狭山茶
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赤本に向かひ向かはれ三日四日 月月火水木金金と
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涼し夜(よ)と高を括っていたものを 凍てつく肌に羽毛取り出し
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白き手の 角帯結べぬ愛しさよ 「合っていますか」「合っていますか」
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盆は二周 燻(くゆ)る沈香 独寝の寡夫(やもお)の呟き 置いていくなと
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寝台に独り揺蕩(たゆた)う夜涼し 彼岸のアポは白檀の香
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彼(か)の往ぬる季節が二回巡り来た ただそれだけで、ただそれだけで。
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春過ぎて夏来るらし 初瀬川 此処に伸びける 青む若葉ぞ
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何(な)ぞはるなる 霞(かすみ)有(あ)らまし月頃(つきごろ)に  語(かた)らひに止(や)めむ 然(さ)らばをかしき
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病床に見せぬ蒼空 カーテンの裏に出づるは初春の日かな
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「あの頃(ころ)」と済(す)ませてくれるな 学ランの皺(しわ)懐(おも)いたる卯(う)の月(つき)の末(すえ)
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待ち切れぬ信号の紅向う岸 君の背中はもう第三者
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モノクロの雑踏掻き分け上野口 デッキの雪さえ心温(ぬく)く
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ひび割れのモルタル寂し公団前 人は変われど街も変われど
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軒の下明けてくれるな松の内 友の年賀はたった四枚
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茜空彫るは富士の嶺(みね)の黒 直(じき)に消えよう蒼(あお)に交じりて
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ふじの色見えぬ澄空結露越し センチメンタルだけの残月
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滲みゆくロングコートの主は亡(な)き 抱けど話せど片道切符
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留まらぬ憶(おく)と面影懐(おも)いつつ 君の口癖さえ忘らりょか
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月命日 長き通い路耐えかねん 泣かせてくれるな待宵の君
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雪の木戸まだ起きぬ街微睡(まどろ)みの中で燻らす煙草の寂しさ
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哀(かな)しき袖余(そであま)り浮浪雲一(はぐれぐもひと)つ 彼(かれ)の遺(のこ)した香(か)もいつまでか
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ファインダー 縁(ふち)から溢(あふ)るる 向日葵(ひまわり)ら 現像出来(げんぞうでき)ぬ 広(ひろ)がりを見(み)せ
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