TORAKO
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日々の想いを三十一文字に・・・

灯籠に宿りし御霊流れ行く暗き水面に月影揺れる
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夏の宵モヒート片手にヴェランダで打ち上げ花火音で楽しむ
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炎天にすっくと立ちぬネジバナの花先揺らし蝉しぐれ降る
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夕暮れにほろ酔いで聞くひぐらしに響鳴するごと梅雨の雷音
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夏風邪に臥せるわが目をみつめおるねこの口元にゃーと動けり
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清き水澄みし空気につぶやきぬ「嗚呼みちのく…」と旅人のごと
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朝まだき憂鬱のかいがのしかかる押しのけて起く逢魔ヶ刻おうまがどき
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夏帰省母の待つ家近づきて凌霄花ノウゼンカズラ笑いて咲きぬ
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来客に音もたてずに消える猫毛溜まりだけが残る長椅子(再)
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静寂の巣箱に気づく夏至の朝雛巣立ちぬる梅雨入りの日に
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恋の歌を冷めた目で読むわれなれどほんとの恋を知らずきたやも
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背の高さ競うよに咲く立葵色とりどりに夏空に映ゆ 
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来客に跡形もなく消え去りし猫の毛溜まりソファの隅に
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水張田に佇む鷺の美しさ心のなかで切るシャッター音
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親鳥の留守に覗いた巣箱から大きな雛がはみだしており
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うたた寝の脇腹につともたれおる猫の重みで母猫となる
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朝歩きゆうべの夫の暴言を反芻しながら歩数踏む吾
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すし詰めの巣箱に育ちぬ雛たちは巣立つ日いかに大空に舞ふ
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役割で呼ばれることの荷を下ろし自分のままを生きたし今ぞ
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午前五時われの目覚めの時知るや夜具に入り込むいりこむ猫のぬくもり
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ガザの民攻撃のがれ逃避行荷のてっぺんに乳母車見ゆ
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雨上がり栗の花の香匂い立ち迷いこむらむ学び舎の森に
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餌くわえ巣箱に戻る親鳥が折り返し発つ雲の晴れ間に
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薫風がまばゆく光る木々揺らし青葉の祭り時は今ぞと
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人気ひとけなき地下のホームに流れおるBGMにふと涙などする
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朝ごとに向こう鏡に懐かしき母の面影六十路むそじの我が
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口論ののちに届きし母の日の濃い紫の花は沈黙
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生家には大音量でテレビ見る童女のような叔母ひとりいぬ
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故郷ふるさとの駅に降り立ち足早に近道を抜け生家につきぬ
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ひさかたの御堂筋線せかせかと人混みぬうて都会人とかいびととなる(里帰り)
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