魔術師は春風に乗り現れる桜の花に躍らされるたみ
28
また不意に 寄せて返すこの悲しみは われら家族を しばらく去らぬ
28
先輩はマンガ喫茶かサボりつつ結果出すのがプロだと言って
28
柵に干さるる さき白き上履き 二足ふたそく並び 春光浴びぬ
28
貧しくも思いは高くと言い訳し株は疎くて短歌うたに溺れる
28
Eテレのダジャレにツボる息子から『サバイバルで鯖威張るー!』
27
プランター 小松菜の芽が出揃って 農家気取りの二年目の春
27
日々眺む開花の時を急かすよに ソメイヨシノは我関せずと
27
元部下と 神田駅にて 再会し ランチ富士そば 思い出の場
27
妹から「居酒屋予約完了」と 早も心は十勝へ飛びぬ /明後日から
27
売り込みを競う軍用産業は反戦歌聴く暇もないのか
27
余裕でき遠出の旅の思案中弥生の空へ君は翔けゆく
27
幕下の五枚目までは上がってた 郷土力士の引退を知る
27
情景の言の葉の糸 見へたらば ペンとふ編み針で紡ぐ歌
27
山肌が淡いピンクに染まるのももうすぐだよとお墓に話す
27
母さんの好きな花だね山桜ここならきっときれいに見える
27
十勝へと向かう車窓に雪舞いて 春待ち詫びし昔日思う
27
母の膝 若手の医師の 手はマウス おきなの医師は 患部触診 /意志医師の違ひ
27
時計ときを見て  まだかまだかと  待つホーム  春のきざみは  花びら舞いゆく
27
春の野は思い出たどる宝箱れんげ畑で日がな一日
27
春風よ いつまでも疼くこの心 そっと包んで 癒しておくれ
27
役割を終へし器物に ねぎらひの気持ちを添へ そうっと芥箱ごみばこ
27
公園を彩る花もいいけれど 無造作に咲く野の花いと
26
おぼろげな光をまとい 春の月 しんと更けゆく夜を照らしつ
26
眠りから 気合いを入れて 起きる朝 アプリおみくじ 大吉嬉し
26
窓帷カーテンひらかば しとどなる窓外そうがい 春暁しゅんぎょうを濡らし そぼ降る雨/しとど=びしょ濡れ
26
山せまり川が流れてふるさとの駅はもうじき二時間の旅
26
死んだなら棺の中に入れてくれ パワーストーンとこの耳かきを
26
夫と行く遠き蕎麦屋の帰り道 芽吹く野山をふたり見つめて
26
実家の柱にかれし落書きは 消せぬか消さぬか あの日のまま
26