フリースの袖を伸ばして新聞を読めば静岡真夏日だとか
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つり銭を人が手渡す一瞬に触れる手と手の微弱な電気
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海底で君と朝日へ揺れていたあの日恋しく景色が滲む
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パチパチと黄色の線香花火萌ゆ陽ざし直下のオキザリスかな
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「仲いいな」長袖Tシャツ洗ったら絡みすぎだろ腕と腕とが
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待つ君の背中に滲む「さよなら」に花の香りを添えて返そう
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集まれり 球児ら開く ドカ弁へ 母の祈りの 光り照らせり
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輪郭を白砂にぼかし俯瞰する写真の街はおもちゃに見えて
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春雨に 蕾膨らむ桜花 陽射しを浴びて今ぞひらかむ 
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青大豆水で戻して茹でこぼし 塩かけ冷ます自慢の粗肴
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冷蔵庫グァングアンと喘いでる そろそろだよねよく頑張った!
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校庭のソメイヨシノも静まれり学科授業の開始を待って
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古希の六月十三日は初恋の記念日いいね夜明けコーヒー
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冷凍庫の ねこみにタルトと 目が合って 土曜の朝食 これで決まりと
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待ってたが一斉開花肩透かし桜咲き初め梅の散る散る
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「若さ」といふ通知はこなくて気づいたら「老い」のフォルダに分類されて
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パンツルック 流行はやりて 街に結果あり 背きて揺らげ スカートの花
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チャリ通で見過ごす鳥居と石仏は誰も知らない由縁ゆえんを残し
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鮮やかな山吹咲いた畑の隅黄金こがねの塊輝いて見ゆ
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泥付きの 荷台に寝転ぶタケノコを 「持ってけ」と笑む里山の春 
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風となり卯月の君へ捧ぐのは散り急く白き菫の香こそ
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詠む内に広がる世界に差す光この瞬間を待っていたんだ
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草刈りてひとりの庭に佇めば 羽根欠けてなお空を見る蝶
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「まぁ!かわいい」ぷくぷくだった友のが美少女になる卒業写真
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ストーヴの石油も尽きて仕舞ひ頃 兜を飾る相談をして
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土瀝青アスファルトの片隅 さき名も知らぬ白き草花 健気に咲く春
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昼過ぎに摂氏せっし20度超えたから雲引っ張って躑躅つつじ膨らむ
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「暑いですね」 卯月と思えぬ挨拶交わし 額の汗拭き庭の草刈る
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にぎわいを終えし桜のトンネルの若葉見上げつ老いの道行き
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ながいことやってしまった『いいひと』のあくぬきするや竜泉寺の湯
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