弱くても痛みがわかるあなたがいい傍にいたいと願ってしまう
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ぽつかりと空いた欠片ピースが気になつて何か足りない不惑のパズル
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何してる? 仕事の合間 帰り道 いつもどこかに 君への想い
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しゃべらない息子が居ればうっとうしい 居なきゃ淋しく部屋覗いたり
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夕立をその身に受くる少年の母は空見て案じるらむ
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口角を上げたらもっとと言われても反比例するわたしの眉毛
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久々にぐっすり眠れた日曜日窓開け放ちヨガでスタート
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何なのか分からないけどなんとなく幸せ感の一瞬がある
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黄砂・花粉・PM2.5などチェックして 今日も部屋干し 青空恨めし
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三本の冠動脈に四つ目のステントるや七十二歳ななじゅうに、春/連休明けに予定
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道なんとか 多すぎわからぬと母は言う 名前そこは説明のしようもなくて
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ここ大事アンダーラインを引き過ぎて どこか大事かわからなくなる
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真夜中の土砂降りが好きだ 何もかも洗い流して無かった事に
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戦後生き 戦前を生む 私たち せめて届いて カナリアの声
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マスクした女子の写真が孫だとはわからなかった母よそうよね
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*朝が来る 眠れぬ夜を 独り占め 君がいたなら 抱きしめたいよ
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たんぽぽの綿毛まーるい散歩道 とびゆく前に杖の音聞いてる
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脱皮するやうに子どもは衣脱ぎ毎朝毎夜大きくなれり
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ちま猫のお誕生日のご馳走は もちろん チビ猫もおすそわけだよ
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雨降れば早く晴れよと思う吾 晴れたる日には涼しきを乞う
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お気に入りおもちゃを落とし割れちゃった 二歳は初めて「壊れる」を知る
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髪切ると すぐに気づいて くれるから 脈でもあるかと 過度に期待す
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あんたそれ「猫かわいがり」と吾を叱る あの日の孫は五十路となりぬ
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薄暗い 部屋の片隅で うずくまる 無常という名の ひざを抱えて
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ゆっくりとまばたきをしてまた眠る猫のやさしさに救われている
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昔から魅力は感じていないのに不思議さだけで好きだマンボウ
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雨の中帰る友とは次に合う約束をせず「またね」もいわず
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一口目ペットボトルのお茶の濃さ粗茶を飲み慣れ今日も驚く
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乾かない 洗濯物と 低気圧 気分を上げたい 湿度は下げたい
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大丈夫 続きは見ないと言い聞かせ 悪夢のあとの二度寝に入る
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