横になり描きかけの母じっと見る美人と写実迷うさじ加減
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秋の温風ぬるかぜに揺られて枯れ葉舞ふ 秋の舞台と化すアスファルト
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葉を落とし吹き荒ぶ風は北からの いよよ近付く冬の匂いの
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風に舞うミズキの紅葉もみじ見つめおり 白き山茶花揺れる夕暮れ
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圧雪路 吹雪の峠通り過ぎいそげよ急げ札幌へバス
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さやかなる晩秋の空 見上ぐ如 背伸びし咲きぬ 皇帝ダリア
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自分では死ぬことさえも出来ないとベッドに乗せられ管を繋がれ
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霜月の 高き秋空眺むれば 北から飛び来る白鳥の群れ
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抑えても咳の暴発止めがたし 今は出るなと頼んでみても
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土曜日の街はスローな紅葉もみじ色 僕だけ疾風白きママチャリ
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見送って送られてまた見送って「また明日ね!」で真ん中バイバーイ
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カリゴリと歯石を取ってもらいつつ親不孝とか反省してる
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高層階 名古屋の夜景 一望し 二人で話す 5年後の夢
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飲みもせず毎晩捨てて取り替える麦茶は時に命も救う
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5年後も 貴女と一緒に いられたら 朝焼け雲に 願いを込めて
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短歌部の友へのメール「小生」を使ってすこし文士の気分
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海沿いを 二人で歩く 秋の夜 流星群に 願いを込める
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ご近所の 紅葉眺めつ 帰り道 立ち止まっては 花の名教え
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両親の仲が不穏な日はずっと動物園でペンギン見てた
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家じまい使うことなき物多し戦後の義姉あねにミニマリストは
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キャンドルを 趣味で作りし 部下のため 来年講座で 講師デビューを
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星形の花に紫ちりばめて木陰に光る杜鵑草ホトトギスかな
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青空と 公孫樹いちょうの黄色見るにつけ 戦禍の国が思い起こされ
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今少し 眺めたきかな 遠き日の 夕雲に似て 山のに沈む
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午前から仕込むおでんの香りたち真冬日初日の夕餉もふたり
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バタバタと寒波来てから着る物や掛けて寝る物冬への覚悟
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かまどから離れぬままの母せかす匂いに待てぬ腹鳴る夕餉 / 追憶 五人きょうだい
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青色に ラッピングした 恋という 砂糖菓子の溶け 雲のてのひら
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勉強と 元上司に 誘われて 本格的な 茶室で一席
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バツ四で もう懲り懲りと 語る君 鍋の湯気に 涙を隠し
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