支払いへ訪う事務室の日向には猫様二匹それぞれゴロリ
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砂浜へ電車ごっこの子ら来れば白千鳥しろちどりそばをトコトコと行く
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いいにく1129の日なのに 魚をつつきたる 秋刀魚のわら焼き はらわた旨し
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幼日おさなびいだく 父の友人との写真眺む 届きぬ喪中
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隠れ家で 鶏すき鍋に 唸る我 野菜の旨味も 出汁に溶け込む
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ポスターのヒグマは既に冬眠か噂も聞かず霜月尽日
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トナカイの コスプレ抱かれ 笑顔なり 孫の仕草に 周りも笑顔に
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茉莉花ジャスミンの お茶を飲んだら 汗が引き 繁忙期なり 正月もなく
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リビングの壁にあなたの影みつけ 師走の低い朝陽のしわざ
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時流れ 年明け妻の 三周忌 春には父の 一周忌… /寺に依頼す
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結局は朝三時まで作業して徹夜のつもりが眠くなるもの
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外の風部屋に取り込み揺れている 1枚となる壁のカレンダー
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くりかえし見る夢のあり何ゆえに 乗るべき電車を焦りて捜す
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納豆に日頃の苛々ぶつけても健気に美味い ごめんね。納豆。
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夕暮れに 東の空に 浮かぶ月 流れる雲に 隠れて光る
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田舎者まる出しだから訛など若い時分は嫌いだったよ
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落葉らくようや 一掃されど 道端に 積もり積もりて 秋をえがきぬ
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窓の外 秋冷しゅうれいの風 澄む夜空 オリオン仰ぐ 床に就く前
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いい天気 落ち葉踏みしめ 散歩道 天使の食べ物シフォンケーキを さがしにゆくの
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デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
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あの味は 今も続いて いるのかな 出汁であふれる 卵焼き丼
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傘ほどきかざしてみたらちりちりと 冬の小雨の音やかそけき
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雨はげしい今日は合羽を使おうか買い物するにも事欠く生保
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それいいやん、と 母の褒めたる 吾のスカート 赤のチェックで クリスマスふう
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寝る前のポテトチップスばりばりと 月と一緒に太る晩秋
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暗幕あんまくに 散りばめられし 銀の鈴 夜風の揺らす 星の いくつ 
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我のため雑草くさを摘んでは土産とす 認知症やまいの祖母の不変の愛情
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秋深く 静かに咲きし お茶の花 可愛げな白 主張し過ぎず
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肉まんの 手の中伝わる温もりに コンビニ帰りに霜柱踏む 
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実の如くあかく染まりをる柿の葉 揺らすは風か ついばむ鳥か
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