Utakata
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澪標
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終わらない夜を夢に見て眠り続けよう
受験生
1
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我儘な 幸福に縋る わたしとは ここでお別れ だいすきでした
4
女子高生 最後の季節 訪れて 蝶々結びで マフラーデビュー
9
駿台の 二日の気遣い 無下にして 共テ模試後に 通常授業
5
一期一会 バスで出会った おばあちゃんの くれた
ぬくもり
(
コーヒー
)
手に握りしめ
11
片恋を 始めたときから 伸ばしてる 黒髪ついに 貴女に追いつき
8
幸福を 追うばっかりに 過去に手を 伸ばしてしまうの 未練はないのに
7
業火より 人肌ずっと あたたかい わたしの骨は 体温で焼いて
10
朝が来て お別れするの 辛いから 布団もろとも ふっとんでいくね
5
時代かな 夏が終われば 秋は
柿
(
欠き
)
季節も来ねば 鐘も鳴らぬが
6
行事行かず 一番好きな子 連れてって 二人だけの 校外学習
7
帰り道 まだお日様の 顔見えて 明るいはずなのに 何だか寂しい
11
落陽が 濡れた石段 降り注ぎ 神社に誘う 赤絨毯ね
7
月曜日 朝の先頭 車両では 赤シートの死体が 転がっている
7
夕立に 黒髪濡らされ 俯いた ぺトリコールは 嘲笑っている
5
勤勉な あの子の挨拶 一番乗り 眠い目擦って 苦手な早起き
6
朝の私 綺麗に染めてた 頬紅は 吸収されたか 蒸発したか
8
これやこの
輓近
(
ばんきん
)
も言います 蝉丸さん 知るも知らぬも 駅の改札
3
わたしたち 細胞内共生の おともだち ミトコンドリアも たのしいといいな
3
化学でね 先生が訊く 「これなに
酸
(
さん
)
?」 敬称みたいで ちょっとかわいい
7
五月晴れ 飛行機雲が 切り裂いて 手術跡だけ 残していった
12
天井に 映した星を 掴んだの 届かないからこそ 輝いて見えた
6
日の出前 写したような 縹色 朝だけ会おうよ おやすみツユクサ
10
高校を サボって一人 喫茶店 誕生日なのを 免罪符にして
15
五月七日 少し誕生 遅刻かも 憂鬱な世間 浮かれる私
5
共テ模試 もはやお祈り
事故
(
自己
)
採点 実力試し 否、運試し
5
今日もまた 笑顔絶やさず いることで 緩やかながら 自殺してるの
7
朧月 孕んだ雲が 遠ざかる どうかまだ夜 連れてかないで
8
届きそうで 届かぬ想い 漸近線
lim
(
極限
)
とれば 触れれるものを
6
会社員 歩幅もテンポも 倍以上 老後はのんびり 過ごすといいわ
5
終末と 真逆のことを してみるの まだまだ世界は 終わらないから
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