寡黙なる侘しきかどを晴れやかに祭りのごとく舞う金魚草
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葡萄酒と青いベリーを煮て光るソースでどうぞフィレのステーキ
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フリースの袖を伸ばして新聞を読めば静岡真夏日だとか
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エレガント、ハードボイルドどれも無理「ふつう」という名の仮面をかぶる
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一昨日まで 暖房いれてた寝室を ねこも暑かろと 快適おまかせ
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「よし、いい!」と思える短歌うたをいざ打たんアプリ起動中宇宙そらの彼方に
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オメラスを 去りて彷徨う道半ば 自由という字の 檻に似ており
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盲目の世界に一人彷徨いし病と別れ愛猫は逝く
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「仲いいな」長袖Tシャツ洗ったら絡みすぎだろ腕と腕とが
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ピンク帽かぶ赤子あかご電車中でんしゃなか母に抱かれ春の花束
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仕留めたる 鼠をくわえ 見せにくる 健気な猫と 共にありし日
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老い宅へ訪問くるる駐在さん既に周知の情報ばかり
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たくあんと野沢菜漬けの桶洗い 冬の始末がひとつ終われり
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慣れるまで三年かかりし尾張弁 今では我もその一員に
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あなたには、届かぬままで 散る恋を 何と名付けて 春に捨てよう
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水温み駆け足でゆく白き砂ちいさき手をひく鼓動の伝はる/妹との思い出
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公園で駆けるおさな子 後を追うじいじの笑顔に 緑の風吹き
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ふわりまろき牡丹桜をそっと手で包んでみたし 春惜しみつつ
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卯月とて夏日に嘆く心辺も夕へ突く音の寺鐘に消ゆ
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詠む内に広がる世界に差す光この瞬間を待っていたんだ
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草刈りてひとりの庭に佇めば 羽根欠けてなお空を見る蝶
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春光を浴びつ 商人らは憩ひ パックのジュース片手に談笑
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海底で君と朝日へ揺れていたあの日恋しく景色が滲む
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パチパチと黄色の線香花火萌ゆ陽ざし直下のオキザリスかな
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夜半の竹 薮に光るや月の如 姫はなにゆゑ竹に入りてや
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卯月満つ 藍裂くほどの静寂に 木群むらだちのぞく月ぞうつろふ
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冬眠の開けしじゃがいも待っている姉の電話に隣町まで
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漬け樽をひっくり返すとまろび出た たくあんお前 まだ居たのかい
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初恋の甘い記憶を呼び戻す青くて丸い小花イベリス
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母親の涙思うと耐えられずテレビを消して願う明日の灯
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