再会に「どなたですか」と問う姉の海馬をそっとのぞけぬものか
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天守から 木曽川眺め 時が過ぎ 携帯アラーム 我にかえって
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会食を 終えて一人で ウイスキー 味わう時間 大人のひと時
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夕空に浮かぶ生駒の山の端を渡る旅客機 影絵の如く
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買いものは楽しいけれど捨てる時なぜゆえ心折れまくるのか
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薄雲の差す夜半よわの空 雲間からまたたく三ツ星は オリオン座
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配達の役割を終へ 我が猫の秘密基地と化す 段ボール箱
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冬支度 パンジー敷き詰め 庭整備 冷たい空気 温めるよう
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冬間近 錦の山は 葉を落とし 冷へる樹元きもとは 落ち葉の炬燵こたつ
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枯れ葉踏む感触と 心地き音 ポテトチップス咀嚼そしゃくす如し
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引き寄せの法則ありは真実か新刊の見出しにふと思いたる
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仕事終え遅い昼餉は有りもので ゆうべの豚汁沁み渡るなり
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そばにいてほしい時ほどさみしさに強くなってくわたし演じる
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日は差せど寒風痛し風音に紛れ聞こえる熊の警報/防災無線
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夜も更け テラスで星を 眺めつつ 珈琲片手に 波の音聞く
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病から教訓を受け 喫煙を断つてから 三年目の夫
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「じれったい」安全地帯の曲を聴く コロナの症状一進一退
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奮発しピザを取ったがその味が塩分過多で吐きそうになり/味覚障害?
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ポケットの中繋ぐ手は温かく 1月の海寒さ感じず
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自分では死ぬことさえも出来ないとベッドに乗せられ管を繋がれ
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抑えても咳の暴発止めがたし 今は出るなと頼んでみても
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土曜日の街はスローな紅葉もみじ色 僕だけ疾風白きママチャリ
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新聞をなぜそんなにも短冊にする要がある猫に問いたい
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咳をした 君のとなりに居られるの かみしめながら 一人と 一人
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枕元そっと置いたらおやすみと麦茶の水筒二〇〇㏄
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海沿いを 二人で歩く 秋の夜 流星群に 願いを込める
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散歩せば汗ばむ陽気に石蕗つわぶきの固き蕾もほろりほどけて
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二日間娘は音も沙汰もない好きなおかずをラインしたのに
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幼さは一年長く待ち遠しい老いては一年取り付く間もない
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ただ寝てるだけではぼけてしまいそう 今日見た空は格別だった
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