根雪には遠いであろうゴミ出しの道の端端まだ溶けぬ雪
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ここからがおれは早いぞギリギリに動き始めるやりたくないが
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きゅうきゅうと闇鳴く鳥の声がする暖かいのか月の出ぬ夜
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「また明日」その一言が嬉しくて帰りの坂を駆け上がって行く
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冬ソング昔のことを思い出す少し甘くてほとんど苦い
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北風があまりに強く 悩ましい 出かける支度はほぼ済んだけど
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ベランダの借景みたいな紅葉の林を揺らし冬がひたひた
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埼玉の出身ですが御用ごようです? 言ってやりたい"翔んで埼玉"
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短歌うたを読み分からぬ漢字知りたくて やはり紙辞書しっくりくるな
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駄目だよと優しい悪魔に叱られた 可愛かわい顔して結構怖い
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こんな日は あったか雑炊しようかな 身体も心も寒さに負けずに
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輝かしい夢の途切れた午前二時 闇は優しいような気がした
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短歌うたを知り友ができたというなれの庭を詰め込むやさしい包み
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ねこのヒゲ 精度の高いセンサーのはずだが ときどき寝癖ついてる
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どっちかしか選べぬ物事ことは何故多い 体力気力拾ってきたい
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立ちました1秒2秒、、10秒も 赤ちゃんよりも親が喜び
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遠距離の切なさばかり甦る 画面越しのホワイトイルミネーション
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愛おしく大事なのです君たちよこう言う母がまだいるのです
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母性とはどこから来るか老いてのち静かに滲みる枯れ井戸の底
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スピードにのったふりして左足ブレーキ踏みつつ生きて詠みます
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好きなものたくさんあったあの頃と 全く違う鏡の自分
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遠巻きの まん丸月の 西の空 散財してる ワテを止めたれ
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ポケットに脳のケロイド入れたまま学生被って講義受けるよ
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こちとらは年越し餅代悩むぞと国会中継聴きいきどお
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詐欺だなと気づいた理由わけは簡単だほんとに息子の声だったから
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新聞紙輪にしたハンドル運転し 幼な子横断歩道をわたる
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風呂の蓋またも忘れて叱られてボケに近づく、明日から師走
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きらきらと冬の朝日は輝きてけやきの梢透きとおりおり
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老けたよと懐かしき人恥ずかしげ出会った頃の二人のように
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引きこもる なのに心は 汚れてく 雪が吸いこむ さんざめく夢
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