背の丈が ぐんと伸びゆく孫たちの 幼さ残る笑顔に癒され
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かつて吾を守った父を追い越して あたたかな昔洗う夕暮れ/老いた父へ
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時の波寄せては竦む残命にドプラー効果や紫の綾
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親四人看取りしあとの暮らし向きいずれは終わる穏やかな日々
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「ごめんね」と言えば「いいよ」と決まってた。いつの頃から「いいよ」で済まぬ
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戦争は人の狂気の地獄絵図 殺人罪とはいったい何か
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低く飛び白高ければ黒今朝も白鳥たちの編隊が行く
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住宅街 カレーの香り 帰り道 ひとりぼっちの部屋は夕暮れ
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午後一時 待ち合わせする バス停へ 切りたての髪 足取り軽し
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また来ます またとは何時か ふわふわと 予定に書けない 予定が増える
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羊焼くアベルを神は寿ぎて 穀物捧ぐカインを疎む
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この国に 不穏な空気 満ちてきて 自由の意味を 今問い直す
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春日和 風に向かって 飛ぶ鳥の 羽ばたき二つ 街を乗り越え
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絹糸のような黒髪眩し友 無い物ねだりのあたしは癖毛
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忘れない 忘れてはならぬ あの記憶 幾多の想い届け鎮魂歌
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アスファルト黒く覗いて痒い目を こすり春へと僕をすすめる
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3・11 幼き孫が生まれし日 歓びと祈り 分かち合う一日
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春雪と土の匂いで走る夜 終わらぬ道が僕の答えだ
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お互いに 相思相愛 知りながら 無意味に帰る 別々のドア
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時計の針 止まったままの校庭に 子らの声無きも やがて桜咲く /震災遺構大川小
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眼前に絶望の大海うみ広がりし 苦しい夜は明けると知らずに
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震災の日 十四時四十六分 忘れじのとき 黙祷ささぐ/東日本大震災
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三月の イオンモールの 賑わいに あてもなく買う 春色ブラウス
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今日もまた 世界の不穏なニュースあり  無力な自分 平和祈るのみ
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インクのフェロモン辿る本の虫 活字の森にお花摘んでる
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銃声はきこへて来ない非正規も正規もならび牛丼たべる
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電車代もらってチャリで魔の誘い小狡さバッサリ誇らしくあれ
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間違えて踏んだ石ころ それすらも星座の一部にしてみせるから
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注文のQRコードを読みとれば まなざし優し子と春の昼
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目移りし買えずに帰る縁日の氷川神社や提灯揺れて
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