夜半の竹 薮に光るや月の如 姫はなにゆゑ竹に入りてや
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卯月満つ 藍裂くほどの静寂に 木群むらだちのぞく月ぞうつろふ
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冬眠の開けしじゃがいも待っている姉の電話に隣町まで
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漬け樽をひっくり返すとまろび出た たくあんお前 まだ居たのかい
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初恋の甘い記憶を呼び戻す青くて丸い小花イベリス
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母親の涙思うと耐えられずテレビを消して願う明日の灯
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笑み揺れてオレンジに染むチューリップ白き花びら観覧車の窓
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丘は萌へ峰も萌へたりやまなかの 自生の 花は今ぞたけなわ
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おはようの音を奏でるサックスの銀色褪せてセピアなる朝
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稀なりや心に燃ゆる蜃気楼やおら夢世にわが身いざなひ
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心まで見詰め返して来るギリア愛する人に思い届けて
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父が刺すボタン外れしワイシャツも窓打つ雨もみずいろの濃し
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言語のなき猫の仕種しぐさに 憶測をしては ナレーション入るるつま
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三十一みそひとに込めれぬ想い溢れすぎ山に向かって相談してる
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どこかにて 袂を分かつ 風なれど またいつの日か ひとつの世界
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放っといた庭木柿の木紅葉の木放埒すぎる枝のやんちゃよ
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はじめての 発表会にて サックスの 音色響かす つまを見守る
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庭先にそびえるモミジ陽を浴びて 若葉きらめき生命いのちみなぎる
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せいくらべ 孫はつまより 十センチ 高くなりけり アスパラの如く
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何であれわたしを負かす後輩は頭かきつつ「番狂わせっす」
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おさな子の手を引き歩いた野辺の道 変わらぬ風情ふぜい 若葉萠え立ち
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「暑いですね」 卯月と思えぬ挨拶交わし 額の汗拭き庭の草刈る
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起きたらば ベッドの上に ぼーるさん ちま猫ちゃんが あしょんで遊んでいたの
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ながいことやってしまった『いいひと』のあくぬきするや竜泉寺の湯
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春の陽も徐々に空まで連れてゆく元気になれるパンジーの白
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思慮深さ揺るがぬ君を紫のパンジー照らす二人の明日
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ボランティア「携帯トイレ持参要」 そのひと言で参加ためらう
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あめのひは ねこもねむいね ねこだんご ぴったりよりそい なかよくねんね
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里山に何も求めず美を徹すままにほほ笑むおきなぐさかな
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一歩ずつ母へと向かう純白のカーネーションの愛を抱きしめ
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