久方の友より届く 「元気か」と 添へられし静止画は錦秋きんしゅう
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バタバタの日々でも ねこの温もりは いとしく尊く 隙を見て抱く
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寝たきりになって案外楽になりばあちゃんがそうかあちゃんもそう/祖母と母
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空気澄み 風も冷たい 夜空には 星が輝き 明日の力に
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顧客先 金魚二匹 睨むよう 餌を欲しがり 必死の形相
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初雪を覚えて幾年いくとせ生きただろう娘と雪が円舞曲ロンド舞う夜
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砂時計さらさら流れる心地して まだいかないで 連れてかないで
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初除雪びちゃびちゃ重い滑らないああ体力が落ちて老骨/ハァハァ
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手のひらに紅葉ひとひら舞い降りて 秋から冬へ 通院帰り
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ほんさき心の棘の除かれて 見やる夕日の美しさ増す
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素の笑顔 引き出したいと 願いつつ 貴女を想う 静かな夜に
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思い人彼はスターと思えばいい誰を愛していようといまいと
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水道管工事の埋め跡の続く パッチワークの如 アスファルト
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手術後の犬の呼吸を感じつつじっと添い寝をしている夜長
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晩秋のハンドル冷たしひんがしの朝陽差し込み解かしていくごと
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親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
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鉛筆で 書く音なぜか 懐かしく 午後の窓辺に 西陽差し込む
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風邪ひけば生姜の辛み際立ちぬ 喉によろしと人は言ふけど
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処方薬飲んでちっとも効きゃしない 咳に喉痛あぁ煙草吸いたし
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城勤め無難な黒は好きなれど不思議と水色効率上がり
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仲なほり見とどけられず家をでるつかずはなれず流れゆく雲
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霜月に ハイビスカスの花咲きて 電信柱に 白鳩とまる
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究極に荷物減らした旅支度 されど一冊「えいえんとくちから」
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染めたまへ きみが訪ひまつ肌の はまゆうの花からくれなゐに
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あさゴハン やわらかじゃなく たべられた おかあちゃんもう それだけでいい
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背筋のばす その方がきっと楽だから 大丈夫 空はあんなに明るい
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夕焼けに重なる父娘の長い影今日という日忘れたくない
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空気澄み 星が輝く 秋の夜 片手にビール 紅葉散策
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緊急の 仕事対応 カフェ入る メールに一言 いつもありがとう
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桜貝 小指の爪より ささやかに 波濤を越えて 安らぎており
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