冬は雪 春は花弁はなびら 夏花火 秋は紅葉こうよう 舞ひぬ彩り
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プラタナスの大き枯葉が散るベンチ 秋を惜しみつ日向ぼこする
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熊出ればフィットネスジム繁盛で散歩難民風と桶屋と
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彼岸花 萩、ほととぎす 秋深く いのち名残りを 惜しみつつ咲き
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足の怪我しらせてよこす友へ出す小さな荷物あれこれ詰めて
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今君は母の知らない場所へ発ち恋人の側で夢を見ている
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旅行前お土産何がいい?聞かれ其処らで買えるが月餅と言う
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社長たる父には勝てぬ誕生日別れた母の誘い断わる
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芽吹きては 咲きて散りゆく 花の生 我かたわらに 見届けており
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連休は天気に恵まれ助かった つまと頑張る義実家じっかの片付け
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すずめの木 朝からピチュピチュ話し合い雨がポツポツねぐらの会議
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あかむ街路樹 眺むバス通り 通勤がてら 深秋しんしゅう感ず
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さかずきに浮かぶ三日月眺めては懸けた想ひをグイと飲み干し
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音もなく 散りゆく銀杏の並木道 過ぎゆく秋が黄色に染まる 
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月並な悔やみ言葉を送っても 妻を亡くした友は応えず
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小春日の庭に五色のザル菊の薫りに迷い帰り蜂舞う
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冷ゆる体に 染み渡る いい湯加減 仕事帰りの いい風呂の日や
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富士山を習ひて高き山型に ざる菊昇る秋の蒼空
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晩秋に木の葉時雨は降り止まず園児のポケット落ち葉の入れ物
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惜秋せきしゅうや 冴へ渡るベランダの夜半よわ オリオン高し 新月の空
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確かめずレジに立つなりその数字ごぼう二本の四百円超え
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滑らない吸い付くような指先の願い塗り込むハンドクリーム
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人恋し 凩吹く夜の独り酒 足元掛かる毛布の温もり 
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公園にひとりしょんぼり立つぼくは氷雨に濡れる日時計みたい
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推し観戦 楽しんでねと吾を送る夫へ感謝のうなぎパイ買う /お土産
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泣きつかれ抱かれてスヤスヤ眠る顔 思い出せない母の温もり
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容赦なき乾いた風に枯れ葉舞い 気管支炎は二十日治らず
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哀しみを湛へたやふな青ひ瞳の キエフの若者ますらお大関と成り
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街路樹や芝に野の草見て通る移ろい楽し花壇見ずして
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店内の曲 聴きながら食む 寿司と 亡き祖母とのくら寿司の思ひ出
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