Utakata
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マンションの長き廊下に猫一匹お知らせ配る私をにらむ
17
水田がキラキラ揺れる春の夜 優雅に歩く白鷺一羽
12
菓子袋色無くなると伝えてる新聞紙面カラー印刷
12
なんとなく娘にライン届けたい窓から眺む小立野の空
12
うっすらと 面立ち記憶する祖母の 年を追い抜き
老母
(
はは
)
は長生き
16
音で無く形互いに響かせてろう者の彼としじまの中で
12
餌くれた人越してったマンションの廊下にそっとたたずむ野良猫
11
遠雷の
曇
(
くも
)
れる野辺に
轟
(
とどろき
)
て 無人の
畔
(
あぜ
)
に 苗箱ひとつ
15
石楠花
(
しゃくなげ
)
の雪折れ枝に花九輪。玄関先の大壺にありて
9
忘れなけりゃずっと居るのと同じだろう? 世界でいちばんいとおしい
犬
(
ララ
)
!
9
根を伸ばす神棚前の
榊
(
さかき
)
の木わたしの運が一緒に伸びる
10
花林糖
(
かりんとう
)
やめられぬまに芋けんぴ 縁側の茶器を雀はのぞく
9
街路樹の枝葉をトレースする影で、無地なわたしも華やかな昼
12
針子とは お針子ではない 金魚らの 稚魚の名と知る五年目の春
8
アリさんだ! 駆け寄る子らが じっと見る 運ばれて行く 虫の亡骸
8
街中に日傘の花が咲いていた不意を打たれた夏の訪れ
8
朝ラジオ いつもの声に 目が覚める 粗塩手に取り 握るおにぎり
9
椋鳥が蜥蜴を咥え誇らしげ遠い祖先は恐竜なれば
8
朝イチに重たき仕事片付けて 黄昏を待つ私のパソコン
14
セブンティーンアイスの跡地にダイドーの自販機があるような夕暮れ
10
小麦の穂 頂きました ありがとう 畑に蒔いて みようじゃないか
7
なきものと思ひし命ながらへて浮世の闇に惑ふぞ悲し
7
鶯の まだ整はぬ鳴き声も 初夏の頃には誇らしげなり
15
今日という美しい日を名に刻み 燦々と降る五月の光
14
パスタ跳ねドットができた白シャツはつまんで水で洗い落とせよ
6
月輪よ 落ちゆく鯉に 目もくれず しずくながるる なお「いま一度」
6
誰からも見られていない部屋の隅は暗黒に飲まれて宇宙へ
6
様子見と言われて様子を見ないうち痣は彗星になって消えた
11
おんなじだ赤き血ながし寄生してカベアナタカラダニ壁に這う
9
日の暮れて自治会に灯の影のびる…公倍数から公約数へ
12
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