平日を 泳ぎきるため 休日に 息継ぎだけして また人の波へ
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巻き添へを食らふも 悪気の無き人を許し 運の無き事と笑ふ
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ジーパンの君しか知らぬ友達の震える喪服 薄い三日月
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「ただいま」の声を待つ間の静けさに鶏肉沁みて愛しき夕餉
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親のため親が死ぬまで共にいる良い息子だが白けた私
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傷あればこそ愛でらるるこの身体賢くなきを許して歩む
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顔中にご飯くっつけ笑ってる幼よいくさ知らずに育て
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鳥の声途絶えし朝の吹雪なりわが家の芯をスープで熱てらす
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我が赤のセーターと色が一緒と 赤のブーツを履ひて来し友
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せっせっと低い踏み台作ったよ 落ちた筋力取り戻すのだ!/無理はしない
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凍る月眺めファンタを飲む部屋は二十五度設定。夏の展開
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当前と 思われながら 働く身 雪に埋もれる 都会の線路 / 大寒波
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しくじりも「わたくし」なのだと頷けば鳥舞う空に冬の陽の満つ
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数年もストッキングに縁遠くかかとのケアも怠っている
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冬ざれの 狭庭に出る蕗の芽の 萌ゆる緑に春を見つけたり 
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雪降るか降らぬかの朝時をうやかんに手かざしぬくめつつ待つ
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例えれば雪に倒れて死のうとも見つけてくれたらそれでいいから
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曇天をかき分けてゆく白鷺の 羽毛の如き初雪ひらり
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雪来ぬが極まる水の冷たさに指のあかぎれピリリとしみる
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足るを知る 削ぎ落とすのも 心地よき でも無駄という 余白もいと
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頬を刺す 風感じつつ お迎えに 陽が長くなり 夕焼けを見る
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歯ぎしりという我が内なる氷河期よ零時に降り積む白き沈黙
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醜きも愛しきわが身と抱きしめて午前二時の闇に火を灯す
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飛び方を忘れ 枯れ枝に一枚ひとひら 厳寒に耐へをる 赤紅葉
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平行線交わらぬまま居心地の良き安寧の日を静かに重ね
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焼き魚ここまで綺麗に食べるとは匠の技だ 弟子入りしたい
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降り積もる雪よ僕らの未熟さも埋めてしまえと願う銀河系
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息子から「面白いよ」と差し出さる本で温もる家族の時間
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冬ざれの 羽が膨らむ寒雀 梅の枝先春を待てをり 
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整えた眉で世界と対峙する 嫉妬だろうか、街が静かだ
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