戸を閉めて籠り火を焚く囲炉裏かな パチパチ爆ぜる炭の光よ
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光陰の陥穽となりぬ歌研ぎの宵と思へば東雲の空
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セルフレジ済ませ品物見もやらず立ち去りかけたおバカな私
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しとやかに積もり消えゆく色と色 花に移ろふ季節の色よ
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いにしえの雨は大地に脈々と流るる想ひを未来へ託し
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一瞬に光って割れた流れ星 星屑三つ願いを込めて
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この国はもう戦争はしないから思い込んでた私は愚か
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ひとなみに『元カノ』などと呼んでみる ただ懐かしき 幼馴染を/改
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人寄ればくまくまくまの話だけ柿の木見上げ車を降りる
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体調の 移り変わりも 日替わりで 晴れたり降ったり 天気の如し
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懐かしい君が微笑む冬の色 僕の知らない遠い眼差し
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柿の木のある方角でする音にいちいちビビる雪雨風の/熊
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引くだけじゃだめだ一回押してから猫に言うけど聞く耳持たず/爪と衣服
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ひだまりを揺らして赤ちゃん泣く声を やさしく包み ファミレスの笑み
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きしのふたおやの声おもはする こはるひよりのやはらかな朝
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初おみかん 2Lサイズで 甘くって 今日もなんだか いいことありそう
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いつになく雑草少なき清掃日 暑かりし夏 霜月に想う
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シクラメン香る教会 飾り付けは 手伝えなんだけど お友達増えたよ
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縁語とか 枕詞とか入れたくて。 なかなかハマらぬ 「旅」と「足袋」の字
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朝餉まえ香煙たちて鈴ひびき心ととのふ位牌の前に
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測らずも置いてギリピタ洗濯機 7kgサイズで寿命7
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テキパキと働き目立てば波が立つ呼吸を学ぼう太極拳で
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サラサラの髪の毛さわって ニマニマす トリートメントのあとの悦楽
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深夜でも連絡つくのが 姉弟きょうだいで 力を合わせて 母をサポート
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服えらび ふとふりむくと そこにねこ 音もなく来る それもかわいい
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雨に煙る ベランダで線路見下ろして 宇治行き特急 今朝も見送る>真冬にはきっと!
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あかむ街路樹 眺むバス通り 通勤がてら 深秋しんしゅう感ず
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つらひとき 歌に本音を詠み 伏せり 涙を誰にも見せぬやうに
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さかずきに浮かぶ三日月眺めては懸けた想ひをグイと飲み干し
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冷え込めば冷え込むほどによく研いだ大鎌のごと光る三日月
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