雪かきの苦労なき冬 後にした町より届く雪の風景
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オレンジの皮を前歯に貼り付けてキャッキャッ笑って日曜日なり /吾子三歳
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前向けぬ日は日向にてひっそりと息整える草の如くに
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「当然」と言わるる日々に削られてわが手はカサリと冬の音す
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「まいったね」笑いあいつつ雪を撥ね見知らぬ誰かと温もり交わす
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あかき花咲きぬ去年こぞまで 山茶花さざんかの切り株からは 悲涙の匂ひ
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冬の家事 動き出せない朝 まずは熱い紅茶で内からぬく
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虎落笛もがりぶえ 奏でをる戸を摺り抜けて 部屋の暖気にくるまりぬ風
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巻き添へを食らふも 悪気の無き人を許し 運の無き事と笑ふ
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ジーパンの君しか知らぬ友達の震える喪服 薄い三日月
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我が猫を 腑と見失ひ 物陰を覗けばそこに 日々かくれんぼ
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「ただいま」の声を待つ間の静けさに鶏肉沁みて愛しき夕餉
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麹から 甘酒作り 挑戦し 自然の甘さ 身体に優し
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親のため親が死ぬまで共にいる良い息子だが白けた私
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「フィッシング詐欺に注意」とメール来る いざとなったら見抜けないかも…(不安)
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傷あればこそ愛でらるるこの身体賢くなきを許して歩む
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鳥の声途絶えし朝の吹雪なりわが家の芯をスープで熱てらす
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我が赤のセーターと色が一緒と 赤のブーツを履ひて来し友
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簡単にクレゲで獲ったぬいよりも掴みきれないわたしのハート
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冬枯れの色無き森を記憶しつ 歩きて待てり山笑ふ春
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雪予報 日曜朝の 高速は 車も疎ら 貸切のよう
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しくじりも「わたくし」なのだと頷けば鳥舞う空に冬の陽の満つ
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大寒の朝に 暖房1℃上げ だあれも風邪を 引かないように
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鍋つかみ両手にはめてフォッフォッとバルタン星人真似てた姉貴
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「生きている しくみがわかる 生理学」 タイトルに惚れ買った医学書
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わがうちに家族(いえ)焼きつくす火を飼いて何食わぬ顔で夕餉を運ぶ
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数年もストッキングに縁遠くかかとのケアも怠っている
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冬ざれの 狭庭に出る蕗の芽の 萌ゆる緑に春を見つけたり 
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雪降るか降らぬかの朝時をうやかんに手かざしぬくめつつ待つ
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例えれば雪に倒れて死のうとも見つけてくれたらそれでいいから
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