年の瀬に市場群がる猛者もさたちを成敗したいこの大根で
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長き夜を彩りぬイルミネーション かじかむ両手 カイロ握りぬ
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最近の家電はシュっとし過ぎてて電源入れる術が分からず
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墓参り ご先祖様に 挨拶す 幸も不幸も 引き受けますと
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起業した 元上司の メールには 苦悩と希望 散りばめられて
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庭活し落ち葉舞わぬは楽なれど 少しの未練将来見据へど
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かじかみぬ手をり合はす 帰路の宵 ねぎらふ如し 上弦の月
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一年を漢字一字で表せば「凡」あるいは「疲」「痛」なるかな
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この部屋の座椅子の窪みばあちゃんが生きてた証小さな重み
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カーテンを洗えば一皮剥けたごと明るくなった年末の日よ
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選り分けるてのひらの上の黒大豆 酷暑の夏を二人語らう
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枕もと イケメン彼氏 期待するが 今年もサンタは 現れなかった
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春の如 さき淡桃うすもも色の花 咲きぬ寒桜の クリスマス
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くたびれに拾ひ物あり届けなば探す人ゐて胸ほどけたり
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冬らしき決まり言葉を重ね聞く メリクリあけおめ西高東低
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クリスマス息子単身赴任たんしんで戻らぬが吾にも与わるチキンとケーキ
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クリスマス余韻に浸り 翌朝も 耳に残りぬ 聖夜の曲が
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凛とした 空気の中を 通勤す 向かい風でも 日差し暖か
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えっまじか「今から帰る」の伝言に慌てて温めなおすシチュー
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うたた寝に よき夢見たなと おもふ我 忘れられずにいる はつ恋よ
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母の居る 空へ届けと ブランコを 力の限り 漕ぐ星 野原ほしのはら
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サイドミラー 朝焼と雲 感動し 年の瀬迫る 出勤の朝
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日の暮れが遅くなったと車椅子運ばれ帰る母を待つ夕
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五時間を耐えて辿れば 純白の実家(さと)に積もれる 古き思ひ出
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花の無き 季節に枝に 灯をともす 梅花ばいか可愛や 春浅く満つ 
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年の瀬に 子らが集まる新年の 食材求めあれやこれやと 
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突っ立ってオブジェように動かない 鷺よお前は何を見てゐる
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床の間の無い我が家のテーブルでちょっと場違い迎春の花
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暗闇に吾を連れ去れ地下鉄よ もう帰れないほどの遠くへ
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落ち葉くべ 焚き火の中の焼き芋の 甘き香りに腹の虫が鳴く 
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