TORAKO
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日々の想いを三十一文字に・・・

陽だまりにアンモナイトの型で寝るネコの真中まなかにわが面埋もうずめり
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遠く見ゆ山膨らみて雨ごとに緑の絵の具塗り重ねゆく
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川沿いに名残り桜と菜の花が二色で描くデクレッシェンド
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卆寿越え「今年も見たり山桜」とゆらぎし文字の叔母からの文 
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泡立てのリズムで揺れるコック帽車窓から見ゆ調理師学校 
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思春期の憂い払いて青春の門出に立ちぬ十八歳じゅうはち皇子みこ 
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餌台の順番待ちのシジュウカラ向かいの枝で井戸端会議 
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大鍋にカレー仕込みて春休み孫ら食らひて鍋底笑ふ 
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ふきのとう湯がいて青く匂いたつ「ばっけ」の呼び名馴染みて久し 
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春の宵空薫そらだきのごと香しき匂ひ運びぬ梅の下風
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鶯の初鳴き聞きてそういえば上着羽織らず朝のごみ捨て
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寒緩み賑わう街に時刻とき(2:46)くれば皆足止めて鎮魂祈れり
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家ありし瓦礫の山に立ちつくす声なき吾に雪吹きつけぬ(2011.3.11を偲び)
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雛飾り春の兆しを待つ庭の梅の蕾に啓蟄の雪
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紅色の苺洗いて香りたちひとつ頬張る台所の春
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雪やみて枯葉押しのけ顔を出す春を告げんとクロッカス見ゆ
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寝支度の吾を追い越し部屋に入り布団の真中まなかで吾を待つ猫
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如月の雪の晴れ間に射す光近づく春のにほひ含みて
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四十二になりし娘にその歳の吾を重ねて背中支えん
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編みかけのセーターどきつふと気づく静寂の中雪積もりをり
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病める友送迎車より降ろされし車椅子の背小さくなりぬ
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金網に巻き付いたまま種となりし寒風に耐ふ朝顔の蔓
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旧友の重き病を知らせたる友のからの寒中見舞い
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松飾り新しき年寿ことほぎて取りて始まる日常も良き  
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向かい合い聖夜のカフェでココア飲む夫婦となりぬ長年ながとせたちて
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明けぬはないとはいえど暗き空やっと白みて冬の朝焼け
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凍みわたる冬至の朝にみつけたる老木の枝に冬芽光るを(誕生日に)
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地球とふ惑星に住むと思わるる真青まさおな空と白き雲見ゆ
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良きことが起こるを待ちぬ待降節アドベント 指折り数え静かに祈る
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まだ暗き朝の静寂しじまに聞こえ来る始発電車が吾を励ます
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