Utakata
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うっすらと 面立ち記憶する祖母の 年を追い抜き
老母
(
はは
)
は長生き
16
マンションの長き廊下に猫一匹お知らせ配る私をにらむ
16
今日という美しい日を名に刻み 燦々と降る五月の光
14
なんとなく娘にライン届けたい窓から眺む小立野の空
12
飲みすぎてまたもや恥をかきつばたしばらく酒を隔てようかな
11
水田がキラキラ揺れる春の夜 優雅に歩く白鷺一羽
11
菓子袋色無くなると伝えてる新聞紙面カラー印刷
11
遠雷の
曇
(
くも
)
れる野辺に
轟
(
とどろき
)
て 無人の
畔
(
あぜ
)
に 苗箱ひとつ
14
街路樹の枝葉をトレースする影で、無地なわたしも華やかな昼
12
セブンティーンアイスの跡地にダイドーの自販機があるような夕暮れ
9
石楠花
(
しゃくなげ
)
の雪折れ枝に花九輪。玄関先の大壺にありて
9
音で無く形互いに響かせてろう者の彼としじまの中で
10
様子見と言われて様子を見ないうち痣は彗星になって消えた
11
朝イチに重たき仕事片付けて 黄昏を待つ私のパソコン
14
五月から半袖シャツを着るならば八月頃は何を着るのか
12
ゆらゆらとレースのカーテンなびくとき生閉じられる決意と覚悟
9
おんなじだ赤き血ながし寄生してカベアナタカラダニ壁に這う
9
ひととせは矢のごと早く過ぐれども ひとひの長きいかに嘆かむ
8
針子とは お針子ではない 金魚らの 稚魚の名と知る五年目の春
8
忘れなけりゃずっと居るのと同じだろう? 世界でいちばんいとおしい
犬
(
ララ
)
!
8
好きという 色や形の 不確かさ 答え探して ため息に着く
10
「あれからも、ちゃんと幸せできている?」 沙汰なき友とまた会えたなら
15
米粒ほどの
蛞蝓
(
なめくじ
)
が
黴
(
かび
)
を食うために這つてゆく無人の街
7
根を伸ばす神棚前の
榊
(
さかき
)
の木わたしの運が一緒に伸びる
8
街中に日傘の花が咲いていた不意を打たれた夏の訪れ
7
鶯の まだ整はぬ鳴き声も 初夏の頃には誇らしげなり
13
人混みが怖くて独り海へ来た今度は
静寂
(
しじま
)
が怖くなった
13
他人軸 自分の気持ちが分からない 周りの評価で生きるしがらみ
6
パスタ跳ねドットができた白シャツはつまんで水で洗い落とせよ
6
月輪よ 落ちゆく鯉に 目もくれず しずくながるる なお「いま一度」
6
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