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風薫る薔薇の棘まで緑濃しふんはり咲きて紅色に染む
29
熊蜂
(
くまばち
)
が 蜜吸う
羽音
(
はおと
)
や 藤の花 庭に
出
(
い
)
でれず 盛りを過ぎぬ
29
退勤は初夏思わせる昼下がり 卯月の空に日傘
翳
(
かざ
)
して
29
風光る横断歩道をタンポポら揺るランドセル上げる手揃え
29
歳重ね 逝きにし友の無常知り 出会ひし友の有難きかな
29
クラス替えスキップの先 少女いた 教室光り陰は透明
29
幼児
(
おさなご
)
の落としたものか 一粒の小さなラムネ 座席の隅に
29
春雨の 雫ころりと 優しい音 鈴の白花 アマドコロかな
29
青々と陽にきらめきぬ麦の畑 風に乗り来る若穂の香り
29
野辺に満つ たんぽぽ朝の 陽の風へ 綿毛舞い立ち 遥かな銀河
29
青の
刻
(
とき
)
一番星が瞬いてもうじき夜の
帳
(
とばり
)
が下りる
28
笑み揺れてオレンジに染むチューリップ上る観覧車 向かい合わせに
28
チビ猫が 行方不明の 朝であり 皆で捜索 箱ですやすや
28
洗濯物
(
ほしもの
)
が風に揺るるを見るだけで ふふと幸せ 外干し解禁 /花粉ほぼ終了
28
鶏の 声に目覚めず
雉
(
きじ
)
の鳴く 哀しき声に 朝焼けを知る
28
道端の ハルジオンたち おしゃべりで ついつい会話 弾む朝なり
28
大風
(
おおかぜ
)
と共に伝わる春の
震
(
ゆ
)
れ窓枠叩く
雨
(
あめ
)
心細く
28
半夜雨の最後の既読「おやすみ。」が何度も何度も淡く滲んで
28
受診へと施設の
義姉
(
あね
)
をドライブに 何処へ行くのと繰り返し問う
28
まだ卯月となりの部屋にうたた寝の夫のクシャミ二つ三っつと
28
庭で摘むミツバ、ぎょうじゃ菜持ち帰る姉の暮らしの豊かな春よ
28
てってってっ チリチリチリンと 音がする ねこが起こしにくる音がする
27
暑過ぎず寒過ぎぬ午後エアコンのフィルター洗って気持ちも晴れて
27
心まで見詰め返して来るギリア愛する人に思い届けて
27
言語のなき猫の
仕種
(
しぐさ
)
に 憶測をしては ナレーション入るる
夫
(
つま
)
と
吾
(
あ
)
27
公園で駆けるおさな子 後を追うじいじの笑顔に 緑の風吹き
27
持ち主の元へ戻れたのか 枝に掛けられていた ユニフォームは無く
27
縁側に膝を並べし宵の口ビール片手に春のお月見
27
石鹸の匂いと君を抱きしめる 裾を
揺蕩
(
たゆ
)
らす風の優しき
27
馬車道の雨の景色に助手席の窓はゴッホの絵画に見えて
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