雨降りて 梅雨空映す紫陽花の 夏告げる蒼光り輝く 
22
頼めおく人もあらなくに郭公今夜ばかりはこの里に鳴け
14
咳やまぬ 老母を置いて 月曜の 会社に向かう 我を打つ雨
13
回覧は私がもらうというような廊下の前の優雅な仔猫
12
蒸したての蜀黍もろこし熱き皮剥けば黄色と白と粒艶やかに
13
健やかであらねばならぬ母なれど 先の行方に明けぬ夜もあれ
10
美しく老いる予定をキャンセルしイタい私で生きる楽しさ
41
夏に挑む紫陽花の熱を冷まそう 夕立過ぎし一陣の風
10
逃げられず まとわりついて 離れない 来ないでほしい この蒸し暑さ
11
我もまた君を想うと告げたくて名もなき花の咲くを待ちをり/水無月二十九日
10
確かここ 種を植えたが 悪いけど 雑草なのか 君かわからぬ
8
呟きは心の叫び 言葉沸く文字に替えれば詩 となり歩む
8
旅の夕喜寿を迎えし夫と飲む 悪しき作法もすべていとおし
10
ヨイトマケ言葉知らずも歌詞うたことば 胸に迫りて逝く星ひとつ
9
日曜のちいさな旅を視れた日は初夏の風吹く至福の時間
18
まんごうの種しやぶりつつの皮算用。すでに小ぶりな素焼き鉢おき
7
アンニュイな 色香に溺れ 恋に落ち 崩れ折れし 初夏の陽射し    
7
はじめての 歌を送りし この胸の 小さき鼓動の 音のみぞする
16
人肌に メス滑らせた ピンク色 そのはらわたで 暖を取りたい
8
涼風すずかぜたらば聞こゆ  むしうた 軌條レールの刻む 明日の足音
8
孫帰る 肩で息する夕まぐれ 老夫婦ふたりにまるき幸せの残
18
その昔101回まで許された プロポーズは今犯罪となり
20
グッタリと 疲れる夜も あるけれど 先は明るい きっと明るい
24
真夜中にヨガやろうとノックする弟がくれるフルーツキャンディ
5
繰り返す いつもと同じ 店先で 言葉に詰まり じゃあまた今度
6
風の香に誘はれ出むくその先に懐かしく散るあの日の欠片
5
「あの世から一時間だけ戻ったの」夢でまた死ぬ 私の母が
6
「今できることはなにか」を問い続け悠々と為す日々は追い風
6
梅雨闇の奥でしずかに紫陽花は知らない毒をたくわえている
6
初夏の湿原青空高く、葦(よし)そよぐ風涼し
11