「大丈夫?」やさしい顔のこの言葉 どんなときでもイエス一択
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寒き朝 鍋に残りし煮凝りの 飯に染み込むゼラチンの汁 
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必ずや 新大阪で 立ち寄って たこ焼きうどん 勝負めしなり
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駅裏の 薄暗い路地枯葉舞う 師走の街に一陣の風 
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一日ひとひ終へ 悲喜交交ひきこもごもな心境がめぐり 夜空仰ぎ 涙ぐむ
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枯れ枝の空見上げれば吉兆か 彩雲ありし通院途中
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体調を気遣ふ義母に勧められ 毎朝プルーンを白湯で割り
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ほお紅く染めて抱きつく妹が本当はいそうな雪の降る午後
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やすらかに息づかいさえ聞こゆればそばにゐるだけそれで足りたり
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木の間より差し来る朝日サンゴジュの僅かに残る熟れし実照らす
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初夏に見しクレマチス 初冬の今も咲くと知りぬ 師走の小春日
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風邪ひきの感染うつしあいっこ老夫婦 仲がいいのか、そうでもないか
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ネガティブの沼にハマれり這い出さん走ればいいのさ脇目も振らず
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街流る 聖夜の奏 数多く 耳に こだま す「♪最後のHoly Night」/♫杉山清貴
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朝焼が 雲に映って 赤くなる 苺綿菓子 部下が笑って
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お前らと子供に戻って笑い合うこの瞬間ごとインストールだ
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君は君それ以上でもそれ以下でもない その言葉で一歩進めた
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涙ぐむ理由がこんなにあるなんてあなたがいなきゃ知らなかったわ
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鍋〆の太いうどんで胃を温め 古ストーブの青い火を愛で
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焼きそばの湯切りで麺をぶちまけたシンクを眺めどうしたものか
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年の瀬にふみのあてさきかぞへつつ 薄墨いろの白菊しらぎくを見る
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寒くてもその色調は暖かい雪照らし出す冬の夕焼け
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天敵の鎌首もたぐ掃除機に必殺パンチ一撃離脱/猫逃げる
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のぞみにて 作りし資料 確認す 新幹線は 会議室ナリ
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カリカリの袋を開けるその音に猫寄ってくる耳の聡さよ
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高く強く 飛ぶためにこそ この翼 ひととき休め また舞うために
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透き通る 飴細工の虹 渡り行き まほろばの星で めぐり逢いたし
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打ち合わせ 終えしカフェの ツリー見て 珈琲一口 パソコン向き合い
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爪研ぎの犠牲になった畳たち今朝毛羽立って足裏を搔く
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粉々のポテトチップは捨てられて講義終わりの教室静か
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