Utakata
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澪標
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終わらない夜を夢に見て眠り続けよう
受験生
行事行かず 一番好きな子 連れてって 二人だけの 校外学習
6
帰り道 まだお日様の 顔見えて 明るいはずなのに 何だか寂しい
12
落陽が 濡れた石段 降り注ぎ 神社に誘う 赤絨毯ね
6
月曜日 朝の先頭 車両では 赤シートの死体が 転がっている
4
夕立に 黒髪濡らされ 俯いた ぺトリコールは 嘲笑っている
5
勤勉な あの子の挨拶 一番乗り 眠い目擦って 苦手な早起き
6
朝の私 綺麗に染めてた 頬紅は 吸収されたか 蒸発したか
9
これやこの
輓近
(
ばんきん
)
も言います 蝉丸さん 知るも知らぬも 駅の改札
3
わたしたち 細胞内共生の おともだち ミトコンドリアも たのしいといいな
4
化学でね 先生が訊く 「これなに
酸
(
さん
)
?」 敬称みたいで ちょっとかわいい
8
五月晴れ 飛行機雲が 切り裂いて 手術跡だけ 残していった
12
天井に 映した星を 掴んだの 届かないからこそ 輝いて見えた
6
日の出前 写したような 縹色 朝だけ会おうよ おやすみツユクサ
10
高校を サボって一人 喫茶店 誕生日なのを 免罪符にして
15
五月七日 少し誕生 遅刻かも 憂鬱な世間 浮かれる私
6
共テ模試 もはやお祈り
事故
(
自己
)
採点 実力試し 否、運試し
6
今日もまた 笑顔絶やさず いることで 緩やかながら 自殺してるの
7
朧月 孕んだ雲が 遠ざかる どうかまだ夜 連れてかないで
8
届きそうで 届かぬ想い 漸近線
lim
(
極限
)
とれば 触れれるものを
6
会社員 歩幅もテンポも 倍以上 老後はのんびり 過ごすといいわ
5
終末と 真逆のことを してみるの まだまだ世界は 終わらないから
5
小説家 夢見たけれど 理系行き まぁ良い私の 全てが文学
9
受験生 カフェイン身体 満たしてく 大人になるって 苦味が伴う
10
辞めたいと 思っていても 惹かれるの さながらわたし
Ba・Ca・Pb
(
バカな
)
硫酸
7
「七割だ」 落ち込む隣の 受験生 「私は四です」 元気出して
7
窓側の あの子の眼鏡の 奥覗く どうか琴線に 触れさせてくれ
11
冷めた手と 先いく貴女 怨まない
死体愛者
(
ネクロフィリア
)
に 成り果てたとて
3
模擬試験 愛しの快晴 浪費さす 明日も見せて 私の為に
7
不眠症 夜空を見ては 焦燥す
月明かりよ
(
ブルーライト
)
退屈させるな
7
桜時雨 花弁と水滴 心中す ゲオスミンを 彼らの仏花に
6