しぼり出すちゅ~る 冷ゆる指に着きし める猫のさき舌 ぬく
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雨の降る 師走の街に ちり流れ 過ぎし一ひととせ 思はるる夜
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西の山東の山も薄っすらと雪を被って風花の舞う/朝
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夫にもQRコードつけたもれ トリセツ不明で五十年過ぎ
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触れる縁 見るも聞くのも 我が内に 肩先にともる ペテルギウス
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飛べぬままこの部屋を去る オリオン座めいた画鋲の跡を残して
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大掃除 拭いたばかりのガラス窓 指差し呼称妻からダメだし 
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窓を出てぐるり回って勝手口開けてくれろと猫のルーティン/朝
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かあさんはもう多分餅食えないとお供え餅を1個だけ買う/嚥下障害
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ダイソーで可愛いピアス買い漁る美女と呼ばれた意地があるから /還暦
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財布から証明写真こぼれ落ちあの頃の我と不意に目が合う
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年の瀬にふみのあてさきかぞへつつ 薄墨いろの白菊しらぎくを見る
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寒くてもその色調は暖かい雪照らし出す冬の夕焼け
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天敵の鎌首もたぐ掃除機に必殺パンチ一撃離脱/猫逃げる
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監督の喝よりずっと効果あり タイムアウトで君を見つけた
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のぞみにて 作りし資料 確認す 新幹線は 会議室ナリ
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カリカリの袋を開けるその音に猫寄ってくる耳の聡さよ
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高く強く 飛ぶためにこそ この翼 ひととき休め また舞うために
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透き通る 飴細工の虹 渡り行き まほろばの星で めぐり逢いたし
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冬の風邪 長引くきみの 横顔に 憂いのあとの またひとつふえ
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君知るや 人目も恥じず 睫毛墨マスカラ の 落ち滲みたる 我は泣きおり
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不運とは「運ばず」かなと受け止めて苔のむすまでじっとしている
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目をこすりもじゃもじゃ髪のおばさんはググれば名医 明けの明星 / ミスで再掲
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アラームを止める指先 かじかみて 毛布に引き込みぬ 寒波の朝
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いきなりのダークモードに戸惑ったわたしいますよいますよトイレ
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除雪する手間はなんだが包まれて妙に落ち着く雪の景色よ
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ライブまで カウントダウン あと5日 風邪も引けない コロナは論外
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ふるえる手伸ばしつかむは雪の華となりに歩む君の微笑み
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カニカマを咀嚼しながら自己暗示これはタラバだこれはタラバだ/ココニャン様が羨ましい
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払暁の東のそらに針の月 ほどなく消ゆる年の暮れかな
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