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愛犬の逮捕に走る 転がったワインのコルク咥えて逃げた
33
君知るや 人目も恥じず
睫毛墨
(
マスカラ
)
の 落ち滲みたる 我は泣きおり
26
搾
(
しぼ
)
り出すちゅ~る 冷ゆる指に着きし
嘗
(
な
)
める猫の
小
(
ち
)
さき舌
温
(
ぬく
)
し
26
暁に 消え入りそうな下弦月 師走の空の雲間隠るる
26
思ひ詰め 言葉を編めず 夜は更けてゆくのみ 歌は未完まにまに
26
西の山東の山も薄っすらと雪を被って風花の舞う/朝
26
雲間から差し込む斜光照らし出す冴え冴え白く光る山頂
26
師走来て 路面凍結冬タイヤ 交換するも老いの身重し
26
アラームを止める指先
悴
(
かじか
)
みて 毛布に引き込みぬ 寒波の朝
26
動かざる思ひ知りたる雨の歌ひとり受けたし
歩
(
あゆみ
)
静かに
26
大掃除 拭いたばかりのガラス窓 指差し呼称妻からダメだし
26
救急の惨事を告げばデイケアの瞳の奥に涙の光り
26
窓を出てぐるり回って勝手口開けてくれろと猫のルーティン/朝
26
かあさんはもう多分餅食えないとお供え餅を1個だけ買う/嚥下障害
26
ダイソーで可愛いピアス買い漁る美女と呼ばれた意地があるから /還暦
26
多忙なる
一日
(
ひとひ
)
の終わり 静寂が クールダウンを 吾に施す
26
紅々と色づく部屋のポインセチア猫のあくびも冬を運びぬ
26
明日への扉を閉じて今はただ心に灯すおやすみなさい
26
雨間
(
あまあい
)
に 青空見ゆる 露天風呂
温風
(
ぬるかぜ
)
の師走 春の如し
26
白い湯気しゅーしゅーさせて蒸してから
蒸篭
(
せいろ
)
を開ける瞬間が好き
26
縄文の人も食いけむ栃餅や土器のまわりに笑みのあふれり
26
枯れ葉さえ 舞わぬ一日 小雨降る 寒気沁み入り 柚子湯を想う
26
はだいろがピンクベージュと名を変えて澄まして座るクレヨンの箱
35
吾
(
あ
)
の腹のうだる痛みに凛と立つ妻は修羅場の花の神なり
25
目をこすりもじゃもじゃ髪のおばさんはググれば名医 明けの明星 / ミスで再掲
25
通院にペダル踏んでも月一回ひと駅歩けば十キロ以上
25
生憎
(
あいにく
)
の
雨催
(
あまもよ
)
ひ 予定揺るがす 今宵は
夫
(
つま
)
と イルミネーション
25
「寒いね」とかじかむ指をすり合わせお鍋の煮える音を待つ夜
25
このゴミが入れば明日は辛くない一回壁に当たって入る/ゴミ箱
25
雨催ひ靄もかかった冬の朝 奇妙に温ひ師走の日曜
25
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