暗闇で主待つ君寂しかろ 灯りとラジオ 小さく点けて出る
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風騒ぐ春よ僕らを運んでけ愛しい君に出会える場所へ
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ごみ出しに 外出た瞬間明らかに 異なる季節迷い込んだ朝
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幼日おさなひに部屋の片隅ボクひとり涙の跡は深きに眠り
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巡りくる回忌を前に 父の背中流すごと 墓にそっと水をかけ
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さりながらみそひとのみちの遠ければ掃くも動ぜぬきざはしの塵
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アイロンでシャツの皺のばすついでに こころもシャキッと正す朝かな
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飛ぶことを忘れたカラス慣らされていくんだ知らず知らずのうちに
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我が子には 愛と不安が同居して 孫への感情 ただただ愛しい
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つま先をたてて背伸びし指先を天の何かに伸ばしてみる時代とき
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涙星 泣きたいときは鳴けばいい いつかは渇れて 忘れてくから 
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白球に朋らと遊ぶ春日かな 碧き層々 冠雪の峰
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入門書借りて積読する理由わけを詠めばそこにも短歌のひとつ
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かすみゆく久遠くおんの理想やしがらみの五重塔の遠き鐘の音/折句
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みそひとの呂律の波の荒ぶれば詠み手読み手の櫂の抜き差し
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「ヒマラヤのお塩ですよ」と自慢顔 雑味が旨さと知らないままに
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正月の飾り片付け空いた場所 ちさき雛人形 ちょこんと鎮座す
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勇ましい 声も大きい その人の 肩肘張りて 背中寂しき
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深夜二時肩を落として灯を求む 冷蔵庫より小さき「おかえり」
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源泉に 湧くる言の葉 かき混ぜて 生まれ流るる 数多の泡沫うたかた /リメイク
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かの人のにほいとぞ思ふ松田山たがえし君の菜の花に似て
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どんな時にも列はくめんだろうと突っ込んでみるドレミの歌に
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覇道たる強きを散らせ破竹なり戦が終わり出てくる者は
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おもひよりはやきながれの事の端をすくわむとあむ言の葉のあみ
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推敲の堂々巡りの木阿弥に螺子とは知らず一歩進みぬ
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「もういい」と夫のことば遮りて目の前の河みないふりする
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天皇と言えば昭和の顔浮かび今上陛下浩宮様
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にぎやかな孫らの声の届かぬに春一番吹くふたりの今日は
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店内に 流るる旋律メロディ そばだてり 奏でをるオルゴール『春よ、来い』
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美味しかった 楽しかったと帰りゆく次男夫婦を送りてほっと
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