氷山
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436

詩のことばをつかえるようになりたいです

こんな世を一所懸命生きている見返りに月だけは明るい
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譲ってはいけないラインを譲りつつ指関節がポキポキと鳴る
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そこでならあなたは息をつけるから吸って、止めたらゆっくりと吐く
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「もしぜんぶ解決したら」って言うけど、ほんとは今も海に行けるの
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鳥の鳴き声に癒しを感じてみたい 這いよる朝のせわしい調べ
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さえずりが怖いわたしは朝よりも静かな夜と癒着している
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月だって隠れたくなる 頼まれた雲が手前を静かに過ぎる
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振り向けば積み上げてきたはじめてが視点をすこし高くしている
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きみといるわたしのひどく満面の笑みを愛してほしい あなたも
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親友であったあなたのぎこちなく片頬あげる笑みが恋しい
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どこにいて誰と手をつないでいても君を見上げるわたしの瞳
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惑星が一直線に並ぶように愛しているというと笑うの
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粛々と愛していかう ときどきはこんなうたでも辞書にしながら
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養分とガラスの破片をいっぺんに飲むようなあなたとの文通
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あなたには渡せないまま抱えてる段ボール箱の重みが増して
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フリーハグとはいうもののほんとうはあなたの胸にかえりたいだけ
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はじめてのおつかいをした幼子が座り込むときのように泣きたい
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「おまえなどいらない」という大木たいぼくのとなりに植える白いアイリス
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やさしさを装った牙の傷跡をもつわたくしもあなたを牙で
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触れ合えば触れ合っただけ泥濘ぬかるみに足をとられる 人がわからぬ
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返信をくれないきみの友愛をあの日のうたの中で待ってる
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あなたからもらったままでかがやいた死ぬまで生きるためのお守り
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どうぶつにならってその日ぐらしするはずなのにメモを手放せない
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他人ひととおしくらまんじゅうのできない子 ただひと押しでみんな倒れる
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ビギナーズラックのラック抜きをもう三年ばかり続けてゐる
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失った泣いてばかりの恋はもう泣いてばかりの愛にしていく
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美しく高くなくてもよくてただあなたのそばにいたかっただけ
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お互いを高嶺の花と思いあうただ草むらに咲いた二輪の
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たまに振り返ってほしいあなたへの愛という名のかたまりのぼく
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こんなにも虫なのはなぜ 何度でもをおびやかすトマトのへたよ
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