Utakata
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何もない道さえ夏だと思うのは 夏に何かを置いてきたから
12
朝霧に溶けゆく淡いまどろみを 両手ですくう金鱗湖の淵
12
お泊まりの 子の振り回す 花火の輪 蚊取り線香 くゆる玄関
12
うた友の アカウント消え 呆然と どうか元気で ずっとありがとう
27
嫌なこと 全部自分の
所為
(
せい
)
にした なぜか心が 軽くなりゆく
19
ガラス窓 激しく叩く雨風に 我が菜園の無事を願いをり
13
野分あと 農作物は終わりしも 今が盛りの向日葵折れし
9
野分すぎ河野裕子の蝉声が消えし日に降る葉月の豪雨/今日が命日
9
今日午前帰省しとけばよかったと風雨の音後悔の吾
10
鬼やんま渡る一条戻り橋 わが身ひとつの影を連れつつ
17
ひる
夜
(
よる
)
の
閾
(
しきい
)
にそまるキッチンのシンクにひとの背のかげをみて
13
パパの背で 金魚は眠る 兵児帯の尾を揺らすのはお祭り囃子
11
残る春周りは巡る四季の折他知らぬまままた我に春
8
少しでも長く忘れずいるからさ 声も姿も覚えているから
8
羊羹
(
ようかん
)
は 元は羊の
羹
(
あつもの
)
で
現在
(
いま
)
とは違い 甘くなかった
7
厨より盆の膳の香漂いてあの世とこの世の客迎え待つ
8
経験は問われていないぼくたちがつくる地球の地味めな部分
7
今朝はまた
ひとへ
(
[単衣]
)
に露ぞ置き増さる秋風
立ち
(
[裁ち]
)
ぬ衣手の森/擬古短歌
16
エアコンを消した日の朝君といて喜ぶ私見つけて冷める
6
轟轟と室外機鳴る熱帯夜
雷
(
いかづち
)
招きて雨、窓を打つ
6
教室に占める割合変わらない 救われぬままヤングケアラー
7
昔日の幼き吾が見し日々を今夏に結ぶ蝉しぐれ哉
8
鉢植えを片付けぬまま旅に出たお隣さんの庭が気になる/台風十五号
7
恋の巴里 カフェ・コンセエルに三拍子 ペチコオト揺れ『あなたが欲しい』
6
あれほどの海だったから今でさえかじかむ指を夕日にかざす
5
ルーズリーフの切れ端に書かれた先生の悪口をまだ忘れられないで
5
墓前にて手を合わせれば思い出す先祖と共に血を分けぬもの
6
いつまでも一緒じゃなくてもここにいる 千切れたリボンをぎゅっと握って
6
きょうだいの帰省の時期は重ならず 親の張り切り知るなればこそ
15
靴の底外側ばかり擦り減った世界は少し傾いている
8
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