人の祖の地に両手付く遺伝子を辿りては老い地上へ帰る
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おさな子の手を引き歩いた野辺の道 変わらぬ風情ふぜい 若葉萠え立ち
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片付けは苦手なんです埋もれてもだいたい分かる特殊能力/日々発掘
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誘導灯 虫を集めて 金にする 世の欲を吐き 走り去る我れ
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楽園の如く花たち咲き香り二季というのは寂しい言葉
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桃林は花盛りなり喜寿の春楽し日もあり夢持ち生きる
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いつだって手を伸ばしたら触れられる 夢の中でも温かい君
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さりげなきまばゆい笑みに心音の波はあの日の君へたゆたう
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宵闇の月下の花は色褪せぬ 影も見ぬままただ散るを待つ
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今日だけのまじないだから書いとこか虫除け札は逆さまにして/卯月八日に
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そぞろ歩き いつの間に木々の若葉萠え 目にもこころにも沁み渡りゆく
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垂乳根の母になりにし妻なれば若き日よりもさらに眩しき
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絶海の小さな野原で浴びる春クローバー群れ紫ポンポン
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葉桜に感謝をしよう花びらをつまむ指先おでこに触れた
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連れ立ちて 幾年春を 惜しみけむ 今年独りの 花の下道 /挽歌
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真新しランドセルにも花びらが 雨をお供に孫入学式へ
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雨降る日 スーパー行きは あきらめて 冷蔵庫のぞく 特別スペシャルレシピ
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九十九の母が労わる七十四 逆バージョンの『老々』にして
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電柱の上にハローと鳴くカラス僕のハローを学んで鳴いた
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寝る前にうとうとトースト食む僕は何かが欠けてるカロリーで生く
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夫婦喧嘩 激しさ増して 炬燵猫 瓶飛ぶ前に 縁側へ去る
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満開の 桜は何か 眠たげで その花の下 お昼寝したい
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毛布で 吾の枕に長々と 寝そべり毛繕けづくろい 初夏と紛う朝
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書くことも 読むことすらも 遠ざかり 私の文字は 未だ汚い
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チェーン店 建設予定地 草茂り 春深まれど 冬眠中か
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すべての窓 パーッと開け放ち 家中に卯月の風を招き入れる朝
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工事場の重機の下に微睡まどろむ猫 ぐっすりおやすみ 今日は日曜
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さすがもう平気なんだとまだ有った冬の名残りを仕舞う暑さかな
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流れてく川に放すは軽き舟 四季の花びら乗せる折り紙
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若葉より癒しを得られ一服の珈琲は青い瓶の魔法
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