陽を浴びて黄のクロッカス咲き揃う笑みているのか歌っているのか
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行く道へ転がるちさき石の名は吾の気に掛けた明日の石とす
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上向いて落ちる椿の見るものはまばゆい空か蕾の子らか
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背中から両腕回し抱き上げる日々の吾を置き父旅立ちぬ
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車両にて 楽しげにしりとり遊び 盛り上げし親 子が飽きぬやう
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母の負を父のいさおで拭ひ去り 私は独り介護あしたを編めり
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満開の 桜便りは届けども 我がふるさとの蕾は硬く 
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タンポポが白も黄色も雨に揺れ草に埋もれる季節がまた来る
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花冷えに ちま猫ちゃんは さんかくの おにぎりになる おててはのばして
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ふきのとう、教えてしまえば僕だけの春が二人の景色にかわる
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実体の無きまま ふわりとした君に 暁あかつき逢ひぬ 黄泉よみを旅して
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今月に入って「すき」と告白を数えきれぬはエイプリルフール
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小夜雨のテンポ早まり安定の君の寝息を数え夢見る
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通院をメインディッシュに一日を盛りつけている老後のふたり
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桜蕾おうらいに降り注ぎぬ 恵みの雨 潤ひて 満開まで待ちぬ
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通勤路を潤す 菜種梅雨の朝 雨靴と傘とをお伴にし
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レコードになったことない作詞家の夢レコードを聴くプレーヤー
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にぎわいの桜の並木何事もなかったような卯月の葉桜
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風を切り よぎりぬ車 降り積もる花弁はなびらを巻き上げ 花飛沫
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譲り合ふ人同士 初対面なれど 会話生まるる 車両の座席
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欲しいもの挙げ連ねたら切りがなし 人の欲とはおそろしきかな
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蒲公英たんぽぽの群れの目線で桜見て何とか撮りたいこのツーショット
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母さんが勝手に空に逃げぬようベッドに柵と番猫を置く
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新年度 あいさつ回り 時追われ 雨天の土曜 車中で一息
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利かん気で危機一発の子を抱き締めて母はせめずにカモミールティ / イースター、ピーターラビット
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ストーブを点けて観ている Tシャツの誰かの春と同じ国とは
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白鳥に地図などなくて 僕にある真っ白すぎる進路希望書
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春のゆく花は散り際見定めつ繋ぐ手解く「さよなら」もなく
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楽しみを選んだはずがリュックには「不安」が勝手にパッキングされ
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病院の玄関までの上り坂 花吹雪舞い温い風吹く
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