ひいふうみ片手程かな降らないねぇにわか雨さえ避けて通れり/8月雨
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老人が意地悪そうな目をしても 老眼のせいなんだ許してやって
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わがらの為なら 命も惜しくない だからこそかな 「いのちだいじに」
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バックミラー 映る夕陽の 鮮やかさ 燃える想い 次の仕事へ
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疲れたら 眠りなさいと こだまする ほら青空も 見守っている
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乗れるなら乗りこなしたい激流を 大岩大渦おおいわおおうずくるりと交わし
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朝方に 風に紛れて 君の声 聞こえし夏の 空がまぶしい
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わたくしの気持ち次第で蝉の声 憂いにも悦びにも聞こえ
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不覚にも少しときめく ニセモノの広瀬すずからメール届いて
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猛暑なる休暇 ゆるりとドラマ鑑賞 今日は財布にも夏休みを
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ババババン、ドーン、と上がれば戦争が仕掛けられても気付かぬ花火
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石熱く 娘と水掛け 墓参り 合格誓う 猛暑日の午後
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朝ご飯食べつつ Eテレ真剣に マキタスポーツ なかなか知的な
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音沙汰のなくなりし友 もふ一度 会ひたひと 腑と思ひ出す夜半
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葉月すえ一の猛暑日今夏まだ出していなかった冷たいポタージュ
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ポテポテと床に押された足あとは風呂まで吾を追いかけし猫の
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花を買う習慣などの教え得ず庭に花ある豊かさ思う
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アパートで鉢植え苺実らずに熱帯植物茂る赤道
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遠き日は船で行き来の島なれど橋のかかりてスイスイと行く
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二学期の始まりの朝子どもたちどうか生きてね生きてるだけで
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ケケケケと かわずの如く鳴く小鳥 隣家のドッグフードついば
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鳩たちは けふはベンチ下で涼を じゃましちゃわるい 座らず早足
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ねこたちが 寝室あっちと リビングこっちで ねていると おかあちゃんまで ねむくなりにけり
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南天の宵 弓張月の傍に 寄り添ふ如く光る さそり座
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行くことは叶わぬけれど山車だしが出る長月二日今夜宵宮
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親戚のちっちゃかった子俺よりも立派な大人仰ぎ見ちゃうぜ
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アフリカの 友から届き 紫の 並木の花が 道路を照らし
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「ピエンやな」と嘆く母さん 愛用の商品がまた製造中止
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テーブルに 青い小さな黄金虫こがねむし 「夏」のパズルのピースのように
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キラキラと 君がいた夏たからもの 俺の胸だけ残っているから
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