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夕霞 列車の過ぎて静まりぬ蒼き川へと登る自転車
21
四着の夏の上着のローテーション 三周半で運用休止
21
ガラスペン 割れないように あのひとに 今日も出せない 手紙を綴る
21
「お不動さん泣いているの」と
幼
(
おさな
)
問うこんな顔して泣くのか人も
21
水芭蕉、ツツジ、辛夷も咲きそろい春の野山に色戻りくる
21
野辺に満つ たんぽぽ朝の 陽の風へ 綿毛飛び立ち 遥かな銀河
21
コンクリを裂きて虞美人花匂ういのちはびこる魔性の少女 / 庭の境に
32
体調が すぐれぬ貴女 心配し 改善願い 朝の神社へ
27
丁寧にひと櫛ひと櫛髪染めて 妻、老人会に週末デビュー
20
季節
(
とき
)
来て 咲くべき花の 咲き誇り 幸と勇気を 我にくれたり/今はハナミズキ
20
喜びも 絶望さえも 見下ろして 医大の前の 銀杏は青葉
20
朝の陽へ撒きし餌へ舞う群れ鳩と触れ合う爺の影は伸びやか
20
離れてもハイビスカスを二人して育ててゆけば一緒と同じ
20
キンセン花 命の捧ぎ萌えてなを慈愛果てなき道へいざなう
20
日の出前 空気の揺れと 鳥の声 住宅街は 気配に満ちて
20
花は天よりぼんぼりとして降りる地はゆうたりと微笑んでいる
20
公園を 螺旋を描き ツバメ二羽 風を切り裂き 曲技飛行
20
力より
均衡
(
バランス
)
だよと 教えられ ぶつくさ言うも 「
YOGA
(
ヨ ガ
)
」に精出す
20
創作心 滲む作者のお人柄 磨いているのは己の心
20
風吹けば松の緑は現れて空にぞ掛かる藤浪の花
20
噛みやすい歯茎で舌でつぶせます噛まなくていい今どのあたり/介護食
20
県道を走る車の
ライト
(
灯
)
が見える空家解体されて素通し
20
明るいな気持ちがいいな起きようかまだ寝てようか晩春の朝
20
音もなく車窓に積もる霧雨に 私も埋もれる宛もない
夜
(
よ
)
に
20
斬新の森へ踏み込む勇者たれ泡沫の世をおもしろく生き
20
鯛踊る大漁旗ははためいて母なる海の深さを知らず
20
眼の先に花びら舞うや風なきに 番いの黄蝶か つかず離れず
20
海溝
(
マリアナ
)
の唸る闇には噴出孔ナノな泡のせ海へ広がり
20
陽を抱いて 黄色ピンクのオキザリス 風と終待つ 故に恋しい
20
道脇の運河を照らす空撫でて霞む漁船のキラキラ光る
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