夫から「買うもの忘れた」LINEあり 吾も忘れて苦笑いなり
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咲き残るキバナコスモス愛らしき 彩り褪せゆく遊歩道にて
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うまいこと三十一文字みそひともじを並べれば短歌のようなものはできます
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残月を捕まえんとし上昇す 白き巨人の手の形の雲
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南天の実が欲しくなる 冬の夜 魔除けなるべし 魔除けなるべし
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イチローの名言出して励ました部下はあっさり辞めてしまった
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街中まちじゅううなりを上げる沈みかけお月さんだって飛ばされそうだよ
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日は差せど冷たき風の吹く朝は木々ざわめきて木の葉舞いくる
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犬の世話以外は何もできなんだ それでもこれが僕の一日
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やさしいと優しくないの僕がいて、やさしいだけの僕でありたい
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フィクションとノンフィクションの境目を探らないでね醒めちゃうでしょう
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「もう少し考えさせて」断わると決めてるきみの優しい演技
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お日さまを寿ぐような鳥たちの合唱うた朗らかに冬晴れの杜
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お正月帰れぬ吾子へせめてもと お菜並べて 居酒屋『おかん』 /家族で忘年会
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へし方「社長」と呼ばれ せた方「先生」と呼ぶ 昔の夜街よまち
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つり革に 初めて届き 喜びて 記念日だねと 言ふ吾子愛し
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娘から『父に彼女が出来たみたい』それは別れる以前からのこと
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霊園の前通るたび想うのは背中合わせの我が死なるかな/通勤時
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夕焼けに染まる故郷の空見上げふと口ずさむ「バラ色の日々」
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塩かしらスープカレーに足りぬのはも少し美味しくなれるはずなの
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日が暮れる冬至に向けて下降する もうすぐ足が底に着く頃
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母娘とも合同供養墓入るのに二人の遺影を描いて遺した
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寒つのる手袋マフラーニット帽 枯れ草かしぐ北風の朝
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雪の朝もう騒いでる猫さんも外に出せとは言わない今朝は
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西の空 ぽっかり残る 残月や 風が強いね 雲が早いよ
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クローバーを 押し花にして 祈り込め こんなに可愛い ハートの形
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ぼんやりと 車窓に映る三日月が 盃に似し師走の街で 
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散りし跡 細き葉伸びて 春を待つ 舞台降りし彼岸花の冬
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「各停」を待ち 通過をす「急行」を見送りぬ 木枯し吹くホーム
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一日は初詣だぜと友が言うそのおみくじはきっと大吉
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