筆持たずペンだこ出来た不可思議はお裁縫する指ぬきの跡
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眉毛など整えたあと眼鏡かけ手鏡を見た顔は忘れぬ
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山背やませ吹く 沸いたお風呂に 浸かったら 底がまだ水 そんな日曜
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添い寝して頬のうぶ毛の光る様呼吸する音ミルクのかおり
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鳥たちは頭寄せ合いついばんで 草刈りの後に残ったご馳走
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愛犬の為と夫は仕方なく 冷え冷えの部屋で布団にくるまる
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初蝉の 鳴いてすぐ止め 二度寝かな 夏まで少し もうちょっとだけ
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恋愛に発展しない自信とはふたりっきりでスーパーへ行く
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ローカルの 駅舎にひなが 待ちおりて 戸は閉めるなと 張り紙のあり
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訳なんて知らなくていい いつかこの片道切符を正解にする
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ベランダで朝の日課のマッサージ 老犬は過ごす至福のひととき
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一晩を寝ずにトイレの模様替えそれだけなのに清々と朝
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豆の香の木綿豆腐は堅くあれ もさり武骨な益荒男ますらをの味
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アパートの間の気配に立ち止まり逢瀬の途中の猫と目が合う
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平屋建て三部屋程の借家にてリクガメ愛でる少年のひざ
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アスファルト柄の白線手と足を同時に出して歩くあすなろ
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二度咲きは小さく可憐 夏空に薄紫の藤の花咲く
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電子版ローカル新聞見出しには歩いて行けるケーキ屋の記事
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口角に残っただけの笑み残しどうせなら恥 楽しめよ俺
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強い雨どこにも行けぬ痛む傷そばにいるのに遠くなる音
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おお涼し!ふるさとの朝 天然のクーラーの中で深呼吸する
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星ならば 見えて届かぬ あたりまえ 君との間 30光年
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この世には止める神すら居らぬのか天災地災暴走のまま
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あなた今 オタクをバカに しましたね 頼んだケーキに 手もつけないで
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真夏日も桜の木陰で癒された 照りつけるにキミが恋しい
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大空にピンクの大輪 芙蓉咲く 色鮮やかに「夏だ!夏だ!」と
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どしゃ降りが上がって一気に蝉時雨 この声もやがては懐かしくなる
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頑なに夏は綿と思ってた 確かに涼し エアリズム着る
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「暑くても食べらさるしょ」の祖父の字と富良野メロンのあたたかき涼
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読みきれぬほどにメールはくるけれど一番ほしい君からこない
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