真夏日の 一歩手前で いそいそと 加湿器しまい 扇風機出す
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健診で 歳を言われてハッとする 他人に言われて 事実再認
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畑仕事 終へし昼餉の楽しみは 冷えた出汁喉越しうどん 
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窓際の 光が移り 席替えで 少し遠くに なった横顔
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原っぱと空き地の区別つかぬまま靴をぬいでる段ボールの基地
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両親の古き感覚心配だ 勝ち負けじゃないエアコンつけな
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生い茂り 何を守るか 草木たち 誰も知らない 廃屋の声
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どうしても自分を要らぬと言う親を いくつになっても忘れられずに/あなたは悪くはないからね
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パソコンをつなげてやっと ホッとする 一人暮らしが始まる夜更け
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こんなこと詠んでどうするというようなことに埋もれて今日も生きてる
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冷房をつけてる部屋の片隅にまだヒーターが鎮座している
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は重く胸は詰まって手は痺れ数値には出ぬ苦を歩む日々
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
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りんごの皮をシュッとひとかけ剥いたような月がでてるよ ほら、そこ
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モミの木の ささやく声に 耳澄ます まるで私は ハイジかしらむ
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ありがとう素直に言える人となり袖すり合うもこぼれる笑顔
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「紫陽花の自我がすごくて絡まれて遅刻しました」「廊下に立っとれ」
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まだ夏を過ごせていない僕だから 眩しすぎるよ君の半袖
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春紫苑咥へてかける幼な鳶青き御空みそらに一輪の淡し
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職人の誇りがひどく傷ついてチカン冤罪に激怒する掏摸すり
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瑠璃深く翡翠染み込む夕暮れのひかりの海の波の静けさ
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ぬばたまの黒い鳥には分からないゴミネットの名カラスいけいけ
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冬山の二重に透けた稜線も卯月葉も満ち一つの線に
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日に当たる 煎餅布団の ツヤに見る 塩からきかな 我が人生は
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真言マントラを唱える龍の哀愁は 消せぬ足跡 多さ深さに
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政権を茶化せば座布団一枚の マンネリ正義は今ウケしない
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この三朝あさなあさなにカナヘビを飼うはめになり生き餌をさがす
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独房に射し来る光世界ごと抱擁しおる女囚人
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匂いなど 知らないことに 絶望し 知らないことに 救われる春
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紙束をまき散らす夢はどうしてあんなに楽しく切ないのか
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