朝四時にヤクルト1000を買っていく男でしたと紹介されろ
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アメンボは水の流れにさからって泳いでは同じ場所にもどって
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「午前四時、星を見ながら待ってます。きさらぎ駅の朽ちたホームで」
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砂浜の傾斜は海へかえりたいわれらのこころ、春を踏みゆく
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冷蔵庫の永久凍土になりそうなピーナッツバターと君を待ってる
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ともすれば世界の印刷ミスであるあまりに電灯だらけの夜景
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雪どけの木漏れ日浴びてアスファルト君と明日は歩きたい路
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踏まれてるふきのとう見てつぶやいた君はいくらか頑張りすぎたね
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階段と風呂場と居間に手すり付けほっとしたのは父よりわたし
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起立、礼、やばい宿題やってない、窓からの風春だな、着席
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いんちきに思えてならぬ透明なフィルター越しのレジの向こうは
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じいちゃんが「好きだったべ」としわしわの笑顔でくれるトマトが好きだ
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よりどころ
なんてないのよ太陽は薄い身体をただ照らすだけ
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きらめきを叩きこわした破片さえ愛しい 先生愛ってなんですか
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春の句を 教えられたり 教えたり なるほどこれが 好きのはじまり
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捨てようとすれば突然インク出るこのボールペン君のようだよ
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錆ネジにそっとオイルをさすようなことしかできぬ君への想い
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