根元から切られてこぶの酔芙蓉 夢を紬ぎて如月を生く
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残業の 超過警告 メール来る 仕事終わらぬ 理不尽な闇
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クッションに頭乗せ 毛布を被り 飼い主の寝姿のよな犬
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感覚で投じる票の危うさよ思考を捨てる流浪の文化
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おおきにと言われた市バス ご夫婦が隣り合うよう席を替わって
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風運ぶ花粉をまとう干し物を必死で払う軟弱な腕
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春が三日、半減の雪に花壇のフェンス本日登場
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南風はえにより暖められし如月の 今宵の月の傍には昴
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楽あれば苦あり苦あれば楽ありと鼻で笑って溜め息をつく
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春旱 草も生え無き我が畑 砂を巻き上げ春一番吹く
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バーボンの花の香りや春一番 「微笑がえし」鼻歌にして
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福もちを食んで 粗茶などすすりたる お正月の名残 これでお終い
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雨の降る 少し前には 土の香が 森の香りも 運ぶ春の日
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情景の言の葉の声 聞けたらば ペンを走らせ 推敲重すいこうかさ
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こわさないように避けて歩いてく 春の夕焼け宿す水たまり
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子の熱に眠り削りて添う母に 豆電球の明かりやわらに
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仕事終え電車乗り継ぎ夫の元 明るい笑顔に疲れも飛びぬ /明日退院
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明日こそ太陽のような「おはよう」を言いたい寝癖が似合うあの子に
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気を抜いた背中の写る一枚にどこの老婆と目を疑いし
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白鷺が 春の朝陽を 浴びながら 川を渡りて 水面は光る
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南風はえ吹きて予報は伝ふ五月並み ベランダに出て確かめてみる
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暁の豪雨は街を洗浄し 朝の南風はえは滴を払ひぬ
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店内に 流るる旋律メロディ そばだてり 奏でをるオルゴール『春よ、来い』
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鉛筆画 モノクロームに 色彩を き想像さする 事の豊かさ
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反り返る 足の親指割れ爪の 苦節に耐へて吾を支えをり
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あさおきて ねこはねむれり すやすやと あくしゅ握手もとめるやうな おててで
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半分はどこへやったの?上弦の 月に問ふてる夜風はうらら
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会うたびにハグせし孫も近頃は吾の背を抜きてはにかみをみせ
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恵みの雨 ねこはねていて よいけれど キミが眠いは 困ったものだ(薬で)
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雪洞ぼんぼりに むつみて座る 人形の 頬の白さの 妖しき花冷え
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