将来を夢に描いて捨てて来た過去はきっちり抱えています
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あと一日ひとひ 辛抱せよと 如月の寒波を越ゆる 毛糸ニットと共に
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咲き初めし梅に白雪降り積もり溶けて色艶失せし姥梅うばうめ
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座席にて 持ち主の無き マフラーは 何処で迷子に 揺らるる車両/降車後に駅員さんへ届けました
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ぼんやりと過ごす時間は自分へのご褒美なんだ頑張ったもの
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種を持たぬ白き侘助わびすけつぎつぎと寒き狭庭に首を垂れつつ
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ひさびさの ひにゃたぼっこと 毛づくろい いついつまでも みつめていたい
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海の街 淡き海月くらげの 幻か ビニール傘が 連なりて行く
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「お先に」とまばたきを一つ交わすとき雪の狭路は白くふくらむ
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生きるのに絶望しても血税で死後の処理とは何か苦しい
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眠れぬ夜に抱きしめられて聞くサイレン知らぬ誰かの 運命さだめを祈る
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うつむきて 震えるつぼみ陽を浴びて 薄紫のカタクリの花
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マフラーもニットの帽子もうとましく 電車の中で額に汗を
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ふとふ 二文字ふたもじの中に 綺羅星きらぼしと 風と泉と 夜櫻よざくら
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如月は衣を重ねることという一枚一枚ぬいで待つ春
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降車ドアひらかば 眠気覚むるほど 冷へ込みぬ宵風 目的駅
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蟻さんを見つけた朝が春初日 彼らは知ってる大地のこよみ
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同僚ともう春だねと退勤のみちみち話す空はももいろ
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肉まんを 耳当てがわり 笑わせる お茶目な部下は 還暦間近
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コロッケを 出汁に浸して 蕎麦啜る ため息一つ 日付変わる夜
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ビターな夜を猫で薄めてはちみつより温い耳から眠りがおちる
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ゴッホ展に娘も誘い予約する たのしみを待つことの幸せ
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施設での義姉あねの暮らしも一年にスマホの画像に「私じゃない」と
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挨拶に「父」と呼ばれてこそばゆし モノクロの子のあどけなき日々
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ちょっとした昼寝の間長大な夢を見ていたような気がする
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選手らの背を追うドローンは戦場で 兵士を襲う恐怖ともなり
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ねこたちを ふたり同時に いだくこと 稀な幸せ いついつまでも
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「雨水」だと気付いただけでホッとした雨が降るから春が来るから/明日雨水
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始めれば素早いのだが動かない動きたくないスイッチは何処どこ
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背伸びして したこともない 失恋を 感情込めて 歌ってみた日
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