とびきりの笑みで手を振る いま下を向いたら泣いてしまう気がして
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壁に揺れる光の網を綾取りで取って取られて朝のうたかた
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女子からの手書き便箋手にとれば 五十年余の刹那を隔て
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チビ猫は くるくるするよ だいえっと ちょっとぽっちゃり しちゃったからね
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紅葉も散り 秋色は褪せてゆき 冴ゆる空が 光を通す冬
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三十一の 言の葉ほどけ 湯に浮かび 掬いては結い またほどきたる
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本日は手頃に晴れて気分良し賀状作成なんとかしよと
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オレンジと 黄色の銀杏 踏み分けて けふも行くなり 通院の道
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手すりなき和式トイレで立ち上がる深夜の公園 てふ怖い夢
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柿たるる梢にお目見えジョウビタキ冬は顔上げ心潤し
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コロナから人の価値など下がりおり心ささくれ癒やしの無い日々
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めしくれと足絡みつく猫蹴って母のご飯の準備を急ぐ/君等2番目
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乗車して下車するまでの三十分 夕陽は沈む釣瓶落しに
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湯たんぽを沸かし損ねた温度とは自分の温さの指摘そのもの
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あれこれと 拘り作る年賀状 拘りすぎて年越しとなり 
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わたくしの「今」を共有したくつて旧友ではない友と呑む暮れ
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もうふさん くるまれるきせつ やってきた ぬくぬくのねこ ゆっくりおやすみ
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左手首 ちょっと痩せたと つと触れる ベーグルくらい たべてもいいよね
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あの夕焼け 明日も一緒に見ようねと ささやかな願い ベツレヘムの星に
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風吹かぬ 墨の夜空に しんしんと  軋む足音 ひとり楽しむ
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ちま猫ちゃん まふらーさんを そうちゃくよ いやニャよかんが おびょいんかなぁ
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紅茶飲む予定が カフェオレ淹れました まあ良いでせう 今日もいい天気
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ほめにゃんこ そういや今年は いつ出るの 手帳はあれと 決めているんだ
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アマリリスと見紛うほど大輪に咲きし花瓶の百合は微笑む
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蒲団敷き溜め息一つ思うのは 今夜は何回トイレに起きるか
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あらーむが なると ちま猫ちゃん・とうじょう おかあちゃんおきる? そろそろおきる?
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AIは自分のミスを謝らない こんな奴とは仕事はできぬ
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AIはしれっと言い訳すまし顔 こんな奴には任せられない
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シャンプーが少量で足る洗髪はうれしくもあり悲しくもあり
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けふはまた 吐息をめぐる 哲学の クレバスの奥 一人寝気分
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