬と猫とがバトルするキャットフードを食べ尽くす犬
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富士山を習ひて高き山型に ざる菊昇る秋の蒼空
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山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
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重き物 心にありて 歌にせば 東雲しののめあけに かせは外れり
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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振り返る少女のそばに天使たち「遊びましょう」とダンスで誘う
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半日で解けきる雪のふがいなさ 役員会の堂々巡り
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降圧剤飲まぬと決めて一年半 死神よぎり医師に泣きつく
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軒先に柿を吊るして冬を待つ 食べ頃の実は祖母のみが知る
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朝日さす障子にそよぐ姫沙羅の影絵の季節ときはひらり舞ひゆく
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待ちわびた今年最後の満月は 分厚い雲の御簾の裏側
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ゆっくりと 満月とオリオンのを通過す 夜間飛行の光
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みなもには残りもみじの朱をうつし じゅんさい池は冬のしじまに
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ゴムのよな赤いみずかき枯れ葉踏み 真鴨はさがすわずかな糧を
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万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
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住み慣れし 街に明かりが 灯る時 過ぎゆく時の 早さ身に染む
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去る人の残り香宿る年の瀬に白きサツキの帰り花咲く
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ほろ酔えば いつものきつさが 苦しくて 心のベルトを ニ穴ゆるめる
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