石鹸の匂いと君を抱きしめる 裾を揺蕩たゆらす風の優しき
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馬車道の雨の景色に助手席の窓はゴッホの絵画に見えて
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笑み揺れてオレンジに染むチューリップ観覧車のまど膝向き合わせ
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日残りて 黄昏迫る山里に 我が影伸びて夕陽に染まる 
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チビ猫が 行方不明の 朝であり 皆で捜索 箱ですやすや
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自転車で海見て帰る往復は六波羅蜜の百キロの道 「涅槃までゆく修行」
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紫を朝日に染むるアネモネよ 石段のに凛として立つ
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歳重ね 逝きにし友の無常知り 出会ひし友の有難きかな 
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幼児おさなごの落としたものか 一粒の小さなラムネ 座席の隅に
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農鳥の富士のふもとに水張れば早苗風立つ通院の道
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防人の 任務を終えし カノヒトよ 梅も桜も これからなのよ
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夕雲に染まるカラスの燃え尽きて君の恋しひ自転車の旅
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老い宅へ訪問くるる駐在さん既に周知の情報ばかり
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和らぎの萌黄色から青葉へと 装い変えて初夏に向かう樹々
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春疾風 凍てし涙の乾くころコート脱ぎ去り光纏はむ
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おはようの音を奏でるサックスの銀色褪せてセピアなる朝
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父が刺すボタン外れしワイシャツも窓打つ雨もみずいろの濃し
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水温み駆け足でゆく白き砂ちいさき手をひく鼓動の伝はる/妹との思い出
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三十一みそひとに込めれぬ想い溢れすぎ山に向かって相談してる
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どこ行くのと聞けばあなたは宝塚歌劇モードで「風を探しに」
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朝早くペダル踏み込む果てなれど煌めく海に全て敵わぬ
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クラス替えスキップの先 少女いた 教室光り陰は透明
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思いきり笑ってしまった待合室 北大路公子の本は危険だ
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なんとなく酸っぱい味のコーヒーを飲みたがってる夏日の手前
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藤棚の 花触れたくて背伸びして さき両の手 伸ばすおさな子
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蓮の白 錦糸に海老の紅跳ねて友を寿ことほぐ母の膳かな
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ねぎ坊主そら豆の花 菜園は 春の光に命のあふれ
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ラジオでの球場響く応援が沈んだ気持ちにじんわりと効く
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とりたてて秀でるもののなかりせば凡なるたひらのなほもむずかし
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真善美 求めし弓の道霞みパワハラに落つ花散る四月 / 弓友が職場の新上司
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