馬鹿みたく甘いチョコなど食べたなら溶かされてゆく胸の弾丸 

窓際にビー玉を置き少年のころ見た夏を呼ぶ餌にする 

今度君プニプニとしてくれるよう保湿もキメも整えておく 

人の世は 蒼然暮色の海原に 絶えず満干く さざ波の雅楽(うた) 

朝六時 休みの日なのに起きてみる二十パーセント引きの生活 

はみ出した言葉喜び絶望を抑え込む俺という入れ物 

十六夜の月に添いたる星ひとつ今宵ひと夜の幻なのか 

産声はまっすぐな糸だいつのまにもつれさせたり紅く染めたり 

「やるな」って言われた仕事をやらされるこんなもんかなそんなもんだよ 

裏側の闇を陽気な餅つきのうさぎで月はカモフラージュする 

晴れてるしビルの森から抜け出して空の広さを確かめに行く 

私より彼女を好きになったこと恋が終わって おかえり息子 

探すたび見つけられないあのパン屋たしかにあの日買ったデニッシュ 

新しいうたくちずさみ君が説くことば強くて笑顔ふんわり 

なんか急にさびしくなって秋色のセーターの袖に手を潜らせた 

お誘いを断る理由思いつつ鍋の卵は半熟となり 

入店時 手指消毒をする人もせぬ人もいて秋刀魚は旨し 

賑やかな黄色帽子の一列を朝残る半月が見ている 

嫌いとか好きとかそういうことじゃなくラストシーンの霧雨の中 

「役人になるとはこういうこと」と云い姉は嵐の中を出にけり 

函館の春を愛する人の歌 尖っていても優しいロック 

ジメジメとイライラとするならいっそ 豪雨を浴びろショーシャンク 

橙に光るイクラが愛おしい そうよ私が育ての親よ 

停留所にNIKEs 丁寧に脱ぎ捨てる バス待たずに走り去る 

指させばあれがあなたにも見えるはず、という危うい前提の下 

田園の案山子の下にひれ伏すは泥棒かささぎ、スピード速く。 

短パンで二人子連れたお父さん 我も傍目にああ見えるのか 

元カレのつむじと同じ巻き方のアンモナイトのつぼ焼きを喰う 

車窓から乗り出している白い犬 野分の風と共に去りゆく 

好きになる ただそれだけで人間は 幸せになると気づいたあの日