瑠璃深く翡翠染み込む夕暮れのひかりの海の波の静けさ
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
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夫婦にもたまにはチリが必要ね 甘いだけではつまらぬココア
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真夏日の 一歩手前で いそいそと 加湿器しまい 扇風機出す
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畑仕事 終へし昼餉の楽しみは 冷えた出汁喉越しうどん 
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野良猫が寄るのと逃げるその差には 誰かがくれた優しさがある
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同志見つけたかの如き嬉しきは街にぽつぽつ漂うマスク
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りんごの皮をシュッとひとかけ剥いたような月がでてるよ ほら、そこ
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窓際の 光が移り 席替えで 少し遠くに なった横顔
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私より上手いあの子がこの道と関係のない進路を選ぶ
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桐の木に絡む藤蔓花落ちて 我こそ主役と桐咲き誇る
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皐月でも締まり屋なれど堪え難き暑さに負けてつけるエアコン
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ぬばたまの黒い鳥には分からないゴミネットの名カラスいけいけ
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日が暮れて窓から入ってくる風は春か夏だか定まらぬ風
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どうしても自分を要らぬと言う親を いくつになっても忘れられずに/あなたは悪くはないからね
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パソコンをつなげてやっと ホッとする 一人暮らしが始まる夜更け
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健診で 歳を言われてハッとする 他人に言われて 事実再認
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私には償い切れぬ罪がある 人差し指の名を変えたい
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てのひらをなぞって綴りを教えてよ、I love youとか君の名前を
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モミの木の 小声に耳を 澄ましける いまの私は ハイジかしらむ
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ありがとう素直に言える人となり袖すり合うもこぼれる笑顔
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坊さんとお布施のことで喧嘩して一夜明けても今朝まで憎い
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峠道 自転車で行く 汗だくの 耳に聞こえた 初夏のハルゼミ
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夜の蜜 ひとくち掬って 飲んでみる 涙の吹雪 星の夜を舞う
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擦り傷に 魔法をかける女の子  うっすら頭上にとんがり帽子
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日焼け止め クリーム塗れと 妻が言う 塗るわけないよ 昭和の男
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大統領 国家主席と手を結ぶ ハシゴ外されアイムソーリー総理
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ひき肉にパンと玉ねぎ練り込んだ 普通の普通のハムバーグ食う
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なむじへと 宛てたる文や 空を舞ひ 花の番地を 探すてふてふ
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すり減った心を充電する為の部屋の隅にてただ泣く時間
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