いつからか雲に名前をつける癖 その時私は少女になった
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沢山の ギフトを君にもらったよ わたしは何をあげれたのだろ
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仲の良い姉弟あねおとうとに見えたならふたりの罪はゆるされている
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高層のビルから見える満月はほんの少しだけ私に近い/題『ビル』
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スマートフォンゲームをひとつ諦めて生活をする時間を作る
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天日干ししたかのようにふかふかの猛暑日の部屋万年床は
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夏営業 炎天の下一万歩 見るも無残な汗だく男に
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いつかまた貴方に会えるそのときに きちんと胸を張れますように
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こんな日に 体育館でサウナ練 滴る汗が 己を上げる
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放哉に憧れ歌を詠み始め真夏にひとり咳をしてみる/題『歌人』
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満員の 電車吐き出す 人混みは 綺羅星のよう 輝く戦士
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煮浸しの甘長とうがらしの先 齧りて流るつゆの琥珀色
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炎天下 無心に歩く 夏の朝 貯まる煩悩 ポイ活の日々
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光るインクであなただけの取説を作って渡して私を分かって
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入学式 初めて来賓 出てみたよ ハイタッチされ 今どきだなあ
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現実に連れ戻せよ、さぁ 強炭酸 檸檬の向こう 蜃気楼舞う
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地を這いて立ち上がる先求めたる朝顔の蔓 過去わかき日を見る
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眠剤が効いてフワリと眠くなり 貴方を想い枕抱き寝る
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灯籠の明かり散らばる千鳥ヶ淵 父の御霊も帰ってくるかな
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大暑の候、エアコン稼働の書斎にて短歌を詠みつついつしか午睡へ
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項垂れてアピールしてるホウセンカつい水をやる子の起きる前
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こつこつと駄作を重ね百首超え我の輪郭浮かぶが楽し
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炎天をすり鉢の中よせあつめ雌雄決する強豪私立
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大阪の天神祭り龍踊り 所作につられて皆舞い上がり
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雷雨にて電車に乗れば青空に 我を連れ行く気ままな天気
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電車にて少女の声の「トンネル!」と 三秒後入る黒の世界に
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プリントを回さぬふりに 拗ねる君 甘く酸っぱい あの日あの時
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間違ってしまった私だからもう 引き返せない外は夕焼け
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その声が 我が身を危険に 晒しても 雉子には言いたい 何かがあった
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エアコンのおやすみタイマー切時間徐々に伸びつつ夏は深まる
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