パパと行く動物園はもうイヤだお馬さんしかいないんだもん
20
閉店のお知らせの紙ネパールの料理をつくるひとのひらがな
17
まだ蝉が鳴いているから夏だろう室外機だってまだうるさいし
19
さわさわと静かに降り出す雨の音コジュケイの声蛙の合唱
13
ラムネ瓶 取れぬビー玉ながめつつ あなたへ手紙書いております
10
じっとりとまとわりつくやけふの汗 晩夏の名残りに秋、勇み足
12
べたついた身体で寄ったスーパーにサンマみつけた秋のはじまり
25
歯ブラシを 変えたその日は いつもより 長く歯磨き して確かめる
14
砂に描く風紋かぜの置手紙 上書きするもまた同じ風
9
化粧くらいしろよと宣う人間に晒す素顔は持ち合わせない
16
里芋いもの葉を打つ雨音はぱらぱらと降ってもやまぬ秋虫の声
19
日を追って募る想いは胸に秘め ポーカーフェイスの業務連絡
8
熱帯夜 眠れぬ夜に 水槽の 熱帯魚見て いっときの涼を
8
コスモスは色づいている立ちくらみぎゅっとつぶったまぶたの裏に
12
「たらい舟乗ったの?」ときく旗振りや『Iラブ佐渡』のTシャツの子に
9
悪夢みて 夜中飛び起き ねこ探す ここにいるよ ちゃんといるよ
22
検査して医師から異常ありません次は何科に行くのでしょうか?
7
今そこに 目の前にある 幸せに 君は気づかず 通り過ぎてく
7
夏の日の 八月の雨 しとしとと 金の輪昇り 光り輝き  ひまわりゆらり 雨あがる
7
勝手知る街の見慣れたテナント空店舗に 「麻辣燙」が侵食していく
8
セミ鳴けど 秋風が吹く 夕間暮れ 暦と季節が一致する嬉しさよ
9
群れ運ぶ十六両の深海魚 光芒残し深く遠くへ
7
なぜもっと可愛がろうとしなかった過ぎた時間はどんどん遠くへ
7
親戚の葬儀休みて稲を刈る 明日から雨 神は許すと
12
若かりし 多感な頃の想ひ出が 吾が胸深く縫ひ込まれをり 
17
古切手スタンプが指す土地の名を幼き子らはAIに訊き
11
半袖の腕をさすった夜風よるかぜがシルクのようで秋が近づく
9
零れ落ちる今と理想の高低差 貯まる滴に写る現実
6
怒られて 嫌な気分で いるうちは 笑顔も消えて 仕事にならず
6
雨露が室外機へと落ちるが 心拍音と重なる夜更け
6