日曜の君が残した檸檬の香 枕を抱きてそっと目を閉じ
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ギュッとして ふんわり毛並みに顔うずめ 君のぬくもり こころゆるびて
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土手の端の薄紫の群生のにら花の星一つ恋しき
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先週はカタクリの花今週は桜が咲いて浮き立つ心
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ハムエッグ久々に食うハムエッグ気持ちいいほどうっすいハムだ
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またひとつ着ている服を薄くする桜青空六月の陽気
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いつの日か通り抜けたし 日本一長い商店街の端にて
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いにしえの 雨音途絶えて 朝陽指す 花をつま弾く 兄のギターよ
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きみ包む毛布の手ざわり確かめてそっと伸びする日曜の朝
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革靴を手に持ち走る女学生 淡いブルーのシャツではにかみ
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病院の待合室は海の中バリヤー張って自分に潜る
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さむそうに ひっついて寝る ねこたちに ホットミルクを 飲ませてやりたし
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本当はもっとおしゃれで満ち足りたシフォンケーキがよかったのかも
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隣席りんせきの父親にかかへられし子の微睡まどろみぬ長き睫毛まつげ揺るる
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「ありがとう」デカフェの甘み溶けだして 誰かに言いたい今日という日を
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塩だけの握りが美味い噛むほどに田を持つ人の愛も広がる
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輪唱の如 桜咲ひたら 躑躅つつじ咲き 花は順に 春を歌ふ
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玄関を出るたびひらく花がある「がんばれよ!」 と隣のじいちゃん
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農園の隅の角地にむらさきの天の川みつ芝桜かな
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霧つつむ木の葉に集う一滴のしずくへ揺れし明日のこの星
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卒業という出口へと続く坂 最後の春を履き潰しゆく/明日から四年生
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ぬか床の醸す温度は人肌に 如何に胡瓜の漬かり加減は
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薄桃の衣脱ぎ捨て 桜木は やがて萌黄に衣替えつつ
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サザエさん見て笑ってはニュース見て迫る明日へ憂い染む夜
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生真面目な主人の愛のいろどりをこぼさず食べる五目そばなり
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春嵐も花粉も過ぎて神経が落ちつきそうな季節は近し
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最終の特急見送るポケットにチクリと刺さる入場券の
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ステテコをエアリズムにと替えた朝 開脚幅が少し拡がり
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ルビーレッドキウイの季節がやってきた 紅く紅く紅く あまき果実よ
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逢う日まであなたの告げた「待ってね」を我胸べりの小鉢へ育て
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