風止んで 瞬く空や 暖を取り スマホ立て掛け 聴くドビュッシー
18
玉の緒の 果無はかなきことを 忘れゆく  身を置く処 満ち足ればこそ
18
水やりて ミモザのご機嫌 聴く朝に ひとつ増えたる わがルーティン
18
レンズから図鑑から世の解像度どんどん上がる足を運べば/自然観察
18
哀しみはわれにもあれど濃さゆえに福島行きの遅くなりにし
18
一時間に一本しかない田舎駅 古食堂にてタンメンを食ふ
18
春陽の庭の片隅しみじみと想い咲きかな菊の一輪
18
落涙し 絵になる女と ならぬ我 顔面格差に なお泣けてくる
18
春暁の 静けさの中 浮かびたる 月は動かず 鳥はのどけき
18
凍み渡る雪原ゆきはらけもの足跡あと 辿りてゆけば水辺に着けり
18
君たちはいつになったらいなくなる冬越たらしカメムシに問う
18
人としてどうよ!と叫ぶ衝動と何かがあったと思う憐憫
18
夕食は醤油かけご飯のみと言う君をおでんでもてなす二月
18
子を抱いてコーヒーゼリーに笑みし妻の 刹那と思う 五十年など
18
ゴム毬のごと 弾むこころ運び来る 息子家族の里帰り嬉し
18
よもぎ摘み 指に残った かおりから  春に邂逅かいこう 今日はい日だ
18
白木蓮の重なりに逝きし人のおもて映りて 澄みたるいろに心鎮まりぬ 
18
小用を二回に減らす暖気ありそぞろの春に暁を待つ
18
ジタバタと苦しむ時も貴女には生きたい世界だったんだよね
18
和三盆さくら餅など選んでは仏壇にそなうホワイトデー
18
標本木 日がな一日見つめられ 膨らむ蕾 ポッと頬染め
18
熱心に 神を拝める 実家かな 家族の絆は とうに枯れ果て
18
愛犬の夜鳴きおちおち寝てられず されど愛おし勝るものなし /犬莫迦
18
しらじらと明けゆく空は雲が無く 桜の開花 予感させる朝
18
春の背に 桜が乗って 駆けていく 卒業式を 入学式を
18
遅れれば遅れるほどによろしきは 桜の開花春が長保ち
18
日々眺む開花の時を急かすよに ソメイヨシノは我関せずと
18
妹から「居酒屋予約完了」と 早も心は十勝へ飛びぬ /明後日から
18
原発で 避難生活十五年 ふるさと未だ遠くにありて
34
傘の花色とりどりに揺れる朝六年生とゆく通学路
17