もうそろそろ人の体を通さずに生まれる人がいていいのでは 

ぼくたちの涙は空に消えてゆきおそらく虹の養分になる 

自販機でミルク多めのこの春も平年並みのさみしさでしょう 

薄青がレースカーテン突き抜けて夏まだ蝉は鳴いてないけど 

覚えたての絵画に見立て君を口説く 煌めく瞳はフェルなんとかさ 

千年後にも雨は降り人間は傘などさしているのだろう……か 

くたびれた日だけど床に脱ぎ捨てたズボンは明日へ駈けたがってる 

鳴かぬなら鳴かない種類のほととぎす みんなちがってみんないんじゃね? 

起き抜けに窓から入る風は青夏になってる想像以上 

DAISOで僕の苗字のシャチハタが売り切れている 誰が買ったの 

遅番の娘の帰り リクエストの煮込みハンバーグ温めながら 

さよならと手を振るように運ばれるアゲハが空に揺らしてる翅 

酔歩する 夜街に浮かぶ 七叉路は どこへつながる 見覚えもなし 

人は皆 等しく無価値であるのなら この世はもっと生きやすいのに 

この森で猫が宴をしていると思えば怖くない帰り道 

何気なくピンクのハートを送り合う 君とみんなと全てがここに 

報われない無意味なことと見ていなよ 貫く目の先 君はもういない 

どろどろと絵の具が混ざっているようなまだらな色の私の心 

誘われてゆくバッティングセンターで表情だけは強打者のオレ 

医者が言う 128分臨終です それがどうした お母さん起きて 

人が猫のように見えていてもにゃあ、などと鳴かなければごまかせる 

走っても見返りないが積み上げる ソシャゲポイントは愛の証です 

雨音で目覚めたはずが晴れていてわけがわからずきみに電話を 

誰にでもそっと誰かを想うがあるから星は光を放つ 

予感から目を背けては笑い合いふたりはずっと友達でした 

くるりんぱ 予定調和で笑わせて 「聞いてないよ」を聞いていたいよ 

遙かなる深夜ラジオが告げるのは故郷の海の波の高まり 

大切なことはゲームで学んだし、「間欠泉」はMOTHER2で知った 

夕焼けに染め上げられた草木たちの引き立て役に徹する わたし  

皮下脂肪ぶら下げて ふと 湯上がりの 亡き母に会える脱衣場の鏡