米減らす耳を疑う新任のげんに戸惑う氷雨の稲田
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秋の空 いと天高く 雲早く 急ぎ足の吾を 見下ろし微笑む
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仮装して長過ぎシッポを笑ひ合ふ何と平和よこの国ニッポン
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おとしもの ハンカチひとつ 届けらる やさしい世界であればと願う/なんとなく再掲
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初冬しょとう並みに冷へ込む秋 夕餉ゆふげには 床暖点けて お鍋にしやう
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秋の陽に背を押されおりはた立てば晴耕雨読の亡父ちち訪れ
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雲ひとつなき あをぞらよ 「全て良し」 そのに 我に告げるかの如く
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窓際で 資料作りし 雨かなと 耳を澄ますと ベーコン焼く音
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楕円形 京都の古き メロンパン 白あん入りで 優しさ溢れ
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味噌汁の味見ひと口「はぁ」となる夕餉支度のお約束
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晴れる日も二十度超えも有るからと肌着七分を今日もためらう
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ご近所の 紅葉愛でつ 蝶愛でつ 今日も病院 とっとこ歩く
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中央のタビビトノキの丈高く誰かを待つや北の地に生き
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剪定の ハサミ持つ父 手伝ひて 背中で語る 秋の陽の下
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響き渡る子らの歓声パワフルに 雨の予報を吹き飛ばすごと /運動会
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ビル壁に映る秋空だけを見て七日が過ぎる 媼ひとりで
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初デート蟹のカップル真剣に手のつなぎ方考えている
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わたくしは自慢するほど掃除嫌い新商品で気力を繋ぐ
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冬毛ゆまでの愛猫 暖求む 二匹くっつき丸まりぬソファ
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年一回同じ毛糸をいて編む度毎たびごと針も棒も痩せこけ
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ひざの上に猫がとびのり丸まって 暖とりあって雨音を聴く
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いつかまた明るい短歌うたを詠みたいな 秋空のよな澄んだ心で
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咳をして 皿を洗って片付けて お風呂をためて 泣いても 一人
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月冴えて 魔法の時間 草むらに水晶の露 ふくろうが鳴く ⑥
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かき氷みたいな冷気を吸い込んで冬のモードに脳を切り替え
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飄々と枯れすすきにぞ光りあり「過ち」詫びて星になり逝く / 村山首相101歳の旅立ち
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軒先に スズメ連なり 雨宿り 雨の大阪 よき風情かな
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黙々と 炭火の前で串を焼く 女将の首にピンクのタオル 
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丘のうへ墓場や寒し北風に 供への花は疾ふに枯れたり
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あの橋を渡ると貴女に会えるはず画面の景は新釧路川
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