TORAKO
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日々の想いを三十一文字に・・・

金色の銀杏背にして君を待つ遠い秋の日十七歳じゅうしちの吾
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亡き友のペンダント着け参加する同窓会で逢える気がして
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物故者に黙祷ささげ始まりし同窓会に集う古希たち
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茹で上げた落花生食む夕餉時秋の夜長に会話弾みて(再々考)
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十六夜いざよいの明るき月を見たくって裸足で探すベランダの端(再考)
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同じとき重ねし友に会いにゆかんうすく紅ひき古希同窓会へ
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宝物隠すがごとく球根を土にうずめて冬を迎へり
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もしやまだ…と思いて置きし扇風機やっと仕舞ひて神無月秋
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今はもう大人になりぬ吾子たちの落書き残る襖張り替ふ
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来る年の悲喜こもごもを記さんとまだ真白きな日記帳買ひ
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人生は良きものなりと思える日晴れた秋の日明るき月夜
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草むらで大合唱の虫たちは短き秋を知りて鳴くやも
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「異常なし」を確かめに行くクリニック心配性の病は治らず
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またひとつ診察券が増えた夏酷暑の街を医者のはしごす
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立秋すぎて朝な夕なのすがしさに暦に倣う地球ほしに安堵す
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それぞれが試練抱えて過ごす夜を慮りおもんぱかて安けきと祈る
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ほろ酔いの独りの夜半は吾のたまが心のままにで遊ぶとき
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文月の青田波打つ熱風にひょっこり顔出す鷺一羽いて
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大相撲亡父に似たる観客に勝負の行方見のがす夕べ
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日傘さし通学路行く童女わらべらは話はずみて女子会のごと
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夏の夜ライン電話で集まれり各地に住まふ三姉妹いて
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目覚めどき背中を撫でる母の手に包まれたきや赤子のように
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轟音が聞こゆるようなコントレイルひこうき雲太く残りて夏空眩し
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あるじなき庭に咲きおる紫陽花の凛々しき青に故人偲びて
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アオダモに掛けた巣箱に耳すませ漏れ来る音に生命知るらむ
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水無月の晴れ間に夏の熱気沸き脱皮するごと衣脱ぎ捨て
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窓を打つ雨粒見つむの胸の日々の煩ひ洗い流せよ
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田の景色知らずに育ちし吾なれど海馬に在りて水張田に鷺
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紫陽花の花芽みつけし退院日移ろふ季節やっと目に入り
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急病の娘の家に向かう道不穏な夜を照らす満月
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