朝四時にヤクルト1000を買っていく男でしたと紹介されろ 

アメンボは水の流れにさからって泳いでは同じ場所にもどって 

「午前四時、星を見ながら待ってます。きさらぎ駅の朽ちたホームで」むちゃくちゃな虚言癖でも君ならば事実に変えてくれる気がして 

砂浜の傾斜は海へかえりたいわれらのこころ、春を踏みゆく 

春雨に負ける桜は見たくない試合は始まったばかりだろ 

遠慮がちな電話きっとお互いマジックテープのふわふわの方 

冷蔵庫の永久凍土になりそうなピーナッツバターと君を待ってる 

ともすれば世界の印刷ミスであるあまりに電灯だらけの夜景 

木津川の 水面に映る薄暮から吐息に霞む 白い暗闇 

幸せはたまに動物の形のビスケットになったりするよね 

逃げることだって勇気が必要と当事者になり初めて知った 

アンパンを上手く等分できぬよに 愛情だって等分じゃない 

アレルギー 疼きが春のせつなさの九割九分を構成してる 

制服にはねた雨水笑い合い互いの気持ち嘘はつけない 

雪どけの木漏れ日浴びてアスファルト君と明日は歩きたい路 

踏まれてるふきのとう見てつぶやいた君はいくらか頑張りすぎたね 

持つ物が増えるスマホと老眼鏡夫の薬と拗ねた子の肩 

階段と風呂場と居間に手すり付けほっとしたのは父よりわたし 

前髪を1ミリ直す我が息子後頭部の毛寝癖のまんま 

起立、礼、やばい宿題やってない、窓からの風春だな、着席 

いんちきに思えてならぬ透明なフィルター越しのレジの向こうは 

暗記する箇所はどこにも無いけれど栞を挟む君と見た頁 

じいちゃんが「好きだったべ」としわしわの笑顔でくれるトマトが好きだ 

よりどころ なんてないのよ太陽は薄い身体をただ照らすだけ 

きらめきを叩きこわした破片さえ愛しい 先生愛ってなんですか 

春の句を 教えられたり 教えたり なるほどこれが 好きのはじまり 

スカートを揺らした風に誘われて 少し気取って歩く夕方 

捨てようとすれば突然インク出るこのボールペン君のようだよ 

錆ネジにそっとオイルをさすようなことしかできぬ君への想い 

冬物の制服をクリーニング出す次着る僕はどんな僕だろう