氷山
17
30
投稿数
473

詩のことばをつかえるようになりたいです

吹き抜ける野焼きのかおり懐かしく燻されていくわたしの今年
9
起きがけの腫れたまぶたを持ち上げて生きてるだけでほこりが増える
7
ここにいちゃだめなんて言わないからその心臓の縄をほどいて
6
卵かけご飯やさしい金曜の今座ったら溶けていく朝
5
どうしてもあなたの王手(おうて) 死なせてと気軽に言える頃はよかった
6
憧れの魔法使いとランドリンアールグレイのすれ違いざま
5
「はな」という名前を受けたわたしたちだから毒々しく鮮やかに
5
「いつも正解はできないのよ」というわたしの心の中の保育士
12
あれほどの海だったから今でさえかじかむ指を夕日にかざす
8
いつまでも次に行かない広告のように待ってる 結露が落ちる
8
つまんない部屋のつまんなさがいい日だから花火をそっと隠した
6
いつも冷たい僕の手を人魚だけ「あたたかいね」と言って握った
6
外で泣かなくなっただけ 荷が重い人は誰でもおひざを濡らす
5
死にたくてつまみ上げたさくらんぼが私の代わりに生きてるみたい
8
わたくしの遠い祖先は魚だと思い出させる足裏の皮
20
寄る波に何が潜んでいてもいい 冷たい指をそっと絡めた
9
もうずっと孤独に漕いでいるつもりだったよ 二基に照らされるまで
3
寝ころんで土曜の空気を吸い込めばこんなところにほくろがあった
9
ちょっとした猶予みたいな夜だった むき出しの腕を撫でる涼しさ
21
送られてゆく真夜中の国道の田んぼの上を月は走って
12
少し微笑めばわたしのこの顔をわたしと認識しない相棒
5
なにもかもキマダラカメムシに見える マジ許せない すべてが怖い
5
自転車のサドルについたひとひらを無造作に振り払う貧しさ
9
重だるい幕を開ければ花ばっかむやみに咲いてばかにしやがる
8
「やったか」と言ったばかりに残党の不安がわたしの寝首をかいた
6
すりきれたままの命とすりきれた弁当袋で季節をこえる
19
コイン精米の明かりを恃みつつ消えたいくらいただ帰り途
19
ひとりだけ住む人の手で丁寧にただ撫でられているカーペット
15
最期だけ自分の声で泣くことを許されているガラスの欠片
10
素の指でひろってあげる ガラスへのとむらいとしてひとつひとつを
8