誕生日 歳の数だけ星を斬るもうすぐ闇がうまれてしまう 

あやとりはいつも私で絡まった田中みな実になれないわたし 

二週間前には蝉の鳴く道を急にふるびた自転車でゆく 

わたくしが愛せなかったビル群の十人十色を溶いた灰色 

江戸時代海だった街に住み着いてわざわざ電車で海を見に行く 

計画のない旅なのでカーナビに方向音痴機能をつける 

ひとつ増えひとつ消え去り星空で神様たちがしているオセロ 

ポケットのはつなつ香る片道切符くちづけ青い記憶をつれて 

アルミから一夜限りの四錠が今日も羽化していのちを巣食すく 

黄金色きんいろの雨野の中のピアノにはドが弾きたかった葉っぱが流れ 

たちこめる雲にかざして読むために晴れの私は作れよ詩集 

塗りすぎたマニキュアみたく自己愛をかばってぶつけてよれて落ち込む 

オタクなら推しの友達までは推し 気づいたら推しの友達が推し 

愛着という名の麻酔をかけている 心の傷は癒えぬと聞いて 

夏・冬の繋ぎ目にだけポジションを変える温湿度針の仕事 

ハーモニカ聴こえる家の奥の奥銀河も駅も賢治までいて 

こんなにも多くの人が生活をまだやめていないすごい世界だ 

ねえ、きれー 窓見る「君の顔、映る」ガタン ガタン ゴトン ガタン ガタン ゴトン 

合法で彼と話せる地理Bのペアワークだけが今日の楽しみ 

荒ぶれる吾を鎮めるパスワード霧の彼方の鐘の音なり 

平凡でありきたりだと捨てた日が懐かしき詩の一節となる 

週末は模試模試ひとつ空けて模試 来年の春笑えるように 

木犀の香水まとい街をゆくわたしが切った風から秋だ 

流星の八光年の渋滞とおぼしき夜のハイウェイにいる 

コンビニで働く人がエリートと呼ばれる時代を手繰り寄せたい 

ひさびさに開く本では文字たちがあわてて整列する音がする 

嗚呼模試でやらかしました唇は人とは思えぬ色になるのね 

推しの彼 授業の会話以外ではまだ声かける勇気はないや 

犬とゆく黄金のような回廊は日を抱き唸る芒うなばら 

心など熔けて無くなれ 籠の中 朽ちて詰まった臓腑とともに