暗き底の 深海魚なる 我なりき 人知られずが 今、光得て
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「運動を始めるならば歩く事」私シューズを持ってなかった
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「行ってらっしゃい」「楽しんできてね」と 手を振らる 八百屋のお姉さんの 笑顔が眩し
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サイゼリア 隣の席の老婆は食す肉、赤ワイン、肉、肉、肉
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下戸だけどバッカス買った酔いたくて 心を満たすほどじゃなかった
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喉痛く 唾を飲むにも覚悟要る 何故か風邪にも 長居をされる
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易疲労感 脳の病の宿命でちょっとの事でクタクタになる /統合失調症
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来年の自分に対し展望す出来ないことはやらないことと
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風邪の芽を摘んと飲みし葛根湯 両の手のひら仄かにうるむ
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人波にマスク重なる交差点行き交う日々に祈る幸あれ
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立ちのぼる湯気のむこうに溶けてゆく冬の真夜中気だるさ一つ
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街角のツリーの星がまたたけば神様のするウインクに似て
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街灯り窓の扉に透けており静かな夜の終わりを告げる
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星空がきれいに見えるスポットがそばにあること忘れていたよ
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懐妊を知れば一日二箱のえんを断ったは妻より子のため
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年末の 慌ただしさに プレゼント 夢で貴女の 笑顔が見れた日
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よく噛んで 食べなさいねと ねこに言い いい音だねぇと ほめて育てる/再掲
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あたたかな掌に触れられて柚子湯より身体の芯が熱くなる夜/冬至
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湯の中で 柚子をクルクル 転がして 楽しみながら 厄除けする夜
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今年最後に逢う人はキミがいい 毎年想いいつも叶わず/夢
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「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
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友人がばあばとなりぬ嬉しそなLINEを見れば妬ましくって
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暗闇に吾を連れ去れ地下鉄よ もう帰れないほどの遠くへ
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落ち葉くべ 焚き火の中の焼き芋の 甘き香りに腹の虫が鳴く 
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クリスマスカラーに仕上げし具沢山ミネストローネでほっこりとイブ /トマトの赤にさやいんげんの緑
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サンタさん信じる幼い弟へ 口裏合わす兄の優しさ /思い出
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ベランダの 物干し竿に 紙袋 たしかにサンタは 届けてた 愛
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体温を超える酷暑があったとは肺の凍てつく冬が来るとは
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夜半から 季節外れの霧雨に しとどに濡れる紅き山茶花 
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ウラメシヤ ハンデをもちて れし子に あきらめろばかり 強いる母なり
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