氷山
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436

詩のことばをつかえるようになりたいです

欲深きこの身の猛き欲の深さよ 人生の解像度が下がる
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こころからほとばしる甘い執着がきみの重荷に成り果てし今日
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いける気がするこの日々は溶き卵でほどよくできるくらいの辛さ
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友だちにならいくらでも口をつく口説き文句が出てこないひと
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百本の薔薇の花束を捧げて駆け引きさえも崩れていく日
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うつくしい無辜のあなたをわたしなら蝶よりも花よりも愛すよ
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寒いだけで貴女と組んだ腕の間のあのぬくもりを思い出すのだ
10
あの、花を、買いたくて、その、冷ややかな店主の眼差しにて敗走
8
七割のみんなの助けがのっていた三割くらいのぼくの力に
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おそろしい時間でしたね、くわしくは存じませんが紅茶をどうぞ
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ときどきに恐ろしくなるこの口はわたしが第一志望だったか
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無力だと感じた胸のとげとげをそのまま渡してしまってごめん
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まだぬくい席に移ったきみたちが座りたければ座れるように
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桃色の風呂水にホースを投げれば とおい海から飛沫が返る
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暗闇に浮かぶ灯火はあの子が真っ昼間から掲げていた火
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当面の目的地すらわからないからとりあえず灯火に寄る
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朗らかに惨めに行かう小生は君の隣か後ろにいるさ
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生きるとはおにぎりに茶がついてきて嬉しいと思うくらいでいいよ
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自転車で駆け下りるひび割れた道 わたしはここで生きているのだ
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「さみしい」は「さむい」との相関がありあんたのそばはたいていぬくい
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さみしくはないかわたしはきみのためならばどこでも火を灯すから
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愛されて育ったあなたといた日々は年中行事を大事にできた
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きみならばどんな場所でも幸せになれるからもう発つ時間だよ
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親のないぼくらを友とせんせいが一人前のひとにしていく
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友だちの言葉はモッコウバラに似ていつかわたしの庭に植えたい
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きみの目に映る美しい未来に入りたかったぼくを忘れて
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何億年前の光が「一瞬のおまえたちなど」と優しく語る
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ないはずの胸を焦がしたあの夏をそっとしまっているウォークマン
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短歌とは言葉の花を選り抜いて組む花束で贈るにもよい
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一輪のきみの言葉をあつめては三十一字の花束にした
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