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断片で途絶えた夢の深層の真「まこと」を探す目覚めの朝も
26
しんとした 病室にひとり 過ごす夜 廊下行き交う足音さえ恋し
26
機微の春さえずり心震わせて土蒸す野花は夢に目覚めて
26
しとしとと 恵みの雨が降りしきり 梅の香ただよふ菜種梅雨かな
26
病室の窓から眺むる桜花 小雨にけむり しらじらと咲く
26
トゲのない言葉を探す会話するへとへとになる今日も一日
26
土砂降りも雪も曇りも惜しみ無く見せる素直な空は憎めず
26
母の負を父の
勲
(
いさお
)
で拭ひ去り 私は独り
介護
(
あした
)
を編めり
26
掃除機の音にも怯まず かまってと 棚を降り すり寄りぬ愛猫
26
ふきのとう、教えてしまえば僕だけの春が二人の景色にかわる
26
病院で近況報告『舅死す』知っていたのか静かに聴いてる
26
小夜雨のテンポ早まり安定の君の寝息を数え夢見る
26
数駅を寝落ち過ぎたり花の酔い 戻り列車に慌て駆け込み
26
チビ猫の 寝ぼけて うにゃうにゃいう声を 聞きながら飲む 朝のカフェオレ
26
曇天に見上ぐ桜で雨宿り奥の枝先ヒヨドリが来て
26
出会えずに闇夜の空を見上げては春の満月恥ずかしがりや
26
週末は 花散らし雨 降ると言う 我見ぬうちに散ること無かれ
26
気が付けば真円となる月ありて
月読
(
アルテミス
)
の船今一廻り
26
立ち寄り湯人のまばらな薬湯に知らぬ媼と桜を語る
26
風を切り
過
(
よぎ
)
りぬ車 降り積もる
花弁
(
はなびら
)
を巻き上げ 花飛沫
26
幾たびか 花は生まれて 花は死に 弔いて行かむ 絵筆に
託
(
たく
)
し
26
店先に早も飛び交ふつばくらめ
去年
(
こぞ
)
のお宿の手入れ
忙
(
せわ
)
しや
26
桜咲く路地は夕暮れぼんやりと僕らはいつも世界のとりこ
26
毎朝に
鶏
(
とり
)
の過酷を 思いやる 大きさよりも 殻の薄さに
26
愛されていた君ならん関取のようなる息子 泣き崩れさせ
25
純白の桜の花と若葉萌ゆ斜光に風の共演へ酔ふ
25
正座して 痺れし脚を 引きて行く そろりとそろりと 狂言の如
25
老猫を抱き上げ軽さ驚いてうまいものなど食わしてやろと
25
山頂に捧げしカフェの湯気へ乞う友との無事の劔の下山
25
父と夫二人の影を背に負ひて 息子のなかの光へ歩む
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