Utakata
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寒いのね 吾が立ち上がり 温もりが 残る座椅子を
猫
(
きみ
)
が横取り
21
陽が昇り食べては寝るの繰り返し俺の人生とてもシンプル
14
千日の回峰行に憧れた心を共に街路を巡る
16
公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
37
今日の月綺麗ですかと話しかけ 答えなくても信じていたい
31
もみじ葉の散り敷く朝の公園を歩けば露のキラリと光る
36
週一のデイ送迎の車窓より深まる秋の町並みを見る
41
心だけ眺めるだけの毎日に危機感もなく蜜を上塗る
13
日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
39
いまはむかし『松茸』とかいう山里の秋のにほいを味わいし日々
18
渋滞の三台前に杖つきてみち渡るひと ふと我と思ふ
18
寒がりの 猫に湯たんぽ 熱すぎず ほどよき温度 模索する日々
19
「二人なら美味さも倍」と独り言 土産の銘菓食み茶をすする
31
掃除ってしなきゃこんなに溜まるんだ風邪の間に丸まるホコリ
46
秋長けて隣家の庭にひとむらのローズマリーの紫さやか
36
ひとピースはめ込む場所の見つからず 振り仰ぐ空の高さよ
18
小春日に庭掃除せばカマキリやバッタの卵草に紛れて
38
重ね着た罪を一枚ずつ脱いで見せる裸も公然猥褻
5
独りでも 生きよと諭す 声に似て そよ吹く風に 母の恋しき
31
気がつけば駆け出していたあの頃の無闇に明き三日月の夜
22
我は
汝
(
な
)
が あばら骨より 生まれたるか 広き胸に満つ 創世の海【聖書の創世記・アダムとイブより】
18
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
27
白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
36
寝る前のポテトチップスばりばりと 月と一緒に太る晩秋
26
暗幕
(
あんまく
)
に 散りばめられし 銀の鈴 夜風の揺らす 星の
音
(
ね
)
いくつ
28
なんとまぁ多くのゴミを出す命フロアにかけたコロコロを見て
15
魂を売ってでも金欲しいけど腐ってるから誰も買わない
14
来し方の小さく見える日のありて 相模の湯屋は紅葉のなか
20
窓に寄り 鰯雲見れば 君が弾く チェロの
音
(
ね
)
低く 空に溶けゆく
25
生かされて流れのままに赤い葉は
泡沫
(
Utakata
)
に棲み夢を浮かべる
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