TORAKO
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日々の想いを三十一文字に・・・

朝ごとに向こう鏡に懐かしき母の面影六十路むそじの我が
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口論ののちに届きし母の日の濃い紫の花は沈黙
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生家には大音量でテレビ見る童女のような叔母ひとりいぬ
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故郷ふるさとの駅に降り立ち足早に近道を抜け生家につきぬ
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ひさかたの御堂筋線せかせかと人混みぬうて都会人とかいびととなる(里帰り)
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いさかいの翌朝にいう「おはよう」に少し間があるつまの「おはよう」
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いさかいの翌朝にいう「おはよう」は一か八かの小さき一歩ひとほ
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同じ時過ごせしつまとの思い出はひとりのものぞふたりではなく
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「そばにいて…」やっと言いたる我に説くつまの理屈が蓋をとじさす
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折にふれ語りかけたき亡き友はライントークの最後尾にをり
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眠れぬ夜逝きし友への懺悔の念病みたる時に会わざりしこと
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秋日暮れ吾に届きぬ友ののラインの文字を何度も目で追ふ
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父となりし息子の奏でるピアノのやさしき曲を子のために弾く
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戯れて下校する子らその中に孫をみつけし薫風の午後
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桜舞ふヴェランダで切るネコの爪ビルエヴァンスの流るる朝に
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