光増す毎に緑陰濃くなりて葡萄畑のつる伸びてゆく
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原っぱと空き地の区別つかぬまま靴をぬいでる段ボールの基地
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健診で 歳を言われてハッとする 他人に言われて 事実再認
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真夏日の 一歩手前で いそいそと 加湿器しまい 扇風機出す
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両親の古き感覚心配だ 勝ち負けじゃないエアコンつけな
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冷房をつけてる部屋の片隅にまだヒーターが鎮座している
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生い茂り 何を守るか 草木たち 誰も知らない 廃屋の声
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この生のすべての夏を束にしてリボンをかけて君にあげたい
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は重く胸は詰まって手は痺れ数値には出ぬ苦を歩む日々
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我が里の 児童こらが通いし通学路 熊鈴の音風鈴に似て 
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神仏を祀る心があるのなら どこでも神は静かに見てる
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職人の誇りがひどく傷ついてチカン冤罪に激怒する掏摸すり
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忘れてていい。忘れないでほしい。と、遠く微かに瞬く恒星。
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澄む水に透けてゆらめく砂色のほのかになびく雲は滑らか
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まだ夏を過ごせていない僕だから 眩しすぎるよ君の半袖
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レモンティー 900mlミリの 紙パック 母の思い出 聞きながら飲む
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春紫苑咥へてかける幼な鳶青き御空みそらに一輪の淡し
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降りにけり五月雨近み定めなく晴れむと見えてかきくらす空
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日高屋の餃子とかた焼きそばをあてにぐびりぐびりと冷酒呑み込む
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紙束をまき散らす夢はどうしてあんなに楽しく切ないのか
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爪を切る ネクタイを結ぶ 歯を磨く 胸一杯に朝の光を
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みぞおちを えぐる思いを 一行に 閉じ込める術 言の葉すり抜け
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願はくば 優しく撫づる 御手みてて 留めおかなむ 有明の月
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ゆめをみる ご飯を食べる 空を見る 革靴を履く もうすこしなく
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窓際の 光が移り 席替えで 少し遠くに なった横顔
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この三朝あさなあさなにカナヘビを飼うはめになり生き餌をさがす
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「紫陽花の自我がすごくて絡まれて遅刻しました」「廊下に立っとれ」
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独房に射し来る光世界ごと抱擁しおる女囚人
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匂いなど 知らないことに 絶望し 知らないことに 救われる春
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ぼろぼろでぽろぽろな日を乗り越える強さはどこに売っていますか?
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