野薔薇のいばらは寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
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麗らかな陽射し翳れば瞬く間 冷える足先 冬を告げをり
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室生寺の風に包まれつつましく尼寺ゆえの温き強さよ
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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訃報欄思い出深き人の名をしみじみ眺む秋深き日に
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あさのひかり あまりに眩しく 布団干す わがや 今夜は ふかふか・お布団
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首かしげスマホを睨む母さんはやっぱり紙のチケットがいい
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杖たより丸太階段登りきれば余呉湖に映る紺青の山並み
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短くとも 深く眠りたい 眠剤の8錠め そっと手を伸ばしたり
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銀杏いちょうの森 緑から黄に変わる頃畦道に列 黄葉祭り
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叱られた遥かな記憶 耳掃除している祖父のそばで暴れて
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偉くなど 成らなくて良いわ 風を浴び ぬくい光に くるまれてたいの
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母の背をとっくに越した小六がぎこちなく袖通す制服
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ねむそうに ゆれてるねこを なでながら シリアルバーなど かじる夕暮れ
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七時半目覚め爽快とび起きて言い訳・ご飯何から先に
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小春日の温もりは母を 木枯しの厳しさは父を想ふ初冬
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陽光に透ける紅葉の欄間かな冴える空気の季節の彫り師
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同僚ともからの 旅の土産に 温もりぬ 忙しくとも 足痛くとも
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飲み足りず 君を誘って ウイスキー プライベートで 気取らぬ二人
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娘からこれがいいって頼まれた肩まで包むネックウォーマー
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マツバギク 花の命の 短きや 朝な夕なに 水替えれども
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4.2kg このの命をあきらめない なんでも食べな どんどん食べな
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大樹だけ見上げて僕は腕の中 強き命は大地の力
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樹に生りて赤き果実の一粒や咥えし鳥の発ちて夕映え
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仕事では目視点検してるけど見えてなかったあなたの悩み
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数日を朦朧として終えた悔い早めの風邪薬から飲まれる
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なんとまあ二度目の蒲団の心地よさ こういうことをしあわせと言う
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ねこたちは びびりまくりの 消防点検 ちま猫ちゃんは 炊飯器横へ
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母さんにたんたんたぬき歌わすと勝手にウケて笑顔が戻る/認知症
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縁語とか 枕詞とか入れたくて。 なかなかハマらぬ 「旅」と「足袋」の字
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