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雪かきの苦労なき冬 後にした町より届く雪の風景
29
オレンジの皮を前歯に貼り付けてキャッキャッ笑って日曜日なり /吾子三歳
29
前向けぬ日は日向にてひっそりと息整える草の如くに
29
「当然」と言わるる日々に削られてわが手はカサリと冬の音す
29
「まいったね」笑いあいつつ雪を撥ね見知らぬ誰かと温もり交わす
29
紅
(
あか
)
き花咲きぬ
去年
(
こぞ
)
まで
山茶花
(
さざんか
)
の切り株からは 悲涙の匂ひ
28
冬の家事 動き出せない朝 まずは熱い紅茶で内から
温
(
ぬく
)
め
28
虎落笛
(
もがりぶえ
)
奏でをる戸を摺り抜けて 部屋の暖気に
包
(
くる
)
まりぬ風
28
巻き添へを食らふも 悪気の無き人を許し 運の無き事と笑ふ
28
ジーパンの君しか知らぬ友達の震える喪服 薄い三日月
28
我が猫を 腑と見失ひ 物陰を覗けばそこに 日々かくれんぼ
28
「ただいま」の声を待つ間の静けさに鶏肉沁みて愛しき夕餉
28
麹から 甘酒作り 挑戦し 自然の甘さ 身体に優し
28
親のため親が死ぬまで共にいる良い息子だが白けた私
28
「フィッシング詐欺に注意」とメール来る いざとなったら見抜けないかも…(不安)
28
傷あればこそ愛でらるるこの身体賢くなきを許して歩む
28
鳥の声途絶えし朝の吹雪なりわが家の芯をスープで熱
(
ほ
)
てらす
28
我が赤のセーターと色が一緒と 赤のブーツを履ひて来し友
28
簡単にクレゲで獲ったぬいよりも掴みきれないわたしのハート
28
冬枯れの色無き森を記憶しつ 歩きて待てり山笑ふ春
28
雪予報 日曜朝の 高速は 車も疎ら 貸切のよう
28
しくじりも「わたくし」なのだと頷けば鳥舞う空に冬の陽の満つ
28
大寒の朝に 暖房1℃上げ だあれも風邪を 引かないように
33
鍋つかみ両手にはめてフォッフォッとバルタン星人真似てた姉貴
27
「生きている しくみがわかる 生理学」 タイトルに惚れ買った医学書
27
わがうちに家族(いえ)焼きつくす火を飼いて何食わぬ顔で夕餉を運ぶ
27
数年もストッキングに縁遠くかかとのケアも怠っている
27
冬ざれの 狭庭に出る蕗の芽の 萌ゆる緑に春を見つけたり
27
雪降るか降らぬかの朝時を
喰
(
く
)
うやかんに手かざし
温
(
ぬく
)
めつつ待つ
27
例えれば雪に倒れて死のうとも見つけてくれたらそれでいいから
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