散りし跡 細き葉伸びて 春を待つ 舞台降りし彼岸花の冬
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やさしいと優しくないの僕がいて、やさしいだけの僕でありたい
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冬用のおそろいスリッパ買いました 季節の支度のわれの楽しみ
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待ち合わせ気づけば見てる君の眉表情のくせ愛おしい冬
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薄暗く冷たい雨降るポスターの「階段掃除雨天決行」
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クリスマス前に旅立つ人看取る業務の心うち如何許り/介護士
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年の瀬や亀の甲羅も磨きけり 石鹸つけた古歯ブラシで
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やっと来た返礼品のタラバガニ 年末一度の蟹祭り為る
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あの夕焼け 明日も一緒に見ようねと ささやかなるも 切なる願い
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丁寧に 珈琲淹れて ひと息す 冬の陽だまり スピッツを聴く
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散り際と 緑葉 裸木はだかぎ まばらなり 時間差の不思議 並木の鴨脚樹イチョウ
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残業す 湯気をたたえた マグカップ ココアの香り 部下の優しさ
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美人だよ、三割増しね、虚偽かしら?互いに描かれた遺影の批評
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好きだとは告げないままで死ねるのか告げずに消える美学と言うもの
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風に乗り 赤き蝶の如く舞ひぬ一枚ひとひらの葉は 菊の花壇へ
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西の空 ぽっかり残る 残月や 風が強いね 雲が早いよ
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ぼんやりと 車窓に映る三日月が 盃に似し師走の街で 
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帰宅する時間の遅い独り居の孫三匹も猫を飼いおり
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児を教ふハイレグ水着の指導員お嬢さん 隣で泳ぐ私はワニの眼
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亀ちゃんも磨いてもらゆる 微笑まし 綺麗になって 新年ですね😸🐢
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「大丈夫?」やさしい顔のこの言葉 どんなときでもイエス一択
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寒き朝 鍋に残りし煮凝りの 飯に染み込むゼラチンの汁 
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必ずや 新大阪で 立ち寄って たこ焼きうどん 勝負めしなり
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凍ってる道がキラキラ陽を浴びて目を奪われる 危険は綺麗
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駅裏の 薄暗い路地枯葉舞う 師走の街に一陣の風 
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道幅は雪で狭まりこの街のメインの通りは渋滞発生
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体調を気遣ふ義母に勧められ 毎朝プルーンを白湯で割り
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ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
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はだいろがピンクベージュと名を変えて澄まして座るクレヨンの箱
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前歯ない姪が「ひみつ」と金平糖くれてゆっくり溶ける手のひら
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