独りであるために必要なものとして、他の人間・そこまでの距離 

疲れてるあなたに私できるのは お疲れ様とつぶやくbot  

進化にも美にも目的などなくて 薄荷葉虫の翅の斑点 

本館を削ぎ落とし建つ東館に日焼け止めでも塗ってあげたい 

慈しむ たったの線の一本を正しく記した男子、あのとき、 

あなたの息継ぎになりたい  そう思って勢いよく綴じた栞 

ひとりが好きだと言ったあなたの すぐ側にあるスマートフォン 

雨の日の空 青が見たければ描き分ければ良い どうせ同じ青 

諦めを濾過して取り出した結晶を「優しい」なんて言わないで 

「きみってさ、なんだか雑草みたいだなぁ」 私は強いが、言葉選びよ 

自分さえ触れられぬよう閉め切った深い場所から涙は溢れる 

あの森の心は孤独な狩人の大きな軍手に私はなりたい 

プーチンに習近平が白地図に塗りたくるのは鮮血の赤 

電車内うつむく人々みんなそう お疲れ様とバイバイできない  

「失恋しても腹は減る」 僕が論文書いたっていい 

籠入らずの玉が梅干しのようだから涼やかな笑みへ擲果 あまくなれ 

皇女ひめたずね師とともに来し猪養の岡 雨後のぬかるみ墓前に立てず 

醜悪な萌え木の匂いもう消えて公園は死体スキップでゆく 

正しくて生きづらそうで惹かれたな流れたマスカラ夏のせいだと 

窓見れば気がついたよう降り出した ダイヤモンドの声がケラケラ  

「海を見に行きたい」 と言ったその声が まぶたの裏にまだ残っている 

太陽との 約束時間は明日朝5時 遅れないようにアラームを 

楽しげに満開の藤を被さる彼を隠してくれよ紫 

家に居て一人静かに冷えていく 温めてやる待ってろ布団  

今日までの どこをやり直せばよいか 言えないのなら消えてアレクサ 

どの傘もどこか壊れてビル風の中をぼくらは強いふりして 

たのしみはたのしみは 雨の日傘であめのひかさで 傘と雨かさとあめ 二つの鳴らすふたつのならす 音を聞く時おとをきくとき 

群生す黄色いつばみな東向き白亜の外壁シアター開演 

6月にクリームソーダの傘届くから それまで梅雨よ、待ってておくれ 

「あたしっ て言葉ここまで出かかって 一人称は今日も僕だった