灰色と 緋色のドラマ 終わりけり 風にかれて 暮るる夕雲
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話す時 何度も「めっちゃ」 をつけるから 信用のない 私の「めっちゃ」
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思い人彼はスターと思えばいい誰を愛していようといまいと
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ふたり旅 頭の中で 妄想中 隣のおじさま 君に見立てる
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うたた寝の薄目に映る信濃路は もみじに小雪、朝霧の里
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覚めやらぬ 夢の疲れに ぽつぽつと 鹿の子絞りに 鳥は群れ飛ぶ
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冬は雪 春は花弁はなびら 夏花火 秋は紅葉こうよう 舞ひぬ彩り
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プラタナスの大き枯葉が散るベンチ 秋を惜しみつ日向ぼこする
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熊出ればフィットネスジム繁盛で散歩難民風と桶屋と
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彼岸花 萩、ほととぎす 秋深く いのち名残りを 惜しみつつ咲き
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塒から発つ白鳥を追う旅立ちぬ祖母送る日もみた景色かな/三回忌
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足の怪我しらせてよこす友へ出す小さな荷物あれこれ詰めて
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旅行前お土産何がいい?聞かれ其処らで買えるが月餅と言う
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社長たる父には勝てぬ誕生日別れた母の誘い断わる
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澄みし空 三日月の色 温かく ほんのり照らす 遠き地球ほしまで
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ユーチューバー魔性のネットを生業にフェイク流して揺らぐこの星
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南天の実の愛らしき 朝さんぽ ひとつつまんで帰りたくなる
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芽吹きては 咲きて散りゆく 花の生 我かたわらに 見届けており
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味噌おでん かやくご飯に お新香 紅葉見納め お不動尊で
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連休も 仕事で過ぎる 晩秋に 差し入れ和菓子 唯一の癒しに
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一区切り 気分転換 喫茶室 仕事の二人は 黙って一口
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ストレスが 極限までに 溜まる夜 外散歩して またパソコンへ
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気にかける親のもう居ぬ故郷ふるさとの天気予報をついまた見てる
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惜秋せきしゅうや 冴へ渡るベランダの夜半よわ オリオン高し 新月の空
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庭の花一輪挿しに生けましたそんなささいなことが幸せ
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確かめずレジに立つなりその数字ごぼう二本の四百円超え
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滑らない吸い付くような指先の願い塗り込むハンドクリーム
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今君は母の知らない場所へ発ち恋人の側で夢を見ている
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人恋し 凩吹く夜の独り酒 足元掛かる毛布の温もり 
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公園にひとりしょんぼり立つぼくは氷雨に濡れる日時計みたい
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