こごへる夜 黒縁写真の 妻と父 吾の作る鍋 お椀で供へ
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オジサンが二人並んで喋っても 若者はもう耳をかさない
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笑えない厳しい結果乾杯をして挑んが明日も涙
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庭の雪に巨大な氷柱つららを突き刺して「勇者の剣!」と異世界ごっこ
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願うのは議論のすえの採決をたとえ単独2/3も
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ビル影の日に日に際の目立ちゆく春告草のやさしきにほい
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あんなにも高いとこから飛び降りて 良い子は真似をしないでスノボ
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雨もやにあずけて行こうほころびを癒していくさ僕の呪文で
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雪消しの雨しとやかに休日の午後 『駅』を聴く 布施明にて
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孫からの半日待ちし「明日行くよ」 LINEを見れば頬は緩みぬ
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引き締めを図る狙いが見え見えの端っこにいる俺はエレジー
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名言の「めんどくさい」を言いたがる妻は女子する暇があり過ぎ
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母亡くし祖母と手つなぐ幼子の顔まだ見れず夕影の路地
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身を削り言葉の角を丸めれば雷避けるプロのわざかな
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親友は幼き頃から幻想で猫にほだされ詩世うたよに至り
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めくるめく欲望さらけ出すなんてするもんですか嫌われるから
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肩触れつ 春待ちバスは宙を駆け無限の星をひとつずつ巡る
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腹痛と言い訳してはトイレへと逃げ込みサボる夢の意味とは?
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言の葉が生まれて消えて うつろいの しずくの音は琥珀に揺れて
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わが家ではいつしか序列二位となり妻のとなりは二匹の金魚
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「親」という役を降りない母と飲むクラフトビールの苦い延長
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隣国へ冷たきまなこの習い越え敬意を運ぶ春風よ吹け
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真夜中のブルーライトの埒もなしヨコハマ想う綾もなし
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砕けたらそこで終わりの物語 君は水晶そっと抱きしめ
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ドア開けてよもやの景色は雪の中 不意に異世界 僕を惑わせ
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心雲こころぐもはれて雪やみ望む海 彼方まめつぶ昇る機体よ
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春の雪ノーマルタイヤを履いたまま 私の車はぢっとしてゐる
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神話的古層心理が動き出し 女帝の差配に賭ける人々
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耳たぶの冷たさをなで身をすくむ 君乗るバスを待つ停留所
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「ゲルニカを世界の国旗に刻みましょう」人の心を刻まぬように
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