美しき短歌うた 詠もうと構えたその瞬間 言の葉消えゆき 無味な文字並ぶ
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霧の朝これはミストかフォッグかと鴉が鳴いて嗚呼サイレント
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炎症が どこか臓器に あるような けだるさ続く 花の咲く頃
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一粒の 雨も母には 許さじと 傘傾けて 春の畦行く
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みどり濃し湯に泳ぎきる菜の花の熱燗酌みて早春を知る
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川辺りの桜水面みなもに枝伸ばし 映る我が身に見惚れるかのよう
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山の端の 真ん丸太陽 鮮やかに 白い息して 朝のお散歩
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定位置で ねこたちそれぞれ すやすやと ひにゃたぼっこは まだしないのね
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渡されしロールサンドの誇らしく赤きリボンを春空に解く
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いにしえから 川辺りに立ちぬ桜の樹 老木なれど ひたむきに花咲かす
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正座して 痺れし脚を 引きて行く そろりとそろりと 狂言の如
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窓側で赤ベコのように揺れながら寝てる息子をインストール
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垂れ込めた 重い雲の隙間から ひとすじ陽の光 桜輝く
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階段を上れば明かる桜木の塀に隠るる集いのありて
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シュッシュッシュッピーに階段駆け下る機関車みたくケトルへ向かう
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桜舞ひふわり抱きし初孫の十八年はひとひらの夢
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土砂降りも雪も曇りも惜しみ無く見せる素直な空は憎めず
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母の負を父のいさおで拭ひ去り 私は独り介護あしたを編めり
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中々にご立派でしょう うちの子のシール帳ですニ枚のふすま
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闇の中  ランタンひとつ  ともしおり  音の波間に  夜は深まり
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妙な音してたサンダル買い替えて父の足音くっきりとする
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できるだけゆっくり咲いてと願かける、つぼみふくらむ通勤路にて。
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言葉にしたら 壊れそうなこの想い もどかしさ抱え今日を過ぎゆく
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愛用のぬいぐるみくわえ我探し 見つけてほっぽり 我へと一直線 /愛すべき我が猫
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猫さんがくれというので食っているカニカマを出すこれじゃないらし
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山頂を雲で隠して山たちは幽玄ぶって佇んでいる
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灰色な今日をなんとか変えたくてデルフィニウムとトマトを買った
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犬心いぬごころ 乙女のそれより度し難く 或いは春の男心か /本日の愛犬
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革靴をスタッカートで刻みつつ春の足音追いかける道
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2注意3警戒4危険表示横目に行く雨後の早瀬は/白波立てて
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