慰霊碑に刻まれし子の年齢は二歳とありて孫と重なる
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金色のひかりをまとい妻と行く春たそがれて まちの割烹 
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直向きに ただ直向きに歩みきて 悔いなき人生ひとよ吾は生きらん
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「美味しいね」顔見合わせ息子と孫 その一言で満ち足りる食卓
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魚釣りエサは魚肉ソーセージこれは共食い広い意味では
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幻視するソメイヨシノの花筏 風なほ冴へる真間川の橋
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なぜだろう?右手のシャンプー痛すぎる不思議な力の芽生えだろうか
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窓越しの 板の間に立ち 温もれる 足の裏から 春入りたり
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満開のカワズ桜をLINE送 雪積む庭の写真が返る
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幕下の五枚目までは上がってた 郷土力士の引退を知る
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だんだんと家族のような気がしては風呂掃除終えうたかた覗く
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靖国の開花宣言待てぬまま ひそかに二輪 初恋めきて (3/18標本木)
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奥山は 一夜明ければ 雪化粧 春の すごろく ふたます戻る
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まだ何も 踏まぬ足うら ふわふわと 雲の上む 母をみつめて
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じいちゃんとじいちゃんいぬが歩いてく朝凪あさなぎのみち海のある町
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凍み渡る雪原ゆきはらけもの足跡あと 辿りてゆけば水辺に着けり
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東京の部屋の相場は高くって時に食品投げ売りをする
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信号に西日が射して赤青黄分からぬままにままよと進む
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あれこれと孫たちの好物考えて いそいそ動くしあわせな朝
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未舗装の石ころ踏んで土手をゆく菜の花の黄にくしゃみがひとつ
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ツナ缶を食べるたびに思い出すそっと開けても二階から猫
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寒かった今日振り返り汁物をコンポタとする米研ぎのとき
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熱出して 思い出すのは 母の味 卵おじやの あの温かさ
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いい嫁を 演じるつもり ないけれど 遣う気の分 魂抜ける
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鼻歌を口ずさみながら遊ぶ孫 のどかな光景 こころ和みぬ
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目立たない地面とこに広がる苔の街 実はクマムシ闊歩してをり (最大で1.7mm)
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おもちゃ箱包む手もとを見上げてるさき瞳に射抜かれていた
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この道で 毎日見ていた はずなのに 思い出せない 更地になる前
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ジリジリと磁石みたいに惹かれたい僕のイニシャル「N」が付くから
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袖口の汚れた白のワイシャツを むき出しで着る男の哀れ
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