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支払いへ訪う事務室の日向には猫様二匹それぞれゴロリ
25
砂浜へ電車ごっこの子ら来れば
白千鳥
(
しろちどり
)
そばをトコトコと行く
25
いいにく
(
1129
)
の日なのに 魚をつつきたる 秋刀魚のわら焼き はらわた旨し
25
幼日
(
おさなび
)
の
吾
(
あ
)
を
抱
(
いだ
)
く 父の友人との写真眺む 届きぬ喪中
25
隠れ家で 鶏すき鍋に 唸る我 野菜の旨味も 出汁に溶け込む
25
ポスターのヒグマは既に冬眠か噂も聞かず霜月尽日
25
トナカイの コスプレ抱かれ 笑顔なり 孫の仕草に 周りも笑顔に
25
茉莉花
(
ジャスミン
)
の お茶を飲んだら 汗が引き 繁忙期なり 正月もなく
25
リビングの壁にあなたの影みつけ 師走の低い朝陽のしわざ
25
時流れ 年明け妻の 三周忌 春には父の 一周忌… /寺に依頼す
25
結局は朝三時まで作業して徹夜のつもりが眠くなるもの
25
外の風部屋に取り込み揺れている 1枚となる壁のカレンダー
25
くりかえし見る夢のあり何ゆえに 乗るべき電車を焦りて捜す
25
納豆に日頃の苛々ぶつけても健気に美味い ごめんね。納豆。
25
夕暮れに 東の空に 浮かぶ月 流れる雲に 隠れて光る
25
田舎者まる出しだから訛など若い時分は嫌いだったよ
25
落葉
(
らくよう
)
や 一掃されど 道端に 積もり積もりて 秋を
描
(
えが
)
きぬ
25
窓の外
秋冷
(
しゅうれい
)
の風 澄む夜空 オリオン仰ぐ 床に就く前
24
いい天気 落ち葉踏みしめ 散歩道
天使の食べ物
(
シフォンケーキ
)
を さがしにゆくの
24
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
24
あの味は 今も続いて いるのかな 出汁であふれる 卵焼き丼
24
傘ほどきかざしてみたらちりちりと 冬の小雨の音やかそけき
24
雨はげしい今日は合羽を使おうか買い物するにも事欠く生保
24
それいいやん、と 母の褒めたる 吾のスカート 赤のチェックで クリスマスふう
24
寝る前のポテトチップスばりばりと 月と一緒に太る晩秋
24
暗幕
(
あんまく
)
に 散りばめられし 銀の鈴 夜風の揺らす 星の
音
(
ね
)
いくつ
24
我のため
雑草
(
くさ
)
を摘んでは土産とす
認知症
(
やまい
)
の祖母の不変の愛情
24
秋深く 静かに咲きし お茶の花 可愛げな白 主張し過ぎず
24
肉まんの 手の中伝わる温もりに コンビニ帰りに霜柱踏む
24
実の如く
朱
(
あか
)
く染まりをる柿の葉 揺らすは風か
啄
(
ついば
)
む鳥か
24
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