抽斗ひきだしの整理 宝探しの如 失くしたはずの 記念の硬貨
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二日間 メールを開けず 仕事して 週明け未読 百件超えて
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五日間、家族で閉じこもる贅沢 熱の喉へとプリンが溶ける
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面会の十五分ほどちぐはぐな義姉の話題は帰宅に尽きる
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ひそやかに降る春の雨 花開き浮き立つこころ鎮めるように
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夕焼雲 絵の具を溶かす如 茜色にむ 西空の芸術
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かりん茶の湯気に喉をあずけつつ「悪くないよね」インフルの春
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布巾ふきん干し振り向く夜空に沈みそな思わず見惚みとれる赤い三日月
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温室に滴る苺の甘さほど想う気持ちは夏を待てずに
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逆境に負けぬ強さが吾の武器と 言い聞かせては憂い振り払う
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目の前に迫る手術日 たかぶるこころ 短歌詠みつつ平静保つ
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変はりゆく 街並みの中 桜咲く 古戦場のみ 置き去りにして
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待ちまちて春が来たなら何しよう花見・野歩き・友のお見舞い
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ぶら下がる父を見上げて震えても何も出来ない夫だった人
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雨止みて 朝日を浴びるアスファルト 虹色光りて春の匂ひ発つ
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やんでると見まがうような降りでさえ傘にはちゃんと雨粒の跡
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インフルBという春休み 五日間家族の声で満たす喜び
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スギ終わりヒノキまでの隙突いて布団にうららな陽をたっぷりと /花粉はまだ続きます…
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にぎにぎと はなのもとにて 宴持たむ 花も人世ひとよも はかなくあれば
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夜明け前 右の腰の上 ねこがのる 生命のぬくもり 生命の重さ
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柿の木が二本切られて恥ずかしいほどに露わな我が家我が部屋/キャッ!
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駅前のバスターミナル 満開を迎るソメイヨシノにむる
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困難な場所を選んで咲く故か 線路内には目を引く緑
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音曲おんきょくに 詩歌に絵にと うたわれし 桜は生きむ 時代を超えて
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粛々と葬りは進み益荒男でありし君へと香を手向けん
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引き連れし  春の陽光ひかりに  雪解けて  あか絨毯じゅうたん  冬椿ふゆつばきかな
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年度末 締切迫る 協議書を 作製しつつ ランチはおかき 
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振り絞るような 母の涙声 耳を離れぬ 「バイバイ、ミクちゃん!」(タヌ猫の本名)
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盛りには白くかがやく木蓮が燃えさしのよに何で散るかな
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指さしてずどんと引き金引いたらば大雪山に夕焼けおちる
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