夕陽さす昇降口ふと立ち止まり 微かな足音おとにきみと気づけり
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部活帰りの少年の食むガムの 甘ひ匂ひに和みぬ車両
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風薫る薔薇の棘まで緑濃しふんはり咲きて紅色に染む
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退勤は初夏思わせる昼下がり 卯月の空に日傘かざして
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風光る横断歩道をタンポポら揺るランドセル上げる手揃え
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チビ猫が 行方不明の 朝であり 皆で捜索 箱ですやすや
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紫を朝日に染むるアネモネよ 石段のに凛として立つ
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歳重ね 逝きにし友の無常知り 出会ひし友の有難きかな 
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クラス替えスキップの先 少女いた 教室光り陰は透明
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道端の ハルジオンたち おしゃべりで ついつい会話 弾む朝なり
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君といた春そそぐ海ふかみどり 炭酸水と後悔で割る
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一本樹 幹の捻じれて 陽の揺れる 藤棚涼し 風ありがとう
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窓外そうがいは春晴 傘持参迷ふ 抜き打ち雨予報に戸惑ひ
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水芭蕉、ツツジ、辛夷も咲きそろい春の野山に色戻りくる
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エンドウヤハズエンドウと寄り添ひ咲ける一輪の オランダアヤメに母を見つけし
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畑仕事に関心うすき我を前に夫は今日の手順を語る
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紫の 蝶と小花の 耳飾り 雨の窓辺で 心浮き立つ
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縁側に膝を並べし宵の口ビール片手に春のお月見
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石鹸の匂いと君を抱きしめる 裾を揺蕩たゆらす風の優しき
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笑み揺れてオレンジに染むチューリップ上る観覧車 向かい合わせに
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自転車で海見て帰る往復は六波羅蜜の百キロの道 「涅槃までゆく修行」
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芝生から毎年顔出す ネジバナの タフで可憐な ピンクの螺旋らせん
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「お不動さん泣いているの」とおさな問うこんな顔して泣くのか人も
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オホーツクに遅すぎる春おとずれて桜開花し花々咲き継ぐ
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落ちぶれし国は武器さえ売るというお花畑で声をあげる日
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塩もみの胡瓜きゅうりするのに使うから塩麹しおこうじ仕込み始める夏日
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明日来るあなたに渡すゼラニウム家の魔よけに効果あります
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公園で駆けるおさな子 後を追うじいじの笑顔に 緑の風吹き
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持ち主の元へ戻れたのか 枝に掛けられていた ユニフォームは無く
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馬車道の雨の景色に助手席の窓はゴッホの絵画に見えて
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