花冷えに ちま猫ちゃんは さんかくの おにぎりになる おててはのばして
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離れない流氷こおりのせいか北風のやけに冷たい卯月朔日
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通院をメインディッシュに一日を盛りつけている老後のふたり
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桜蕾おうらいに降り注ぎぬ 恵みの雨 潤ひて 満開まで待ちぬ
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らっきょうを 添えたカレーは 春の味 疲れも取れて ギア入れ直す
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通勤路を潤す 菜種梅雨の朝 雨靴と傘とをお伴にし
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はしゃぐたび背徳という氷柱落つ 僕を刺しぬく春の陽だまり
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朝露に にじむ街の 宝石など 持たないだろう うたかたの人
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風を切り よぎりぬ車 降り積もる花弁はなびらを巻き上げ 花飛沫
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パンパンな ボンボンドロップ シール帳 石油なのでは 有事なる今
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幾たびか 花は生まれて 花は死に 弔いて行かむ 絵筆にたく
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毒親の歪んだ愛に育つ子は一生愛に不自由するなり
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トゲのない言葉を探す会話するへとへとになる今日も一日
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宅配で届いた空色ブラウスの清々しさが眩しい雨の日
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薄っすらと汚れ具合も布製の文庫のカバー手に心地好し
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ぽつねんと庭先に咲く花桃の紅白濡れて門出のあした
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実体の無きまま ふわりとした君に 暁あかつき逢ひぬ 黄泉よみを旅して
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今月に入って「すき」と告白を数えきれぬはエイプリルフール
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病院で近況報告『舅死す』知っていたのか静かに聴いてる
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小夜雨のテンポ早まり安定の君の寝息を数え夢見る
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曇天に見上ぐ桜で雨宿り奥の枝先ヒヨドリが来て
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レンギョウの黄はまぶしき光となりうつのこころにまっすぐ刺さりぬ
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軽快なミシン作業で過ごす午後おもいがけずに時を忘れて
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出会えずに闇夜の空を見上げては春の満月恥ずかしがりや
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気が付けば真円となる月ありて 月読アルテミスの船今一廻り
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立ち寄り湯人のまばらな薬湯に知らぬ媼と桜を語る
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店先に早も飛び交ふつばくらめ 去年こぞのお宿の手入れせわしや
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止まり木の愛を掴んで待ち人に飛び立て永遠の輪廻の果てへ
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水仙がみんな前向き口揃え春を歌うよ黄色い声で/ラッパ水仙
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だめだめに飽きたらおいで僕の店黒猫がいる照明店だよ
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